漢方薬はどんな病気を治せるのか?
漢方薬は、どんな病気が治せるのでしょうか?
漢方薬は「ゆっくりと効いてくる」というイメージが強いせいか、それほどいろいろな病気を治せるようなイメージがないかもしれません。
現実は、そのイメージとは正反対だと思います。
『漢方は、どんな病気が治せるか?』その病名をダラダラと羅列するよりも、漢方薬は、どんな病気を治すのが不得意か?を記したほうが早いです。
漢方薬が治すことを苦手とするのは、
1 急性病(時間単位で病状が進むもの)。
2 外科的手術が必要なもの。
3 治療が確立している一部の感染症。
4 病院の薬を飲み続けることが前提になっている病気(重度の糖尿病など)。
5 産婦人科。
この5つです。
これは逆を返せば、西洋医学が得意とする部分で他の全ての病気は西洋医学(病院)は治療が苦手です。
むしろ西洋医学の生理学や薬理学のことを科学的に詳しく知れば知るほど、西洋医学こそ、ここにあげた『たった5つの分野』しか実際に治せません。
僕の考えでは、西洋医学は、機械を使った検査などで体の構造や働きをかなり詳しく知ることが得意ですが、治す方の治療学となると、『症状を抑えるだけの一時しのぎ的な治療』が大半を占めていて『検査』分野は得意ですが、『治す』分野はかなり頼りないです。
簡単に言えば、西洋医学が得意なこの5つの分野以外は、だいたい漢方薬で治療ができます。
要は『西洋医学では慢性病は治せない』のです。
ただし、漢方薬はその人の自然治癒力を手助けして病気を治すので、高齢で体がボロボロすぎたり、あまりに病状を放っている場合は、自然治癒力でおっつかないので、漢方薬でも治せません。
漢方薬が不得意とする治療分野。病院が得意とする治療分野。
漢方薬が不得意とする分野をくわしく説明していくと、
1 急性病
「出血がひどく、すぐに止血しなければいけない」「心臓発作を起こしている」これらは状態が悪くなるスピードが速すぎて、西洋医学の方が得意なので、そちらで治療したほうがいいです。
ただし急性の下痢や頭痛、風邪、ヘルペスなどは漢方薬を1、2服、飲んで治すことも可能です。
2 外科手術を必要とするもの
「何針も縫わないといけない怪我」「複雑骨折でボルトでのつなぎが必要」「血腫が組織を圧迫している」など、大きな手術が必要なものを漢方薬で治療はできません。
ただし「骨折や捻挫」などは手術をすることによって余計にひどくなることもあります。
骨折や捻挫は病院でも患部の固定をしますが、最終的には結局は、自分の自然治癒力で骨を再生させるので、本質的には医者ができることは手術が必要かどうかを判断するくらいです。
治すのは、あなたの自然治癒力なので、実は『医者は治すことに、ほぼ関係していません』
「卵巣嚢腫」「子宮筋腫」の手術も同じように根本的な原因は、下半身を中心とした、『ホルモンが関わる血の巡りが悪い体質』であることが多いので大きくなった「卵巣嚢腫」「子宮筋腫」を取ったところで血の巡りが悪い体質が変わらなければ、完全な閉経にならない限り、また大きくなります。
この時に病院は再発の話をしますが、要は手術は大きくなりすぎた嚢腫や筋腫を一時的に取り除いただけで、これは治っているとはいえません。
『応急処置』をしたような感じです。
実は、一度も治していないので再発という表現はおかしな話です。
『治る』という考え方の違いかもれませんが…
僕の師匠は細胞顕微外科医という神経をつないで元に戻すようなすごい外科医の先生ですが、その先生もおっしゃっておられましたが「手術は実は最終的な治療手段ではなく、手術に耐える体力の問題や、より悪くなるリスクも同じようにあり、できるだけしないにこしたことはない」と言っておられます。
3 感染症やワクチンが関わっている病気
チフスやコレラなどのすでに確実に克服ができている菌などによる感染症の場合は西洋医学が最も良い手段です。
インフルエンザも初期であれば、西洋医学の方が良いと思います。
膀胱炎なども西洋医学の抗菌剤のほうが手取り早いです。
ただし、膀胱炎でも皆さんが思っているほど、かならず抗菌剤で治るとは限りません。
