漢方薬の効果と副作用のしくみ
『漢方薬は体質に合わせるもの』というのは、みんな、なんとなーくわかっているのですが、具体的には?と聞かれるとわからないのではないかなと思います。
実際、世間での漢方薬の使われ方は、『漢方薬ごとに書いてある病気や症状が、漢方薬を飲み続けていたら、いつか治るでしょ』みたいなザックリとした感じで、選んでいるように思います。
実際、保険適用の漢方薬を処方している医者は、そう思って処方している感じです。
漢方薬の設定に書いてある症状が、飲めばなんとなく消えるなんて、漢方はそんなファタンジーで魔法な薬ではありません。
漢方薬には漢方のルールによる効果があって、その漢方的なルールによって治るわけです。
漢方薬を飲むに当たって、絶対に理解しておかないといけない治療のルールがあります。
漢方薬を究極魔法に変える絶対的な法則です。
それが陰陽です。
「引っ張った割にしょうもな」と思わないで、これがわかっていないと漢方薬はまともに扱えません。
まともに扱えないと効果がないばかりか、漢方薬を飲むことによる副作用に見舞われるので、なんだったら「飲まなかったほうがマシだったわ」なんてことになります。
漢方治療の究極原則「陰陽」
陰陽って下のようなマークでおなじみのやつです。
簡単に言えば、良いものの裏は悪いもの。日の光の裏は影。
そして、重要なのは、正反対のものが、同じだけあること。
漢方薬を選ぶに当たって、このことをしっかりと理解していないと漢方薬をまともに扱えません。
病院の薬は、症状を止める効果がありますよね。
で、副作用は、「時々、運が悪けりゃ起こるもの」的に思っている人が多いのではないでしょうか?
これ、陰陽から考えたら、副作用だけがたまに起こるものとは考えません。
副作用というのは、効果の裏の効果です。
例えば、鎮痛剤は、頭痛などの痛みを止める効果がありますが、同時に胃粘膜を荒らす効果もあります。
胃粘膜を荒らすというのは、「たまにそんなこともある」というものではありません。
痛みを止める分だけ、ちゃんと胃粘膜を荒らす効果があります。
病院の薬でも実は、都合が良いだけのものはないのですが、漢方薬はもっとはっきりしています。
漢方薬の効果は陰陽を整えること
漢方薬は、『誰が飲んでも良い効果』のものはありません。
逆に誰が飲んでも副作用がないのであれば、当然、効果も誰が飲んでもないのです。
例えば、体の冷えている人を漢方薬で治す場合、体を温める「温」の効果のあるものを合わせます。
これを、体に余分な熱がこもっている人に合わせるとどうなるかというと、暑い部屋で更に暖房をかけるようなもので、体は余計に悪くなります。
冷えているという陰には、温めるという陽を。
熱がこもっている陽には、冷やすという陰を合わせれば、ニュートラルになって、体がちょうどいい感じ!になります。
つまり陰陽マークのまん丸になります。
漢方薬は症状を抑えることが目的ではなく、体の中を陰陽のまん丸にもっていきます。
冷えがある陰の体質に体を冷えやす陰の漢方薬。
飲めば、飲むほど、冷えっ冷えっですね。
熱がこもっている陽の体質に温める漢方薬。
温めて、更に熱して。のぼせて血管が切れて鼻血がでます。
よく、「あっちの漢方薬の方が質がよくて効果が高い」とか、「こっちの漢方薬は質が悪くて効果が弱い」という話をする人がいますが、そんなことよりも、体質と漢方薬の陰陽のバランスがとれているかが重要なのです。
むしろ、漢方薬の質がよくて、ものすごく体を冷やす効果が高い漢方薬を冷え性の人に飲んでもらったらどうでしょうか?
なまじ、漢方薬の質が良くて効果が高かかったら最悪ですよね。
半端じゃなく冷えます。
これが漢方薬の副作用です。
ですので、漢方薬は効果の高さの分だけ、副作用も同じだけあるということです。
それらを分けているのは、『ちゃんと体質に合わせているかどうか?』
「いや、さすがに冷えている人に冷やす漢方薬を選ぶ人なんていないでしょ?」
そんなことはありません。
保険適用の漢方薬を処方している医者や、病名と症状だけみて漢方薬を選んでいる先生は、それをやってますよ。
冷えている人に冷やす漢方薬。
そんなバカなと思うかもしれません。
でも、そんな「バカな」をやってます。
なぜ、そんなことをしてしまうのか?
それには2つの問題があります。
1 病名と症状だけをマニュアル的に当てはめているので、その人の「熱」や「冷え」の状態を実は何もわからずに処方している。
2 実際は冷えや熱だけでなく水や気などの陰陽のバランスもみていかなければいけない。
「1」は、論外ですね。
ファンタジー治療方法とでも名付けましょう!
「2」は、先ほどまで「冷えている人は温める漢方薬を〜」と単純にして説明しましたが、実際は、もっと複雑で、下半身は冷えていて、上半身は熱がこもっている。おまけに水は不足しているので、足さなくちゃダメで、気と血は巡らさなきゃいけないとか、
虚熱といって、体力がなくなりすぎて、熱が出て、余分な熱がこもっている。
なんて人もいて、虚熱の人は、熱があって「暑い、暑い」って言ってるのに、『温めて』治すのですよ。
一見、おかしな治療に思いますが、疲れすぎの虚熱は、温めて気を補うことによって、体力の陰陽をとって、治療できているのです。
こんな風に、『体の中にある陰陽のバランスをとる』ということが、漢方治療の第一歩です。
もちろん、陰陽のバランスを取るだけではダメで、ここから、いろいろと応用もあるのですが、とにかく、治療の第一歩は『陰陽のバランスをとる』ということ。
漢方薬の効果には、ちゃんとしくみがあって、漢方薬に書いてある病気や症状をなんとなく治すのではないのですね。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社