咳止めの漢方薬の誤解!麦門冬湯の本来の効果と副作用
病院ではツムラの29番で咳なんかで出されている麦門冬湯。
今回は「咳を治そうとして麦門冬湯を飲んでみたけれど、咳が治らない」という人には、ぜひ、みてもらいたいです。
麦門冬湯は、確かに咳がある人にに効果的ですが、実は『どんな人の咳にでも効く』というわけではありません。
風邪で使う漢方薬は19種類あり、咳という症状に使う漢方薬は、43種類あります。
その中から、『今の自分の状態』にあったものを選ばないと効果がありません。
漢方薬は、「咳なら麦門冬湯」なんて選び方はしませんし、病名や症状から選んでも効果がなく意味がないのです。
ですので、咳だけで麦門冬湯を選んで飲んで効果がなくても、それは当たり前なのです。
今回は、「どんな人の咳なら効果があるのか?」
「どんな人だと副作用になってしまうのか?」
麦門冬湯の本来の効果と副作用を解説したいと思います。
病院の咳止めの咳の治し方
麦門冬湯が効くのかどうか以前に病院の咳止めと漢方薬には治療において大きな違いがあります。
そもそも、「咳」の役割を知っておく必要があります。
咳は、なぜ出るのか?
これは、単純に言えば、風邪のウィルスやウィルスと戦った後の痰を出すための防御反応でもあり、ウィルスを追い出す自然治癒力でもあります。
要するに『治すために発生している反応』なのです。
病院の咳止めには、大きく3種類あります。
1中枢性鎮咳薬
咳を出そうとする咳中枢の働きを薬が邪魔をして、咳が出ないようにします。
2気管支拡張薬
ウィルスの炎症によって狭くなった気管支を広げて、呼吸しやすくして咳が出ないようにします。
3去痰薬
痰の粘りをなくして咳のきっかけになる痰を排出させて間接的に咳が出ないようにします。
咳の抑え方は、3種類ありますが、根本治療的なことを考えたときに病院の薬の目的は、『病気を治すこと』ではなく、『症状を一定時間だけ抑えること』になります。
最初にお話ししたように咳の役割は、ウィルスなどを追い出すこと。
つまり、『咳』という症状自体が、体を治そうとする「システム」なのです。
咳を薬で抑えるというのは、治そうとしている体の邪魔をしているともいえます。
症状がなくなると治っているように錯覚しがちですが、気をつけないといけないのは、『咳を抑えている=治しているわけじゃない』ということ。
本当は「体力が奪われるほど咳がひどい」とか、「眠れないくらい咳がひどい」などでない場合は、無理やり病院の薬で咳を抑えると、それだけ根本的な治癒が遅れるので、早く治したい場合は、状態や状況を判断して薬が必要かどうかを考えたほうがよいのです。
漢方薬の咳の治し方
病院の薬は、咳という人間の体を治そうとする反応を無視して、無理やりに抑えようとしますが、漢方薬の場合は、咳を無理やり抑えることはしません。
漢方薬は、咳を無理やり抑えるのではなく、『今の体の状態』に合わせてフォローしていきます。
大元の原因がウィルスであっても、体質の違いで、『今の体の状態』が変わってきて、咳が出る原因が人によって変わってきます。
その咳が出ている、人それぞれの原因を治すことによって、結果的に咳が出ないようになります。
この原因のことを「証」と呼びます。
例えば、麦門冬湯は、効果の中心になるものが、「滋潤」という効果です。
咳中枢がどうたらこうたらなんていう効果はありません。
これは、体に水を加えて、潤すという感じの効果になります。
ですので、当然、麦門冬湯が合う人というのは、喉も口も、とても乾燥していて、咳は乾いた咳で、痰は黄色や緑色の水気のない粘りの強い痰になります。
当然、粘りのない水鼻の人には合いません。
こういった状態にあてはまるのが、『普段から皮膚なんかもカサカサになりやすい乾燥傾向が強い高齢の人』になるので、漢方の専門家からみたら、まず、高齢じゃない人の風邪で使うことがありません。
そして、大体の人の風邪の時の体の状態は、上焦の水滞の証といって、首から上に不要な水が滞って溜まっている状態になっています。
鼻水が出て、痰も黄色や緑になっていなくて、色がなく、量もそれなりにある感じ。
咳も乾いた咳ではなく、痰が混じっている湿った咳になります。
こういった普通の風邪の状態の場合に、麦門冬湯を咳止めに使うということは、水で溢れている体に更に水を増やして、水を溢れさせるということになります。
漢方薬には誰にでも効く効果というものはなく、乾燥していれば、水で潤すので、乾燥している人にとっては、麦門冬湯は、「良い効果」となりますが、よくあるような風邪の状態の人であれば、不要な水が滞っていることが多いので、余計に水が溢れて、これが副作用となります。
麦門冬湯が咳に効果があるのではなく、上半身に熱がこもって乾燥している状態の人の咳に対して、潤すから治るのです。
病院の薬は、咳を出そうとするのを無理やり抑えますが、漢方薬は、咳そのものを直接、抑えにはいきません。
