頭痛を漢方薬で治す方法
ロクに問診もなく頭痛に五苓散を処方されている人って多いのではないでしょうか?
ツムラなどの漢方薬メーカーのマニュアルをみて処方しているだけの漢方の治療理論をわかっていない医者や一部の漢方薬局の先生は、漢方薬は、自然のもので、作用が穏やかなので、病院の薬の補助程度にしか考えていない人がいます。
これは大きな間違いで、そもそも、西洋医学の治療の方法と漢方薬は治療の考え方が違いますので、全く違う治療方法となります。
本来の漢方では、マニュアルを見て五苓散を選んだりしません。
今回は、頭痛(片頭痛、群発頭痛、緊張性頭痛など)をどのように治していくのかを具体的に知ってもらえたらと思い頭痛を漢方薬ではどう治療していくのかを知ってもらえたらと思います。
病院の頭痛の治療
漢方の頭痛の治療方法と比較できるように、病院では頭痛をどのように治すのかを知っておきましょう。
頭痛の医療情報をネットで調べると片頭痛、群発頭痛、緊張性頭痛、薬物乱用頭痛などがあり、「頭痛は、あらゆる病気に標準装備のようについてくる症状なので、診断が大変」だとかなんとか、いろいろと書いてありますが、病院の治療方法は、いたって簡単!2つだけです。
1 頭痛が起こった日などの日記をつけて、頭痛の引き金になっているかもしれないものを取り除きます。
2 痛みを抑える薬を使います。
この2つです。
どちらも根本的に治りたい人にとっては、大いに問題があります。
1は、完全に病院側の建前です。
だって、あらゆる病気に標準装備のようについていくる頭痛。
そもそも、病院っていろいろな「科」に分かれていて、頭痛が血圧が関連する血の循環の問題だと思って、「循環器科」に行っても、その頭痛の原因が、実は目の問題だったら、循環器科では「特に問題ないですよ」って言われるわけです。
となると、下手したら、「科」がわかれているので、延々といろいろな「科」をたらい回しにされるだけです。
また、日常で起こる頭痛の原因には、コーヒーや低気圧から、PMSの影響まであるわけです。
つまり、どこに頭痛の原因が潜んでいるのかわかりません。
なのに、皆さん、ご存知のように病院で1時間も2時間も、体全体の調子のことや生活のことなどをじっくりと話し合ったことってあります?
3分診療で、これは実質、不可能ですよね。
なので、1は実際の病院の現場を考えれば、完全に机上の空論となるので、要は、2の痛み止めを処方するだけが、病院での頭痛の治療となります。
ところが、この痛み止めの処方も問題です。
なぜなら、西洋医学の薬は、どれも『薬の成分が体内にある間だけ痛みを抑える効果』だからです。
薬の有効成分で、一時的に痛みを抑えても薬の効果の時間が切れれば、元に戻って、また頭痛が再発。また薬を飲んで…の繰り返しで、結局、1が実質、破綻しているので、頭痛の原因に対しては1mmも治療ができていません。
病院の頭痛の漢方治療
病院では実質、痛み止めを処方することだけが、治療になりますので、そこで医者は、漢方薬だったら治るんじゃないと考えるわけです。
ところが、何せ、医大で漢方は勉強しません。
漢方では、感覚も大事なので、独学か師匠について身につけていくしかないので、結局、漢方薬もツムラなどのメーカーからもらったマニュアルをみて、頭痛によく使う漢方薬を選ぶわけです。
もちろん、体質(証)なんて診断できませんので、『そういえば、他の医者が治るって言ってた』とか、『治った人の例が多い漢方薬』みたいな漢方の治療理論そっちのけで、簡単なマニュアル方式で選ぶのですが、この時も頭痛にしか注目しないで、全身の状態から体質を考えて処方しませんので、そんなデタラメな方法で漢方薬を処方しても治るわけがありません。
ただ、漢方薬は、良いものですので、医者が体質も診断せずにマニュアルで処方しても、『たまたま、患者さんの体質と漢方薬が合っていたので治る』ということもあります。
要するに『単なる運まかせ』ですね。
でも、これだったら、別に医者に処方してもらわなくても、素人の人でも、頭痛によく使う漢方薬から、適当に飲んで行けば、いつか当たるかもしれないですね。
もちろん、延々と当たらないこともあると思いますが…
本当の頭痛の漢方治療の方法
「漢方って、そんな治し方なのか?」というと全然、違います。
低レベルな医者の漢方薬の選び方は忘れてください
ここからは、本当の漢方治療の方法です。
漢方治療では頭痛という症状に対して漢方薬を選ぶのではなく、『何の原因で頭痛が起こっているのか?』を考えます。
頭痛を起こす原因があって、それが体に何らかの悪影響を及ぼして、頭痛が発生しています。
なので、最初に聞かないといけないのは、体質がどうのこうのではなく、
『頭痛はいつからあるのか?』
『頭痛は、どんな時に起こるのか?』
『頭痛は、どれくらいの頻度で、強さはどれくらいで、頻度や強さは何かの条件で変わるのか?』
この3つを徹底的にお聞きします。
体質を分析するのは、この後です。
例えば、『月経が始まった頃からあり、月経前に頭痛が発生するが、雨の前の日や台風の時にも頭痛が発生する』
こんなケースでは、血の巡りやホルモンバランス(漢方では気)が関わっている頭痛と、水の巡りが悪いことが原因で起こる頭痛の2つの頭痛の原因がある場合があり、この場合は、月経リズムである血の道症を整えつつ、水の巡りを整える、2つの原因を治療できる漢方薬を選びます。
この時に、『すぐに勘違いする先生』がいますが、この1つ1つの原因に1種類ずつ、漢方薬を選ぶという『間違った方法』をとる先生がいます。
症状の1つ1つに、薬を処方していくのは、症状を抑えるだけの効果である西洋医学の薬の発想ですね。
漢方とは無関係!
