漢方薬相談ブログ

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これであなたも薬膳師!体に良い食べ物の秘密は〇〇だった(前編)

  1. 食べ物の効果の基本は五味
  2. 東洋医学の効果の考え方
  3. 五味の効果とは
  4. 五味以外の味の効果
  5. まとめ

食べ物には、色々な効果があります。

例えば、白菜は、モリブデンが多く含まれていて、ニトロソアミンという発癌物質の合成を邪魔します。

ビタミンB6も多く含まれるので、ビタミンB6は欠乏すると、口内炎や皮膚炎が発生しやすくなります。

こういった解説は、一見、わかりやすいですが、よく考えてみると、実際に発がん性物質の合成を邪魔しているのかは実感できませんし、口内炎も果たしてビタミンB6が不足して発生しているのかもわかりません。

他にも口内炎になる原因は色々とありますので。

これらは、栄養学や西洋医学的な分析に基づいたものになります。

たまに薬膳教室で、こういった栄養学や西洋医学的な効果を薬膳効果として、説明する人がいますが、これは大きな間違いです。

薬膳、つまり東洋医学の食べ物の効果というのは、もっと実生活に密着している感じです。

例えば、先ほどの白菜だと「消食下気」といって、上がりすぎている気を降ろして胃腸の機能を強化します。

「通便」という効果で、便秘を解消します。

割とダイレクトに生活に密着している感じが、『東洋医学の考える食べ物の効果』なのです。

薬膳的な効果は、これだけでなく、他にも食べ物が持っている属性や性質などもあり、その効果の原点は、味と関係しています。

今回は、東洋医学から考える食べ物の奥深い効果の基本中の基本を解説していきたいと思います。

食べ物の効果の基本は五味

薬膳的効果、つまり東洋医学的な食べ物の効果の考え方は、割と普段の生活に密着しています。

ただ、先に説明したような栄養学や西洋医学的な考え方とは全く違うため、気、血、水、五臓六腑なんかも出てきたりして、なんだか難しく感じるのです。

でも、面白いのは、食べもの効果の基本は『味』なんです。

『五味』という味があって、それぞれ味によって効果が変わってきます。

五味は、「辛味」、「甘味」、「酸味」、「苦味」、「塩からい味」の5つ。

これ以外に、渋、淡、旨み、芳香があります。

基本となるのは、「五味」です。

味は、体に対する効果があり、色々な料理は、その味の組み合わせによって、成り立っています。

たまに「料理なんて、お腹に入れば一緒!」なんていう感じで、美味いか、不味いかを気にしない人がいますが、味には効果があり、その味の組み合わせが料理なので、料理が美味しいかどうかは、実は、体に良いのかどうかにも関わっているのです。

薬膳的に食べ物の味の効果や性質がわかると、料理の感覚もあがって、美味しい料理がつくれるようになると思います。

東洋医学の効果の考え方

それでは、五味のそれぞれの効果を解説していきたいと思いますが、その前に東洋医学の重要なことをお話しします。

これが理解できていないと、東洋医学アルアルで、薬膳的効果というのを根本から誤解して理解してしまって、後は、いくら勉強しても、全部、間違えて進んでいくことになります。

『効果』というと、「からだに良い」と考えがちですが、東洋医学に出てくる効果というのは、『体に良い』という意味ではなく、『体に何からの影響を与える』というもの。

栄養学的には、ビタミンB6が不足すれば、口内炎になりやすいので、ビタミンB6をとれば、口内炎ができ辛くなる。みたいな、良い効果しかない感じに思います。

しかし、東洋医学では、温める効果があるものや、冷やす効果のものがあって、冷えている人が温まる効果のあるものを食べるのは、良い効果になるのですが、冷やす効果のものは、逆に毒になるのです。

ですので、東洋医学的には、『誰にとっても良い効果』というものは存在せず、最初に知っておかないといけないのは、「自分の状態が冷えているのか、不要な熱がこもっているのかを知る必要があるのです。

今の自分の体質に合ったものは、結果的に良い効果となり、合っていないものは、悪い効果となるので、食べ物自体に良い効果とか、悪い効果はありません。

選び間違えるから良い効果であったり、悪い効果になったりするのです。

この効果の考え方は、漢方薬でも同じで、ある漢方薬の効果が高いから効くわけではなく、合っていれば、良い効果となって治るし、合っていなければ、悪い効果となって副作用を起こします。

例えば、下痢には、冷えが原因の場合と熱がこもったことが原因のタイプがあります。

一般的に下痢は、冷えてなりやすいと考えがちですが、熱がこもっていることが原因のタイプもあり、そのタイプが温めて治す漢方薬を飲むと、熱が余計にこもって、下痢はひどくなるのです。