体の弱点をフォローして、体内のシステムが働きやすいようにして、自然治癒力を高めて根本的に治るように持っていきます。
結果的に咳が治るだけで、咳だけを治すためには使いません。
それでは、麦門冬湯の本来の効果と副作用を解説します。
麦門冬湯の効果
麦門冬湯の本来の効果をまとめると、
1肩から上の部分を潤す効果
肩から上の部分を漢方では上焦といいます。
この上焦の部分の乾燥状態を潤す効果が麦門冬湯の効果となります。
2頭に上りすぎている気を体の下方に下す効果
頭に気が上りすぎて滞ると、激しい咳などのきっかけになりますので、その気を体の下方に降ろします。
3衰えた体力を強化する効果
衰えた体力や抵抗力をあげます。
この効果だと免疫力が上がって、風邪に対抗できそうに感じますが、麦門冬湯の体力や抵抗力を上げる効果は、非常に時間がかかる性質があります。
普段から、弱々しい状態の老人の長引いた風邪をある程度の時間をかけて治療していくという効果なので、普通の風邪を短期間で治す意味での抵抗力を上げる。という効果ではありません。
漢方薬はこういった効果なので、病院の薬のような咳中枢の反応を鈍くしたり、気管支を拡張したりするような効果や成分は存在しません。
ですので、肩から上が乾燥していない、気が昇りすぎていない、普段から体力がなく弱々しい状態でもない。となれば、麦門冬湯の効果は、どれも意味がないので、当然、咳にも効きません。
麦門冬湯の応用
漢方薬の効果は、「冷えている人は温める効果で治す」というような感じで症状自体を抑える効果はありません。
麦門冬湯は咳に効く漢方薬ではなく、さっきの3つの効果にあてはまる状態の体であれば、効果があります。
咳があるとか、風邪などは関係ないのですね。
3つの効果にあてはまる状態の体であれば、咳だけでなく、シェーングレーン症候群や糖尿病、肺気腫、百日咳、高血圧、動脈硬化症、脳出血の人にも効きます。
しつこいですが、どんな病気にでも効果があるのではなく、『麦門冬湯が治せる体の状態』であれば、これらの病気に効きますが、『麦門冬湯が治せる体の状態』ではなく、違う体の状態であれば、違う漢方薬が必要となります。
咳を止めるためだけに麦門冬湯を飲む。
そんな選び方では、他にも咳に使う漢方薬は、43種類もあるので、そんな簡単に効果のある漢方薬を選ぶことはできません。
病位の時間の経過と飲めるかどうかのレベル
漢方薬は、「麦門冬湯の3つの効果に対して、自分の体が、その3つの体の状態であるのか?」だけでなく、病気になってから、どれくらいの期間が経っているのか?というものも見ていく必要があります。
病気になってからの期間には、5つのステージがあり、病気が始まってから、弱りきって、その病気で死んでしまうまでの期間によって、飲む漢方薬が分けられています。
麦門冬湯は、少陽病といって病気が始まってから、2番目のステージで使うようにされている漢方薬で、期間的に言えば、咳などが発生してから、しばらくしてから慢性期に使うものとされています。
つまり、咳のきっかけが風邪だったとしても、風邪が治っても咳が残っているみたいなタイミングで使うことが多い漢方薬です。
ちなみに風邪というのは、急性病ですので、5つのステージからいくと最初の太陽病というステージに属する漢方薬を使っていきます。
これが、葛根湯とか麻黄湯になります。
ただ、このタイミングは、厳密に「何日以上経っていたら使う」というものではなく、1つの目安なので、この辺りの使い分けは、漢方医の経験がポイントになってきます。
あなたの体は今、どんな状態?
漢方薬は、あなたの症状を直接、抑えくれるわけではありません。
特定の体の状態に対して、その状態をフォローしてプラスマイナスゼロに打ち消すような感じで、治していきます。
乾燥しているなら、潤す。
冷えているなら温める。
湿疹でジュクジュクしている人は、水が多すぎて湿っています。
この場合は、潤すと余計に湿疹はひどくなります。
常に、ちょうどバランスのとれたゼロの状態にもっていくように漢方薬を選びます。
そのためには、あなたの病名や症状ではなく、『今の自分の体の状態が、どういう状態なのか?』を分析して、知る必要があるのですね。
乾燥している咳なのか?
湿っている咳なのか?
咳だけでは、麦門冬湯で効果があるのかどうかはわかりません。
漢方薬で治したい場合は、「漢方薬の効果が何なのか?」ではなく、「自分の今の体の状態は何なのか?」
これを知っておく必要があるのですね。
当店では、人それぞれの体質を分析して、その人独自の原因に合わせて漢方薬をお選びします。
ご希望の方は、概要欄にネット相談や店頭相談の予約カレンダーを貼ってありますので、ご相談ください。
あなたの現在の体質や原因を判断して、治療方針をご提案いたします。
相談は無料です。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン