六君子湯はどんな効果?胃痛や胃もたれに効くの?六君子湯の本来の効果と副作用
病院では、ツムラの43番でよく出されている六君子湯。
「六君子湯を飲み始めたけれど、効果がよくわからない。本当に効いているの?」
こんな方は、結構、いるのではないのでしょうか?
六君子湯は、胃もたれや胃痛の方に効果的ですが、実はどんな人の胃もたれや胃痛の方にでも効く。というわけではありません。
では、どんな人だと
「漢方薬は体質に合わせないといけない」という話は聞いたことがあるかと思います。
漢方薬は、六君子湯の効果とあなた自身の体質が合った時に初めて効果を発揮します。
胃もたれや胃痛で、なおかつ、『六君子湯の持っている効果が合う体質』であれば、抜群に効果を発揮しますが、「六君子湯の効果と自分自身の体質」が合わなければ、胃もたれや胃痛には全く効果がありません。
今回は、どんな体質の人やどんな状態であれば、六君子湯が効くのか?
また、六君子湯の効果とはどんなもので、なぜ、その効果だと、胃もたれや胃痛が治るのか、そして、その副作用を解説します。
六君子湯の効果
六君子湯に、病院の薬のような、胃酸を抑えたり、胃もたれを治す有効成分は含まれていません。
六君子湯の成分というか、構成されている生薬は、他の漢方薬でも使われているものばかりです。
六君子湯の本来の効果は、
1脾胃の虚証を補虚する効果。
こちらは、胃の機能自体が弱っている状態に胃の気を補って、胃の機能を高める効果です。
2脾胃の水毒の水毒を利水する効果。
こちらは、胃に滞った不要な水を毒の水とみるのですが、この毒水をかき出す効果です。
3虚証による精神症状を調整する効果。
こちらは胃の機能が弱り、気も減って、不安感などが高まっている人の気を調整する効果です。
4血虚を補血する効果。
こちらは、貧血のような血の少ない状態に血を補っていく効果です。
5水毒を利水する効果。
こちらは、体全体の水の巡りを調整する効果です。
なぜ、六君子湯の効果がわからないのか?
病院やネットでは、『六君子湯が胃もたれに効く』みたいに漠然と説明されていますが、詳しくみてみると『具体的にどんな効果で治すのか』には一言も触れられていません。
「なんか、六君子湯は、胃もたれや胃痛に良い」とフワッと説明されているだけ。
もちろん、「飲んでいれば、なんとなく治すよ」なんてものではありません。
本来の漢方薬の効果は、難しそうですが、実はわかっってしまうと単純な効果で、「胃に不要な水が溜まっているなら、その不要な水をかき出すのが、六君子湯の効果です」というもの。
六君子湯は、8種類の生薬で構成されていますが、主役となる効果は、この胃の不要な水をかき出して胃もたれを治すものなので、胃もたれの原因が、胃に溜まった不要な水でなければ、六君子湯は、全く効果がありません。
胃もたれには、人それぞれ、色々な原因がありますが、漢方薬を選ぶ際の問題は、自分の胃もたれの原因が、「不要な水が溜まっているのか?」、「不要な熱がこもっているのか?」、「血が巡っていないからなのか?」の分析が難しいこと。
ちなみに胃もたれや胃痛、逆流性食道炎などの胃のトラブルで使う漢方薬は20種類以上がありますので、その中から自分の原因に合ったものを選びます。
漢方薬を選ぶ際には、同病異治という大原則があります。
これは、同じ胃もたれという病であっても、選ぶ漢方薬は異なるということ。
もちろん、胃もたれの原因が、水の毒ではない場合、六君子湯はちっとも効きませんが、では、胃内停水という胃に不要な水が溜まって、ポチャポチャしているから、六君子湯が効くのか?というと、それだけではダメなのです。
六君子湯には5つの効果がありますが、「5つの色々な効果のどれか1つでも当たれば良い」というものではありません。
胃痛や胃もたれなどの胃の症状だけをみるのではなく、全身の状態をみていって、5つの状態に対して5つの効果が自分に当てはまるのかをみていく必要があります。
体内の5つの状態で、それを治す5つの効果が合うことを『体質と漢方薬が合う』ということになります。
ですので、病院であるような、「胃もたれがある」という症状だけを聞いて六君子湯を出しても、それは当てずっぽうになっています。
「胃もたれは、胃内の不要な水が原因なのか?」
「普段から胃の機能が弱いのか?」
「胃が悪いとストレスを感じやすくなるのか?」
「息切れや貧血傾向があるのか?」
「オシッコやむくみなどから体全体の水の巡りの悪さなどがあるのか?」
などなど、色々と聞いて、六君子湯の5つの状態、5つの効果が合うのかを考えないと治りません。
胃もたれなどの胃の症状だけで選んで効果がある方がおかしいのです。
そして、さらに六君子湯が合うかどうかの条件があります。
病位の時間の経過と飲めるかどうかのレベル
漢方薬は、「六君子湯の5つの効果と自分の体がその5つの状態であるのか?」だけでなく、病気になってから、どれくらいの期間が経っているのか?と、どの程度のレベルの漢方薬が飲めるのか?というものも見ていく必要があります。
病気になってからの期間には、5つのステージがあり、病気が始まってから、弱りきってその病気で死んでしまうまでの期間によって、飲む漢方薬が分けられています。
六君子湯は、太陰病といって病気が始まってから、3番目のステージで使うようにされている漢方薬で、期間的に言えば、胃もたれなどが発生してから、3ヶ月以上経っている慢性期に使うものです。
つまり、7日前から発生した逆流性食道炎には、まず使いません。
ただ、厳密に何ヶ月以上経っていたらというものではなく、1つの目安なので、この辺りの分け方は、漢方医の経験がポイントになってきます。
そして、『どの程度のレベルの漢方薬が飲めるのか?』というのは、漢方薬の成分のようなものである生薬、効果が強いものから、穏やかなものまであります。
例えば、麻黄という生薬は効果が高いですが、胃にさわりやすいです。
いくら効果が高くても、胃にさわったりすれば、効果を得ることができないので、意味がなくなります。
ですので、自分の体の状態のレベルにあった漢方薬を飲む必要があります。
インフルエンザで40℃近い熱がある時にステーキなんて食べないでしょ?
