漢方薬は飲み方を間違うと効果がなくなる!?
漢方薬は基本、食前に飲むものですが、実際は、あまり気にせずに食後に飲んでいる人も多いのではないでしょうか。
医者は、漢方薬メーカーからもらったマニュアルだけ見て、漢方薬を処方しているだけで漢方の医学理論的なことは知らないので、食前に飲むということをそれほど重要なこととして説明していなかったりします。
ヒドい医者になると漢方薬と病院の薬を同時に飲んでいても気にしていない場合もあります。
驚くべきことに漢方専門の店でも、ちゃんと指導していいないこともあるのですよね。
ただ、『漢方薬って食前に飲む』と聞いていても、なんだかんだ、食後でもどっちでもいいか!ってなっているかもしれません。
でも、漢方薬は食前に飲まないといけない理由がちゃんとあるのです。
今回の話では、『漢方薬はなぜ、食前に飲まないといけないのか?』その理由を詳しく解説します。
また、食前に飲むことを続けるたって、なかなか守れないと思いますので、そんな方に、『どうやって漢方薬をうまく飲み続ければ良いのか、その方法』を紹介したいと思います。
病院の薬と漢方薬の違い
当たり前の話ですが、漢方薬と病院の薬は全く違うものです。
病院の薬は、基本は1種類の人工の化学成分が、症状を一時的に抑えます。
わかりやすく言えば、『薬で決まっている作用時間のみ、症状がなかったかのように誤魔化す』のです。
この成分は、自然感は微塵もない完全な化学成分で、なおかつ1種類の成分だけで、効果を発揮します。
例えば、風邪の時の鼻水や花粉症によく使うアレグラの有効成分は「フェキソフェナジン塩酸塩」という舌を噛みそうな成分でできています。
こちらは、『何時間か、鼻水を止める』効果がありますが、止めるだけです。
薬の中にはグレープフルーツやコーヒー、チーズなどと一緒に飲むと変な効果になってしまったり、副作用が出てきたりするものもありますが、大体は食後すぐに飲んでも、ちゃんと効いてくれます。
ところが、漢方薬は、病院の薬のように有効成分で治すわけではないのです。
この漢方薬独特の性質が『漢方薬は食前に飲まないといけない』ことにつながるのです。
漢方薬を食前に飲まないといけない2つの理由
漢方薬を食前に飲まないといけない理由は、2つあります。
1 漢方薬は絶妙な生薬の組み合わせで成り立っている。
2 食べ物と生薬の差はそれほどない。
まずは1を説明しますね。
病院の薬は、1種類の有効成分が、症状を無理やり抑えるのが目的です。
これを治療とよんでいます。
僕はただの誤魔化しでしかないと思っているのですが。
漢方薬には有効成分という考え方はなく、体を温めたり、水の巡りを整えたり、という効果で、あなた自身の自然治癒力を手助けするのですね。
西洋医学とは全然違います。
漢方薬は生薬というもので作られています。
例えば、桂枝湯という漢方薬は、「桂枝」「芍薬」「大棗」「甘草」「生姜」という5つの生薬が合わさって、桂枝湯という漢方薬になります。
いわば、漢方薬というのは、いろいろな種類の薬を寄せ集めたものです。
でも、この寄せ集めはテキトーではないのです。
生薬の神バランスが漢方薬!
漢方薬は生薬が寄せ集まったものですが、これは適当に集めたものでありません。
また、いろいろな症状を抑えるためのものでもありません。
『ある体質の人が治るように設計された集まり』なのです。
いわば、優秀な選手を集めたプロサッカーチーム。
それぞれのポジションのプロを集め、それらの個性的な選手が集まって、チームの色ができます。
これが漢方薬です。
この構成は、2千年間、変わっていません。
もう、変えようのない、よくできた神チームなのです。
逆にこの構成が崩れたら、チームの強さがなくなり、グッダグダになるのです。
漢方薬でいえば、「効果もなにもありゃしない状態」です。
食べ物と生薬の差はそれほどない。
次に食べ物ですが、薬膳があるように、漢方の世界では、食べ物も薬となります。
実際、生姜やゴマ、シソなどは、生薬でもあり、食べ物でもあります。
ここでさっきまでの話をまとめますと、
漢方薬は、これ以上、変えようのない位、完成された生薬の神バランスで作られています。
このバランスが崩れると効果がなくなってしまいます。
そして、食べ物と生薬の差はそれほど、ありません。
となると…
『食事を食べて、すぐに漢方薬を飲む』
『漢方薬を飲んでから食事をすぐ食べる』ことをやってしまうと、胃の中で、漢方薬の生薬と食べ物が混ざってしまい、神バランスが崩れてしまうのです。
例えば、葛根湯+ゴマ和えのゴマとか、桂枝湯+チーズとか、変な漢方薬になるのです。
葛根湯を飲んでいるつもりなのに、他の食べ物と混ざって、葛根湯じゃなくなる可能性があるのですね。
漢方薬は神バランスで効果を発揮するので、胃の中で神バランスが崩れるのです。
漢方薬を続けるコツ
ということで、漢方薬は、バランスを崩さないためにも、できるだけ空腹時に飲むのが良いです。
できれば、食事の1時間前とか。
時間がなくても30分前には、飲んでおきたいです。
ただ、都合が悪ければ、食事の1時間後でもOKです。
ベストな順番は、1 食事1時間前→2 食事の1時間後 → 3食事を食べ始める前(20〜30分前)といった感じですね。
条件的には空腹時なので、『食間』でもOKです。
で、ですね。
食事の1時間前となると実際、難しいじゃないですか。
だから、コツとしては、毎日の飲む時間を決めてしまうことです。
食事前がわかりやすいですが、空腹であることと、一定時間を空けることを意識すれば、ご自身の都合のよいところでもいいですよ。
大事なのは、続けることです。
時には、飲み忘れることもあると思います。
そんな時は、食事の直前でもいいので、忘れずに飲むことが重要です。
漢方薬は、症状を抑える成分が、入っているわけではなく、毎日、体の機能の正しい指導をやっているからです。
練習しなくなったら、また変な状態にもどっちゃうでしょ。
だから、時には時間がズレても、ちゃんと飲み続けることが大事なのですね。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社