東洋医学の効果は、「良い効果」ではなく、「体に何らかの変化を与えるもの」と覚えておいてください。

五味の効果とは

【辛味】
七味なんかのピリ辛ってやつです。

「散」という発汗の効果があり、気を巡らせる効果があります。

滞った気を発散させたり、体内にこもった不要な熱や冷えにつながる寒さなどを体外へと出します。

例えば、のぼせの原因が不要な熱だった場合に、「散」の効果で熱を飛ばして、のぼせを治します。

漢方薬になると、この散が発表という作用に強くなって、ウィルスなどを体外へ追い出します。

発散が強すぎたり体質との相性が悪いと、気が抜けてやる気がなくなったり、汗が出過ぎて、疲れが強くなったりします。

また、辛いものは腸を傷つけることがあります。

生姜やネギがこれに当てはまります。

【甘味】
エネルギーを補います。

このエネルギーは人間が活動する上での根源的なエネルギーとなります。

東洋医学では「滋補」という効果となります。

また緊張した筋肉や気を緩める効果もあります。

疲れを癒すエネルギー補充はもちろんのこと、ストレスで緊張した状態や筋肉の凝りなどをほぐしてくれる効果となります。

緩める効果が、あなたの体質よりも強ければ、胃もたれや、やる気がなくなるなどを引き起こします。

また、体に余分な熱や水がこもりやすくなる性質も持っているので、例えば、湿疹の人は、皮膚に不要な水が溜まって、皮膚が破れやすくなり、湿疹がひどくなります。

米や小麦、サツマイモがこれにあてはまります。

【酸味】
辛味とは正反対の気や汗が体外に出ないように留める「収」という効果があります。

汗が漏れ出ないようにしたり、気が抜けないように体内に留めます。

例えば、汗が出過ぎて、ホットフラッシュみたいになっている場合、散の効果のものを食べると余計に汗が出て、脱汗のようにひどくなります。

そうなった時に逆に酸味で収斂させて、汗などを抑えるのです。

東洋医学は、どんな体質の人にとっても、良い効果というものはありませんので、不要な水が溜まっている状態で、酸味のものを摂り過ぎると水が余計に溜まるということになります。

酢やレモンがこれにあてはまります。

【苦味】
苦い味は、気を降ろす効果です。

東洋医学では「降」の効果といいます。

例えば、頭痛やめまいの原因が、気が昇りすぎて発生していることがあり、頭に溜まって滞っている気を体の下方に降ろして、全体の巡りを調整して、頭痛を解消します。

また、燥といって、体の余分な水を排出して、むくみなどを解消してくれます。

気が上ってきていない状態で「降」の効果が発揮されると気陥といって、気が落ち込みすぎて、やる気がなくなったり、消化器の機能が落ちたりします。

燥もむくみなどの余分な水がない状態で、「燥」の効果が発揮されると、肌が乾燥したり、唇がひび割れたりします。

ごぼうやゴウヤなどがこれにあてはまります。

【塩味】
漢方では、正式には塩の漢字の部分に普段は使わない「かん」と呼ぶ漢字を使います。

堅いものを柔らかくする効果があります。

オシッコや関節の痛み、耳などに関わる腎の臓のエネルギー源でもあります。

摂りすぎたり、体質との相性が悪いと腎臓に負担がかかり、夜中のオシッコが発生したり、血圧が高くなったり、その関連で血糖が高くなったりします。

塩や昆布などがこれにあてはまります。

以上、これらが、基本的な味である五味となります。

五味以外の味の効果

五味以外にも補助的に5つの味があり、味それぞれに効果があります。

【渋味】
渋い味で収斂の働きがあり、固める効果があります。

軟便を固めたりしてくれます。

逆に便秘だとよけいに硬くしたり、摂りすぎたり、体質との相性が悪いと、血の巡りを悪くしたりもします。

ほうれん草やギンナンがこれにあてはまります。

【淡味】
余分な水分を排泄する効果があります。

摂りすぎたり、体質との相性が悪いと肌が乾燥したり、頻尿になったりします。

山芋がこれにあてはまります。

【旨味】
肉や魚に多くエネルギーを得る補養の効果や利尿の効果があります。

消化しにくいことが特徴です。

【芳香】
味ではないですが、東洋医学では、香りにも効果があると考えます。

ハーブにあるように香りによって、色々な効果がありますが、代表的には、精神の安定や臭みを消す効果があります。

ミントやシソは、気の発散を行い、精神の安定をはかってくれますが、芳香が強いものは、気を上らせたり、胃に負担が強かったりします。

まとめ

味に何らかの効果があり、その効果を利用します。

気をつけないといけないのは、よくある「〇〇に効果があって良い!」というものではなく、今の自分の体質にとって良いのかどうかです。

例えば、甘味は、根源的なエネルギーとして必要ですが、裏の作用は、緩めたり、水を溜めたりする作用なので、胃もたれがあって、かくとジュクジュクする湿疹の人にとっては、効果どころか、「毒」になります。

言ってしまえば、食べ物なんて、どれも良い効果があるわけです。

どれもが良い効果なら、特に選ばなくともなんでも好きに食べたら?って話になりますよね。

そうではなく、「今の自分の体質にとって何が良い効果なのか?」

それと、サプリのエキスようにたくさん食べれば良くなるというものではありません。

あくまで今の自分の体質にとって、ちょうど良い量かどうか、少ないのも食べすぎてもダメです。

ですので、薬膳は、食べ物の効果を考える前に、『今の自分の体質は何なのか?』

これが出発点にならないといけないのです。

薬膳の基本は、食べ物の効果を覚えることではなく、体質を分析できるかどうかにかかってくるということです。

食べ物の効果は、この他にも、「熱いとか寒い」という「四気」や、どの臓器に効いていくのかという「入経」、四季のいつに食べればよいのかという「旬」という要素もありますので、それは、次回にでも紹介したいと思います。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 医心方:出版科学総合研究所
◯ 東方栄養新書:メディカルユーコン
◯ 中医薬膳学:東洋学術出版社
◯ 薬膳素材辞典:源草社
◯ 食養生の知恵 薬膳食典食物性味表:日本中医学院
◯ 薬膳と漢方の食材小事典:日本文芸社
◯ 素問:たにぐち書店

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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