漢方薬相談ブログ

ニキビの漢方治療体験例

ニキビの漢方治療体験例

病名・病気・症状

病院で診断された病名です。

  • 背中全体にニキビができる。
  • 胸(胸の谷間のあたり)の毛穴が詰まったような、小さなにきびができる。

体全体の状態

全身の状態から特にチェックすべき症状を抜粋しました。

  • ニキビは背中全体にできる。
  • ニキビは胸にできる。
  • 過去に卵巣嚢腫の手術経験がある。
  • 周りの人よりも寒がり。
  • 睡眠時間が短くなると疲れやすい。
  • よく夜中に目が覚める。
  • 耳鳴りをよく感じる。
  • 肩は両肩がこっている。
  • 手足は年中冷えている。
  • 夜中にオシッコにいくことが多く、オシッコの色は濃い。
  • 月経前には、特に理由もなくイライラ感が強くなる。

年齢・性別・お住まい

37歳、女性、東京都。

病気の期間

  • ニキビは15年前から、悩んでいる。

当店での治療結果

漢方薬を飲んで、1ヶ月後から新しい大きなニキビはできなくなった。

完治する最後の方は、肌色のニキビがしつこかったが、それも7ヶ月後にはなくなり完治した。

当店で相談する前の病院の治療

皮膚科での治療や婦人科でのホルモン治療、エステでの治療をしましたが、完治したことがない。

数年前からツムラの「十味敗毒湯」「荊芥連翹湯」「加味逍遥散」「桂枝茯苓丸ヨクイニン」などを飲んだが、効果が全然、わからなかった。

病院の治療での問題点

ツムラの漢方薬は、よくあるパターンで全く体質判断せずにニキビという病名に対してマニュアルで選ばれています。

1ヶ月ほど、飲んでも効果がないので、マニュアルに書いてある他の漢方薬を順に処方したようで、どの漢方薬も体質を考えたり、治療方針を考えていないので、効果がわからなくて当然だと考えられます。

当店で判断した証(体質)

初回に判断した病的体質の要素である証です。

  • 背中にできるニキビは、陽のニキビと言われ、熱を持ちやすいニキビです。

熱は、月経周期とも関係する血の巡りの悪さが原因です。

同時に胸あたりの胸脇部とよばれる場所の熱の巡りが悪い【胸脇熱の証】と考えました。

血が熱を持って、巡りが悪くなる【瘀血の証】があると判断しました。

夜中のオシッコや耳鳴りなどは水の巡りの悪さから起こっていると考え、【下焦、四肢の水滞の証】があると判断しました。

証としては以上の3つの証が混ざり合っている体質だと判断しました。

治療方針

病気的な体質の原因である「証」は、全てがニキビに関わっている場合もあれば、ニキビとは関係のない「証」もあります。

1種類の漢方薬で治すことのできる「証」は限られていますが、基本的には、3つ、4つの証を治すことができます。

今回は、全ての「証」を治すことのできる漢方薬を選びましたが、血の巡りの悪い【瘀血の証】に関しては、それほど強く血の巡りを良くする力は強くありません。

主に【胸脇熱の証】の胸の辺りの余分な熱と下半身の水の巡りの悪さである【下焦、四肢の水滞の証】を調整します。

治療経過

※当店は毎回、全身の状態の変化をお聞きしますが、ある程度の期間、治療された方は最初の1ヶ月目までは詳しく書いていますが、それ以降は、ポイントだけに絞って書いています。

【1ヶ月後】
大きなニキビはできなくなった。

一度、寝た後に目が覚めることはなくなり、朝まで眠れるようになった。

足先の冷えは、冷えたままで変わらない。

生理の血は赤黒く、小さな血の塊も見られる。

ニキビは良くなってきたのだけれど、蕁麻疹が出るようになった。

これは漢方治療では、よくあるが、水の巡りが活発になって、表に蕁麻疹という形になって現れてきたと考えられます。

水の巡りの調整が進んでいけば、自然になくなると考えられます。

やはり、最初に判断した、血の巡りの悪さである【瘀血の証】が今の漢方薬では、力が足りないようなので、今回から補助的に血の巡りを促す漢方薬を加えて、一緒に飲んでもらう。

【2ヶ月後】
引き続き、新しいニキビはできていない。

赤い小さなニキビは徐々に減ってきている。

手足の冷えが気にならなくなった。

【4ヶ月後】
赤いニキビは、徐々に減ってきているが、まだ、全部はなくならない。

足のむくみが強くなった。

どうも、血の巡りをよくする補助薬は同時に水の巡りもよくするが、患者さんの体質に対しては、巡らせる力が強すぎるようなので、水の巡りの部分にあまり影響しないように補助薬の血を巡らせる漢方薬を気と血の巡りをよくする生薬に切り替えた。

【5ヶ月後】
赤いニキビは全部、なくなったが、肌色の小さなニキビは、治っていない。

便秘気味な時があったが、よくなった。

月経周期が24,5日と短いが、生理の時の血の色は鮮やかで血の塊もないので、漢方薬は変更せずにこのままで続けてもらう。

【7ヶ月後】
肌色のニキビもなくなった。

新しいニキビもできていないので、ニキビは、この時点で治った。

仕事などでストレスが強くかかると、赤い小さなニキビが出ることがあるようだけど、次の日には、治っているようなので、自力で治せるようにもなっていることが確認できた。

治療経過まとめ

背中と胸にニキビができて顔には全くできないタイプ。

血の巡りと水の巡りの悪さが水の巡りの悪さのほうが強いようだったので、途中、補助薬を加えた時は、水の巡りが強すぎて血の巡りとのバランスが崩れたようです。

それも、逆にその体質に合わせて、漢方薬の強さをゆるめた生薬に変更するとうまくバランスがとれたようです。

西洋医学的な感覚では、薬の効果を強くすれば、早く治りそうなイメージがありますが、漢方は『その人の体質にとってちょうど良い状態に合わせないといけない治療の原則がある』というのを実感した治療でした。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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