漢方薬相談ブログ

漢方薬相談ブログ

アトピーやニキビの人はグルテンフリーにするべきか?

  1. グルテンとは
  2. グルテンはどんな悪いことをするのか?
  3. グルテンをやめれば解決するのか?
  4. 現代小麦と古代小麦の違い
  5. グルテンフリーになれば問題は解決するのか?
  6. アトピーやニキビの人の共通した好きなもの
  7. 問題の元凶は精製?
  8. 無理なくグルテンフリーに取り組むには?

うちの嫁さんが、原因不明のアトピーになりました。

アトピーという病名自体が「原因不明の湿疹」みたいな意味なので、原因不明のアトピーというものおかしいですが…

そもそも、アトピーに決定的な1つの原因なんてものはありません。

かといって原因不明なのではなく、『人によって異なる、たくさんの原因が積み重なっている』ことが原因です。

たくさんある原因の中に食事の問題があります。

しかし、嫁さんの生活は、うちの仕事上、悪くありません。

結構、気をつけています。

しかし、小麦に関してはそれほど注意していませんでした。

通常の患者さんだと食事で治さないといけない部分が満載ですが、うちの嫁さんはたいして調整しないといけないところがなかったので、小麦をやめてみることにしました。

いわゆる、グルテンフリー生活です。

そうしたら、徐々に状態は良い方向へ向かいました。

明らかに小麦の害があった感じ。

僕は、あまり「あれもダメ、これもダメ」という治療方法は好きじゃないので、グルテンに関してはそれほどきつく制限を考えてなかったのですが、これは養生としてやっていかないといけないなと思いました。

グルテンとは

体に害をなすものとしてグルテンのことが言われていますが、『小麦=グルテン』のことではありません。

小麦粉に水を加えるとグリアジングルテニンというタンパク質が作られます。これがグルテンです。

グルテンの粘りによって、パンのモチモチ感が出たり、天ぷらなどのようにつなぎになったりします。

グルテンはタンパク質の含有量によって「強力粉」「中力粉」「薄力粉」にわけられます。

『強力粉』は、タンパク質の含有力が12%以上のもので、別名パン小麦と言われる、パンに使われる小麦です。

グルテンが多く含まれるので、モチモチ感を出すことに向いているのでパンに使うわけですね。

『中力粉』は強力粉と薄力粉の中間のような小麦粉で、タンパク質が9%程度のもので、別名うどん粉とよばれ、うどんやたこ焼き、お好み焼きに使われます。

『薄力粉』はタンパク質が8%以下でグルテンが少ないので、モチモチ感が出しにくくなり、ふんわり感のあるケーキやサクサク感のクッキーなどに使われます。

ちなみにラーメンの麺は準強力粉、パスタは強力粉が使われることが多いです。

ただ、パスタに関しては本場のイタリアではタンパク質の含有量ではなく『小麦の精製度合い』によって小麦粉の種類をわけています。

この『精製度合い』あとで、またお話に出てきますので、覚えておいてください。

グルテンはどんな悪いことをするのか?

グルテンの害は、グルテンをつくっているアミノ酸に関係します。

グルテンのアミノ酸は分解がしにくく、消化されにくいので、腸内でそのままの形で残り、腸内を傷つけます。

腸に傷がつくと穴が開いて、そこから体内に入ってはいけない物質などが体内に侵入し、それがアレルギー反応を起こします。

また、からだの常在菌であるカンジダ菌の餌となり、腸内細菌のバランスが崩れてしまい、腸内環境が悪くなってしまいます。

炎症やアレルギー反応は免疫の働きにより起こりますが、免疫は腸がコントロールしている部分もあるので、腸のバランスがおかしくなるとアレルギー反応が高くなります。

また、日本人はグルテン不耐性という状態の人もいて、単純にグルテンを分解できないでより強い炎症を引き起こすことがあります。

グルテンをやめれば解決するのか?

