漢方薬相談ブログ

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漢方薬を飲み続ける期間ってどれくらい?

よく「先生に出してもらった漢方薬を3ヶ月から6ヶ月飲み続けていれば、だんだんと効いてくる」、もしくは「体質改善にはそれくらいの期間が必要」というウソが、常識になっています。

特に医者の間で。

誰が言いだしたのか分かりませんが、これは全くのウソです。

多分、病院の化学合成品の薬に比べて、漢方薬は自然のものが原料で食べ物に近いものだから、なんとなく作用が穏やかで時間がかかると思ったのでしょうか?

また、漢方薬を3ヶ月〜6ヶ月という期間、飲み続けていれば体質が変わるわけでもありません。

僕は漢方の古典から最近の著書まで、いろいろな漢方の本を読みますが『漢方薬は3ヶ月から6ヶ月飲み続けていれば、だんだんと効いてくる』とか『体質が改善する』なんて話はどこにも載っていません。

逆にそんなことが書いてある本が実在するなら教えてください!

では「3ヶ月から6ヶ月飲み続けていれば、だんだんと効いてくる」という話がウソなら、漢方薬はどれくらいで効いてくるのでしょうか?

漢方薬の2種類の効果の考え方

これを考える時に自分の病態(例えばアトピーなど)が『完全に治ること』『漢方薬の効果が現れはじめること』の2つは分けて、考えなければいけません。

これを一緒くたにして『効果』のことを考えると、ややこしくなります。

ちなみに病院の薬で「完全に治る」ことはありませんので、病院の薬で、いつ完全に治るのか、その期間を考える必要はありません。

病的な体質が変わって「完全に治ること」は、どれくらいの期間かかるのか?というと、答えは、わかりません。

僕が知識的にわからないのではなく、これは体質によって、人それぞれ違うからです。

体質が改善されるには、かかった年数だけかかるなんて言われているようです。

これは僕の漢方の師匠の受け売りです。

実際は、そこまで治療期間が、かかることはありませんが患っている期間が長いほど、治るまでに時間がかかります。

例えば、同じアトピーという病名の人でも違いがあります。

うちの実際の治験例を見ると「生まれてから33年間のひどいアトピーだった人」は、うちの治療でパッと見た感じ、アトピーとわからなくなるまで8ヶ月間が必要でした。

「小学生からアトピーでアトピー歴15年位でこの7年位前から、よりひどくなったアトピーの人」は3ヶ月で、ほぼ完治しました。

同じアトピーなのに、なんでこんなに期間の差が!!と思うかもしれないですが、そもそも便宜上、どちらも「アトピー」を主訴として病名が診断されていますが、それは西洋医学での話。

実は2人は、本来の東洋医学理論で病的体質である「証」でみると、全く違う体質だということがわかります。

当然、処方してきた漢方薬も、アドバイスしてきた生活の養生方法も全く違うものになります。

漢方的に見たら、同じアトピーの人でも全然、違う病気の人を比べるようなものですね。

病院で診断するアトピーとは、ざっくり「皮膚の湿疹が繰り返し治らない人」のことを言ってるだけなので、「汁でグチュグチュになる月経不順の女性のアトピー」も「乾燥して皮膚がヒビだらけの胃痛がある男性のアトピー」も、どっちも一緒の病気としてみています。

この女性と男性が、どっちも全く一緒の体質だと思います?

当然ですが、皮膚以外の全身を診ていけば、誰一人として同じような体質の人はいないことがわかります。

なので、医者が全身の詳しい問診もとらないで『アトピーに十味敗毒湯』とか『アトピーに消風散』を処方していることが、いかに的外れでデタラメなことをやっているかがわかります。

  • 体質も違う。
  • 生活養生も違う。
  • 飲む漢方薬の種類も違う(病院はマニュアル処方なので一緒かもしれないですが)

みんな、それぞれ違うのに、治る期間が一律「3ヶ月から6ヶ月」なんて、おかしいと思いませんか?

『漢方薬はどれくらいの期間、飲み続けるれば治るのか?』

その答えは、人それぞれの体質によるとしかいいようがないのです。

ただし、うちではいろいろな経験があるので、始めにある程度、目安をつけることはできます。

漢方薬の効果が現れはじめるのは?

「漢方薬の効果が現れはじめる」期間はいつでしょうか?

