キアガード(五苓散)でお天気頭痛は治りません
「先生、キアガードって知ってます?」
と患者さんから、いつもの体質チェックの時に質問されました。
その方、雨、台風で頭痛がひどくなる方で、「キアガードという薬が、そんな時にめっちゃ効く薬らしいですよ!」って教えてくれました。
人間の体を治すって、実際は、ものすごーーーく大変!というのは、日々の仕事を通して思い知っているので、この話を聞いた瞬間、「どうせ、過去にもあった薬や頭痛に効きそうな有効成分の焼き直しサプリかなんかなんだろうな」と思って調べたら、予想を更に下回った、ただの五苓散!
新発売的な顔しているけれど、五苓散だったら2千年前から、売ってるからね。(売っているというかあった)
そう、単に漢方薬の五苓散です。
当たり前ですが、漢方薬は、万能薬でもなんでもないです。
当然、五苓散も雨の頭痛、台風の頭痛の治療薬ではありません。
では、本来の五苓散の効果は何でしょうか?
この記事では、五苓散は、本来、どんなタイプの体質の頭痛に使う漢方薬かを紹介します。
また、漢方薬の副作用は、『あなたの頭痛の原因と漢方薬が合っていない』と副作用を起こしますので、五苓散の副作用を解説します。
そして、五苓散は、漢方の専門家からすると、滅多に飲み続けるものではないのですが、それは、なぜなのか?を合わせてお話ししますね。
キアガードの売り方があざとすぎる
とにかく、この売り方が、あざといっ!
企業なので、当たり前ですが、治すことよりも売り上げが上がるかどうかが重要!というのはわかるのですが『五苓散配合』という説明が意味不明。
だって、キアガード自体が五苓散と添加物だけじゃん。
『添加物に五苓散を配合しました』と言いたいの?
それはそれでおかしいですよね。
成分は、五苓散しかないので、五苓散を勝手にキアガードって名前に言い換えているだけだと思うのですよね。
で、ロートは、なんでこんなややこしい売り方をするのか?
多分、1つは、『天気頭痛に五苓散!』と、五苓散の単語をモロに書いたら、他で売ってる五苓散と競争になるからでしょうね。
何せ、ただの五苓散なので
そして、なにより、バカ高いっ!
1日分715円!
漢方薬が高いといえど、こりゃ高いですわ。
全身を分析する相談、生活上のアドバイス込みのうちでもビックリ!するくらいのボッタクリ!
相談なし!、パッケージでセルフで買わせるだけなのだから、この値段の1/3でも高いよね。
そりゃ、名前変えて、誤魔化してでも売らないと、みんな普通に他のメーカーの五苓散を買いますよね。
あざといっ!!
医者は「頭痛に五苓散」のマニュアル処方
医者は悲しいかな漢方的に体質を分析して、体質に合わせて漢方薬を選べません。
Webサイトでは、いかにも漢方を知ってそうに書いている医者も現場では、ツムラなどの漢方薬メーカーからもらったマニュアル見て選んでいるだけなのです。
そして、頭痛の漢方薬のマニュアルに書いてあるのが、『頭痛=五苓散』
天気頭痛だろうが、台風頭痛だろうが、月経時の頭痛だろうが、『五苓散』
お医者さんはマニュアル大好きな、おりこうさんなので、素直に五苓散を出してくれます。
保険適用の漢方薬なので、キアガード(五苓散)よりも、だんぜん、安いわけです。
『だからといって、病院に行った方が得ですよ』という話ではありません。
五苓散の副作用とは
ここからが本題。
漢方薬は、例え『頭痛』という1つの症状でも、全身を分析して、その人の頭痛の原因を調べ、その原因に合わせて、漢方薬を選びます。
漢方薬の難儀なところは、あなたの頭痛の原因と漢方薬が合っていなければ、副作用を起こすこと。
例えば、冷えて頭痛になる人は、温める漢方薬で治しますが、熱がこもって頭痛を起こす人(僕です)は、当然、冷やして治します。
でも、これを逆にしたら、どうなります?
