漢方薬の有効成分の正体
漢方薬の有効成分ってどんなものがあるのでしょうか?
漢方薬は生薬というもので作られています。
例えば葛根湯なら「葛根」「麻黄」「桂枝」「芍薬」「甘草」「生姜」の6つの生薬で作られています。
病院の薬は、1つの薬の中に通常は1つの化学的な有効成分が含まれます。
この有効成分が効いて、症状を一時的に抑えます。
病院の薬を漢方薬におきかえると生薬の1つが病院でいうところの1種類の薬になります。
「漢方薬」というのは、いくつかの生薬の集合体のことなので、葛根湯は6種類の薬ということになります。
実は漢方薬には有効成分というのは存在しません。
厳密には生薬の中に有効成分がありますが、どんな有効成分が、どれくらいの種類で含まれているのか?
全くわかっていません。
「葛根湯」→「葛根や麻黄などの6つの生薬で作られたもの」
漢方薬は、東洋医学の薬なので、病院のような化学的成分や効果のある有効成分という考え方がありません。
病院の薬は「ロキソニン」→「ロキソニンの効果の成分」という感じですから、病院の薬の発想で「葛根湯は何に効果があるの?葛根湯の有効成分は?」と聞かれても葛根湯はあくまで、6種類の薬(生薬)を集めたグループ名なので「葛根湯の効果や有効成分」なんていう考え方はおかしいわけです。
「ジャニーズの嵐っていうグループは、こんな性格です」って言ってるようなもので、グループは人ではないので性格なんてありません。
だからあるグループの1つの有効成分なんておかしいわけです。
「葛根湯は風邪に効く」これを西洋医学の考えで詳しく考えると「葛根湯の何の成分が風邪のウィルスに効くの?」と考える必要がありますが、葛根湯は、「葛根」「麻黄」「桂皮」「芍薬「甘草」「生姜」が集まったグループ名でしかないので「葛根湯の何が効くの?」と考えるのであれば、生薬である「葛根の成分と効果」「麻黄の成分と効果」「桂皮の成分と効果」…と6つのそれぞれの生薬の成分と効果を全部いっぺんに考えなくてはいけないはずです。
だから体質を分析しないで、病名で漢方薬をマニュアル処方する方法はおかしいのです。
例えば『めまいに苓桂朮甘湯』とか『胃もたれに六君子湯』とか。
何かの病気を治すために漢方薬(単なるグループ名)そのものに1つの効果があるかのように考えるのは完全な間違い!
医者がやっている病名で漢方薬を選ぶ方法は完全なデタラメな方法なのです。
これでは治るわけがありません。
といった理由で病院の病名で漢方薬を選び、漢方薬自体に有効成分や効果がある考え方は根本的におかしいわけですね。
生薬構成の複雑さ
漢方薬の生薬構成から効果を考えようとすると、かなり難しくなります。
なぜなら、どの生薬もそれぞれ効果が違っていて、なおかつ、その効果の違う生薬で1つ漢方薬が構成されているからです。
漢方薬の中には主に体を温める生薬と冷やす生薬が一緒に含まれていることがあります。
昔、この話をすると、ある先生からの質問で「プラマイ、ゼロですか?」って聞かれたことがありますが、なにも温める生薬と冷やす生薬が同一レベルの力を持っているわけではないので、プラマイ、ゼロにはなりません。とお答えしたことがあります。
1種類の漢方薬には平均8種類の生薬で構成されていることが多いですが、生薬はそれぞれバラバラな効果を持っています。
となると、単純に考えると、「いろいろな効果のある生薬が入っているから、色々と治ってお得」と考えがちですが、これは逆で自分の体に合っていないものがたくさん含まれていたら、今度はかえって体に悪いわけです。
ここら辺から『漢方薬は体質に合わせるもの』というイメージをもっていただけたらと思います。
生薬の効果
生薬は東洋医学なので、生薬の効果は西洋医学とは違います。
たまに薬効薬理として温経湯や当帰芍薬散に女性ホルモン的な作用がねずみの実験で判明したみたいなものがありますが、漢方薬はあくまで生薬の集合したグループ名なので、温経湯や当帰芍薬散とう漢方薬自体に薬効薬理あるという考え方自体が間違っています。
そういった薬効薬理の考え方や使い方などは漢方では一切、しませんので、そういったものは漢方と関係なく趣味でやればいいと思います。
治療で使う漢方薬とは一切、関係ありません。
生薬の効果は、病院の薬とは違いますので生薬の中の有効成分が鎮痛効果を発揮したり、ホルモンのような作用をするわけではなく、漢方医学の中の生薬は西洋医学とは全く関係なく、『漢方としての独自の効果』があります。
生薬の効果は、気血水に影響する「寒熱」「昇降」「収散」「潤燥」という効果があり、帰経という生薬がどの臓器に作用していくか、体のどの部分に影響していくかの場所的な割り当てがあります。
生薬の効果については、非常に難解なので、ここでは簡単に説明しますが、「寒熱」はその生薬が体を温めたり、冷やしたりする作用です。
漢方は体質に合わせるので「先ほどのネズミの実験でホルモン作用がある」というようなものは、漢方治療では何の参考データにもなりません。
単純にいえば冷えている人には、温める熱の性質をもった生薬が薬になり、炎症などで熱を持っている人には、寒の冷やす漢方薬が薬になります。
「冷えている人→温めたらニュートラルになり何も問題なかった体質になる」
「余分な熱のある人→冷やしたらニュートラルな何も問題なかった体質になる」
これを逆転させて、「冷えている人→冷やす効果の生薬」にすると冷えがより冷えて、漢方薬は単なる『毒』となります。
ですので、どんな体質の人にでも効く漢方薬というものは基本はありません。
漢方の世界では病院の薬のように誰にでも効く漢方薬は『誰にも効かない漢方薬』となります。
漢方薬は複雑な生薬の組み合わせでつくられている
単純にすると簡単に聞こえますが、実際は、生薬ごとに温めるレベルや冷やすレベルの違いがあり、単純に全身、冷えているとか全身に余分な熱がある。などとはならず、顔に熱があって、足に寒があって、胃に寒と気の滞りがあって…と複雑な状態になっていくので、1種類の漢方薬には複数の異なる効果をもった生薬が必要となります。
そして、これら生薬は生薬と生薬との組み合わせで働く効果や効く体の場所が変わってきたりします。
カードゲームであるカードとあるカードを合わせたら、特別効果が発揮される感じです。
化学反応的に作用が変わるといえばいいでしょうか。
生薬の効果自体は、それほど難解でもないのですが、これらが個人の体質に合わせて、無数の組み合わせになってくるので、漢方薬をちゃんと治療に使おうと思うと混乱してくるわけです。
ですから、本当に漢方薬を治療に使おうと思ったら、漢方薬の中の個々の生薬の効果とそれらが組み合わさった時の全体の特別効果の2つの効果の波長を合わせながら使わないといけないのですね。
「葛根湯は風邪に効く」漢方は、そんな単純な話ではないのですね。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅡ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅢ:薬局新聞社刊