漢方薬が効かないリスクと副作用のリスクについて
医者の保険適応のマニュアル処方で漢方薬を飲んでいる人や自分で漢方薬を購入したりする人がいますが、東洋医学理論を無視して漢方薬を飲む場合は、大きな3つのリスクがあります。
漢方薬はリスクのないものだと思っている方が多いようですがヘタすると病院の薬よりもリスクが高いかもしれません。
リスクの一つは漢方薬の副作用です。
一般的に漢方薬にも副作用があるという認識もあるようですが、あなたもどこか、副作用といっても「自然のものである漢方薬だったら、副作用もそんなに心配することもないでしょ」と思っているかもしれません。
漢方薬の副作用は、ある種、病院の薬の副作用よりも怖いものです。
それに加えて漢方薬には副作用のリスクだけでなくいつまでも治らないリスクもあります。
漢方薬の副作用は病院の薬の副作用とは違う
病院の薬は『効果』と『現れるであろう副作用』が、飲む前から、あらかじめ、ある程度はわかっています。
薬の添付文書をみれば、どんな副作用の可能性があるかが書かれています。
病院の薬というのは、体の通常の働きを薬の有効成分で遮断したり、騙したりして、その効果の裏作用として、副作用が存在しますので、あらかじめわかるのです。
ところが漢方薬の副作用は病院の副作用とは全く性質が違います。
漢方薬の副作用は『判断した体質と選んだ漢方薬』が合っていなければ副作用となるか、何も変化がありません。
保険適応の漢方薬では当たり前になっている、体質を診断せずにマニュアルで漢方薬を処方したり、自分で漢方薬を選ぶ場合、漢方薬にあたかも、決まった効果や決まった病気や症状を治してくれるかのような効果があるように間違った説明をしていますが、漢方薬にある病気や症状を治すあらかじめ決まっている効果は一切、ありません。
漢方薬の最大のリスクは効いているかどうかがわからないこと
漢方の治療方法を簡単に説明すれば、処方する人が「足の冷え、頭痛、胃もたれなどがある人」に対して、冷えの寒証という原因だと推測し、頭痛と胃もたれは水の巡りの悪さが原因だと推測して、その上で温めて、水の巡りを整える漢方薬を選びます。
しかし、体質によっては足の冷えは、虚熱といって、純粋に冷えではなく、体の強い疲れの場合もあり、頭痛は水の巡りの悪さではなく、熱の滞りで、胃もたれは脾虚といって、消化器系の気が落ちている場合もあります。
同じ症状でもその推測は、その先生によって変わるもので、漢方では絶対の答えはありません。
答えは、自分が体質を分析し、その体質を打ち消すことのできる漢方薬を選び、それが合っていれば、『症状が弱くなったり、消えるはず』なので、飲まれた後の結果、答え合わせができます。
これが病院の薬の場合、足の冷えは治す薬がなく、頭痛はどんな体質だろうと、痛みを発する物質を抑えることによって痛みを抑えます。
胃もたれも体質は関係なく、胃酸を抑える薬か促す薬で治します。
病院の薬の場合は、薬の強い成分で体の中で起こっている状態を一時的になかったことするので人それぞれの体質や原因は関係ありません。
要は体がどんな状況であろうと、その症状に関わる働きを無理やりストップ!させます。
ところが、漢方薬の場合は、うまくいかなくなった機能を元の状態に戻せるように漢方薬を選びます。
漢方では最初の推測する体質診断に答えはありません。
頭痛の原因を水の巡りの悪さと推測するか、余分な熱が原因だと推測するかは、その先生の知識と経験、感覚になります。
どちらにしろ『答え』は漢方薬を飲んだ後に『その症状がどうなったか?』を確認しないとわからないのです。
漢方治療はこういった性質があるので、保険適応の漢方薬を出している病院がやっているような病的体質である『証』を診断しない処方では「治るか?治らないか?」は、ただの『運』まかせになります。
西洋医学で言えば、検査も問診もせずに、なんとなくテキトーに薬を処方するようなものですね。
『漢方薬は効果がよくわからない』と思われることが多いのは、単に症状などに合わせ選んでも『症状自体を抑えたり遮断したり効果はない』からです。
