漢方薬相談ブログ

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ツムラなど漢方薬の効能効果に関するおかしな説明

  1. ツムラの漢方薬の説明
  2. そもそも西洋医学と漢方薬は相容れない
  3. 漢方薬本来の効能効果
  4. あなたの現在の体質がすなわち、その漢方薬の効果
  5. 知るべきは効能効果ではなく自分の病的体質である「証」

以前に医者は病気の原因や現在の体の状態に対して何も説明せずに、『ただ薬を配るように処方するだけ』という現場の実際の話をお伝えしました。

西洋医学で病気の原因がわかるのは、ほぼウィルスや菌、怪我などと一部、糖尿病や高血圧の時だけで、それ以外の大半の病気や症状は、体全体の状態と人それぞれの体質や生活、精神状態などが関わっています。

ですので体を機械の部品のように見立てて、各科でバラバラに診て、人それぞれの体質を診ない西洋医学では説明のしようがないこと。をお伝えしました。

医者はなぜ説明をしてくれないのか?

だったら、漢方はビシッ!と説明できるのか? かというと、実は漢方は西洋医学よりも、更に説明が難しかったりします。

漢方で厳密に漢方薬の効果のことを理解しようと思ったら、さすがに前提知識が必要です。

何せ、漢方薬は西洋医学とは何の関係もないので「ある有効成分が痛みを抑える」とか「ある有効成分が血管を広げる」なんて効果はありません。

また、漢方では科学的な検査もないので「血液検査から肝臓の機能が落ちている」とか「エコーでみると卵巣が大きくなりすぎている」なんてことも説明できません。

皆さんが「漢方薬の説明を聞きたい」と思った時に皆さんの頭の中では無意識に西洋医学の中で知っている知識で理解しようとします。

「その漢方薬の有効成分はなんなのだろう?」

「体のどこの部分(臓器)が悪いんだろう?」なんていう前提で。

しかし、漢方は西洋医学と世界観自体が全く違うので、こういった前提で理解しようとしても全く理解できません。

かといって、漢方独特の理論を勉強してからじゃないとダメなのかというとそうではありません。

漢方治療では、説明をしっかりと受けることが、とても重要になります。

それどころか、自分に処方された漢方薬のことをしっかりと理解していないと『効かないどころか、副作用に悩まされる』ことになりかねません。

ツムラの漢方薬の説明

医者は自分の得意分野である西洋医学的な病気の原因や現在の体の状態すら説明できないので、当然、漢方薬を処方する際に説明なんてできません。

イメージ的には「僕が効くったら、効くんだから、飲ーんーでっ!」という感じです。

かといって説明ナシで強引に処方する割には漢方の専門家でないというところに医者独特の世界観がありますね。

保険適応で代表的なツムラの添付文書には、作用と効果が記載されています。

実際に当帰芍薬散(23番)をちょっと見てみましょう。

ツムラ23番当帰芍薬散の添付文書より引用:
この薬の作用と効果について
この薬は漢方薬です。あなたの症状や体質に合わせて処方してあります。
貧血、倦怠感、更年期障害、月経不順、月経痛、どうき、妊娠中の諸症状の治療に使用されます。
通常、筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすい人に用いられます

正直、ちゃんと読んだら、日本語が意味不明です。

貧血や更年期障害というのは症状だったり病名です。

「貧血作用」「更年期障害効果」って何?って話。更年期障害効果ってこえーよ。

読み進めると「貧血などの方に使用されます。腰脚の冷えやすい人に用いられます。」と書かれています。

これは作用や効果ではなく、『どんな状態の人に使うのか?』ですよね。

いわゆる「適応症」のことで作用や効果のことではないです。

芎帰膠艾湯に至っては「作用と効果について」の欄には『痔出血の治療に使用されます。』としか書いていません。

これだと芎帰膠艾湯は痔の出血のみに使う漢方薬みたいになってしまいます。

もちろん、そんなわけないですが。

どちらも『作用と効果について』と書いておきながら、作用や効果については全く触れていません。

更年期障害の人が当帰芍薬散を処方されて「どんな効果で治すのですか?」と聞いても効果や作用はどこにも書いていないので説明できません。

ただ、医者がもっているマニュアルには、『ネズミの実験でホルモン作用があった』みたいなことが書かれていますが、具体的にどんな作用機序‘(効果のメカニズム)なのかはわかっていません。

そもそも「ねずみの更年期障害って、いつ頃なんだーっ!どんな風になるんだーっ!」てそこから聞きたいところです。

西洋医学の薬はネズミで実験して、それを人間の薬に転用することが当たり前ですが、漢方はそもそも、経験医学で何千年の人間の実験結果を元に効果や作用が考えられています。

「当帰芍薬散の効果はホルモンがどうたらこうたら」と説明されたら、「いや、先生、私、人間なのでネズミのデータなんて漢方に何の関係もないので、真面目にやってください!」と怒ったほうがいいです。

ちゃんとした製薬会社の添付文書がなぜ、こんないい加減なことになっているのでしょうか?

