
なぜ漢方薬は効果がよくわからない?(漢方薬の選び方の大きな間違い)
病院で漢方薬をもらったけれど、説明と違って、ちっとも効いた感じがしない。
漢方の専門薬局で、漢方薬を出してもらったけど、全然、効果がわからない。
漢方薬を飲み始めた方の大半が、「漢方薬って、説明にあるほど、効かないんじゃないか?」と思っている人が多いと思います。
なぜ、説明と違って、効果がわかりにくいのでしょうか?
その答えは、医者もネットの情報も漢方薬局の先生も、そもそも漢方薬の選び方が、大きく間違っているからです。
国際中医師で日本漢方家の松村です。
大阪であらゆる病気の漢方相談をさせてもらっています。
当たり前の話ですが、下痢がひどい人に咳止めの薬を渡しても効くわけがありません。
こんなおかしなことを西洋医学の薬だと絶対にすることはないですが、漢方薬ではこれに近いことをやっているのです。
今回は、次の感じで話をすすめていきます。
最初に
1そもそも漢方薬とは何か?を紹介します。
次に2病院の漢方薬の選び方を解説します。
そして、3そもそも漢方薬はどうやって選ぶのかを説明し、4具体的な漢方薬を選ぶための方法を解説します。
漢方薬を飲んでいるけど、効果がわからない人は、「なぜ効かなかったのか?」その理由がわかるようになります。
また漢方薬は、まるで詐欺の商品のように扱われている、漢方薬業界の闇を垣間見ることになります。
そもそも漢方薬とは?
漢方薬は、病院の薬と比べて、自然でできている安全な薬というわけではありません。
体質と合わなければ、結構、きつい副作用が待っています。
漢方薬は、2千年前から、存在し、西洋医学の薬と違って独特な方法で体質を分析し、その体質に合わせて、何百種類もある漢方薬の中から1つを選びます。
病院などでも扱っていますが、そもそも病気の考え方や薬の効果の考え方などに、西洋医学との接点など、何一つ共通点がなく、全く別物の医学になります。
いわば、「医学」という名前が付いてますが、同じ「球技」でもサッカーと野球に何の共通点もないのと同じで、ルールが全く違うのです。
病院の漢方薬の選び方
病院では、西洋医学の病名や西洋医学的な症状をあてはめて、漢方薬を選びます。
例えば、「頭痛に五苓散」、「めまいに苓桂朮甘湯」とか、「胃もたれに六君子湯」などです。
もちろん、こんな選び方は漢方薬の治療理論には、一切、存在しません。
そもそも漢方薬を選ぶための方法は、2000年前にすでに存在し、西洋医学は、その1800年後、今から、たった200年前に台頭してきたものなので、2000年前の薬をその1800年後の病名や症状で選ぶほうが異常です。
なぜ、医者に選んでもらった漢方薬が効かないのか?
それは、『本来の漢方の治療理論を無視しておかしな選び方をしているから』
これだけです。
冒頭で説明したように下痢のひどい人に咳止めを渡しているようなもの。
要は、体質や原因と漢方薬の効果が全く噛み合っていないのです。
「でも効いている」と言う人もいますよね。
これは、漢方薬自体は素晴らしい効果のものなので、本当にたまたま、体質や原因と合っただけ。
これは、医療のプロのやることではないです。
なぜなら、プロは、自分で何をやっているのかわからない治療はやっちゃいけないし、運頼みの治療も、やっちゃいけないのです。
漢方薬はそもそもどうやって選ぶのか
当たり前ですが、「2000年前には、漢方薬だけが存在して、その選び方はわからなかった」なんてことがあるわけがありません。
ちゃんと、体質を分析する方法があって、その方法から体質の診断を行い、体質に合わせて漢方薬を選んでいました。
病院でも血液検査をしたり、レントゲンをとって原因を探すのと同じです。
症状だけを聞いて、漢方薬を選んでいるわけがありません。
体質を分析するには、6つの方法があります。
ちなみに漢方の世界では、体質の診断結果のことを『証』といいます。
この「証」は、病的な体質のことでもあり、めまいなどの症状の『原因』ともいえます。
つまり、漢方薬は、病院の薬のような症状を抑えるものではなく、症状の原因を治すものを選びます。
体質を分析する6つの方法
医者やネットで説明されている漢方薬の選び方は、要は、病名もしくは症状を当てはめて漢方薬を選んでいるだけ。
原因も体質も全く無視!
