漢方薬相談ブログ

頭痛の原因や頭痛から考えられる病気(漢方的)

頭痛の原因や頭痛から考えられる病気(漢方的)

  1. 頭痛が起こる原因
  2. 漢方的に考える頭痛の原因
  3. 漢方では頭痛であっても、全身の状態を知ることが必要です

先日、頭痛で考えられる病気をネットで検索したら…すごいですね。

西洋医学では頭痛という症状から考えられる病気は300個も可能性のある病気が出てきました!

逆に情報が多すぎて役に立たないっ!まさにネット情報!

考えてみると、頭痛に限らず、どんな症状も単にその症状だけの場合もあるし、癌の可能性だってあって、ネットで調べたって、どうしても心配なら病院に行って、結局、あれやこれやと検査しないと何もわからないんじゃないかなと思います。

もはや、ネットの医療情報って、世の中のあらゆる医療本の知識を詰め込んでるだけで、使い方がちょっと便利なだけの辞書になっているように思います。

漢方では病名という考えは、ほぼなくって、すべて病的な体質として考えます。

常に体全体をみて考えるので、◯◯病という考え方がないのですね。

そこで、頭痛で考えられる病気というか、頭痛で考えられる病的な体質はどんなものがあって、それはどんな原因で起こるのかを紹介してみたいと思います。

頭痛が起こる原因

頭痛はどんな病気でも起こる可能性のある症状なので、ここで何百個の病気をズラズラと羅列していもいいのですが、そんなことしても現実では何の役にも立たないので、漢方的には普段の生活の中で頭痛が起こる要素ってどんなものがあるのかを紹介します。

突発的なものであれば、風邪、肩こり、目の使いすぎ、睡眠不足、月経、花粉症、血圧の変化、低気圧、お酒、コーヒーなどがあります。

ちょっとしたことでも頭痛は起こりますので、もっと、もっといろいろあると思います。

頭痛などの何か症状が起こった時は、まず、『いつから始まったのか?』『頭痛が起こる前にどんな状況があったのか?』を考えることが重要です。

頭痛があって心配だから病院で検査しても、現実では『原因はよくわからないけれど、鎮痛薬を処方しときますね』で終わりです。

結局、その頭痛が何かの大きな病気なのかどうかはわからないし、医者でも平気で誤診するしで、よほどひどくない限り、滅多に真の病気を見つけてくれません。

悲しいけれど、それが現実です。

『いつから始まったのか?』は、とても重要です。

なぜなら、頭痛が現れた途端、末期癌だったなんてことは、まずないからです。

1日、2日前からの頭痛だったら、ネットで何百個もある「頭痛で考えられる病気」を何時間もかけて調べるよりは、『会社で風邪が流行っていなかったか?』『自分は月経前ではないか?』など、頭痛が起こった日を思い出し、その前日や当日に何か『変わったことがなかったか?』を思い出す方がよほど役にたちます。

病院は、原因を探すと言うよりも基本的には『大きな病気の可能性があるかないか』を調べます。

何かの大きな病気ではないかと思いながら、いろいろな検査をしていったりします。

逆に病院では普段の生活環境のことなどに関しては、一切何も聞き出そうとはしませんので、いつのまにか自分が『癌みたいな大きな病気じゃないかどうか?』ということを調べにきたみたいにすり替えられてしまいます。

結局、何かの大きな病気に当てはまらなければ「異常ないです」とか「ストレス(気のせい)」のせいにされて、これまた終了です。

うちでは、その頭痛は『いつから始まったのか?』『頭痛以前にどんな状況があったのか?』『今は他にどんな症状があるのか?』などをお聞きして、その後、体全体の状態をお聞きして、その頭痛の本当の正体を暴けるように考えます。

漢方的に考える頭痛の原因

漢方では、『証』という体のバランスが崩れた要素を分析し、その『証』から頭痛の原因がわかります。

『表の寒証』という体の表面が冷やされることが原因で頭痛が起こることがあります。

風邪をひいていたり、エアコンや季節特有の寒暖差、急激に気温が下がって寒くなるなどで頭痛が起こります。

『上焦の熱証、気の上衝の証』という頭に熱がこもったことが原因で頭痛が起こることがあります。春先や急に暑くなった時などに発生しやすいです。

「単純に強いストレスがかかった」「目を酷使した(スマホやパソコンでの仕事)」「考え事(勉強など含む)をしすぎた」「暑い部屋にいた」などでも起こります。

『裏の熱証』という体の深い部分にある大腸などが熱を持ち、便秘がきつかったりすることが原因で頭痛が起こることがあります。

漢方では、便秘でも頭痛が起こると考えるのですね。

普段が便秘で「更に便秘になるような食生活になっていなかったかどうか?」を振り返って考えてみる必要があります。

『脾胃の虚証』といって、胃が冷えたり、胃に余分な水がたまって、頭痛が起こることがあります。

「飲み物に氷を入れたか」「いつもよりも水分を多くとっていないか?」「足が急激に冷えて、胃が気持ち悪い」などです。

『腎の虚証、水滞の証』という体内の水の巡りが悪くなり、脳に不要な水が多くなったり、血圧が高くなったりすることが原因で頭痛が起こることがあります。

「梅雨の時期」や「運動不足」「水分を摂りすぎているか」などで起こりやすいです。

『寒証』という冷えが原因で頭痛が起こることがあります。

足先が冷えて、血の巡りが悪くなり、頭痛が起こります。

背中が寒さで緊張して頭痛が起こります。

『気証』という気(ストレスや自律神経)という原因で頭痛が起こることがあります。

「寝不足」、「不眠気味」、「精神状態が悪い」、「自律神経のバランス」が崩れているなどです。

「コーヒー(カフェイン)の取りすぎ」も気証にあてはまります。

今なら「エナジードリンク系」もこれにあてはまりますね。

『瘀血の証』といって血の巡りが悪い原因で頭痛が起こることがあります。

「月経前や月経中に起こる頭痛」は、血の巡りと関係していることが多いです。

「スマホやゲーム、仕事のPCなどで目の使いすぎ」なんかも血の巡りを悪くします。

ちなみに頭痛や肩こりの原因というと「血の巡りが悪い」とするのが好きな人が多いですが、実際には、その人の体質によって血の巡りの悪さが原因とは限らないし、血の巡りの悪さが原因になっていることが多いわけでもありません。

そこはやっぱり、人それぞれの体質ですね。

『血虚の証』は血が少ない原因で頭痛が起こることがあります。

体内の血が少ないために脳に必要な血が不足して頭痛を起こしたりします。

そして、漢方では、症状を起こしている『原因』がわかれば、それを治す最適な漢方薬が選べるようになっています。

漢方では頭痛であっても、全身の状態を知ることが必要です

うちでは、『いつから始まったのか?』『頭痛前にどんな状況があったのか?』をお聞きして、状況、状態を整理します。

重大な病気が隠れている可能性もありますが、気温や食事、仕事や生活の状況などから、頭痛を起こしていないかを探ることが、病院みたいに最初に大げさに考えて検査をするよりも重要です。(持病を一杯もっているとかはまた別ですが)

そして、『今は他にどんな症状があるのか?』

漢方では頭痛の原因を調べるのに頭痛だけでなく全身の状態を知ることが重要です。

医者は頭痛に五苓散というマニュアル処方をしますが、五苓散は、頭痛の痛みを止める薬ではなく水の巡りを整える薬なので、水の巡りの悪さが原因の頭痛でなければ、効きません。

例えば、胃寒の頭痛といって、足から冷えて、更に胃寒証で胃が冷えて、それが頭痛につながるという体質があります。

この場合は、『頭痛の前に足が冷えたか、お腹の胃のあたりが冷えたり、胃痛や胃もたれがあったか?』なども、合わせて知っておかないと頭痛の原因を漢方的には分析することができません。

頭痛といえども、体の頭痛以外の症状や状態、仕事や生活の活動や環境の状態、それらも全部ひっくるめて頭痛の原因を探し、頭痛を治してくれる最適な漢方薬を選ぶのですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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