漢方薬相談ブログ

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ピル(ヤーズ)などのホルモン治療でかえって生理がおかしくなる理由

ヤーズなどのピルは生理痛を止めるためや月経日のコントロールのためにと安易に使っていたら体は、とんでもないダメージを受けることがあります。

最近、病院は生理痛にも簡単にピルを処方するようです。

また西洋医学的には体のバランスなんかそっちのけなのでピルが簡単に買えるようにしようという動きもあります。

実際、ピルを飲むと、初期は生理痛などがなくなって楽になったりします。

そうなると「やっぱり効くんだ」と思うかもしれないですが、早い人で生理2周期目か3周期目辺りから生理周期自体が、おかしくなったり、生理の時の血の量がおかしくなったりと徐々に違う症状や問題が出てきます。

(おかしくなるのは自然月経なので、ピルを飲んでいたら擬似出血を発生させるので、ピルを中止して自然月経の周期と状態を観察しないとわからない)

ピルの実際の効果

月経前症候群、月経困難症、PMSによく処方されるのがヤーズというホルモン剤です。

詳しい作用のメカニズムはネットを調べれば出てくるので、ポイントだけを説明すると、生理周期は約28日間あり、期間の半分ずつで2つのステージがあります。

前半が低温期で後半が高温期です。

低温期にはエストロゲンというホルモンが中心になって働き、高温期にはプロゲステロンというホルモンが中心になって働いています。

ヤーズなどのピルは、この2つのホルモンが人工的に一緒になっている薬です。

エストロゲンとプロゲステロンの合わさったホルモン剤が体内に入ると『卵包が成熟したと脳を勘違いさせる』ことができます。

つまり実際の生理周期が、どこであろうと卵巣や子宮を騙せるわけです。

実際は卵包が成熟していなくても「卵包が成熟した」と脳が勘違いするので、脳は卵包を成熟させようとしたり、子宮内膜を厚くしようとしたりといった通常の月経で必要なことをやめてしまいます。

すでに月経リズムで必要な作業は終了したような感じになり、本来の生理をなかったことにするのですね。

西洋医学が考える生理痛の要因は、子宮内膜が剥がれる時や剥がすために子宮が収縮する時に起こることや子宮周辺の血の巡りが悪くなることなので、『通常の生理の活動』がなくなれば、内膜の血も少なく、子宮収縮も抑えられるので痛みはありません。

一見、めでたし、めだたしです。

でも、これって、よく考えたら、『月経痛を抑える代わりに、本来の月経リズムを人工的に乱す』というシーソーゲームになっています。

ヤーズなどピルの問題 その1

ヤーズなどピルを使って生理痛やPMSを抑える方法には2つの大きな問題があります。

1つは脳を騙して通常の生理を無くしたことにしているにも関わらず、病院では、まるで『本当の原因を解決したかのように説明している』ということ。

生理は『健全な妊娠の準備のためにあるリズム』です。

たまに無知で無責任な医者が『現在、妊娠が関係なかったら、通常の月経を止めたり狂ったりしても問題ない』と言いますが、生理は妊娠するためだけにあるのではありません。

月経リズムやホルモンバランスは女性の健康を保つことそのものに大いに関係しています。

西洋医学は不妊治療でもそうですが月経に関わる病気や症状は全部、脳内のホルモンを騙せばよくなると勘違いしてますが、月経リズムというのは、脳とホルモンの関係だけで行われているのではありません。

生理で子宮にためるための血は食べたもので作られ、食べたものを効率よく血に変えるためには胃腸機能が良い状態なのかどうかが重要です。

つくられた血は子宮に運ぶ必要があり、新たな血を運ぶには使われた血が心臓に戻ってこないといけませんが、この時の血の巡りに下半身の筋肉や運動性なども関わってきます。

新たな血は子宮だけに向かうわけではないので、全身で使われる血の巡りのバランスも重要です。

下腹部の血の巡りだけでなく、体のどこかの部分で血が使われすぎたりすると全身での血の巡りの偏りが生まれ、子宮に流れる血の巡りも偏りが生まれます。

安定した月経リズムをつくるための女性ホルモンの原料も食べ物から得る栄養素が必要でホルモンの合成は肝臓の能力も関わってきます。

そして安定した月経リズムには脳の視床下部が関わっていて、視床下部と自律神経は互いに影響しやすく、ストレスや睡眠リズム、食事の時間なども関わってきます。

病院が行なっている治療は月経困難症の数々の原因のうちの1つである視床下部を騙すという部分だけです。

逆に言えば、食べ物の質が悪い、運動不足、ストレス、冷え、他の病気や症状との兼ね合いなど、他にもたくさん月経困難症などの原因があるわけです。

ヤーズなどピルの問題 その2

2つめの問題はヤーズなど、ピルの作用自体に関わってきます。

外部からヤーズなどの人工ホルモンを体に入れて、人工のホルモン剤で無理やり、通常にはないようなホルモンバランスやリズムに変えた時に元のあなたの自然のホルモンリズムはどうなっているのでしょうか?

