漢方薬相談ブログ

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サプリや食べ物の有効成分は当てにならない!漢方からみた食べ物の効能効果

一般的にサプリメントや食べ物の効能効果と言われているものは『西洋医学の栄養学』から考えられたものです。

その食べ物の中にどんな良い成分が含まれているか。

例えばゴマならゴマリグナンとか、トマトならリコピンとか、レモンのビタミンCなんかも効能効果のある有効成分ですね。

良い成分を摂れば体が元気になる!

漢方(東洋医学)からみると、これには大きな問題があります。

根本的な問題は、そもそも有効成分と言われているものは現時点の科学で発見されている有効成分だと思われるものです。

これから先、科学が進んで機械の分析能力が上がれば、現在、有効成分だと思われているものは、実は体に悪いことがわかったり、今の有効成分以外にも有効成分であるものはたくさん見つかると思います。

レモンはビタミンCと水だけでできているわけではないのです。

もう一つの問題は、食べ物に含まれるビタミンやミネラル、酵素など有効成分だと呼ばれるものは、『体内で単独で働いているわけではない』ということ。

いろいろな種類のビタミン、ミネラル、酵素、アミノ酸などが絡み合って効果を発揮し健康を維持しています。

カルシウムの働きは骨をつくる原料になります。

カルシウム単体でみてみると、働きがわかっていますが『他の無数のミネラルや酵素と合わさった時に実際にどう働いているのか?』はわかっていません。

また、今わかっている部分もあくまで、平均的な効能効果であって、個人差を考えたら、実際はどんな効能効果になっているのか、全く予想もできていません。

有効成分だと呼ばれているものも、絶対的にいいものとは限らないのです。

カルシウムは体内でいろいろな働きに関わってます。

カルシウム不足は骨粗鬆症などの病気になると言われますが、カルシウム自体が増えすぎると尿管結石などの結石の元になることもあります。

つまり、多すぎても、少なすぎてもダメ!

そしてその量には個人差もあるのです。

食べ物の有効成分の効果だけでなく、その成分を体内の臓器が処理するときの負担の問題もあります。

消化が悪かったり、肝臓での酵素の合成が悪かったりすると、有効成分の働き通りにはいきません。

西洋医学や西洋医学を基準にした栄養学は有効成分だけしかみていないし、個人差なく効果がある!というトンデモな前提があり、この見方には、危険性があります。

それに『人間は栄養素が不足しているからという理由だけ』で、病気になっているのではないのです。

漢方の考える食べ物の効果(食性)

漢方では食べ物の効能効果を考える場合に、どんな有効成分が含まれているかどうかは考えません。

実は『食べ物の効能効果の考え方』『漢方薬の効能効果の考え方』は同じです。

差がありません。

漢方では有効成分ではなく、食性で食べ物の効能効果を考えます。

食性とは『寒熱』『昇降』『収散』『潤燥』『毒性』で、これらが、その食べ物が持っている効果と考えます。

たまに「その食べ物は温める性質で…その食べ物は冷やす性質で…」と温めるか、冷やすかだけで語る先生がいますが、それは食性の『寒熱』という一要素だけであって、食べ物の効能効果は『寒熱』だけではありません。

あと寒性の食べ物も温めたり、炒めたり熱を加えたら、温性に変わるという人がいますが、これも厳密には間違いです。

温めたり、炒めて食性が変わるものもありますが、性質が変わらないものもあります。

寒熱
単純に「温める食べ物か?冷やす食べ物か?」をみるわけではありません。

寒熱の段階は中間の「丙」から「寒←涼←丙→温→熱」と5段階があります。

見方は漢方は陰陽の考え方なので、冷やされるのも体内に熱が入りすぎるのも「同じくらいの害」という考え方なので真ん中の「丙」という温めも冷やしもしない食べ物がゼロ地点として「温めるもの→熱になるもの」という段階があり、冷やす方も「少し冷やす涼のもの→冷やすもの」という段階があります。