つまり、漢方薬の最大のリスクは、病的体質である『証』を診断しないで、漢方薬を選ぶと『効いているのか?効いていないのか?』がわからないのになんとなく続けていることです。
漢方薬の危険な副作用
漢方薬は体質のことがわかっていないと効果すら判断するのが難しい治療です。
おまけに体質と漢方薬が合っていなければ、何十年、飲み続けようと治りません。
医者や一般の人の中には、漢方薬は効果が出るのに半年位かかると思っている人もいますが、そんな基準はデタラメです。
効果が出る期間は体質や飲む漢方薬の種類によって変わり、いくら時間がかかっても2ヶ月もあれば、その漢方薬が体質と合っているかどうか?効果があるかどうか?はわかります。
うちでは3、4週間で合っているかどうかを判断します。
2ヶ月以上、何も変化がない場合は、『体質と漢方薬が合っていない』か、『症状のどんな変化を観察すれば治っているのか判断ができていない』かのどちらかか、両方ともです。
また漢方治療の場合は、かならずしも自分が気になっている症状から治るとは限らないので、最終的に漢方薬を選んだ人が、治っているかどうかも漢方の治療基準をもって、判断する必要があります。
漢方薬の副作用
漢方薬は効いているかどうかわからないリスクと副作用があります。
漢方薬の副作用は、病院の薬のようにあらかじめわかっていません。
『体質と選んだ漢方薬』が合っていなければ、副作用となります。
これを漢方では『誤治・壊病』といいます。
誤治とは誤った治療のことです。
『体質診断を間違える』
『選ぶ漢方薬を間違える』
どちらも間違える場合もあります。これを誤治といいます。
壊病とは誤治によって選ばれた漢方薬を飲み続けた場合に『今の体質がよりおかしくなって病気がこじれる』ことです。
なによりも怖いのは、漢方薬の副作用は、目立って大きな副作用が少ないことです。
例えば当帰芍薬散は体と合ってなければ、胃もたれやのぼせなどが出てきますが、微妙な症状なので、飲んでいる人は、それが当帰芍薬散の副作用とは気づかないのです。
保険適応のマニュアル処方している医者などは、そもそも体質診断をしていない(病名や症状に当てはめるのは体質診断ではない)ので、それが副作用かどうかすら気づきません。
それどころか、得意の後付けの言い訳思考が働いて、別口で胃腸薬を処方したりします。
そうすると当帰芍薬散と合っていないせいで胃腸がおかしくなり、それを無理やり、病院の薬で緩和するものだから、体質と合っていない当帰芍薬散を飲み続けることになるのです。
そうすると、当帰芍薬散によって徐々に体質が壊されて壊病になり、元の病気よりもややこしい体質になります。
漢方薬の副作用は静かに進行し、新たな病的体質をつくることが怖いところなのです。
ただ、漢方の医学理論のすごいところは、誤治しても、それをフォローする漢方薬もあります。
麻黄湯で発汗させすぎて、脱水気味になったら桂枝湯を使ったりと、間違えたら、間違えたらでフォローできる方法もあるのですね。
ただし、体質を診断していない医者などは、そんな技術は知りもしないと思います。
医者の選んだ漢方薬は治るのも、副作用になるかどうかも『運』まかせです。
まとめ
漢方薬は自然のもので安心なイメージがありますが。大きな3つのリスクがあります。
1 飲んでいても効いているかどうかすらわからないリスク。
2 誤治という誤った診断と漢方薬を選び間違えることによる副作用のリスク。
3 壊病という間違えた漢方薬を飲み続けることにより、新たな病気(病的体質)になるリスク。
これらを回避するには、病的体質である『証』を診断して、証に基づいて最適な漢方薬を選び、それで終わりではなく、最初に飲み終わった時に「効いているかどうか?問題ないかどうか?」を確認、再検証することです。
とにかく、あなたが持っているイメージよりも漢方薬は慎重に慎重に治療を進める必要があります。
病名や症状に当てはめて漢方薬を選ぶ場合は、3つのリスクを被らないよう運がついていることを祈る他ないでしょう。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社