単純に医学的にみてもグルテンは良くないわけです。

でもちょっと待ってください。

だったら、パンを主食としてきた日本、中国、タイ以外の国はみんな、大昔からアトピーやニキビ、花粉症に悩まされてきたのでしょうか?

イタリアなんて、パスタを食べまくりです。

となるとグルテンが単純にダメというわけでもなさそうです。

そこでいろいろと調べてみました。

現代小麦と古代小麦の違い

どうも調べていくと今の小麦昔の小麦は違うものとなっているようです。

今の小麦は品種改良がされていて、非常に伸びがよくモチモチ感が強いもので古代の小麦は今ほどのモチモチ感がありません。

グルテンの特徴はモチモチ感をつくることです。

となると、昔の小麦だとパンを作っても今ほどのグルテンが作られなかったのかもしれません。

また、今の小麦は農薬だらけです。

農作物というよりは工業製品に近いような作られ方をしています。

このあたりにも問題がありそうです。

グルテンフリーになれば問題は解決するのか?

料理をしない先生だと、『グルテンは医学的に肉体に良くない→だからグルテンフリー生活が良い』となると思います。

正論だとは思いますが、しかしパンやパスタがなぜ『主食』になっているかというと、生きるためのエネルギーを得やすいからです。

なので、得意料理の中にイタリアンがある僕としては手放しに「やめればいいじゃん!」というのはちょっと悲しいし、『体に良くないからやめなよ』というのは寂しいので、もうちょっとそれぞれの食べ物のことを調べてみましょう。

アトピーやニキビの人の共通した好きなもの

うちはアトピーやニキビ、蕁麻疹、花粉症などアレルギーが関わる相談が多く、たくさんの人の話を聞いてきました。

その中である共通項がありました。

それは女性でアトピーやアレルギーの人のほとんどが『パンがめっちゃ好き!!』

それは、びっくりする位、湿疹の状態が悪い人は菓子パンや食パン、とにかくパンが好きなのです。

経験的には、どうも顔ニキビの人のほうが『よりパン好き』が多かったです。

逆にラーメン好きやパスタ好きのアトピーの人には、まだ会ったことがありません。

ちなみに男性不妊症っぽい方は、小さい頃から菓子パンと冷凍食品の割合が多かった人が共通していることでした。

それで今度はラーメンやパスタのことを調べてみました。

問題の元凶は精製?

パスタは本場イタリアでは、デュラム小麦のセモリナ粉(粗挽き粉)が良いとされています。

また、イタリアではグルテンの含有量ではなく、『精製度合い』で小麦の種類をわけています。

今度は精製度合いのことを調べていると、『小麦だけの問題ではなく加工の問題があるのではないか』と調べられている記事がありました。

近年の小麦を粉にするローラー製粉が導入されてから、小麦に含まれるふすまと麦芽の胚種のほとんどが取り除かれてしまっているようなのです。

となると、これは『塩』『砂糖』『白米』などでも起こっているものと同じ問題です。

食べるものは、いろいろな成分が含まれることによって、体に良いものとなります。

しかし、近年のものは精製して、『主要成分だと勝手に決めたもの』だけになるまで精製します。

これが『いろいろな体の問題』を引き起こしています。

こうなると小麦も同じ問題があるような気がします。

西洋医学や西洋式の栄養学は、すぐに有効成分だけに絞ろうとします。

一方、漢方では『一物全体』という教えがあります。

『食べ物はまるごと食べなさい』というもの。

複数の成分が絡み合うと効果を化学分析するのは不可能に近くなりますが、1つの食べ物もいろいろな異なる働きの成分が絡みあっているので、精製して取り除くのは良くないことが起こっていると思うのです。

『精製』は小麦に限らず、今のお手軽便利食品をより売れるようにするために出てきた技術です。

結局、食べるものは成分だけの問題ではないのではないのです。

無理なくグルテンフリーに取り組むには?

