めまいや耳鳴りなどの原因になる水毒、水滞の証(漢方の病気の原因)
漢方にも西洋医学のような検査や診断方法があります。
いろいろな診断方法がありますが、まずは最初に『気血水弁証』といって体の気と血と水の巡りや状態を調べていきます。
水の巡りが悪い状態は、漢方では『水毒』といったり『水滞証』といったりします。
今回は病気の原因の1つである水毒、水滞証の解説をしたいと思います。
体の中に溜まった水は毒になる
水も血の巡りと同じで、身体中を巡っています。
水は血と違って体内で使われたあとは、汗や主にオシッコで体の外に出さないといけないものです。
飲んだばかりの水は、新鮮で害のないものですが、体内のいろいろな臓器や組織で使われた水は工業排水のような状態になっています。
ですから、むくみやオシッコが多い問題は、あなたが考えるよりも、結構、体にダメージを与えているのです。
また、免疫などはリンパや血管の中を水と一緒に巡るので、水の巡りの問題は免疫などにも関わってきます。
漢方では水毒に2種類の考え方があります
『アトピーの原因が水毒である』というタイプは、結構いらっしゃいます。
ここからちょっと話がややこしくなりますが、実は中国の中医学と日本の日本漢方では気・血・水の「水」の考え方が違います。
中医学では津液(しんえき)とよんでいます。
津液の役割は「潤い」を与えることとされています。
水のことを「陰液」ともよび、「陰虚」を体内の水が熱などの影響によって失ったことを指したり、漢方薬から水を補うことを「補陰」といったりします。
日本漢方では「陰」を「水」とは考えませんので、『中国の中医学』と『日本の日本漢方』とは大きな違いがあります。
日本漢方では水の役割そのものよりも、水が体内のどこかの器官や組織に偏って、溜まらずに常に全身を巡り、速やかに体の外へ追い出さないといけいないものという考え方をもっています。
体内に溜まる毒のような水の種類
日本漢方では、体のどこに水が滞っているのかを調べます。
水の滞る場所によってよびかたが変わります。
痰飲:胃の周辺で余分な水が滞っている状態。
懸飲:側胸部付近で余分な水が滞っている状態。
いつ飲:手足の皮膚の下の水が滞っている状態。
支飲:みぞおち辺りで水が滞っている状態。
伏飲:水の滞りがどこかに限定されずに滞っている状態。
溜飲:みぞおち辺りで水が滞っている状態。
風水:皮膚表面に熱があって皮膚の下で水が滞っている状態。
皮水:皮膚表面に熱がなく皮膚の下で水が滞っている状態。
裏水:体の深い部分である大腸などで水が滞っている状態。
お勉強的に知識として書いてみました。
これらは古方とよばれる日本漢方の元となったいろいろな書籍などから確認されるものですが、書いておいてこう言うのもなんですが、正直、こういった用語を覚えても、現場の治療では実際には使えません。
おぼえても「勉強できておりこうさんっぽいね★」と言われるだけです。
でも、体内のどの場所に水が滞っているのかというのは重要です。
実際の治療現場で役立つ水滞の証の考え方
僕は実践的には→
◯体の上部で水が滞る「上焦の水滞」
◯胸やお腹などの胴体で水が滞る「中焦の水滞」
◯下半身で水が滞る「下焦の水滞」
から水の滞りの場所を大きく分析し、より具体的に、
◯皮膚表面で水が滞る「表の水滞」
◯手足で水が滞る「四肢の水滞」
◯頭で水が滞る「上焦の水滞」
◯肺や気管支で滞る「胸脇付近の水滞」
◯胃で水が滞る「胃内停水」
◯大腸や膀胱で水が滞る「二便の水滞」
◯大腸で水が滞る「裏の水滞」
◯下半身で水が滞り腎臓の問題ではない全体的に水滞である「下焦の水滞」
◯下半身で水が滞り腎臓の問題である「下焦の腎虚などによる水滞」
を順に分析していきます。
もちろん、原因がどこか1つでなく、あらゆる場所で水の滞りが起こっていることもあります。
また、『冷え』を見る際にも、『水の滞りである水滞の影響なのか?』
『水との関係がない冷え』なのかをみます。
他にも水は熱と結びつくと湿熱といって、ゼリーのようなイメージのものになってドロドロと巡ったりしますので、体内の熱と合わせて考え合わせて、水の巡りをみることもあります。
気血水弁照はまだ、体質を分析する第一歩ですが、これだけでも湿疹や頭痛、めまいなどの原因の一端が見えてきたりします。
もちろん、分析方法はまだまだ続くので、これだけで体質や原因を特定したり診断したりはしませんが。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅰ):学研
◯ 図説東洋医学(湯液編Ⅱ):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社
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