ステロイドって結局、良い薬?悪い薬?
- 副作用を正しく知っておこう
- ステロイドの1つの良い効果
- ステロイドの7つの悪い効果
- ステロイドは矛盾した薬
- なぜ、かゆくなるのか?
- ステロイド剤の正しい使い方
- ステロイドの真の怖さ
- 漢方のアトピー治療は一時しのぎの対症療法ではない
アトピーなどに使うステロイド剤は、副作用が怖い!というイメージがありますね。
実際に皮膚科の診察現場でも「ステロイドは副作用が強そうなので使いたくないです」という患者さんが多いです。
ではでは、実際、ステロイド剤って、どうなのでしょう?
実は医者はステロイド剤に限らず、自分が処方する薬の良い面しか説明しません。
でも、病院の薬がそんな都合良いわけがなく、薬は良い効果だけでなく、当然、副作用もあります。
ところが、副作用の本当の意味を医者も患者さんも誤解しているように思います。
もしかして、副作用を『滅多に起こらない作用』『運が悪ければ、たまに起こる作用』と考えていませんか?
副作用はそういったものではありません。
副作用は薬のもう一つの作用なのです。
副作用を正しく知っておこう
薬で良い効果しかないなんて、そんな都合の良いものはありません。
薬には副作用があります。
『副』という漢字がつくので、滅多に起こらないように思いますが、薬的には良い悪いを別として、通常の効果も副作用も同じくらいの強さの作用なのです。
例えば、鎮痛剤には2つの作用があります。
1 痛みを止める作用。
2 胃を荒らす作用。
これらは、鎮痛剤にある2つの作用です。
2の作用も1の作用と同じだけの効果を持っています。
なので、鎮痛剤は胃腸薬と抱き合わせで処方されます。
「なんで、いつも胃腸薬と一緒に出るのだろう?」と思いませんでした?
鎮痛剤は痛みを止めて、胃を荒らす2つの作用ですので、余分に胃を治す薬が必要になるのです。
医者は薬の良い効果しか説明しませんので、アトピーの人は、延々と治ることのないステロイド治療をしていたりします。
薬には良い効果も悪い効果も存在するのは確かなことなので、これからは患者さん自身も良い効果しか説明しない医者 に任せないで、薬の良い効果と同時に、悪い効果も理解した上で自分の治療を考えていく必要があると思います。
この記事では、『ステロイドの良い効果と悪い効果』を知って、その上でステロイド剤を使って治療していくのかを考えるために必要なことを書いていこうと思います。
ステロイドの1つの良い効果
アトピーのかゆみや何らかの痛みというのは炎症反応によって起こります。
炎症反応というのは血管を拡張させ、免疫である白血球を呼び寄せる免疫反応のことです。
これによって、炎症の起こった部分は、赤く腫れ、漿液などで、むくんで痛みやかゆみを発し、死んだ白血球が膿などになって外に漏れ出ます。
ステロイドの良い作用は、
1 炎症反応を抑制し、免疫を抑制する作用
ステロイドはこの一連の炎症反応を抑えて炎症を止め、免疫を抑制しますので、かゆみや痛みがなくなります。
痛みに関わるブラジキニンも抑制しますので、痛み自体も抑制します。
ステロイドの7つの悪い効果
ステロイドは1つの良い作用に対して7つの悪い作用があります。
1 感染症や菌にかかりやすくなる作用
良い作用の裏返しの効果です。
ステロイドの良い作用は免疫抑制です。
免疫は外的である菌やウィルスと戦って病気にならないようバリア役目がありますので免疫を抑制するということは菌や感染症にかかりやすくなります。
ステロイド剤を使えば使うほど、風邪をひきやすくなったり、アトピーとは別の菌による湿疹などが増えたりとステロイドによって新たな病気が発生します。
そもそも、かゆみや痛みの炎症反応は体内で戦いが起こっていることを警告するための機能です。
2 皮膚が作られなくなり薄くなる作用
タンパク質を分解してアミノ酸の血中濃度を上昇させアミノ酸の糖新生を促します。
タンパク質の分解によって皮膚が作られず、皮膚が薄くなります。
筋力低下にもつながります。
3 自分の副腎皮質が萎縮し弱くなっていく作用
人間の体は必要がないものは弱くなり、やがて使えなくなります。
体内のホルモン分泌にはフィードバック機構といって、常に必要量だけになるように自動で調整しようとする機能があります。
薬の人工的なステロイドが血中で多くなれば、副腎皮質は自前のステロイドの分泌を抑え、やがて機能は弱り、萎縮していきます。
4 脂肪の分解を促進し顔をなどを太らせる作用
脂肪の分解を促して手足の脂肪は減少して逆に背中や首、顔の脂肪は増えます。
痩せるかと思いきや、ダイエット的にみたら最低ですね。
この作用によって満月様顔であるクッシング症候群という新たな病気が現れます。
5 体内の水分を余分に貯める作用
ナトリウムイオンの再吸収で水分が体内で貯まりやすくなり、むくみやすくなります。
水分の貯まる状態は長期になると新たに高血圧にもつながります。
6 骨を減少させる作用
骨芽細胞の細胞自殺を促して、骨の細胞の機能を低下させ、骨をつくる機能が低下します。
新たに骨粗鬆症につながります。
7 血糖上昇作用
ステロイドは肝臓に働きかけて、アミノ酸を分解し、ブドウ糖をつくる働きである糖新生を促し、同時に体内の他の組織や器官での糖の利用を抑制することで血糖値を上昇させます。
血中の糖が上がるので長期になると新たに糖尿病になる可能性があります。
ステロイドは矛盾した薬
逆至れり、つくせりですね。(変な言葉でごめんなさい)
踏んだり蹴ったりといったほうがよいでしょうか。
一時的に1000円を借りるために後で7000円を支払う感じですね。
1000円の借金で、その場をしのぎながら、影のコストである7000円で借金が莫大になっていきます。
ステロイドの効果は『良い効果1つに対して7つの悪い効果』があります。
そのうちの1つの悪い効果は良い効果の裏返しで、『炎症反応を抑える代わりに感染しやすくなる』というなんとも皮肉な効果です。
なぜ、かゆくなるのか?
