漢方薬相談ブログ

なぜか、ちゃんと体質に合わせて処方されていない漢方薬

なぜか、ちゃんと体質に合わせて処方されていない漢方薬

  1. 漢方薬は病名から選ばない
  2. 病名に合わせて漢方薬を選ぶわけがない理由
  3. 症状に合わせて漢方薬を選ぶわけがない理由
  4. まとめ

漢方薬というと、ネットのWebサイトの説明などを見ていると『根本から治ります』とか『体質を改善します』なんてことが書いてますよね。

でも実際に飲んでみたら「なんか効いてるのか、効いていないのかわからない」って感じだったりする人が多いのではないですか?

おまけに「漢方薬は効き目がゆっくり」と誤解されていることを悪用して、「もうちょっと飲めばわかります」なんて言って誤魔化している先生も結構いたりします。

漢方薬の効果がなぜわかりにくいのか?

これ、実は漢方薬を処方する側の深刻な問題と関係しています。

漢方薬って本当は効果がわかりにくいものじゃなくて、根本治療や体質改善になるし、5年くらい病院に通っていても治ってない人の病気を3ヶ月で治したり、風邪とか昨日できたヘルペスなんかを2袋だけ飲めば、すぐに治してくれたりと結構、すごいものなのです。

でも現実に効果がイマイチになっちゃうのは漢方薬のせいではなく、他にちゃんとした理由があります。

それは『漢方薬を体質に合わせて選んでいないから』

処方しているほとんどの先生が、『病名や症状から漢方薬を選ぶという間違った方法』で漢方薬を選んでいるのです。

ついでに言うと、ネットや動画にある漢方薬の説明も大体、間違っています。もう説明があさっての方向です。

今回の記事を読んでもらえれば、なぜ、あさっての方向の説明なのか?がわかります。

そして、漢方薬の効果を発揮させるためには、本来、どう選んでいくものなのか?がわかるようになるかと思います。

漢方薬は病名から選ばない

当たり前ですが、頭痛のある人に便を出しやすくする薬を選んだって頭痛が治るわけがありません。

でも、今の漢方薬の選び方ってこれに近いことをやっています。

それが「病名や症状」から漢方薬を選ぶ方法です。

病院でよくやってますよね。

ニキビに十味敗毒湯とか、めまいに苓桂朮甘湯とか。

病名から漢方薬を選ぶ方法

ネットでよくあるのは「子宮筋腫に効く漢方薬は〇〇湯だ!」みたいに断言しているやつです。

漢方薬を選ぶ時って、大半の医者も漢方薬局の先生も、病名から漢方薬を選ぼうとするのですが、漢方薬と病名って、実は何の関係もないのですよ。

あれって、某漢方薬メーカーさんが作ったマニュアルがあって、そのマニュアルを見ると、ニキビの欄に十味敗毒湯って書いてあります。

単純に、それを見て選んでいるのです。

同じく、めまいの場合も、めまいという欄に苓桂朮甘湯って書いてあるので、それを見て選んでいるだけです。

それの何が問題かというと、みなさん、なんとなく「漢方薬って体質に合わせて選ぶもの」ってご存知だと思うのですが、それが正解で漢方薬って体質に合わせて選ぶものなのですが、さっきのニキビとかめまいとか、病院で診断される病名って、体質のことじゃないのです。

だから体質から選ばないといけない漢方薬を病名から選んだって、意味がないのです。

病名に合わせて漢方薬を選ぶわけがない理由

漢方薬は古代中国の今から2000年前に登場しています。

この時点で、漢方薬を選ぶための「体質の診断方法」というものが、すでにあって、体質に合わせて漢方薬を選んでいました。

当たり前ですが、その時代に漢方薬だけがあったって、それを「どんな時に、どんな人に使えば治るのか?」がわからなければ、飲んでもらいようがないですよね。

その「体質の診断方法」とは、普段の生活状況や体全体の状態や症状を聞いて、「体全体」がどんな状態なのかを分析していくものです。

その頃は、検査機械も手術の道具もない時代ですが、漢方のすごいところって、そんな古い時代で、すでに人間の体内の働きとか、漢方薬の絶妙な配合だけでなく、体質を分析する方法なんかがノウハウとして完璧にできあがっていたことなんです。