対して、本来の選び方は、原因、体質を分析して選びます。
その分析方法には、6つの方法があります。
分析のことを漢方では弁証と呼びます。
1六病位弁証
2八綱弁証
3気血水弁証
4臓腑弁証
5八方(治療方法)
6病因の分析
それでは、1つずつ、何を分析しているのかを解説します。
六病位弁証
六病位弁証とは、ある病気が時間の経過によって、どれくらい体に深い影響を与えているのか、病気を患ってきた時間と深さをみます。
6つのステージにわかれていて、例えば、風邪なら太陽病といって、初期の1段階目になります。
太陽病→少陽病→陽明病→太陰病→少陰病→厥陰病という段階で病気が進んでいきます。
2、3日前から患った風邪などは太陽病から始まり、この時点では葛根湯などを使いますが、その風邪が2週間以上、経って、咳が残って、気管支炎になると、少陽病に移り、葛根湯から柴胡桂枝湯などに変更していかないと効果がない。ということになります。
病気を患っている日数の経過や進み具合で、漢方薬を変えていく必要があるのです。
全ての漢方薬は、この6段階のどこのステージで使うものなのかが決められています。
葛根湯は初期の1段階目で使うもので、葛根湯は風邪だけでなく、蕁麻疹や下痢などでも使うことがありますが、この蕁麻疹や下痢が、慢性の場合は、葛根湯では治せません。
つまり、2週間ほど経過した蕁麻疹や下痢の場合は、他の漢方薬に変える必要があります。
八綱弁証
八綱弁証とは、体の陰陽、虚実、表裏、寒熱という8つの要素と燥湿という2つの要素を分析します。
全部で10要素ですが八綱弁証⭐️ になります。
陰陽とは、体全体の体調の方向性をみます。
体は病気になったら、病気にどんどんやられて弱るか、病気に抵抗しようとして、激しい反応を示すかに分かれます。
例えば、風邪になっても、熱が出なくて、あまり強い症状が出ないで、とにかくしんどいタイプか、高熱が出て、頭痛や咳が激しいタイプになるかを分析していきます。
虚実とは、どれくらいのレベルの漢方薬が飲めるかを分析します。
漢方薬は、その中身の生薬に強い効果のものが含まれている場合は、飲む人に体力と胃腸の強さがないとかえって、体調が悪くなったりしますので、虚実を見極めて、どれくらいのレベルの漢方薬が飲めるかを考えます。
表裏とは、体のダメージがどこの部分にあるかをみます。
初期は皮膚表面に病気があったりします。
この場合は表証といい、便秘などは体の深い部分、裏証にあると判断します。
寒熱は、体の中の冷えと熱の偏りを分析します。
漢方では、「イメージ的に冷え性」といった感じではみません。
足は冷えるけれど、頭はのぼせて熱がこもっているなどの冷えと熱の偏りをみていきます。
燥湿とは、乾燥した状態と湿気の状態をみます。
例えば、「肌は乾燥するけど、鼻水がひどい」などの乾燥と湿気の偏りをみていきます。
気血水弁証
気血水弁証とは、体の気、血、水の巡りをみていきます。
この巡りは、「血の巡りがギュンギュン早い」というものをみるわけではなく、体全体の中で、どこに偏っているかをみます。
例えば、「肩こりがあって、肩周辺には、血が滞っているが、足は冷えて血の巡りが少ない」などといった感じです。
水や気も、「巡りの偏り」をみていきます。
臓腑弁証
臓腑弁証とは、肝、心、脾、肺、腎の臓と胆、小腸、胃、大腸、膀胱の腑。
この五臓六腑のどこの臓器の機能が悪くなっているのかを分析します。
臓器の働きは西洋医学と似ていますが、全く同じではありません。
肝は肝臓のことで、アルコールなどの解毒や体全体の血の巡りに関わっています。
脾は、胃腸も含めての臓器のことで、胃や腸というよりも消化してエネルギーを得るところと捉えて⭐️います。
八方(治療方法)
汗法、吐法、下法、和法、清法、温法、消法、補法の8つの治す方法のどの治し方が一番、ベストかを考えていきます。
汗法は、風邪を治す時に選択する汗を出させて治療する方法です。
吐法は、食中毒などの毒を吐かせることによって、治す方法です。
下法は、便によって毒素などを排出して治す方法です。
和法は、吐法と下法のどちらも使えない場合は、解毒などで治す方法です。
清法は、熱が原因の病気の場合に冷やすことによって治す方法です。
温法は、温めることによって、治す方法です。
消法は、腫瘍などのかたまりなどを治す方法です。
補法は、不足した気や血、水を補充して治す方法です。
漢方薬は、これらの効果が設定されていますので、その人の状態に合わせて、治療方法を選択します。
また、治療方法には、大きく正治と反治があります。
正治は、冷えている状態に対して、温める治療方法。
反治は、冷えている状態に対して、冷やす治療方法になります。
病因の分析
病気の原因を分析する、六淫と七情というものがあります。
六淫とは、「風」「寒」「暑」「湿」「燥」「熱」の六つの自然の要素。
七情とは、「喜び」、「怒り」、「憂い」、「思い悩み」、「悲しみ」、「驚き」、「恐れ」の要素。
六淫は、自然の要素によって、体が影響を受けて、病気になることを示しています。
暑いとか熱は熱中症の原因となり、寒さは冷え性の原因となります。
怒りは、肝臓の機能を傷つけ、憂いの感情は、胃痛の原因になったりします。
七情には、自律神経やストレスなども含まれます。
これ以外にも毎日の食事や生活リズム、運動や労働などの影響からの病気や症状の原因を考えていきます。
例えば、熱が原因なら冷やす漢方薬を選ぶ。
不眠気味なら、自律神経の状態、つまり気の巡りをみて、気を巡らせる漢方薬を選びます。
まとめ
医者やネットの漢方薬の説明では、単に症状だけをあてはめて漢方薬を選んでいますが、本来は、6つの体質の診断方法を使って、あらゆる方向から、体質や原因を分析して、どんな漢方薬が最適か考えます。
頭痛に五苓散とか、めまいに苓桂朮甘湯とか、単に症状をあてはめる単純なものではなく、全身の症状や状態から6つの方法で原因、つまり体質を確定させて、その体質、原因に合わせた漢方薬を選びます。
6つの方法を使って、原因を特定しようと思ったら、当然、2、3の症状だけで分析できるわけがありません。
漢方薬は例え、頭痛という1つの症状でも常に全身の症状や状態、生活環境や生活リズムを調べていく必要があるのですね。
6つの方法をすっとばして選んだ漢方薬を飲んでも効くわけがありません。
なぜならルールを何一つ守っていないからです。
当店では、人それぞれの体質を分析して、その人独自の原因に合わせて漢方薬をお選びします。
ご希望の方は、下にネット相談や店頭相談の予約カレンダーを貼ってありますので、ご相談ください。
あなたの現在の体質や原因を判断して、治療方針をご提案いたします。
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◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社