体のかゆみや赤み、痛みは、実はあなたに対して何も嫌がらせをしているわけではなく、本来の目的は感染症などで、死なないように備わっている体のごく当たり前の防御機能です。
そして体内で作られ、分泌されるステロイドは、ごく少量です。
四六時中、大量にステロイドを分泌していません。
ストレスがかかった時や炎症反応が強すぎた時に、自分で自分の体のバランスをみて分泌しています。
なぜなら、ステロイドばっかり出してたら、免疫が弱くなって、今度は外敵である菌やウィルスから体を守れないからです。
ステロイドばかりでは防御機能のない、いつでも死ねるムキ出しの裸状態の体になっているのです。
自分の体は自分で炎症反応、免疫活性化で感染から守り、行きすぎた炎症反応を副腎皮質からの自前のステロイドで抑制し、正反対のバランスをうまく微調整しているのです。
ステロイド剤の正しい使い方
『炎症が起こって、かゆかったり、痛いから炎症反応をなくしてしまう』というのは炎症反応が強すぎる場合とそれが緊急の場合には非常に有効だと思います。
自分の体のステロイドでは対応できないほど、炎症反応が強ければ自分の強すぎる炎症反応によって、自分の体が傷つくからです。
この場合は、例え副作用があっても『一定の期間を決めてステロイドを使う』のは良い方法です。
しかし、アトピーなど慢性的な病気を治すためにゴールもなく、ただダラダラとステロイドを使って、免疫を抑え続け、7つの副作用を被るのは、それって果たして治療なのでしょうか?
ステロイドの真の怖さ
ステロイド剤は『1つの良い効果に対して、7つの悪い効果』がありますが、実はもっと大きな問題があります。
それは長期間、使い続ける場合の問題です。
人工的なステロイドホルモンを使い続けることによって、悪い効果3の自前のステロイドの合成、分泌のバランスがおかしくなることです。
『人工的なステロイドホルモンの効果が高いほど』、『使う期間が長くなるほど』、自分のステロイドで調整しようとする力は失われていきます。
そして、もっと怖いのは、ステロイド剤は、人工のステロイド剤の成分が強制的かつ一時的に炎症反応を無くして、かゆみや痛みを止めているだけだということです。
ステロイド剤をどれだけ長期間、使い続けても効いているのは、人工ステロイドの成分が体内にある時間だけです。
成分が体外に出されたらら、またかゆみや痛みは再発しますので、再び、ステロイド剤を塗ったり、飲んだりする必要があります。
そして、何よりも悲しいのは、ステロイド剤を使い続けたからといって、免疫反応と炎症反応を自分でコントロールする能力は1mmも変わらないこと。
ただ、ただ、ステロイド剤に頼ってひたすら一時的にかゆみや痛みを誤魔化しているだけ。
ステロイド剤は一時しのぎの対症療法の薬なので、『延々と根本的には治らない』のです。
漢方のアトピー治療は一時しのぎの対症療法ではない
アトピーや多発性関節症などは、西洋医学的には原因不明です。
原因がわかっていないので、ステロイド剤は対症療法にしかなりません。
漢方では、原因がわからなくても現在の病的体質である『証』を調整する漢方薬を選べば、治療ができます。
漢方治療の目的は、いろいろな原因で起こっているかゆみや痛みの炎症反応を『自分自身で調整できるように治療します』
漢方薬の効果だけに頼るのではなく、アトピーや多発性関節炎などにつながっている『生活の中に潜む悪影響を与えているもの』を突き止め、改善できる対策を考えることができます。
ステロイド剤だけに限らず、『プロトピック』『シクロスポリン』などの免疫抑制剤は根本的な解決にはなりません。
なぜなら、本来の治療のゴールは『体を守る免疫反応(炎症反応)と炎症反応を抑えるステロイドホルモンとのバランスをとること』だからです。
『ステロイドで無理やり抑えること』ではありません。
免疫を無くしてもいけないし、炎症を野放しにしてもいけない。
結局、バランス。
ステロイド剤やシクロスポリンなどの免疫抑制剤がやっていることはやたら免疫を抑制し体内のバランスを崩しています。
根本的に治りたければ、漢方薬を使ったり、生活を調整して、『免疫と炎症反応の抑制のバランス』がとれるように根本治療を目指すべきだと思います。
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◯ステロイド薬の基礎 東北大学院薬学研究科
◯ステロイド、免役抑制・調節薬の作用機序と副作用
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