月経リズムというのは正にリズムで成り立っています。

エストロゲンのホルモン量がどうとか、プロゲステロンのホルモン量がどうとかではなく、いろいろなホルモンとのバランスが良いかどうかです。

なんとなくホルモン量が少ないと痛みが出てきて、ホルモン量が多くなると、活性化して痛みがなくなるなんて、医者が考えるようなホルモンはそんな雑な構造ではありません。

ホルモンはフィードバック機構といって、多くなったら減らし、少なくなったら増やすというバランスをとる機能が常に働くようになっています。

ホルモン量が多くなれば、活性化して良いのではなく『あなたにとって丁度良い量』が良い状態なのです。

外部から薬(ホルモン剤)とう形でホルモン量が増えたりすると、体内の天然のホルモンは必然的にサボることになります。

つまり、常に外部からホルモン剤のホルモンが入ってくる状態が、当たり前になると体は本来の自然のリズムがわからなくなります。

人間の健康は月経リズムに限らず正にリズムによって成り立っています。

食べる時間や寝る時間、食べる時間も寝る時間も毎日、バラバラにされたら寝つけなくなり不眠症になったり、胃痛や胃もたれしたり、便に行く時間がつかめなくなって便秘になったりと体は本来の自然なリズムを忘れると体がジワジワとおかしくなっていきます。

ホルモン剤はヤーズに限らず、治療経験上、3周期くらいから月経周期や状態を狂わせてきます。

リズムを乱されても、その影であなた自身の生理周期はなんとか平常を保とうとしていますが、3周期も人工的な異常なリズム(人工ホルモン)が重なると、我慢の限界がきて、いろいろ壊れ始め、それまでなかった新たな症状が現れ始めます。

ヤーズで体を騙すのではなく本当の原因を考えよう

生理痛を止める1つの目的のために『自分自身の月経がおかしくなるかもしれない。妊娠できないかもしれない』という2つのリスクを背負います。

こういうと医者は「他のホルモン剤を組み合わせて飲めば、前のような月経周期は取り戻せますよ」と借金で借金を返すようなグダグダなことを言い出しますが、薬(ホルモン剤)を飲んで通常のような月経リズムを作るということは…

嘘(ホルモン剤がつくる月経周期)から、さらに嘘(ホルモン剤)を重ねて、どんどん嘘でつくられた体になっていきます。

嘘でなんとか保っている体なので、当然、嘘(薬)をやめたら、とんでもないことになります。

また、ピルを飲み続けた後にやめた時に元の月経周期が戻ってくるとは限りませんし、絶対に元に戻るかどうかは処方した医者も保証できません

ホルモンのシステムというのはそれほど複雑なのです。

そうではなく、『本来の原因』を考えてみましょう。

生理の周期や痛みなど、いろいろな症状が出てくるのはホルモン分泌の視床下部だけが限定でおかしくなったからではありません。

また視床下部のホルモン分泌が遺伝的だったり機能的におかしくなったわけではありません。

睡眠や食事のリズム、食べ物の内容、運動、ストレスなどいろいろなことが重なって消化機能、血の量と質、巡り、筋肉、肝臓などの機能が悪くなり、互いの機能の歯車が合わなくなって月経周期がおかしくなったり、痛みが強かったりします。

本当の原因は人それぞれで、本来はたくさんある人それぞれの原因を時間をかけて分析する必要があります。

漢方治療で体質を診る場合は、全身の症状だけでなく生活や精神状態なども含めて全部をみます。

でないと体内の調整をするあなたに合った漢方薬を選べないからです。

病院の治療は例えば床がホコリや食べかすだらけ、カビだらけになっている床を「キレイにしたい」と相談したら、ブワッ!と床の上にキレイなフローリングマットで覆うようなものです。

そのフローリングマットもやがて汚れてくるとさらに新しいフローリングマットで覆います。

そのうちに見えなくなった元の床にあった食べかすは腐り、カビはどんどん広がりゴキブリが増殖します。

本来の問題を解決しようと思ったら「なぜ掃除できないのか?」「忙しいからなのか?」「掃除の道具がないのか?」など、その人の問題を洗い出し、「常に掃除できる方法」という実行可能な方法をその人と一緒に考えていくしかありません。

それが根本治療です。

漢方は根本的な原因の調整を目指す

漢方治療では、体内の問題は漢方薬が調整してくれます。

しかし医者はその漢方も西洋医学の病名マニュアルで処方し体質やその人の生活環境やリズムを考えないで体質を知るための問診をしないで当帰芍薬散とか加味逍遙散を思考停止状態でベルトコンベア的に処方します。

本来、漢方薬の処方と両輪であるはずの『その人の体質に合わせた生活養生』のアドバイスもしません。(というかできない?)

なぜなら体質自体が分析できないからです。

どこまでいっても手軽でテキトーにしか対応しないのですね。

病院の薬やホルモン剤は効果があります。

効果はあるのですが、根本の考え方が本来の原因から逃げいて薬で体を騙すということに終始しています。

根本治療とは、その人の体質に合わせて元の何も問題のなかった状態に戻すことなのです。

効果ばかりでなくホルモン剤にはリスクもありますので、飲まないといけいない場合は『リスクと効果』天秤にかけ、「必要性」と「どこまで続けるか、期間」をしっかり考えて飲むかどうかを考えたほうがいいと思います。

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【引用先及び参考図書、Webサイト】
◯ツムラ医療用漢方製剤 マニュアル
ヤーズ配合錠に関する資料

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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