六君子湯は、虚証といって、体力がなく体の弱っている人が飲むものなので、元気だけど、胃痛があるなどの場合は、六君子湯は合いませんので、こういった方が六君子湯を飲んでも効果がありません。
六君子湯の副作用
漢方薬の副作用は、病院の薬のように薬ごとに決まっているわけではなく、体質と合っていなければ、副作用となります。
例えば、あなたの胃もたれの原因が、実は胃の気の巡りが悪い気滞から起こっているのに六君子湯を飲んだ場合、水の巡りが悪くないのに、水の巡りを活性しようとするわけです。
こうなると、普段のあなたの水の巡りを無視して、漢方薬が水の巡りを活性化して、その影響は徐々に体全体に及びます。
そうなると水の巡りのバランスが変わってしまい、足のむくみや顔のむくみが出るようになってきたり、血が少なくないのに、血が増えると血の巡りが悪くなって肩こりが強くなったりします。
漢方薬は病院の薬と違って、症状を抑えるものではありません
良いも悪いも変化を与えるものなので、単純に言えば、熱中症みたいな不要な熱をこもっている人に温める漢方薬を飲んでもらったら副作用になるのです。
そして、病名や症状から漢方薬を選んでいる医者などは、患者さんの体質は全く分析していないので、合っているかどうかがわからないので、当然、副作用を起こしているかどうかすらわかりません。
顔のむくみが六君子湯のせいかどうかがわからないので、合ってない漢方薬をやめるだけでいいのに、余計な薬を増やそうとしたりします。
たくさんの漢方薬の中から絞り込む。
漢方薬は色々な効果があって、色々な部分に効くというわけではありません。
体の弱点を全て分析して、その弱点全部を調整してくれるものとピッタリと合わせる必要があります。
パズルみたいな感じですね。
ですので、漢方薬は、胃もたれだけであったとしても、常に全身の問診が必要となります。
これが正に『六君子湯が体質に合っているかどうか」ですね。
六君子湯が効くかどうかは、あなたの胃もたれが、胃内に不要な水が溜まっていて、胃自体が弱く、胃もたれが精神に影響しやすく、血が不足気味で、体全体の水の巡りも悪く、患って3ヶ月以上経っていて、体力がないかどうかと関係しています。
胃もたれにのぼせや寝つきの悪さなどが加わってくると、六君子湯が治せる条件とは違ってくるので、六君子湯は効きませんし、合っていない状態なのに飲み続けると副作用を起こして、余計な症状が増えていきます。
おまけにその副作用が続くと、体に定着し、漢方薬に作り出された新たな病的な体質になっていきます。
六君子湯で胃痛や胃もたれを治したければ、自分の体全体が六君子湯の効果と合っていないといけないのです。
ですので、漢方薬で治療するには、まず、自分の体質がどんな体質なのか?を分析する必要があります。
『特に特別な問診なく医者に漢方薬を出してもらった』
『他の胃もたれや胃痛で悩んでいる人が六君子湯で良くなったと紹介されていた』
『ネットや動画で六君子湯は、胃もたれや胃痛に効く』と根拠なく解説されていた。
こんな漢方薬の選び方は、意味がありません。
自分の体質は六君子湯と合うのか?
それを調べるためには、6つの東洋医学の体質分析理論を使って調べます。
かつて皇帝の体を調整していた、漢方薬が、病名や症状だけで選んで治るような、そんな単純な医学なわけがないのですね。
当店では、人それぞれの体質を分析して、その人独自の原因に合わせて漢方薬をお選びします。
「漢方薬を飲んでいるけど効果がよくわからない」「漢方薬で体質改善をしたいけれど本当にできるの?」と思っている方は、下記にネット相談や店頭相談の予約カレンダーがありますので、ご相談ください。
あなたの現在の体質や原因を判断して、治療方針をご提案いたします。
●胃もたれや胃痛で、お悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン