漢方薬相談ブログ

頭痛を治すとされている漢方薬は原因別で40種類あります!

頭痛を治すとされている漢方薬は原因別で40種類あります!

  1. 頭痛に使う漢方薬
  2. 頭痛の漢方薬マニュアル
  3. 候補になる漢方薬の種類はたくさんあるほど治る確率があがる
  4. 「頭痛」という症状だけを当てはめて漢方薬を選ぶのは不可能
  5. 適当に漢方薬を選ぶと副作用が待っている

「頭痛に効くといって漢方薬を出されたけれど、効いているのかどうかわからない?」

「本当に漢方薬で頭痛って治るの?」

単に「頭痛を治してほしい」とだけ伝えて、出してもらった漢方薬では効くはずがありません。

なぜなら漢方薬は、本来は病名や症状を当てはめて、マニュアル的に選ぶものではないからです。

漢方薬には病院の薬のように痛みを一時的に止める成分が含まれているわけではありません。

漢方薬は全身の状態を分析して『証』という病的体質を診断して、『その証を治せる漢方薬』を選びます。

漢方では気になる症状が頭痛、1つだからといって、全身の状態や症状を調べないで漢方薬を選ぶことはできないのです。

本来は頭痛という症状だけで漢方薬を選ぶことはありませんが、かといって、体質分析のみで漢方薬を選ぶとなると、何百種類の漢方薬全部が、あなたの頭痛を治すかもしれない候補の漢方薬として考えられるので、さすがに、そこから1つを選び出すのは不可能です。

そこで、過去に頭痛という症状によく使われてきた漢方薬をある程度、『頭痛を治せる漢方薬の候補』としてリスト化して、その中の漢方薬と患者さんの体質が合うものを選びます。

一般の人や医者は、『頭痛という症状が治ると書いてある漢方薬を選べばよい』と誤解されていることが多いですが、まさか、『漢方薬の条件に頭痛が書いてあるから治る』みたいな、そんな簡単でファンタジーな効果ではないし、そんな単純なもので治るわけがありません。

最近は病院やネット販売でも『漢方薬は証とよばれる体質を診断して、漢方薬を選びます』なんて書いてあるのですが、残念ながら、全くの宣伝文句、建前で、そう書いているだけで、その『証』を分析するためには、全身の状態を調べないといけないのに、実際は、体質を調べるための問診票がなかったり、全身の問診なんかとらなかったりしていて、もはや、『体質の分析』を語った詐欺になっています。

病院の薬と同じで、漢方の世界でも『治る根拠』が必要です。

そして、その根拠は、『なんとか成分』ではなく、『どんな体質に対して、どんな効果の漢方薬を選んだか』が必要です。

『不用な熱の滞りがある証だから熱を鎮める漢方薬が必要』だとか、『腎の臓の調子が悪く、水の巡りが悪い証だから水を巡らせる漢方薬が必要』などの漢方独特の頭痛を治せる根拠が必要なわけです。

人それぞれ、いろいろな体質がありますので、それに合わせて漢方薬もいろいろあります。

本来は、医者がやっているような『五苓散の説明に頭痛って書いてあるから』なんて、漢方を何も知らない子供みたいな幼稚な根拠で五苓散を処方したりしません。

頭痛に使う漢方薬

頭痛を治す際の漢方薬の候補として、僕は主に次のものをリストアップします。

【頭痛でよく使用される日本漢方の漢方薬】
呉茱萸湯、五苓散、鈎藤散、葛根湯、桂枝湯、桂枝加苓朮湯、桂枝加芍薬湯、桂麻各半湯、芍薬甘草湯、麻黄湯、黄連解毒湯、三物黄芩湯、半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、大柴胡湯、四逆散、白虎加桂枝湯、桂枝人参湯、半夏白朮天麻湯、八味丸、五積散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、抑肝散、加味逍遙散、逍遙散、女神散、桂枝加桂湯、七物降下湯、桂枝茯苓丸、柴胡桂枝乾姜湯、桃核承気湯、五苓散、苓桂朮甘湯、当帰芍薬散、温経湯、柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、香蘇散など。

考えられる候補は39種類位です。

ここであげたのは、頭痛を治す代表的な漢方薬の候補です。

つまり、『頭痛を治すオススメの漢方薬を教えてください』と言われたら、『上記のうちのどれかが合ってますよ』となります。

更に「月経前に頭痛がひどくなるとか」、「耳鳴りと頭痛が一緒に起こりやすい」などの状態だと、もっと選ぶべき漢方薬の候補は増えます。

「こんな、たくさんの漢方薬のなかから、選ばなくてもいいんじゃない?」と思われるかもしれません。

例えば、呉茱萸湯か五苓散のどっちかから選べば、たった2つなので、誰でも簡単に選べますよね。

でも、人の体って人それぞれなので、頭痛にプラス、他にもいろいろな症状があったりして、他の症状も一緒に考えていくと、いろいろな頭痛の体質のタイプの人がいることがわかります。

そうなると、たった2つ、3つの少ない漢方薬の候補の中から選ぶとなると、自分の体質と合っていない漢方薬を選ぶ可能性が高くなり、当然、自分の体質と漢方薬が合っていなければ、頭痛は治りません。

