漢方薬相談ブログ

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抑肝散はどんな神経症状にでも効く薬ではありません。

心療内科でも漢方薬を処方するところがありますが、なぜか、抑肝散を神経症状の薬だと勘違している医者がいますが、残念ながら、本来の漢方理論からみれば、神経症状専門の薬ではありません。

保険適用の抑肝散のおかしな効能効果

ツムラやクラシエなどの保険適用の漢方薬の説明を読んでいるとよく、下記のようなことが書かれています。

抑肝散:添付文書より引用
効能効果
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症
神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症など

この説明、本来の漢方薬の働きからみると、とんでもないウソというか、よく読んでみると日本語すらおかしいのです。

「虚弱な体質」っていう効能効果?

「神経が高ぶる」という効能効果?

そう、ここには「これらをどう治すのか?」というのが書かれていません。

例えば、抗うつ剤として処方されるパキシルやレクサプロなどのSSRI阻害薬と呼ばれているものなら、脳内でセロトニンを増やす効能効果があります。

そのセロトニンを増やす効能効果の結果、精神不安や不眠などが和らぐとされています。(本当に効果があるかどうかの実際の証拠は医学的にもありませんが)

とにかく、効能効果というのは、『症状』のことではなく、どんな『作用や働きなのか』と言う意味です。

ちなみに、効能効果の欄に症状が書かれているからといって、この症状を治すという意味ではありません

ここで書かれている病気や状態をヒントに、体質を分析して、抑肝散が合うかどうかを考えていくのです。

漢方薬の本来の効果と法律上の効果

漢方薬は、東洋医学の薬なので、本来は、西洋医学とは。何の関係もありません。

しかし、漢方薬を保険適用にするにあたって、法律上、おかしな効能効果の説明になってしまったのです。

では、本来の東洋医学の薬としての抑肝散の正しい効能効果とは何でしょうか?

漢方治療では2大派閥があって、その治療派閥によって、効能効果が変わりますので、その派閥ごとの抑肝散の効能効果を説明します。

抑肝散の本来の効果(日本漢方)

抑肝散の日本漢方という派閥による効能効果は、

効能効果:肝熱による胸脇の熱を鎮め、気を巡らせます。

【詳しい解説】
肝臓の熱がオーバーヒートして、体に不要な熱を生み出し、それが胸のあたりで滞り、気の巡りも邪魔して、気(神経)をうまくコントロールできない状態を肝臓の熱を冷ますことによって、熱を収め、気を巡らせます。

効能効果:気の異常による血の巡りと水の巡りを促します。

【詳しい解説】
胸脇の熱を発端とする気が影響し血と水の巡りが悪くなっているので、その血と水の巡りを巡るように促します。

効能効果:筋肉や精神の緊張を痙攣を解きほぐします。

【詳しい解説】
筋肉や気が緊張が強すぎて、硬くなっているので、それをほぐします。

◉ 原因になる主な臓器は肝の臓です(西洋医学の肝臓ではありません)

同じ、精神不安や不眠でも腎の臓が原因だったり、他にも脾の臓が原因の場合もありますので、原因の臓器が肝の臓でない場合は、抑肝散を飲んでも効きません。

また、漢方薬は大は小をかねません。

あなたの体質を漢方薬の効能効果をピッタリと合わせる必要があるので、胸脇熱の影響による血の巡りの悪さや水の巡りの悪さがなければ、これらの効果が邪魔になるので、原因、体質をしっかりと分析して他の漢方薬を選ぶ必要があります。

この効能効果、意味がわかりませんよね。

でもこれが抑肝散の効能効果なのです。

漢方薬は、西洋医学の薬ではないので、こういった効能効果としての説明しか不可能なのです。

抑肝散が効く精神症状

抑肝散は、どんな精神不安にでも効く薬ではなく、肝熱、血の巡りの悪さ、水の巡りの悪さが組み合わさっている原因の精神症状でないと効かないということです。

病院で抑肝散を出してもらっても効かないのは、『精神不安や不眠症の体内の原因が何か?』分析もせずに、アテにならないマニュアルだけをみてテキトー処方しているから効かないのです。

そして、合っていない漢方薬は、いくら飲み続けても効きません。

症状の原因を探る

漢方薬は、『その病気や症状がどんな原因なのか?』を突き止め、それに合わせた漢方薬を使います。

例えば、うつ病、不安神経症の精神不安や不眠症でも、肝の臓の熱が原因だと判断できないならば、抑肝散は合わないので、不安、不眠という症状が一致しても治りません。

精神不安、不眠でも頭で気の滞りがあって、腎臓の疲れから気の乱れが原因の場合は、桂枝加竜骨牡蠣湯とか、『同じ症状でも原因は人それぞれ』です。

ちなみに精神不安などで原因別で使うことがある漢方薬は、以下のものがあります。

三黄瀉心湯、黄連解毒湯、半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、四逆散、加味逍遥散、柴胡桂枝乾姜湯、大承気湯、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、補中益気湯、逍遙散、附子理中湯、鈎藤散、桂枝加竜骨牡蠣湯、苓桂甘棗湯、苓桂朮甘湯、半夏厚朴湯、香蘇散、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、四逆散、温清飲、防風通聖散、八味丸、六味丸、帰脾湯、加味帰脾湯、大柴胡湯、女神散、十全大浦湯、猪苓湯、清心蓮子飲、温経湯、桂枝加芍薬湯など37種類

医者や漢方理論をよくわかっていない漢方薬局は、ツムラやクラシエなどの漢方薬メーカーからもらったマニュアルをみて、1、2種類の中からテキトーに選びます。

しかし、あなたの精神不安、他の症状との組み合わせは、他の人とは違いますので、特に問診や体質分析されずに抑肝散を処方された場合は、ちゃんとこの中から選んでもらわないと治りません。

といっても、医者は、この中から人それぞれの体質ごとに漢方薬を選ぶ能力は持っていませんが。

本来の漢方薬の効果

僕は日本漢方派ですが、中医学という派閥もあり、中医学は中医学の効能効果がありますので、それを紹介しておきます。

ちなみに中医学は、70年ほど前に教育のために再編された漢方で、学校漢方とも言われています。

僕は最初は中医学を学びましたが、勉学のための漢方で理論倒れなところがあるためか、実践の治療は役に立たなかったので、中医学はやめました。

◉ 効能効果:平肝煩風・補気血

【詳しい解説】
肝臓のオーバーヒートした熱が発生し、精神の興奮性が高まっている中枢神経を鎮静します。
その熱が風動というものもつい繰り出し震えやふらつきを生み出しますので、肝臓の熱を鎮めて、気を巡らせて熱と風動を収めます。

滋養強壮によって血を補って、血の巡りを促し、消化機能を高めて水の巡りを促します。

中医学は、西洋医学の考え方とごっちゃになっているので、説明がちょっとカオスになります。

抑肝散の効能効果とはこういったもので、いわば、一般に知れ渡っている効能効果は、法律上のウソの効能効果ということですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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