昇降
西洋医学的な部分からだけみると、なんの作用なのかわかりませんね。

漢方では熱は上に上がりやすく、例えば、のぼせなどは熱や気が顔などに昇った後に滞って起こる症状です。

水は下にたまりやすく例えば水が下半身に降りて溜まることによってむくみが起こったりと気や熱、水が昇っている状態をみたり、降りている状態をみます。

食べ物に、この性質があって、昇の気や熱などを昇らせる性質なのか、降の降ろす性質なのかをみます。

収散
収とは汗や気を体から漏れないように体内に収める作用です。

収める力が強すぎるとストレスや老廃物など、いろいろなものがたまります。

散は逆に体の外へ出すべき寒やウィルス、余分な熱を追い出す作用です。

発散が強すぎると湿疹だと爆発したり、気が漏れて疲れます。

潤燥
潤は体の乾燥を潤します。

肌を潤したり、喉の乾きを潤したりする作用です。

潤が強すぎると鼻水やむくみなどがひどくなります。

燥は体に溜まった余分な水を乾かします。

燥が強すぎると粘膜が傷つきやすくなっりします。


ふぐのように誰にとっても毒のものもあります。

また、妊婦さんや余分な熱がこもっている体質の人に限っての毒など体質のタイプによって毒となるものもあります。

毒は大毒、中毒、小毒、無毒と分けられます。

トリカブトは猛毒ですが体質タイプや量によっては、とても良い薬になります。

どの臓器に効くのか?(入経・帰経)

食性から更に食べ物には「入経」といって、食べ物が体のどこの部分に入って作用するかを示しています。

※入経は帰経とも言います。

体の作用する臓腑は以下となります。

心の臓、肺の臓、肝の臓、脾の臓、腎の臓、小腸、大腸、胆、胃、膀胱、心包絡、三焦
※西洋医学の臓腑とは異なります。

弱っている臓器の機能を回復してくれますが、その臓器に作用しすぎると逆に臓器の機能が悪くなります。

五味

味は美味しさなどの味覚のことだけでなく、味が体に与える作用があります。

基本は『酸味』『苦味』『心味』『甘味』『辛味』『鹹(塩辛い)』の5つです。

酸っぱい味は収の作用で肝の臓に作用し摂りすぎると胃腸を傷つけます。

苦い味は降、燥の作用で心の臓に作用し熱が多く水の少ない人は摂りすぎてはいけません。

甘い味は滋養で体力やエネルギーを補い消化器系に作用し摂りすぎると体に余分な熱がこもり水がたまり吐き気を誘います。

塩辛い味は硬いものを柔らかくし腎の臓に作用し摂りすぎると腎の臓の負担になります。

五味の他に淡味、収味、旨味、コク、香ばしい味、香りがあります。

淡い味は余分な水分を排出し、渋い味は収と固める作用があり、旨味は滋養がありますが、消化に悪いです。

香りは臭みを精神安定と消化促進の作用がありますが摂りすぎると気が昇って滞ります。

漢方では陰陽表裏一体なので、摂りすぎると毒となり体を悪くします。

良い食べ物は食べすぎても食べなさすぎてもダメです。

「あなたの体質」にとって丁度がベストです。

旬のもの

旬のものは、その時期でもっとも栄養がのっているものです。

旬のものは体に良いとされています。

逆に旬でないものは「その季節のあなたの体質」に合わない可能性が高いです。

たくさん採れるものなので、スーパーでも安くで買えるのでお得です。

あなたによって良い食べ物かどうか

漢方では西洋医学のように「有効成分が体に良良い食べ物」という考えかたではありません。

食べ物はどれも良いもので悪いものです。

重要なのは効能効果が、今の体質に合っているかどうかです。

単純に冷えて下半身のむくみなどが強い人は寒性で潤のトマトなどを食べるのは、例えリコピンが良さそうな成分でも体に悪いわけです。

漢方では単純に成分で体に良いのか?悪いのか?を考えません。

今の自分の体質と季節に合っているか?これが良い食べ物なのかどうかです。

自分の『現在の体質』に対して、

◯食性の『寒熱、昇降、収散、潤燥、毒性』

◯入経・帰経の『心の臓、肺の臓、肝の臓、脾の臓、腎の臓、小腸、大腸、胆、胃、膀胱、心包絡、三焦』

◯五味の『酸味、苦味、心味、甘味、辛味、鹹(塩辛い)』

◯旬の『四季の食べ物』

これらを織り交ぜて分析し、あなたにとって良い効果の食べ物を選ぶわけです。

漢方薬も基本的には、この法則に則っています。

漢方薬の作用なんかは、もうちょっと複雑にはなってきますが。

実は科学的な有効成分も厳密に考えれば、「今の体で本当に不足しているのか?」

「他の成分との組み合わせを考えた場合、何がどれくらい必要なのか?を」考える必要がありますが、個人差を考えれば、答えがありません。

ただ「良さそうって言われている成分を食べれば効果があって健康になる」なんて人間の体ってそんなに単純じゃないのですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 医心方:出版科学総合研究所
◯ 東方栄養新書:メディカルユーコン
◯ 中医薬膳学:東洋学術出版社
◯ 薬膳素材辞典:源草社
◯ 食養生の知恵 薬膳食典食物性味表:日本中医学院
◯ 薬膳と漢方の食材小事典:日本文芸社
◯ 素問:たにぐち書店

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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