漢方では、いろいろな頭痛の漢方的な原因を探りだして、『その原因すべて』を原則1種類の漢方薬で治せるように考えます。
人それぞれの頭痛の原因
西洋医学では、頭痛がなぜ起こるのか?
その原因はわかっていません。
患者さんに「原因だ」と説明しているものは、痛みを発するであろう体内のメカニズムを詳しく説明しているだけで、『あなたの頭痛が何が原因で起こっているのか?』は、調べもしないので、全くわからないわけです。
わからないから、『とりあえず、痛みでも止めとけ!』って感じですね。
漢方では人それぞれの体内の原因を調べていきます。
漢方が考える頭痛の原因は、その人独自の原因を探します。
漢方では、病的な原因、病的な体質のことを『証』と呼びます。
その証を紹介します。
漢方的な頭痛の原因(証)
漢方では以下のような証が、複数重なって頭痛が起こっていることが多いので、その人の証を診断します。
以下が、頭痛の原因となる証(体質)です。
【表の寒証】 体表面の冷えが原因となって、頭痛が起こっています。
風邪の場合もあるし、夏だとエアコンが原因になったりすることもあります。夏から秋の変わり目で薄着なままで、このタイプの頭痛を起こすこともあります。
周りの環境で起こりやすいので、「頭痛がいつ起こるか?」などの問診が重要ですね。
この原因の場合は、慢性的ではない可能性が高いです。
【上焦の熱証】 肩から上の体上部に熱がこもって頭痛を起こしています。
後で出てくる「胸脇の熱証」や「裏の熱証」などが併発していることが多いです。
【胸脇の熱証】 胸あたりの熱と気の巡りが悪くなり、その熱が顔にあがっていて、気が滞ることによって、頭痛が起こります。
【裏の熱証】 大腸に熱がこもって、その熱が原因で頭痛が起こります。
【脾胃の虚証】 胃もたれ、胃痛、食欲不振などで、消化器の調子が悪く、血がつくれずに虚血を起こして頭痛が起こります。
ちなみにこの証と次の寒証が重なっているタイプが、呉茱萸湯が合うタイプの人です。
【寒証】 冷えて、筋肉や気の緊張が起こり、血の巡りが悪くなることによって頭痛が起こります。
【気証】 自律神経やホルモンバランス、ストレス、睡眠リズムや状態が影響して頭痛が起こります。
PMSでの頭痛などは、『気証』『瘀血の証』『胸脇熱の証』が重なって頭痛が起こっていることが多いです。
【瘀血の証】 血の巡りが悪くなって、頭痛を起こします。
月経に関わる頭痛は、瘀血の証が原因になっていることが多いです。
【水滞の証】 水の巡りが悪くなって、頭痛が起こります。
五苓散は、この『水滞の証』に『気の上焦の証』が重なったタイプに効く漢方薬です。
頭痛の痛みを止める痛み止めの薬ではありません。
大まかなタイプにはわけましたが、実際は、『気証』+『瘀血の証』+『胸脇熱の証』とか、【水滞の証】+【脾胃の虚証】+【寒証】など、何か1つの原因ではなく、これらの証が、何個か重なって合わさって頭痛の原因になっています。
気になる頭痛を治す漢方薬の効果は?
漢方薬の効果は、つまりは、『その「証」を治す』ということです。
ややこしいですが、例えば、水滞の証なら、水が滞っているので、水の巡りを活発にして、瘀血の証なら、血の巡りを活発にします。
なので、頭痛の漢方治療で重要なのは、『体質をどれだけ正確に診断できるか』
これにかかっています。
体質を正確に診断できれば、使える漢方薬は自ずと決まってくるのですね。
ということで『頭痛だったら五苓散や呉茱萸湯』という低レベルで浅いマニュアルの選び方で治らないことがわかっていただけると幸いです。
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◯ 片頭痛 メルクマニュアル(プロフェッショナル版)
◯ 頭痛の概要 メルクマニュアル(家庭版)
◯ 慢性頭痛の診療ガイドライン2013
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
◯ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯漢方方意辞典:緑書房
◯漢方診療医典:南山堂
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯中医処方解説::神戸中医学研究会
◯平成薬証論:メディカルユーコン
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