漢方薬相談ブログ

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不妊症の治療で使う漢方薬

漢方業界では本来の方法を無視して自分で勝手に難しい漢方理論を簡単にしてマニュアル的に選ぶことが常識になっています。

しかし、これは歪な常識で、本来は病的体質である『証』を分析、判断して、あなたの体質に合わせて漢方薬を選びます。

体質は顔や体格、性格などと同じように一人一人違います。

本来の漢方では『不妊症に効果のある漢方薬』『ホルモンを活性化させる漢方薬』など特定の何かを治すというような考えはありません。

体全体を調整することが不妊症を克服することにつながりますので、厳密には、何百種類ある漢方薬の全てがあなたに合うかもしれない漢方薬の候補となります。

がしかし、さすがに何百種類の漢方薬から、合わせるとなると、膨大な時間と混乱がありますので、ある程度、不妊症という状態に陥りがちな体質に使う漢方薬をリスト化し、その中の漢方薬と患者さんの体質が合うものを選びます。

不妊症で使う漢方薬

以下が不妊症の治療でよく使うことのある漢方薬です。

【不妊症でよく使用される漢方薬】
三黄瀉心湯、黄連解毒湯、温清飲、柴胡桂枝湯、大柴胡湯、加味逍遙散、逍遥散、人参湯、十全大補湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓姜朮甘湯、六味丸(男性)、女神散、五積散、桂枝加竜骨牡蠣湯、香蘇散、帰脾湯、加味帰脾湯、桃核承気湯、通導散、桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯、温経湯、当帰芍薬散、桂枝加芍薬湯、小建中湯、芎帰膠艾湯、芎帰調血飲、柴胡桂枝乾姜湯、当帰芍薬散、四物湯、八珍湯、竜胆瀉肝湯、六君子湯、芍薬甘草湯、折衝飲の合計36種類

僕は大体、この中か、これらを組み合わせて選びます。

もちろん、その人の体質によっては他の漢方薬を使うこともあります。

あくまで「不妊症」で選ぶのではなく、「体質」にしたがって選びます。

不妊症で相談で来られた場合、リストアップ後、体質を詳しく分析して、上記の候補処方の中から、体質的に合うものを選びます。

次に医者が使っている漢方薬マニュアルから見てみましょう。

【医者が使っているマニュアルにある不妊症で使う漢方薬】
当帰芍薬散、温経湯、桂枝茯苓丸の合計3種類

はい、シンプルです。

ほとんどの医者は漢方の医学理論を全く知らない素人同然なので、逆に候補となる漢方薬が多くなっても混乱するだけですね。

この3種類の候補の漢方薬を知っていれば、大げさでなく、あなたも医者と同レベルの漢方の知識を持っていることになります。

病院のWebサイトには『漢方は人それぞれの体質に合わせて選ぶオーダーメイドの薬』などと書いてあることが多いですが、まるっきり建前のところが多く、実際は、患者さんの体質がどうであろうと『最初から不妊症だったら当帰芍薬散!!』だったりします。

体質を見ないどころか、選ぶことすらしてないと思います。

医者の漢方薬の選び方

ほとんどの不妊治療クリニックは体質を見ないので、大体、当帰芍薬散か温経湯の処方です。

ついでにいうと男性は、ほぼ補中益気湯と最初から決まっております。

(「ほとんどの不妊治療クリニック」と書きましたが、全国のいろいろな不妊治療病院の実際の診察の話を患者さんから聞いてきましたが、漢方薬を処方するのに体質を判断していたという話は今の所、1件も聞いたことがありません。)

ひどい不妊治療クリニックになると当帰芍薬散が自分のところで作られた漢方薬であると誤解させるようなひどい宣伝をしている病院もありました。

当帰芍薬散は2千年前に中国で考えられた漢方薬ですよー

なぜ、数ある漢方薬の中から当帰芍薬散のみの処方なのか?

それは、『ネズミの実験でホルモン活性があることがわかったから』という人体実験の集大成のような経験医学である漢方医学を真っ向から否定するような理由です。

さすが化学の西洋医学の人の発想。

『妊娠率100%に近いネズミの実験』を不妊症に当帰芍薬散を処方した理由にするというブッ飛びぶりです。

やはり常人とは違います。

ちなみに当帰芍薬散は『太陰病 虚証』という病のレベルの状態で『血虚の証』『陰の瘀血の証』『水滞の証』『虚証』『瘀血と水毒による精神症状の証』の状態の人に合う漢方薬です。

ネズミのホルモンが活性化するかどうかで当帰芍薬散を選ぶことはできません。

「証」に関してはここでは割愛します。

候補になる漢方薬候補は増やすほど難しくなる

うちは1つの病気を治す場合、1つの病気に対して大体、30種類〜40種類位の漢方薬の候補から、その人の体質に合う漢方薬を考えます。

何種類の漢方薬からあなたのための薬を選ぶのかは決まっていません。

人の体質は、いろいろあります。

漢方薬の効果は、その体質を調整するものとなりますので、病的体質である『証』を分析することが漢方薬を選ぶことと同じこととなります。

つまり、たくさんの漢方薬の候補をリストアップするということは、『人の体質にはあらゆる体質がある』と考えているということです。

逆に医者のように当帰芍薬散か温経湯しか考えないということは、『不妊症の人の体質は2種類しかない』と考えているということと同じです。

20代から40代の不妊症の人がみんな同じ体質と考えるのもすごいですね。(ていうか体質のことは考えてないけれど…)

理想は何百種類とある漢方薬の全種類から、あなたの体質に合う漢方薬を選ぶことです。

候補の可能性となる漢方薬が多いほど、治療の精度は高まります。

候補の漢方薬が少ないということは治療が失敗しやすいとも言えますね。

たくさんの種類の漢方薬の中から選んでもらうほど、あなたの体質と漢方薬が合う確率は高くなります。

しかし、不妊治療の候補となる漢方薬の種類を増やすほど、反対に『あなたにとって最適な漢方薬を選ぶ』ことが難しくなります。

単純に候補となる漢方薬が増えるほど、選ぶための専門技術が必要になるのですね。

36種類の中から1つの漢方薬を選ぶとなると流石にあてずっぽうではできません。

症状だけを当てはめて漢方薬を選ぶのは不可能

漢方薬はその漢方薬を選ぶ条件となっている症状が当てはまるかどうかで選びませんが、症状だけを当てはめていこうとしても、36種類もあると、似通った症状の漢方薬なんていくらでも出てきます。

そうなると、どの漢方薬を使ったって同じように感じます。

でも、数百種類もあるのは、やはり人間の体質は、ひとりひとり違うからです。

こうなると症状をあてはめるだけでは、漢方薬を選ぶのは不可能となります。

逆に症状を当てはめて漢方薬を選んだ気になれるのは、最初から候補が少ないからです。

36種類もの漢方薬の中から最適な漢方薬を選ぼうと思ったら病的体質である『証』を判断するという漢方的な診察が必要なのですね。

医者や素人の方がネットをみて選ぶ場合は3種類の漢方薬から選ぶほうが無難かもしれませんが、治るかどうかは知りません。

もしかしたら、残りの33種類の中に自分に合う漢方薬があるのかもしれません。

そもそも、不妊症は何かの症状が治るか? 治らないか?では判断できませんので、症状だけを当てはめて漢方薬を選ぶこと自体に意味がありません。

適当に漢方薬を選ぶと副作用が待っている

体質と合っていない漢方薬を選んだ場合のリスクは治らないことだけではありません。

体質と合っていなければ誤治壊病といって、今の病気がもっとひどくなるか、今とは違う病的体質になるリスクもあります。

更に漢方薬の副作用が怖いところは、病院の薬と違って、徐々に悪くなるので、医者もあなたも漢方薬のせいだとは気づかないこともあることです。

『知らない間に体質がより悪くなって妊娠から遠ざかっている』なんてこともあるかもしれません。

誤治壊病を避け、あとあと、選んだ漢方薬が本当に効いたかどうかを確認するためにも、やはり病的体質である『証』を診断し、たくさんの候補となる漢方薬の中から選抜したほうがいいのです。

漢方治療とは『治療精度をどれだけ高められるか』にかかっているのです。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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