コロナでも証明されているように菌やウィルスでも治せるのはあくまで一部です。
これは菌による湿疹なども同じことで、皆さんが思っているほど治るとは限りませんので病院の薬で2週間、3週間経っても治ってこないようであれば、病院の治療でいつ治るのか、医者に見通しを聞いたほうがいいです。
ちゃんと質問しなければ、漠然と同じ薬を処方しつづける病院は結構ありますので。
風邪に関しては西洋医学の治療は少しズレています。
風邪に効く薬は存在しません
これもコロナで皆さん、嫌と言うほど知りましたね。
現在、病院で行なっている風邪の治療は、二次的な菌などによる喉や鼻水の炎症などを一時的に抑えるものなので決して風邪そのものを治療する薬ではありません。
西洋医学には、風邪に対する根本的治療は存在しない。ということを理解しておいた上で、病院に行くかどうかを決めたほうがいいと思います。
ちなみに漢方では風邪の治療は得意分野です。
4 病院の薬を飲み続けることが必要な病気。
重度の糖尿病などはインスリンを飲み続ける必要があります。
漢方は体内で完全に壊れてしまったものを代替えできません。
一部の難病なども、病院の薬を飲み続けないと日常生活がままならないことになることもありますので、この場合は、漢方薬との併用が望ましいです。
ただし高血圧の降圧剤やステロイド剤は、病院では一生、使い続けるよう言われていますが、高血圧も初期なら漢方薬で降圧剤なしで、すごせる体質になれます。
アトピーに関しては、根本的に治りたければ、有効に使える方法が狭く、ステロイドなどは、一時のごまかしの治療にしかなっていませんので、このあたりは、薬を使い続けないといけない病気とはいえません。
5 産科
これは言うまでもないですね。
漢方では、安産のために赤ちゃんを健康に育てるために、飲む漢方薬や妊娠期の吐き気やむくみ、疲れなどを良くする漢方薬はありますが、当たり前ですが、赤ちゃんを取り出したりするのは産科ならではのお仕事です。
漢方が得意な病気の正体
漢方と西洋医学は何の関係もないので、そもそも西洋医学の病名をもって、『漢方薬は何が治療できるか?』と考えること自体が実は間違っています。
詳しくは「漢方とはそもそも何なのか?」を読んでみてください。
漢方の治療理論がよくわかっていない医者は、西洋医学の病名マニュアルで漢方薬を処方したりしますが、漢方薬が治療するのは、一人、一人違う体質を調整した結果、西洋医学的な病気が治るのであって、西洋医学のように病気の症状を一時的に治すことが目的ではありません。
病院のマニュアル漢方に関しては、詳しくは「病名漢方」を読んでみてください。
一人、一人違う体質は全身の症状、生活リズム(食事、睡眠、運動)、生活環境(仕事環境)、精神状態、血縁の病気などから、総合的に体質を分析、診断し、『証』とよばれる病気的な体質を調整してくれる漢方薬を選びます。
体質(証)に関しては、詳しくは「証(体質)」を読んでみてください。
西洋医学の病気は、あくまで、その人の体質の一部の情報として参考にするだけで、主としてはみません。
どんな病気の人であっても、漢方は体全体の体質を分析しますので、漢方では病院で見捨てられた難病の方の治療も可能です。
実際にまごころ漢方では10万人に1人と言われる方の治療もうまくいっています。
これは、西洋医学よりも漢方の方が優れているという意味ではなく、漢方は西洋医学のように原因を調べて、その原因に対して部分的な治療するわけではないので、原因不明の難病であっても現在の体質自体に対応していけば、難病の治療ができるという東洋医学の独特の特徴ゆえです。
ただし、どんな方でも治療できるというのは、あくまで『証』という東洋医学的体質を分析、診断した上で漢方薬を処方している場合であって、病院がよく行なっているような西洋医学の病名や症状にマニュアルのようにあてはめて漢方薬を選ぶ、マニュアルの方法では、漢方薬の本当の効果は1mmも発揮できていないと思います。
マニュアル漢方の方法に関しては、詳しくは「病名漢方」「症状漢方」を読んでみてください。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社