漢方薬相談ブログ

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小青龍湯(しょうせいりゅうとう)は花粉症に効果があるのか?

漢方薬は現在のあなたの病的な体質を分析、診断して、その病的な体質を調整できる漢方薬を選びます。

症状を漢方薬の何かの成分で止めるわけではありません。

あくまで現在の体質を調整した結果、症状が自然になくなっていくのです。

漢方薬は特定の症状だけを直接、抑えることができませんので『小青龍湯は花粉症に効く漢方薬』ではありません。

本来は「目のかゆみ」や鼻水、鼻つまり、くしゃみ、顔のかゆみ、喉の痛みなどが出ている体質を調整するために候補となる数ある漢方薬の中から最適な漢方薬を選べば治すことができます。

花粉症という、ざっくりした病名(厳密には症候)ではなく、花粉症に関係する症状全身の症状をミックスして候補となる漢方薬を考え選びます。

なので、候補となる『漢方薬はアレルギー体質によく使われる漢方薬』副鼻腔炎でよく使われる漢方薬『鼻アレルギーに使われう漢方薬』『咽頭炎で使われる漢方薬』、場合によっては『風邪でよく使われる漢方薬』などの何十種類の中からあなたの体質を分析して選びます。

小青龍湯は花粉症の薬ではない

医者は漢方の医学理論を知らないので、例えば『花粉症にはツムラ19番の小青龍湯』をマニュアル的によく処方しています。

基本的には漢方薬を選ぶには東洋医学的に人それぞれの体質を判断しないといけませんが、医者は、漢方の基本中の基本のことは無視して、マニュアルで処方しています。

そもそも、漢方薬をマニュアルで選ぶこと自体がおかしいわけですが、よく考えたら、もっとおかしいのは、花粉症という症候名だけで選んでいること。

だって、花粉症っていう症状はないですよね。

花粉症というのは目や鼻に現れるアレルギー反応ですが、一人ずつみていくと、みんなそれぞれ、微妙に症状が違います。

鼻水1つとっても、水鼻の人、鼻が詰まる人、両方ある人、後鼻漏もある人。

目のかゆみも、なんとなくピリピリする人や目玉を直接、水洗いしたいくらいかゆい人など。

鼻水が主な症状の人もいれば、目のかゆみが主な症状の人もいる。

どちらも同じくらい辛い人もいます。

『花粉症』と一言で片付けられないほど、いろいろな人がいるのです。

なので、『花粉症に小青龍湯が効くのかどうか?』以前に真面目に漢方薬を選んでないのです。

人それぞれの花粉症症状を全部、ざっくりとまとめて、小青龍湯を処方しています。

こうやって考えると、こんな間の抜けた低レベルな処方の方法なんてないですよね、患者さんバカにしてます?

小青龍湯は本当は何を治す薬?

小青龍湯は太陽病または太陰病、虚実間証から虚証の人に使用できるものです。

これは、小青龍湯が使える体力や体格などを表しています。

おおまかに説明すると急性病でも慢性病でも使うことがあり、普通の体格から華奢な感じの人に使えます。

小青龍湯の効果は「表の寒証」「肺の水滞証」「脾胃の水毒」「虚証」を治します。

これではよくわからないですね

訳すと表の寒証とは肩から上及び、皮膚表面が冷えている状態で、肩から上や皮膚表面などを温め発汗を促します。

肺の水毒証とは肺に滞った余分な水がある状態で、この余分な水を温めながら水の巡りを促します。

脾胃の水毒とは胃に余分な水がたまっている状態なのでその水を取り除き、水の巡りを促します。

虚証は病気に対する抵抗力や体力が弱った状態で、これを温めながら強くしていきます。

大きくまとめると『温めながら肩から上の部分や皮膚表面の余分な水の巡りを調整する効果のある薬』です。

実は花粉症には人それぞれの症状があるので、小青龍湯だけが花粉症の薬ではないのです。

花粉症に小青龍湯を処方している医者は漢方薬を全くわかっていない!?