熱がこもって頭痛になる人に温める漢方薬。
当然、これがヒドい副作用をよびます。
「そんなバカな漢方薬の選び方するわけないじゃん!」
と思われるかもしれませんが、何せ、医者は「頭痛」という、数少ない情報(たった1つ)だけで漢方薬を選ぶわけです。
その患者さんの頭痛が、『冷えて起こっているのか?』
『熱がこもって起こっているのか?』『月経が関係しているのか?』そんなことは、知る由もないわけです。
だから、キアガードにしても『頭痛』という症状だけで選んでも副作用が起こるほうが確率が高いかもって考えてもいいくらいです。
キアガードにも書かれていますが、「喉が渇いて、尿量が少ない人」だと五苓散が合います。
逆に言えば、いくら「雨で頭痛になる」「台風が近づくと頭痛になる」といっても、喉の渇きがなかったり、オシッコの量が少なくなっていなかったら、五苓散では頭痛は治りません。
なぜなら、あなたの頭痛の原因と五苓散の効果が合っていないからです。
じゃあ、そんな場合はどうするのか?
「雨で頭痛になる」「台風が近づくと頭痛になる」というのに水の巡りの悪さは関係しています。
五苓散は、水の巡りをよくするものです。
かといって、『水の巡りが悪くなる原因』は人によって、いろいろと変わってきます。
原因が変わってくれば、漢方薬を変えないといけないのです。
五苓散の効果と問題点
五苓散のように水の巡りを変えてくれる効果の漢方薬を利水剤といいます。
頭痛の起こるきっかけが「雨で頭痛になる」「台風が近づくと頭痛になる」と一緒でも、体質によって、『水の巡りの悪くなる原因』が違ってきます。
例えば、頭痛に使う利水剤としては五苓散以外に『越婢加朮湯、桂枝湯、桂麻各半湯、葛根湯、桂枝加苓朮湯、桂枝人参湯、八味丸、柴苓湯、当帰芍薬散、真附湯、苓桂朮甘湯』などもあります。
これらは、例えば、ホルモンの乱れと雨の頭痛があれば、当帰芍薬散とか、頭痛以外の症状との兼ね合いで選ぶ漢方薬が変わったり。
水の巡りを動かす強さ別にも分かれます。
だんだん、ややこしい話になりますが、漢方はややこしいのです。
五苓散は効果も副作用も強い!
五苓散は、水の巡りを動かす効果としては、かなり強いものです。
イメージでいうと、水を絞り出す感じ。
つまり、飲み続けると脱水するような漢方薬。
だから、体質を分析し間違って、五苓散で脱水してしまったら、それを治す漢方薬の設定があるくらい。
これって、五苓散は滅多に飲み続けるタイプの漢方薬ではないということ。
非常に強いので、体質と合っていても、長く飲むと脱水になるし、頓服的に飲むにしても、『果たして自分の頭痛の原因』とあっているかどうかもわかりません。
ですので、漢方専門家からみると、扱いづらい漢方薬。
ただ、1服、2服なら、作用が強い分、結果(良いも悪いも)が出やすいので、超短期なら、アリっちゃアリかなと思います。
どちらにしろ、雨や台風などの頭痛は水に関係あるといっても、漢方薬は、『水の巡りの悪さにホルモンバランスの乱れはないか?』とか、『水の巡りの悪さに胃痛や胃もたれなどの不調はないか?』などなど、やっぱり全身、調べて、『自分の頭痛の原因』を調べないといけません。
「雨で頭痛になる」「台風が近づくと頭痛になる」からといって、『みんながみんな、同じ原因ではない』のですね。
同じ原因でなければ、『五苓散で治る人もいるし、五苓散で全く治らない人』もいるということです。
どうせ、全身の分析をしなかったら、お試しだけになるんだから、ボッタクってるキアガードよりも病院の五苓散でいいんじゃないかなと思います。
もちろん、漢方専門家としては、ちゃんと全身の問診から、あなたの頭痛の原因を分析したほうがいいとは思いますが。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅡ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅢ:薬局新聞社刊
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