医者やネットにある解説などは、正に少ない2つ、3つの中からテキトーに漢方薬を選んでも治ると勘違いしています。

頭痛の漢方薬マニュアル

医者が使っているツムラなどの漢方薬マニュアルから、どんな漢方薬があるのかを詳しくみてみましょう。

【医者が使っているマニュアルにある頭痛で使う漢方薬】
五苓散、半夏白朮天麻湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓桂朮甘湯、五積散、桂枝人参湯、川芎茶調散

2、3種類ということはないですが、それでも少ないですね。

これらは、全て合わせる体質のタイプが違うものになります。

しかし、医者は体質を調べるための問診は一切とりませんので、7種類の中から漢方薬を選ぶ際も何の根拠もないに等しいです。

根拠があったとしても、「この前の勉強会でどこかの先生が五苓散は頭痛が治りますって言ってた」とか、ツムラなどの漢方薬を売りたいメーカーの営業が、「五苓散と半夏白朮天麻湯で、大体の頭痛は治りますよ」と説明してた。とか。

そんな体質と全く関係ない頼りない他人まかせな根拠が、患者さんに、その漢方薬を処方する根拠だったりします。

共通しているのは、『そこに自分の考えや意思はなく、なんかのマニュアルに頼っているだけ』ということですね。

自分で漢方薬を選ぼうとしている人も、「ネットに載ってた」みたいなことが根拠になっていると思うので、ネットを見て、自分で選ぶ素人の人も、医者も大して、やってることは変わらないということですね。

候補になる漢方薬の種類はたくさんあるほど治る確率があがる

大体、ある病気の体質は30種類〜40種類のタイプにわかれます。

「あなたの体質」を治すものが「ある漢方薬」なので、『体質のタイプ=ある漢方薬』と、漢方薬と体質タイプはイコールとなります。

例えば、五苓散は、『体の水の巡りが悪く、オシッコと汗の調整がうまくできず、気や熱が肩から上に滞っている』という体質に合う漢方薬で、五苓散の効果は、こんな体質の人を治すという意味になります。

注意しなければいけないのは、単純に「オシッコが多いか、少ないか」とか、「のぼせるか、のぼせないか」などの症状が「あるか? ないか?」で分析するのではなく、症状から、体全体の状態や流れ、バランスをみて、分析していかなければいけないということです。

五苓散が合う人は、こういった体質ですが、呉茱萸湯になると『手足が冷えて、冷えが胃に伝わり、胃の冷えの影響で頭痛が発生している』という体質の人に合うものなので、当然、五苓散の体質の人は、呉茱萸湯を飲んだって、ちっとも頭痛に効かないどころか、間違った漢方薬を飲んでいたら、誤治壊病といって、今の病気の状態から更に病気がこじれて、おかしな体質になっていきます。

こんな感じで、人の体質のタイプ人の数だけあるようなものなので、極端に言えば『より、その人の体質に正確に合わせたければ、常に数百種類の漢方薬から選ぶこと』がベストです。

「頭痛」という症状だけを当てはめて漢方薬を選ぶのは不可能

「漢方薬の効能効果の欄に書いてある症状」を治してくれる効果と勘違いしている一般の人や医者が多いですが、本来の漢方治療からいくと、それら書かれている症状を治すというわけで書かれているわけではありません。

「漢方薬の効能効果の欄に書いてある症状」を治すことができるなら、先ほどの僕がリストアップした39種類の漢方薬は全てあてはまります。

だったら、39種類の漢方薬からはテキトーにどれを選んでもいいのでしょうか?

そんなわけないですね。39種類の漢方薬は、先ほど説明したように、体質に合わせてそれぞれ効果が違います。

漢方薬の効能効果について詳しくは漢方薬の「効能効果」の説明を参考にしても意味がない!?をお読みください。

適当に漢方薬を選ぶと副作用が待っている

当たり前ですが、漢方薬を『頭痛だから五苓散』という、たった1つの病名だけで選んだ場合、治るか治らないかは『ただの運まかせ』です。

なぜなら、頭痛があるということだけだと、「水が原因?」「冷えが原因?」などがわからないので、それは、あなた独自の体質のことを分析していません。

例え、気になる症状が頭痛だけだったとしても、漢方では、それが「気の問題なのか?」「血の問題なのか?」「水の問題なのか?」または、「それらが、全部混ざっているのか?」を常に全身の状態を考えて漢方薬を選ばないと、あてずっぽうでは治らないのです。

また「漢方薬は自然のお薬なので、安心」と誤解している一般の人や医者が多いですが、漢方薬は体質と合っていないと副作用となり、今の病気が、よりややこしく捻れることがあります。

病院の薬は、体質と関係なく、効果はみんな同じです。

しかし、漢方薬は、こういったことがあるので、こうなると、体質をしっかり分析して漢方薬を選ぶつもりがないのであれば、飲まなかった方がマシということもあるのが漢方薬です。

「漢方薬を飲んでみたけど、効果がよくわからない」

「頭痛はマシにはなったけど、吐き気や胃もたれがしてきた」

など、スッキリと治らない人は、体質を見極めて漢方薬を選ばないといつまで経っても治らないと思います。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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