これも「漢方薬は3ヶ月から6ヶ月飲み続けていれば、だんだんと効いてくる」というものではありません。

答えは…

『永遠に効かないか』

『早ければ3日後、僕の経験上では7日目以降』から変化が現れ始めます。

そして、これは慢性病の治療の場合。

風邪や急性の頭痛や下痢などは、1週間も待ってたら、大抵の人は何もしなくても耐えれば、自然に治りますので風邪などの普段はない急性病の場合は、1日単位で変化をみます。

本当は1袋単位って言ってもいいくらいですが、それは僕の家族くらいしかできません。

実際、僕の家族が病気になった場合、病院には行かないので、漢方薬を1袋単位で変更していって治療します。

『漢方薬が永遠に効かない」というのはどういうことなのかというと、漢方薬は病院の薬のようにある有効成分が何か1つの症状(例えば頭痛)を止めるわけではありません。

漢方では「症状」の考え方が西洋医学と違います。

西洋医学では「症状」自体を一時的に抑えることを目的としていますが、漢方では「症状」は体内のいろいろな臓器などの働きや連携がうまくいかなくなって、それを知らせるための警告サインとして症状が出ていると考えます。

だから、漢方では症状を直接、無くすための治療はしません。

警告サインとして出ている症状などをヒントに体のどこのバランスがどんな風におかしくなっているのかを分析して、そのおかしなところや崩れたバラはを取り戻すことができるように漢方薬を選びます。

そうして体内のアンバランスを調整する漢方薬がピッタリと合えば、自ずと警告サインである症状はなくなっていきます。

こんな風に治療するので、『体質の分析や判断』が間違っていたり、『選ぶ漢方薬』が間違っていたり、『その両方』が間違っていたりしたら、いくら飲み続けても『漢方薬は永遠に効かない』のです。

3ヶ月や半年どころか、合っているかどうかが問題で、その合っているかどうは、漢方の本に書いてあるとか、医者が用意したしシートに書いているなんてことは一切、関係がないのです

その時、その時の人それぞれの体質を先生が自分自身で考える必要があります。

保険適応の漢方薬は病名マニュアルで選んでいるので、そもそもが、いい加減な診断ですから『たまたま当たればラッキー』『永遠に効かなくて当たり前』といった感じです。

医者は何度か漢方薬を処方した時、良くならない患者さんに「病気が重いから10年以上かかるかも」と説明している話を聞きますが、そんなのは全くのデタラメです。

これは体質判断や選ぶ漢方薬が、間違っているので「永遠に効きません」

永遠に効かないどころか、間違った漢方薬の影響で悪い体質に徐々に作りかえられ、新しいこじれた病気が増えます。

これを漢方では『誤治、壊病』といいます。

誤治壊病に関しては記事下にリンク記事が貼ってありますので、よろしければ読んでみてください。

漢方薬の効果は早ければ3日後、僕の経験上では7日以降から

分析し診断した体質が合っていて、更に選んだ漢方薬が合っていれば、「早ければ3日後、僕の経験上では7日以降」から体の変化がでてきます。

ただし、ただしですよ。

ここが重要ですが、漢方薬は症状を無くすことが目的ではなく、体全体の調整が主な目的です。

なので、かならずしも最初の効果が、自分の治ってほしい症状から治るとは限りません。

また「漢方薬が体質と合っている」というのは一定期間を飲まれた後の結果を全身いろいろと検証して判断できます。

また単純に体質と漢方薬が合っていない副作用が出ることもあります。

その辺の判断は、処方した先生に聞くしかありません。

そして、症状の変化はデコボコです。

漢方は飲まれる前に全身の状態をみているはず?ですので、ちゃんと、みればみるほど体のいろいろな不調が見えますが、治るのは全部同時ではなく、「治るところ」や「そのままのところ」、「ちょっと悪くなるところ」など、デコボコに現れます。

それらを総合的に評価して、同じ漢方薬を続けるか、違う漢方薬に変更していくかを決めます。

ご自身でとりあえず、漢方薬は3ヶ月から6ヶ月かかるから、6ヶ月で治らなかったら、やめようというのは本来の漢方治療ではありません。

治る速度は、人それぞれで治る期間は3ヶ月とか6ヶ月と決まっているわけではないですから。

逆も然りで、状態が何も変わらないのに『2ヶ月も3ヶ月も、同じ漢方薬を飲み続ける』のも本来の漢方治療ではありません。

毎回、一定期間(4週間など)、区切ったところで体の変化を見直して、その度に1歩ずつでも、治療が進んでいるかを確認することが漢方治療です。

2ヶ月も3ヶ月も同じ漢方薬を飲み続けて何も変わらない人は、その先生を問い詰めたほうがいいですよ。

「どれくらいで、体の何がどう変わってくるのか?」を。

ただ、マニュアル見て選んでいるだけの医者やナンチャッテ漢方薬局の先生には答えられないと思いますが。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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