更にすごいのは!2000年経った今も、その時の方法が受け継がれていて、2000年後の現代の僕らの病気も普通に治療できちゃうことなんです。

そんな古代の診断方法は現代に通用しないだろ!なんて思う人もいるかもしれないですが、それは違います。

なぜなら人間自体の体は何も変わっていないからです。

でも、そんなすごい治療ができるのは、あくまで『体質に合わせて選んだ漢方薬を飲んだ場合』のみなんです。

症状や病名をもとに漢方薬を選んでも治りません。

そして、現代、漢方薬を選ぶときに使っている「病名」というのは西洋医学の名称で、この名称や考え方が使われ始めたのは欧米で200年前位から。

そう、これは、おかしいのですよ。

2000年前の中国で治療薬として使われていた漢方薬。

その1800年後の欧米で始まった「病名」という名称や考え方。

古代中国では、すでに漢方薬を選ぶために体質を分析する方法がありますが、その時に西洋医学の病名は存在しません。

なのに、現代の漢方では、古代の漢方の時代から、わざわざ1800年経った後の西洋医学の名称や考え方である病名に合わせて漢方薬を選んでいるのです。

当たり前ですが、漢方薬を使うのなら、単純にその時にセットになっている『体質を診断する方法』で体質を診断して、体質に合わせて漢方薬を選べばいいだけですよね。

わざわざ筋の通っていない意味不明な方法で選んでいるから、そんな漢方薬を飲んだって効果を感じることができるわけがないのですね。

症状に合わせて漢方薬を選ぶわけがない理由

次に症状に合わせて漢方薬を選ぶ方法。

残念ながら、これも間違いです。

これは医者や漢方薬局の先生だけでなく一般の人もこの選び方、よくやってますよね。

「頭痛に五苓散」とか、「胃もたれに六君子湯」みたいな。

その漢方薬を飲んだら、その症状が治るみたいに誤解されている方が多いです。

漢方薬は確かに症状を治してくれますが、漢方薬って病院の薬みたいに症状を直接、治すのものではないのです。

症状から選ぶ漢方薬の勘違いって、何から起こっているかというと、多分、病院の薬の効果とごっちゃになってるから。

病院の薬は対症療法と言って、体内の痛みを発生させる成分を薬の有効成分が無理やり抑えてしまいます。

無理やり抑えるから、薬を飲めば、頭痛はなくなります。

漢方薬もこれと同じように考えている人が多いのです。

例えば、頭痛にマニュアル的に使われる五苓散には、頭痛の痛みを発生させる成分を抑える成分などは一切入ってません。

なので、五苓散は頭痛の薬じゃないのです。

じゃあ、何の薬かというと、漢方の専門的な診断用語でいうと「水証」と「気の上衝の証」が重なったものが原因で頭痛が起こっている人に対して選ぶものです。

ちょっと難しいですが、これは気が頭に上がってきて、それに釣られて水の巡りも頭に上がってくる、気と水が頭に余分に充満しちゃって頭痛を起こしているという状態。

症状的には、喉が渇いてジャンジャン、水を飲んでるのにそれほどオシッコが出ない、水分はどんどん増えているけど、水は出てなくて、その分、の水が頭の方に偏っちゃている人に使います。

例えば、これが月経の時に頭痛になる人は、五苓散のような気の巡りとか水の巡りなんかは関係なく、血の巡りの悪さが原因だったりします。

となると、水の巡りと血の巡りなんて、どちらも関係がないので、もはや同じ頭痛でも違う病気みたいなものなので、月経の時の頭痛は五苓散では治せません。

病院の薬は、何の原因から発生した頭痛かは関係なく、頭痛の痛みを発生させる物質を抑えます。

原因ではなく表面の状態を抑えるわけです。

これを抑えるだけなので、逆に「下痢、異常な喉の渇きを伴っている人の頭痛」や「月経の時の頭痛のある人」など原因が違っていても、一定時間だけ痛みを取ることができます。

でも、漢方薬は、痛みを発生する物質を抑える成分は入ってないので、その頭痛を起こす「原因」に合わせて選ばないと効かないのです。

なので、「頭痛」という「症状」だけに対して漢方薬を選ぶのは不可能になります。

症状だけだと原因を分析できていないので。

漢方薬は頭痛という悩みの症状が1つであっても、ちゃんと全身の症状や状態を調べて、何が原因かを詳しく分析して選ぶのです。

ちなみに頭痛を原因別に分けて考えていくと、そのタイプによって、30種類くらいの漢方薬が考えられるので、その中から一番、自分の原因にあってそうなものを選びます。

まとめ

今の漢方薬の選び方って、どの先生も本来の体質分析をやっていないのです。

こういう経験のある人が多いと思いますが、病院で漢方薬を処方される時に、20分とかかけて全身の状態とか症状、生活状況を詳細にを聞かれた人っていますか?

みんなやっていることは、「ある病名や症状にこの漢方薬が合うだろう」と勝手なマニュアルを作って、そのマニュアルをみて処方しているだけ。

症状を詳しく聞いたり、問診をとっているところもありますが、あれもポーズだけのところが多く、結局、最終的には頭痛に五苓散みたいに症状に合わせてテキトーに選んでいるだけなんですよ。

こんな誰でもできることが2000年も前から皇帝を治療する宮廷医学としてあるものだと思います?

そんなわけがないです。

このやり方が本物なのであれば、今みたいにあまり効かないでしょうから、今頃、漢方薬って存在自体も無くなっているはずです。

どちらにしろ漢方薬の場合は病名や症状ではなく、「症状の原因と治療」が一致しないと治らないのです。

今、病院や漢方薬局で当たり前のように行われている、病名や症状をもとに漢方薬を選ぶ方法は、深く考えてみたらデタラメなのです。

Youtubeでも漢方薬の効果のことが解説されていたりしますが、これもデタラメに近いものばかりです。

病院の薬は症状そのものを抑える薬を選びますが、漢方薬は原因を治せば、結果的に症状がなくなるというもので西洋医学とは全然、違うものです。

こう言った、人それぞれの原因のことを漢方では『証』といいます。これがみんなが呼んでいる体質のことですね。

本来の漢方治療は、こうやって体全体の状態を分析して、「証」を診断し、その証に合わせて数百種類の漢方薬の中から、あなたに一番合っていると考えられるものを選ぶのですね。

証から漢方薬を選んでいないから、「漢方薬って効果があるのかどうかわからない」ってなってしまうのです。

むしろ、最初から本来の方法で選んでいないのに治る方がおかしいですよ。

「漢方薬って効果がないよな」って思っている方、今度はちゃんと体質を分析してもらってから漢方薬を飲んでみてください。

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ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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