西洋医学は考え方が近視眼的でバランス感覚が欠けた思考で考えます。

ですので、すぐに「成分」を持ち出してきて『悪もの成分と良いもの成分』だけで説明しようとします。

しかし、食事の中の小麦を考えていくと問題は成分だけではないと思います。

かといって、グルテンは問題ないというわけではないので、どのように治療にグルテンフリーを取り入れていくかです。

経験上、パンはアウトだと思います。

なぜなら、OKなパンの条件『品種改良がされていない古代小麦であるヒトツブコムギ』を使って、それを『ローラー製法でない石臼で引いた全粒粉』を使用し、『全然、モチモチでないパン』となり、こんなパンを手に入れることはできないからです。

またパン好きでアトピー、ニキビの問題がある人はモチモチ感が好きでパンを食べています。

また、主食としてのパンはクリームを塗りたくったり、砂糖をまぶしたりしません。

パンにつけるものやパンを食べる時の他の食べ物も問題アリのような感じがあります。

そうなると「パンは全面的に食べない」というのが治療にとっては良さそうです。

(ただしヨーロッパに古来からある歯が折れそうになる食事パンはいいと思います)

ちなみにクッキーやケーキは甘いお菓子という時点で小麦と関係なくアレルギー系の病気の人にとってはアウトです。

次にパスタや麺、餃子はどうでしょうか?

パスタ好きやラーメン好きのアトピーの人がいないといったのは、これらに害がないのではなく『パンほど食べまくっていないから』という理由もあるかもしれません。

となるとパスタは時々、イタリアから輸入されているデュラム小麦のセモリナで少量食べるというのはアリかなと思ったりします。

ラーメンや餃子などは、1日の小麦量を考えて行けば良いのではないかと思います。

例えば、醤油などにも小麦は含まれます。

その他、添加物の増粘剤として、グルテンが使用されていたりします。

ですので、1日の中でたくさんの小麦を摂らないようにすることが良いのではないかと。

例えば、うちで治療を始めた場合、湿疹がある程度沈静化するまでは、なるべく和食のみにして、小麦関連の食べ物は控えたほうがいいでしょう。

その後も、パンに関しては、なるべく手を出さない方が無難です。(治ってから本当に時々食べる感じですね)

でも、それ以外は1日で1度に小麦関連の食べ物をたくさん摂らないように意識するのがいいのではないかと思います。

当然、小麦だけがどうとかこうとかではなく精製された塩、砂糖、白米なども見直しましょう。

グルテンと同じような問題が隠れているかもしれません。

現代の品種改良&多量の農薬、そして、精製された小麦では、どの食材もアウトかもしれないですがほどほどに美味しい料理を楽しむのも必要でないかなとも思います。

本格的な料理をする僕的には、成分や理屈だけで、ガチガチのグルテンフリーにしたところで、玄米パスタなんて美味しくもないものが長く続けられるとは思いません。

また、それはそれで『今までの食文化にないもの』を食べて問題ないのだろうかとバランスの観点から将来的に心配です。

漢方の根本治療のコツは『あまり、おかしなことはしない』です!

●アトピーや尋常性乾癬などで、お悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。

●お問い合わせは、こちらから送信してください。

●店頭相談のご予約は、こちらから、ご予約ください。(店頭も初回の相談は無料です)

日本全国オンライン相談受付中!

※全国(北海道、青森、岩手、仙台、東京都内、群馬、横浜、富山、福井、滋賀、名古屋、京都、奈良、大阪、兵庫、岡山、福岡、大分、鹿児島など)からネット、メール、電話、LINEやメッセンジャーなどのテレビ電話などのオンライン相談を受付中です!

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 医心方:出版科学総合研究所
◯ 東方栄養新書:メディカルユーコン
◯ 中医薬膳学:東洋学術出版社
◯ 薬膳素材辞典:源草社
◯ 食養生の知恵 薬膳食典食物性味表:日本中医学院
◯ 薬膳と漢方の食材小事典:日本文芸社
◯ 素問:たにぐち書店

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

著者の詳細情報はこちら

FacebookTwitterInstagram