ネットにある病気や症状を自分で調べることやセカンドオピニオンの大問題
今、診てもらっている病院とは違う病院で診てもらう、セカンドオピニオンという方法がありますよね。
1人の医者の診断や意見だけでなく、違う医者の診断や意見も聞いてみる。というやつです。
あれって、東洋医学を専門でやっている僕からみると、すでに破綻しているように思います。
例えば、これは複数の病院に行って意見を聞くことだけでなく、ネットで、いろいろと自分の症状を調べていることも破綻しているセカンドオピニオンと同じ状態だと思っています。
今回の記事では、なぜセカンドオピニオンやネットで自分で医学のことを調べても結局は意味がないのか、その理由をお話ししたいと思います。
そして、自分の病気や体のことを知りたい時のセカンドオピニオンはどうすれば良いのかをお話しします。
あるメニエル患者さんの例
先日、メニエル病で、うちで治療している患者さんが、急激に状態が悪くなってうちに来られました。
急激に悪くなったといっても、ある程度、漢方治療をしてきたので、当初に来られた時よりは、全然、ましなのですが。
逆に、ここのところ、ずっと調子よかったので、焦られたみたいです。
分析してみて、わかった原因は、「熱中症が元々のメニエル体質を刺激して、発作が出た」といった感じでした。
この方、うちに治療に来るまで、いろいろな病院に通われていました。
それこそ、近くの耳鼻咽喉科から、全国でも名前が通っている大学病院まで。
今回、久しぶりの発作で仕事にも支障が出ていたので、一瞬、病院に行こうかと頭をよぎったようなのですが、次の瞬間、そんなことはやめておこうとなったようです。
なぜ、「病院に行くのはやめておこう」と思ったのでしょうか?
ちなみにこの話、最初のセカンドオピニオンの話につながりますので、読み進めてもらえたらと思います。
病院に行くのをやめた理由
病院に行くのをやめた理由は、過去の経験から、「どうせ病院に行っても、治りもしない虚しい治療を繰り返すだけ」だと思ったからです。
その方、曰く、何年もいろいろな病院に行ったけれど、どこの病院も判を押したように『利水剤、ステロイド、苓桂朮甘湯』の治療です。
病院によって、利水剤の種類が多くなったり、ステロイドが点滴になったり、苓桂朮甘湯は出たり、出なかったりですが、結局、治療はどこの病院も同じ。
それもそのはず、西洋医学には治療のガイドライン(マニュアル)というものがあって、お医者さんの皆さんは、そのマニュアル通りにやっているからです。
医者は、ある種、マニュアルをおぼえるエキスパートなので、それこそ、どこの病院にいっても、寸分狂わず同じ治療になるのですね。
また西洋医学自体も社会福祉や感染症の観点から「どこの病院でもある程度、同じ治療が受けられるようにしている」ということも目的になっています。
そんな実体験を何年も何箇所もの病院でしてきたので、病院に行くのはやめられたのですね。
セカンドオピニオンが機能しない医者のタテ社会
セカンドオピニオンというのは、違う医者の診断や意見も聞いてみることですよね。
ところが、西洋医学はガイドライン(マニュアル)に基づいて治療する医学なので、今回のメニエルの方のように、病院を変えたって診断も治療も大して、変わらないわけです。
もっと始末の悪いことに、医者の世界はタテ社会なので、名前の通っている権威の先生に診断してもらったことをその先生よりも下のランクの先生に診てもらおうとすると、上の先生の意見に合わせようとします。
こういった話は、患者さんからいくらでも聞きました。
変な話ですが、本当にセカンドオピニオンの意見が聞きたかったら、医者の学派や派閥、医師会での力関係を調べて、下のランクの先生から意見を聞きにいかないと、最初に上のランクの先生の意見を聞いちゃうと、後の意見は全部のその先生に合わせた意見となります。
また上のランクと言ったって大学が上とかそんな話で治療の腕が高いという意味ではありません。
セカンドオピニオンの根本的な問題
もっと、根本的で大きな問題があります。
仮に、行く病院、行く病院が、違う意見だったとします。
例えば、癌(がん)の恐れのある人が10個の病院に行って、自分の癌に対して「癌だ」という意見が4つ、「癌ではない」という意見が3つ、「癌かどうかわからない」という意見が3つに分かれたとします。
医者は検査や診断めいたものをしてくれますが、結局、最終的に決めなければいけないのは『あなた』です。
この場合、あなたなら、どうしますか?
『名が通っている有名な病院』の意見は、重要だとしますか?
『先生が優しかった病院』の意見を優先しますか?
単純に多数決で決めますか?でも多数決だったら同数だったら何を優先しますか?
どれの条件も正味の自分が治ることと直接、関係あるのか微妙ですね。
ネットで症状や病気を調べる場合の大問題
実はこの問題は、ネットで病気や症状を調べている人にも起こっていることです。
いろいろな病気や症状の情報を調べていくと、その気になれば最終的には、良いも悪いも同じ数だけ集めることができます。
「そんなことはない。良いことの方が多かったぞ」という人は、バイアス(自分に都合のよい思い込み)で調べているからです。
一般的な人は、自分が「癌かもしれない」という時に、張り切って「自分は死ぬ」という意見を手助けするような情報を自分で積極的には集めません。
冷静に情報を調べていけば、例えば、「手術をしたほうが良い」「手術をしないほうがよい」という情報は同じ数だけ揃えることができます。
(どこで調べるのをやめるのか?という問題もあります)
最終的には、結局、自分が決めないといけません。
そして、決断しようと思ったら、実は決断する人に『十分な医学の知識と能力』がないと決断は間違う可能性の方が高いのです。
正反対の意見を聞いてみる
正しい決断をしようと思ったら、理想は自分が徹底的に勉強することですが、そんなことはできません。
そこで、僕が提案したいのは『正反対の方向性の意見を聞く』というクセをつけること。
例えば、東洋医学からの意見を聞いてみるとよいのではと思います。(自分のところの宣伝みたいになってしまいましたが)
西洋医学と東洋医学は、実は治療の考え方が全く違うものです。
薬の目的や効果も全然、違います。
言わば、西洋医学は「科学的な治療」で東洋医学は「自然の治療」です。
全く、違う方向の意見を聞くことで、自分の体を一体どうすれば、良いのかの手助けになるのではないかと思います。
ちなみに、この時に病院の漢方専門のところは、全く役に立ちませんよ。
なぜなら、病院の漢方は、東洋医学の考えや理論、方法で処方されていないからです。
病院の漢方薬は、皆さん、ご存知のように西洋医学の病名や症状を元にお得意のマニュアルに当てはめて処方しているだけなので、医者は東洋医学的な方向からの考えや意見を一切、持っていません。
ということで理想は西洋医学の検査や薬を理解できて、なおかつ、東洋医学の治療理論に基づいて、漢方治療している先生を選んで、意見を聞けば、あなたの手助けになるのではないかと思います。(はい、手前味噌ですが、僕はどちらも詳しいです)
もう一つは、「ぶっちゃけ、話してくれそうな関係で尚且つ医療に詳しい人と友達になっておく」です。
皆さんはあまりお気づきではないかと思いますが、医者は「わからない」「治せない」とは絶対に言わないので、治りにく病気ほど、「とんでも理由」をもっともらしく話します。
ですので、医療の専門でぶっちゃけ話してくれる人もセカンドオピニオン的な意見を聞くのに良いかなと思います。
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◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
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◯ 治療薬マニュアル:医学書院
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