漢方薬相談ブログ

薬膳に対する大きな勘違い!本来の薬膳って?

薬膳に対する大きな勘違い!本来の薬膳って?

薬膳教室やインスタの薬膳料理的な写真が人気のようですね。

でも、世間の薬膳ってなんか肝心なことが抜け落ちているような感じなのです。

今回は薬膳の本来の意味合いを考えてみたいと思います。

生薬をいれることが薬膳ではない

ネットやSNSなんかの薬膳教室のページなどを見ていると「体を温めてくれる薬膳料理」とか「血を巡らせてくれる薬膳料理」などが紹介されています。

冷えを解消したり、血を巡らせてくれるという効果は女性だと誰でもあてはまりそうなので、誰でも冷えや血行を良くするために作ってみようと思うかもしれません。

でも、日本のそういった薬膳は薬膳ではありません。

それは単に『健康っぽい料理を作ってみました』というもの。

薬膳の本質は『効果のありそうな生薬が入った料理を作るのではなく、自分の弱点を補ってくれる効果のある食べ物や生薬を使った料理を作ること』なのです。

薬膳、漢方などの体質分析はものすごく細かい

薬膳も漢方も元となる治療理論は同じです。

手足が冷えているから温めてくれそうな生薬や漢方薬を使うのではなく、その手足の冷えの原因を分析して、『原因に合った生薬や漢方薬』を選びます。

手足の冷えといっても原因は人それぞれ

温める力が不足している人や血が足りていなかったり、水の巡りが悪く自分の体内の不要な水に冷やされているなんて原因の人もいます。

要するに『冷えは温めれば治る』なんて単純なものではなく、薬膳でも漢方でも、まずは『あなた自身の冷えの原因』を分析しなければいけません。

薬膳教室では当然、事前にメニューが決まっていますし、そもそも人それぞれなの原因なんかに合わせてたら、生徒さん分だけメニューが必要になり、教室として成り立ちません。

でも本来の薬膳とは皇帝の体調を食医という医者が分析し、今日の体の不調を補うように薬膳のメニューを組み立てます。

食医が「今日なんか寒いからあったかいものにしようっと!」なんて軽いノリでろくに分析もせずに薬膳を作ろうものなら即刻、首が飛びます。

でも一般的な薬膳ってこんな感じのノリなんですよ。

生薬でなくとも薬膳になる

薬膳といえば、料理メニューに生薬をいれることだと誤解している人がいますが、料理に生薬が入るから薬膳ではありません。

東洋医学では食べ物にも効果が設定されています。

自分の弱点を調べて、生薬に限らず、その弱点を補う効果が備わっている食べ物を選んで『自分の体質と食べ物の効果を合わせる』のが薬膳なんですね。

ちなみに「食べ物の効果」と「漢方薬の効果」の理論は同じです。

漢方薬を構成している生薬にも生姜やナツメ、小麦などがあります。

つまり、漢方治療も自分の現在の体質と生薬やをマッチングさせて治療するし、薬膳も現在の体質と食べ物の効果をマッチングさせて料理をするのです。

食べ物と漢方薬の効果

この効果というのは、「なんとなく血を巡らせる」とか「なんとなく温めてくれる」なんて『なんとなくな効果』ではありません。

詳しく説明しだすと何時間も読まないといけない記事になるので、簡単に説明すると『寒熱』『昇降』『収散』という効果があり、次にどこの『臓腑に効くのか』というものがあり、更に『辛、甘、酸、苦、塩からい、淡、渋、うまみ』などの効果があります。

寒熱の寒は冷やすもの。

熱は温めるもので、これにも段階があります。

簡単にいえば「冷やす効果強」とか「冷やす効果弱」みたいな感じですね。

臓器臓腑は肝臓に効くとか胃に効くとか、腎臓に効くとか。

甘いは滋養になるとか、苦味は余計なものを体の下の方へと降したり、水分を排出したいりと生薬、食べ物にはこういった効果が細かく設定されています。

例えば「生姜」は微温で温める力は弱で、気や熱、血を体の上部に昇らせる効果とそれらを発散させる効果もあります。

臓腑は肺、脾(胃腸を含む臓器)に効き、味は辛みで発汗効果があります。

その他、「肺を温めて肺の機能を高めたる」、「風邪の寒気を追い払う」、「胃腸を温めて吐きけを止める」、「食べ物の解毒をする」などの効果があって、熱がこもっている人などは、この生姜の効果は逆に副作用になり体調が悪くなります。

例えば、咳は冷えが原因の場合もあれば、その逆の熱がこもって咳が出ている場合もあり、体質分析もしないで生姜で温めたら、余計にひどくなるということですね。

本来の薬膳では『自分の体調を調べる前にメニューが決まっていることなんてありえない』ということです。

昔からの通常レシピは最強!

本来の薬膳料理を食べようと思ったら大変です。

生姜だけでもこれだけの効果と逆に食べてはいけない体質もあります。

たった一品でこれです。

料理で使う食材のことを考えたらクラクラしてきます。

でも大丈夫。

今、みなさんが食べている昔ながらのメニューは、すでにこういった効果のことを考えて作られています。

長い歴史の中で「暑い時になりやすい病気」や「寒い時になりやすい病気」を防ぐ食べ物の組み合わせになっているのです。

ですので「時々、薬膳料理を作ってインスタにのせたい!」というものではなく『健康のために薬膳料理を作る』というのであれば、今、すでにある和食中華を極めたほうがよほど実用的です。

そしてメニューを選ぶ時なんかに自分の体質に合わせて何か1つだけ自分の体質に合った食材を加えてアレンジすれば、立派な薬膳なんですね。

それに生薬はどれも不味いです。

それを工夫して美味しくしようとしているレシピもありますが、所詮、通常の料理のレシピにはかないません。

自分の体質に合っているかどうかもわからない不味い料理が作れるようになるよりは、美味しい料理が作れるようになるほうがいいんじゃないかなと思います。

ということで、薬膳教室に行くなら、普通に美味しい料理を作れるようになる料理教室がいいと思いますよ。

どちらにしろ自分の体質が東洋医学的に診断できなければ、薬膳教室の先生が考えた料理が自分の体質に果たして合っているのかどうかもわからないわけですから。

いらないものを食べないことの方が重要

日本人は、薬膳でもサプリでもそうですが、『体に良さそうなものを食べる』のが大好きです。

ですが、本当の健康を目指すなら、いらないものを一切取らないことから始める方がよほどいいです。

薬膳教室に行く方が、なんか健康っぽいことやっている気分になれますが、それでコンビニの食べ物やチェーン系の飲食店の冷凍ものを戻したものを食べていたら本末転倒です。

間食(お菓子や甘い物)や食べ過ぎ、好き嫌いも単純に体に悪いです。

薬膳もいいですが、順番としてはまず、添加物や冷凍などの古い食べ物などのいらないものを体に入れない、そして美味しい料理が作れるようにする。それでもまだ足りなければ薬膳をしてみてもいいかもしれません。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 医心方:出版科学総合研究所
◯ 東方栄養新書:メディカルユーコン
◯ 中医薬膳学:東洋学術出版社
◯ 薬膳素材辞典:源草社
◯ 食養生の知恵 薬膳食典食物性味表:日本中医学院
◯ 薬膳と漢方の食材小事典:日本文芸社
◯ 素問:たにぐち書店

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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