漢方薬の種類が多いのは人の体質の数だけ必要だから
漢方薬は保険適応が認められているものだけで200種類ほどあります。
保険適応で使われている漢方薬は漢方薬全体からみるとその一部ですので、本来は、これの倍以上の処方があります。
保険適応の漢方薬が200種類ほどに限定されているのは、治療上のことではなく、あくまで薬の法律上の問題だけで認可されている数となります。
一方、病院の薬は、たくさんの種類があるように思いますが薬理、つまり効果の系統からみると実はそれほどの種類はありません。
効果の強さや作用時間の違い、同じ薬でも製造する製薬メーカーの違いなど、ちょっとした違いだけで薬の名前が変わるので、ものすごくたくさんの種類があるように思うのですね。
でも、効果の使い道で考えたら漢方薬に比べてかなり少ないのではないかと思います。
では漢方薬は、なぜ、こんなにも薬の種類があるのでしょうか?
それは、漢方薬は人それぞれの体質に合わせる薬だからです。
漢方薬の効果は病院の薬の効果とは違う
漢方薬は、病院の薬と違って直接、症状を抑える『効果』とか『成分』が存在しません。
その人のその時点の体質を分析し、漢方薬の効果は、その体質を調整するものです。
病院は「頭痛を止める漢方薬(例えば五苓散)」とか、「かゆみを止める漢方薬(例えば消風散)」とか、漢方薬が病院の薬のように症状を止めてくれる効果があるかのように漢方薬を選んでいますが、『漢方薬は症状から選びません』。
漢方薬は『温める効果があるから、冷えの人に良い』のではなく、冷えの人にもいろいろな体質(原因)があり(例えば上半身は暑いが、足はすごく冷える冷えとか、手も足も冷え、全身が冷えて体力がない人の冷えなど)
全身の状態をみていくと、人それぞれの複雑な冷えがあり、その複雑な冷えを単純に温めるというよりは、体が冷えている原因を考えて、全身のバランスを整えて、冷えないように調整するのが漢方薬です。
漢方薬の効果は『漢方薬=体質』であり『体質=漢方薬』なのです。
東洋医学的な体質である「証」
全身の症状や現在の生活環境などから漢方で「証」とよばれる体質を分析します。
「証」とはすなわち、体の中の病気の原因のことで、バランスを崩している悪い部分ですもあります。
この「証」は、1つではなく複数にまたがりますが、この複数の「証」を全部一度に治してくれるのが漢方薬なので、漢方薬の効果は『証=漢方薬』で選びます。
『病名や症状では選びません』
「証」は東洋医学の基礎理論がわかっていないと、なかなか理解するのが難しいですが、要するに「単純に当帰芍薬散自体に、何か良さそうな成分があったり、わかりやすい効果があるわけじゃない」ということです。
漢方薬は曖昧な医学ではないので、冷えだけに注目せず、「のぼせがあって、手はほてり、腰と足は冷える」みたいな全身の症状の組み合わせで病気の原因(証)を分析していきます。
例え気になっている症状が「冷え」であっても、治療する場合は、その人独自の体質全体をみます。
「冷え→漢方薬は温める効果→だから治る」なんて小学生でもできそうな簡単な治療ではないのです。
体内の臓器の働きにも個人差がある
人間は見た目で判断してしまいがちですが、顔や背丈、体格が人それぞれ違うように体内の働きにも個人差はあるのです。
だから西洋医学の薬は、個人差を完全に排除して、平均的な観点からしか人体を診ないので、その場しのぎの対処療法となってしまいます。
漢方薬は『体質=漢方薬』なので、その人それぞれの体質の分だけ漢方薬があるのですね。
そして、漢方薬は2千年以上の歴史があり、2千年前から、ものすごく人が多い中国で治療をされて、治ったり、治らなかったりの失敗と成功を繰り返して、どんな体質に人にどんな漢方薬が合うのか経験し、その経験を医学理論にかえてきたものです。
そういった膨大な数の『人間』を治療してきたので、漢方薬にはいろいろな種類があるのですね。
漢方薬を使って治療するにはコツが必要です。
それは、とても単純ですが難しいことです。
それは、その人のその時点の体質に合わせた漢方薬を選ぶということですね。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社
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