漢方薬相談ブログ

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瘀血とは(ウソで溢れている漢方の知識)

漢方は西洋医学とは違いますので、東洋医学の理論で体の分析します。

その中で『瘀血』という病気の原因があります。

瘀血(おけつ)とは血の巡りが滞っているという意味です。

瘀血の瘀は瘀滞という意味でスムーズに流れずに滞る状態のことを指します。

瘀血は血がドロドロという意味ではない

たまに瘀血を勘違いしている病院や薬局で毛細血管、抹消の血の巡りが悪いとか、血糖やコレステロールが多く、血がドロドロで巡りが悪いことを瘀血などと説明していますが、血糖やコレステロールなどの血の中の内容物や血管の状態のことと瘀血は関係ありません。

それは漢方ではなく西洋医学の病理です。

これ、ものすごく重要で、漢方薬は東洋医学の理論に基づいた薬なので西洋医学の病理で分析しても『全く意味がない』のです。

瘀血とは血の巡りのバランスをみている

瘀血とは、血管内を流れにくい状態だけでなく、例えば、「肩こりは肩周辺に役目を終えた古い血がたまっていて、その時に同時に足先が冷えるのは、足に必要な分の血が肩に偏っている」など、体全体の血の巡りのバランスをみます。

全身に血がバンラスよく巡っているのか?

どの部分で滞って血の巡りのバランスを崩しているのか?

西洋医学で血の巡りとして見ているのは血の内容物(糖や脂など)や血管という道の状態です。

漢方の「血」の役割

血は西洋医学の生理学では酸素を運ぶ役割の赤血球のことを指しますが、漢方ではそれだけでなく肌を潤したり、漿液のような栄養素も含んで考えます。

また、血は体の活動だけでなく、ものを考えたりする精神活動でも消費するために必要なものとも考えます。

西洋医学では血の質(血糖やコレステロール)や動脈硬化など『体のどこの部分のことを指しているのかわかりません』

漢方では体の必要な箇所に必要な量の血が巡っているかが重要になってきます。

血そのものがサラサラかどうかということが最重要ではありません。

日本漢方や古方という漢方の治療派閥では瘀血といいますが、別の派閥である中医学では『血瘀』『血滞』といいます。

瘀血の種類

瘀血には、血が余分な熱を帯びて、巡りが悪くなる『陽の瘀血』と血が不足し寒さの影響で巡りが悪くなる『陰の瘀血』があります。

簡単に言えば、熱で血が滞ることと冷えて血が滞る、正反対のものがあるということですね。

また体に生じた余分な熱や気が不足する『気虚』などの影響から瘀血になることもあります。

体の部分を見た時は体の上部である『上焦での瘀血』や下半身に血が滞る『下焦の瘀血』など『なんとなく体全体の血の巡りが悪い』と診断するのではなく『どこの部分がどんな理由で血が偏って滞っていたり、その影響で他のどの部分の血が不足しているのか?』を具体的に考えて瘀血の種類を診断し、それぞれの状態に合わせて漢方薬を合わせます。

上半身に血が集まってしまっている上焦の瘀血では特に上半身の血を体の下の方に巡らせることによって、全身の血の巡りのバランスをとります。

逆に下半身に血が集まってしている下焦の瘀血では下焦の血を体の上の方に巡らせることによって、全身の血の巡りのバランスをとります。

この2つの状態は『単なる瘀血』として診断してしまうと、選ぶ漢方薬もテキトーになって、当然、治らないのですね。

瘀血に関連の深い臓器

臓器では肝の臓、心の臓、肺の臓(西洋医学の臓器のことではありません)と関連が深いです。

したがって治療する時にはこれらの臓器を一緒に分析することが多いです。

ただし、これらの臓器に限らず、脾の臓で血の巡りが不足すると胃もたれを起こしたり、逆に胃に血が集まりすぎると胃熱といって異常な食欲に見舞われたりしますので、肝の臓や心の臓、肺の臓と瘀血は関連が不快ですが、体質ん分析をする場合は、五臓六腑全てを分析します。

血の中の血糖やコレステロールのこと、毛細血管が細くて流れにくいこと、体全体がなんとなく血の巡りが悪いといって、具体的根拠に欠ける瘀血の説明は、実は瘀血のことがわかっていない人のテキトーな説明であると思ってもらっても指しつかえないです。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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