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頭痛と吐き気がセットになっている場合の原因の調べ方

頭痛と吐き気がセットになっている場合の原因の調べ方

  1. 頭痛、吐き気の原因は体質によって変わってくる
  2. 漢方的に考える頭痛と吐き気の原因
  3. 漢方では頭痛と吐き気であっても、全身の状態を知ることが必要です

「頭痛と吐き気を同時に感じる」

よくある症状と言えば、よくあるのですが、西洋医学的には、『頭痛と吐き気から考えられる病気は無数にあります』

例えば梅雨から夏が始まろうとする時期なんかには、特に女性は頭痛と吐き気を一緒に感じる方が多いです。

「それはなぜか?」というのは、後で説明したいと思いますが、ネットで頭痛吐き気の原因を調べると、西洋医学の弱点がモロに出ていました。

というのも、西洋医学は症状に対して1つずつ対応していくことが基本ですので、頭痛か、吐き気でしか答えが出てこないのです。

頭痛、吐き気でセットにすると『メニエル』『めまい』『PMS』などが出てきて、極端な場合、『脳卒中』なども入ってきます。

症状の組み合わせだけでは、自分の病気は、どれが正解で、どれが間違いなのかがわかりません。

単に食べ過ぎでも、頭痛と吐き気が起こることもあります。

また、お年寄りで、長年、高血圧であれば、心筋梗塞とか、脳卒中の前触れの症状かもしれません。

原因が、もし、これだと放っておいたら死ぬかもしれないですね。

でも、若くて血圧なんか全然、問題ない人が、頭痛と吐き気があったからといって、「私、脳卒中かも!?」と考えるのは、可能性はなくはないですが、まず、的外れなわけです。

病院では、この的外れをなくして、頭痛と吐き気が何の原因かを突き止めるために検査をしますが、それこそ、たまたまマニュアル的でベタな大きな病気だったら、診断できるかもしれないですが、まず、「特に異常はないですね」と言われて、イブとかバファリンなどの鎮痛剤を処方されるだけです。

今回のお話では、漢方では頭痛と吐き気がセットでお悩みの場合の原因をどう考えていくのかを解説します。

また、なぜ、医者がやっているような症状だけをあてはめて漢方薬を選ぶと効果がないのか、その理由もわかります。

頭痛、吐き気の原因は体質によって変わってくる

漢方は、一人、一人違ってくる全身の状態や症状をみて、原因を考えていきますので、頭痛、吐き気が一緒に起こる原因は、何なのかを考えるのは得意です。

ただ西洋医学と違ってここで1つ注意しないといけないことがあります。

西洋医学の場合は、症状は1つずつで考えていけばよいですが、漢方の場合は、「頭痛+吐き気」の原因も、この症状だけでなく、全身の症状全部で考えないと片手落ちの頼りない分析になってしまいます。

まず、『どんな状況で頭痛と吐き気が起こったのか?』を考えます。

「春に起こる頭痛と吐き気」

「梅雨時期に起こる頭痛と吐き気」

「夏に起こる頭痛と吐き気」

「冬に起こる頭痛と吐き気」

『起こる季節』によって、同じ症状でも原因は、それぞれ違ってきます。

『1日のうちの時間の中で、いつ発生するのか?』でも原因が違ってきます。

「空腹の時に起こったのか?」

「満腹の時に起こったのか?」

また「朝起きぬけに頭痛や吐き気がある」とかでも原因は変わってきます。

それに『女性か、男性か』でも変わってきます。

女性の場合は、月経がありますので、「月経前」だったり、月経中だったり、排卵時期だったりで原因が変わってきます。

また『元々、持っている病気』でも変わってきます。

過去にメニエルの経験があれば、『メニエルが久しぶりに再発したかもしれない』という可能性もあり、普段から頭痛が起こりやすく、今回は、その頭痛が酷すぎて吐き気を伴ったのかもしれません。