そもそも西洋医学と漢方薬は相容れない

ツムラの漢方薬を例にとりましたが、実は漢方薬の添付文書には、だいたい、こんな感じで効果や作用が説明されています。

なぜ、効果や作用の説明のはずなのに『使えるかもしれない病気や症状の人』のことしか書いていないのか?

それは、治療とは関係なく法律上の問題なのですね。

漢方薬は西洋医学とは全く違うルールの薬ですが法律上は医薬品です。

医薬品は薬事法上の法律に則って効能や作用を記載する必要があります。

ところが、薬事法上の医薬品は西洋医学のルールのものしかありません。

西洋医学の医薬品であれば、有効成分があって、その有効成分がどんな効能効果や作用を及ぼすかが実験によって明らかにされています。

効能効果や成分を記載することが可能だし、逆に記載されていなければ、医薬品としては処方も販売もできません。

法律上の医薬品のルールは西洋医学のものしかないので、漢方薬はそれを無理やり、あてはめるしかなかったのです。

漢方薬本来の効能効果

漢方薬は特定の効果があるわけではなく『どんな体質の人なら当帰芍薬散を使っても良いのか』という条件を元に漢方薬を選びます。

例えば、当帰芍薬散なら、全身の体の状態をみたときに病的状態として『血虚の証』『陰の瘀血の証』『水滞の証』『虚証』『瘀血・水毒による精神症状の証』という5つの証であなたの体質が構成されていると判断すれば、すなわち当帰芍薬散が合っていると考えますので、当帰芍薬散の効果というものは厳密にはありません。

あえて言うなら、血を増やす。温めて血の巡りを促す。水の巡りを促す。血の巡りと水の巡りの悪い影響からの精神不安定を安定させる。体力のない人に使う。
というものが効果や作用です。

でも、これって要はさっきの病的状態である『証』をそのまま『治す』ことが『効果』なんですね。

ちなみにこれは日本漢方の考え方で大半の漢方薬局がやっている中医学ではこういった考えではありません。

中医学の効能効果については、また今度、書きます。

『病的状態を分析したものが、すなわち効果』なので、医者がやっているような西洋医学の一般診療だけで、東洋医学的な問診をとらないということは、本当は何の漢方薬を選べばいいのかわからないはずだし、効能効果もへったくれもありません。

だから、勉強会で聞きかじった漢方薬か、漢方薬メーカーの営業からもらったネズミのデータか、よくある体験談に近いようなデータをみて素人丸出しの処方を行うしかないのです。

あなたの現在の体質がすなわち、その漢方薬の効果

『あなたの病的状態を治すものが、すなわち、あなたにあった漢方薬』なので、体質を知ることが効能効果や作用を知ることと同義語になります。

実は効果や作用だけでみると漢方薬は、どの種類でも『血を巡らせる』とか『気を巡らせる』とか、どれも似たような感じです。

でも、これらの組み合わせが変わることによって、それぞれの漢方薬の効果は無限大に違ってきます。

また、水の巡りを促す強さや場所なども変わってきます。

例えば、水の巡りを促す強さのマックス10が麻黄湯として、越婢加朮湯は9くらいで当帰芍薬散は4で苓姜朮甘湯は2でみたいなレベル別の考え方があります。

ここから更に麻黄湯は特に体の表面の水を巡らせ、苓姜朮甘湯は下半身の水の巡りを促し、そして更にそこに当帰芍薬散と苓姜朮甘湯は温めながら、水を巡らせるけど、五苓散は気を降ろしながら巡らせる。と同じ水の巡りでもいろいろとわかれていきます。

更に更に麻黄湯は咳も止めるけど、当帰芍薬散は血を補って貧血がある人に使うなど、いろいろな条件が増えていき、漢方薬ごとに微妙に条件が変わるので、その細かな条件と体質を合わせます。

「だったら、いろいろな条件が多いものを選べば、どれか効くのじゃないの?」と思われるかもしれないですが、「当帰芍薬散は冷えている人に」、「越婢加朮湯は余分な熱のある人に」と条件が全く違ってきたりするので、体質にあう条件(効能効果や作用)が多そうなものを選ぶというものダメなのです。

知るべきは効能効果ではなく自分の病的体質である「証」

患者さんが漢方薬の効能効果や作用を本当の意味で理解するのは難しいです。

効能効果を知る必要はありませんが『全身のどんな状態がどんな風に変わるのか?』を知っておく必要があります。

なぜなら、漢方薬の効果は『症状がなくなったかどうか?』ではみないからです。

症状の変化をみて漢方薬の効果を確かめていきます。

その症状の変化をみて、『今、飲んでいる漢方薬が合っているのか?』

『次にどんな漢方薬を選んで、どんな治療をすればいいのか?』

を考え治療を前へ前へと進めます。

ですので効能効果よりも、自分の1現在の体質(証)2その漢方薬で、症状や状態が、どう変わっていくはずなのか?を知っておく必要があります。

漢方薬を飲まれる場合は、効能効果や作用を気にするよりも、この2つの説明を聞くようにしないと漢方薬を治療薬として使うことはできないし、知らないうちに漢方薬の副作用に悩まされることになります。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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