漢方薬相談ブログ

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漢方薬の「効能効果」の説明を参考に選んでも意味がない!?

病院の薬の効能効果の欄にはその薬の効果が書いてあります。

例えば、花粉症や蕁麻疹で、よく処方されるアレグラには以下のように書いてあります。

アレグラ錠(添付文書)より引用:
効能効果 アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、 皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒

アレグラ錠の添付文書

アレグラの効果は、花粉症などの鼻炎や蕁麻疹、アトピーのかゆみを抑えることです。

薬局でもらう紙にも、こういった説明がされています。

しかし、その薬の本来の効果を知ろうと思ったら、実は『副作用』『薬効薬理(作用機序)』という項目を見比べてみないとわかりません、

『症状を良くしてくれるだけ』なんて、そんな都合の良い薬は存在しないのです。

漢方薬の効能効果

漢方薬にもネットや処方箋、ドラッグなどで売っている漢方薬の外箱には『効能効果』という欄があります。

例えば、十味敗毒湯なら、効能効果の欄に「湿疹、蕁麻疹、水虫」なんて書かれていたりします。

インターネットの漢方薬の効能効果の場所に書かれているものは、こういったものを参考にしているものが多いです。

実は、これ、漢方薬では効能効果になりません

「でも、効能効果って書いてあるよ」って思いますよね。

漢方薬においての効能効果の説明は、実は治療とは全く関係ない他の事情で書かれています。

法律上の漢方薬の効能効果

漢方薬は、法律上は医薬品という分類になります。

医薬品として販売するには、医薬品の法律に則って、説明をする必要があります。

医薬品として販売する場合は、当然、ルールとして「効能効果」があって、「成分や分量」、「用法、用量」が書かれていないといけないのです。

漢方は、『2千年前』に中国で発展した医学で、病院の西洋医学は『2百年位前』から内服治療がヨーロッパやアメリカで発展してきました。

何が言いたいかというと、病院の薬と漢方薬は、治療上では何の接点も関係もないものなのです。

本来、漢方薬にとって西洋医学上の医薬品の法律なんて関係ないわけです。

でも、漢方薬も薬としての効果がある以上、副作用なども発生するため、法律上は医薬品にせざるえません。

2千年前から存在している漢方薬が、たかだか2百年前の西洋医学のルールに従わないといけないなんて、おかしな話ですが、法律上は仕方がないのです。

つまり、インターネットの漢方薬の効能効果の説明や漢方薬の外箱、保険適応の漢方薬の添付文書に書いてある『効能効果』は何の意味もない完全に『建前上、法律上』のものなのです。

うちは、伝統的な漢方治療の方法である日本漢方を支持していて、その日本漢方を支えてきた漢方薬メーカーさんとの取引もありますが、そのメーカーさんの添付文書の効能効果の欄にも『漠然とした曖昧な』症状が書いてあります。

そのメーカーさんは、創始者の先代さんが、漢方薬を選ぶ際の体質判断の方法や本来の漢方医学の漢方薬の選び方などを教えている本を出しているくらいですが、漢方薬の添付文書にはあくまで『西洋医学の薬の法律に則って』治療とは関係ない『効能効果と症状』を書かざるえません。

販売上、仕方がないのです。

漢方薬は体質に合わせて選ぶ

漢方薬の効能効果の欄には症状だけが書いてあるのですが、それだとまるで、その漢方薬がその症状を治してくれるかのように思います。

実際、一般の方だけでなく、漢方薬を処方している医者もそう思っています。

しかし、漢方薬に直接的に症状を抑えたり、無くしていく効果はありません。

そういった『西洋医学的な効果の考え方』は漢方治療とは何の関係もないのです。

漢方では、西洋医学のように『症状を直接、抑える』という治療は存在しません。

それでは病院の薬と同じで、薬で症状を抑えて、薬の効果が切れれば、症状が再発するということになります。

これでは根本治療にならないですね

漢方では、不快な症状というのは、体内の臓腑などのバランスが崩れて、それを自分自身に知らせるために症状という警告サインとして出ていると考えます。

なので、効能効果と書かれている部分の症状は、その症状を治すわけではなく『そういう症状のある人の体質に使われることがある』という意味です。

抑える、治すではないですよ。

漢方薬は症状だけを当てはめて選ぶのではなく、『そういった症状が含まれる体全体の体質』分析しないといけないのです。

例えば、十味敗毒湯の効能効果からいくと湿疹や蕁麻疹が書いてあるので、これらに効果があるように思いますが、湿疹を治す漢方薬なら他にも「消風散」や「排膿散」、「升麻葛根湯」、「越婢加朮湯」、「治頭瘡一方」、「温経湯」、「柴胡清肝湯」、「荊芥連翹湯」、「桂枝湯」、「葛根湯」、「大柴胡湯」、「茵蔯蒿湯」、「茵陳五苓散」、「当帰飲子」、「清上防風湯」などなど、どれも効能効果に「湿疹」が書いてあります。

では、どれにも効能効果として湿疹があるので、湿疹や蕁麻疹のある人は、このうちのどれを使ってもいいのでしょうか?

鉛筆でも転がしましょうか。

湿疹や蕁麻疹などで調べてみて、たまたま、最初に十味敗毒湯が出てきて、そこの効能効果に湿疹、蕁麻疹が書いてあるから治りそう?

これは他の種類の漢方薬を徹底的に調べていないから、『十味敗毒湯だけで治りそう』勘違いしているだけです。

漢方薬は、湿疹とか、蕁麻疹を抑えるわけではなく、『湿疹や蕁麻疹を含めた体質』を分析して、例えばアトピーや蕁麻疹なら40種類の漢方薬から厳選して選ぶのです。

乾燥している湿疹、ジュクジュクの湿疹、どっちも混ざっている湿疹、それに加えて、月経がある女性、頭痛持ちの人、便秘気味、軟便気味、なかなか寝つけないetc、全身をみていけば、人それぞれ、いろいろな状態の違いが出てきます。

その違いによって、体質分析が変わり選ぶ漢方薬が変わります。

湿疹に使えそうなものから適当に選んで使ってよいわけではないのですね。

病院の薬でも本来は、効能効果ではなく『副作用』『薬効薬理(作用機序)』を見ないといけません。

処方箋の説明にあるような『〇〇を良くします』というフワッと曖昧な表現ではなく、具体的にどの部分がどんなメカニズムでよくなるのかを見ていく必要があるのです。

『漢方薬の効能効果』というのは法律上、仕方がなく、そう書いてあるだけで、それが、そのまま、その症状を治してくれるわけではなく、漢方薬はどこまでいっても、自分独自の体質である『証』を詳しく分析して、それに合わせて漢方薬を選ばないと効きません。

『建前上の効能効果』を鵜呑みにして選んでも何の意味もないのです。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
アレグラ錠の添付文書

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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