体質などから詳しくみていく場合は、さきほどの条件をどんどん、複合的に掛け合わせて分析にかけていきます。

どちらにしろ、『頭痛と吐き気』だけで、原因が何なのか?を考えても無意味。

何かの病気なのか?を見抜くことは不可能に近いのです。

漢方的に考える頭痛と吐き気の原因

漢方では、『証』という体のバランスが崩れた要素を分析し、その『証』から頭痛や吐き気の原因がわかります。

まずは、『時期(季節)』です。

梅雨から夏にかかる時期のような、湿気が高く、気温が高い時期は可能性として、「湿熱」という証の可能性が高いです。

吐き気は、胃に余分な熱がこもる胃熱の状態だったり、または熱ではなく不要な水がこもる胃内停水だったりすることが多いです。

胃熱という状態の場合は、のぼせと頭痛を伴いやすく、食べ過ぎや消化の悪いものを食べたことなどに思い当たることがあるかもしれません。

胃内停水の場合は、冷たい水分のとりすぎなどで起こりやすいです。

気温が急に高くなり、この時期は汗の出し方が下手くそだったりするので、体内に余分な熱がこもります。

暑いものだから、急激に水分のとる量も増えます。

体内の余分な熱と水が、結びつくと湿熱という状態になり、余分な熱や水をなんとか追い出そうと、吐き気が起こったり、余分な熱が体の上へ上へとあがり、頭痛を起こしたりします。

こうなると「上焦の熱証」、「胃内停水の証」が合わさって「頭痛と吐き気が起こっている」と考えるのが漢方的な原因ですね。

特に上半身を温めないようにして、水分を控えると徐々に良くなってきます。

真夏になると熱の影響が強くなります。

頭痛も吐き気も余分な熱のこもりが原因で起こります。

そして、秋になると、夏の間、飲みすぎた水が原因で、春や梅雨時期の「湿熱の証」が戻ってきます。

もちろん、これらは、あくまで季節的な影響を受けた場合で、単純に季節は関係なく、胃腸系の風邪にかかって、頭痛と吐き気を伴うこともあります。

この場合は、「表の寒証」という診断からの頭痛と吐き気になります。

「水逆の証」といって、水の巡りの悪さだけが原因で、頭痛と吐き気が一緒に起こることもあります。

夏の時期だと汗のかき方にも関わってきます。

極端に汗をかいてしまったりすると、その失った水分を急激に補おうとして、体内の水分量が急激に増えて、水の巡りがおかしくなり、血管を圧迫したりして、頭痛と吐き気が起こります。

「胃寒の証」といって、下半身からの冷えが胃に伝わって、頭痛と吐き気が一緒に起こることもあります。

血の巡りが悪い女性は、月経にも影響しますが、月経に関わる血の巡りの悪い「お血の証」と下半身のむくみなどの「下焦の水滞の証」が、重なって、頭痛と吐き気が一緒に起こることもあります。

反対に血が少ない血虚の証の人は、脳の血が少なくなって頭痛が起こり、消化するために胃に必要な血が足りなくなって、同時に吐き気などが起こります。

『頭痛と吐き気には何の漢方薬が効きますか?』って質問される方がいて、「あー〇〇という漢方薬ですよ」って、簡単な答えを期待していると思うのですが、実際の診断はこんな感じで、超複雑なので、一概には答えられないのですよね。

漢方薬は、これらの原因ごとに対応しているものを選びますので、『頭痛と吐き気』だけでも何十種類もの漢方薬が考えられますので、頭痛に五苓散みたいな単純な選び方では、まず治ることはありません。

まず、原因を取り違えて外しますから。

漢方では頭痛と吐き気であっても、全身の状態を知ることが必要です

結局、その人の体質によって、ありとあらゆる可能性が考えられますが、漢方では、頭痛と吐き気という症状だけでなく、全身の状態を確認しながら、『なぜ頭痛と吐き気が起こったのか?』を探っていきます。

「頭痛」とか、「吐き気」という症状だけを追いかけて、漢方薬を選んでも何の意味もないのですね。

頭痛と吐き気という2つの症状だけでも、病気も原因も無数に考えられますが、『症状が起こり始めた状況』や、『その時に体の他の部分は、どんな状態だったか』を調べていけば、『根本原因』を絞り込めます。

例えば、湿気が高く、気温が高い時期に、冷えから起こる頭痛や吐き気を考えたとしても、それは可能性がかなり低い的外れなことになります。

夏の時期だったら、やはり、熱が1つの原因と考えるところから始めて、分析の手を広げていくのがよいのです。

症状というのは、体の何かの不調を知らせるために起こっています。

何がしか起こったことが、トリガーになっているので、具体的に考えるのはとても重要です。

また、体は全部、つながっていますので、症状もバラバラに考えないで、頭痛と吐き気だけでなく、全身の症状や状態も含めて考えていく必要があるのですね。

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◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
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◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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