アレグラやアレジオンなど西洋医学の薬は、その人の体質をいちいち分析したり、その人ごとに処方する薬を変えたりしません。

というか、人それぞれに合わせた治療などできません。

西洋医学の薬の治療のメカニズムは、目のかゆみや鼻水、くしゃみ、顔のかゆみ、のどの痛みなどは、全部ひっくるめて、『炎症反応から、起こっている』と考えます。

個人差なんて関係ありません。

ウサギやネズミの実験で効果のあった病院の薬で炎症反応を抑えれば『花粉症症状』という、ざっくりした症状が抑えられるという考えです。

この単純思考をそのまま漢方薬にもってきて『花粉症には小青龍湯』という素人丸出しの処方をしています。

漢方薬で花粉症はどう治すのか?

僕は花粉症で小青龍湯は使いません。

医者みたいに訳もわからず、マニュアルでやっているわけではないですから。

うちでは、この12年間で小青龍湯を花粉症の治療薬として選ぶ確率は全体の1割から2割です。

つまり、小青龍湯は花粉症で一番、選ばない漢方薬です。

小青龍湯はその中身に麻黄や五味子、乾姜、細辛などの生薬が含まれ、これらは働きの強い漢方薬なので、体に変化を与える力が強いです。

なので「効いている」と感じさせやすい処方です。

例えていうなら、「口はうまいけど実際は実力のない人」みたいな感じですね。

「口がうまいので、最初は、なんかいい感じに感じるのですが、すぐにお里が知れる」みたいな。

実際、パッと効いた感じがあって、持続力がなく、しばらく続けていると効いているのか、効いていないのかよくわからない。みたいな感覚になりやすいです。

(もちろん、小青龍湯が合っている体質の人もいます)

小青龍湯は温める方向性しかない薬です。

温めるランクも五味子や乾姜などが含まれるので強いです。

そして、花粉症を曖昧なイメージでみないで、細かく体質でみていくと熱証という体の余分な熱の影響で目のかゆみや鼻水などが発生している人もいます。

漢方の場合は、症状をあてはめて選ぶわけではないので、目のかゆみでも「余分な熱の影響を受けている体質の人」と、「冷えと水の影響を受けている体質の人」などに分かれます。

自分自身の花粉症の漢方治療

僕は3、4月は「やや鼻が詰まる」「水鼻がドバドバ」「目は少しだけかゆい」というもので、5月は「鼻が詰まる」「目が死ぬほどかゆい」「顔がピリピリする」という症状に変わります。

3、4月は体質的にみると「表寒の証」「上焦の水滞の証」というものが中心になります。

小青龍湯に似ていますが、僕はもともと、余分な熱がこもりやすい熱証体質があるので、小青龍湯ほどの熱薬が入ると誤治(誤った体質判断で誤った漢方薬を選ぶ)となって、よけいにひどくなりますので、小青龍湯とは似たようなグループで、小青龍湯ほど温めない漢方薬を選びます。

5月は余分な熱がこもる、モロ熱証体質なので、清熱といって、熱を鎮める漢方薬を選びます。

場合によっては3月でも雨の日は温めて水を巡らせるタイプの漢方薬にして、晴れたら5月に飲む熱を鎮める漢方薬か、この漢方薬に水の巡りを促す働きが加わったものを選びます。

この辺になってくると医者の頭ではついてこれないと思います。

医学理論オール無視でマニュアルをみて小青龍湯を処方(配る?)しててください。

まとめ

「花粉症」という症状はありません。医者が小青龍湯を処方している場合は、あなたの『症状』すら、みていません。

漢方薬は急性症状だろうが、一時的症状だろうが、体質を分析、判断して、それに合ったものを選びます。

あなたの花粉症症状が熱証体質が原因の場合は、小青龍湯はになりますので、体質を分析してもらえないのであれば、無理に合っていない漢方薬で体をおかしくするよりは、市販の薬を飲んでいる方が安全かもしれません。

【参考図書】
◯ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯漢薬の臨床応用 神戸中医学研究会
◯漢方方意辞典 緑書房

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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