漢方薬相談ブログ

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更年期障害を漢方薬で治療する方法

  1. 病院の更年期障害の治療
  2. 病院の更年期障害の漢方治療
  3. 本当の更年期障害の漢方治療の方法
  4. 漢方的な更年期障害の原因(証)
  5. 気になる漢方薬の効果は?

更年期障害というのは、病気というよりも、閉経間近の年齢の女性に現れる不定愁訴のことを言います。

更年期障害というと、病院では『女性ホルモンが少なくなって、いろいろな症状が表れる』ことが原因だとされていますが、僕は実際の数々の更年期の方の治療経験から考えると、単純に女性ホルモンの減少だけが原因ではないと考えています。

女性ホルモンの減少も、もちろんあるかと思いますが、閉経付近の年齢というのは、実は女性に限らず、人間の体として、いろいろと不具合が表に出てきて、目立ってくる時期でもあるのです。

ですので、一昔前に言われたような男性更年期障害も、いわゆる更年期障害ではなく、45歳前後から体の不調が出てくる時期なので、それに無理やりこじつけたのが、男性更年期障害だと考えてます。

病院の婦人科では、更年期障害をお得意のホルモン補充で治療しますが、そもそも不定愁訴があるのは、『ホルモンが減っている』という単純な理由だけではないのですね。

おそらく、症状の原因となっている何十、何百の要素のうちの1つに「ホルモンが減っている」ということがあるのでしょうが、それだけが原因でホルモンさえ補充すれば、治っていくなんて単純な話ではないのです。

漢方では体質全体を分析していきますので、体質的に考えた時に更年期障害をどう治療していくのかをお話しますね。

病院の更年期障害の治療

漢方の更年期障害の治療方法と比較できるように、病院では更年期障害をどのように治すのかを知っておきましょう。

病院のサイトなどを見ると、治療方法や薬をそれらしく書いてありますが、治療方法は実は単純です。

西洋医学の治療は、どんな病気に対してだって、いつだって単純なのです。

1 ホットフラッシュ、不眠、うつっぽい精神状態など、それぞれに対して、一時的な効果のある薬を使う。

2 女性ホルモン剤の補充。

この2つです。

どちらも根本的に治りたい人にとっては、大いに問題があります。

1はホットフラッシュに対して、抗痙攣薬を使ったり、不眠には睡眠導入剤を使ったり、鬱っぽい精神状態には、抵うつ薬を使ったりします。

個別でこれらの薬を見た時に一時的には、症状が抑えられても、どの病気も治っていないのは、今は医者よりも患者さんの方が良くご存知だと思います。

そもそも、更年期障害として起こっている症状に対して治療しているのではなく、単に各症状にその場しのぎで対応しているだけです。

2」は、単にエストロゲンとかプロゲステロンという女性ホルモンを補充します。

これには大きなリスクがあります。

女性ホルモン剤の補充は、子宮ガンや卵巣癌、乳がんなどになるリスクがあります。

治療しているのになぜ、そんなリスクがあるのでしょう?

それは、更年期障害は、確かに女性ホルモンが減少することが原因の1つですが原因はこれだけではないからです。

また、女性ホルモンが減っているといっても、年齢も体の状態も体質もバラバラなので、その人の女性ホルモンがどれくらい減っているか?はわからないわけです。

だって、私たちは、ロボットではないし、みんな同じ量のホルモンで調整されているわけではないからです。

ですが、投与するホルモンは同じ量なので、中には、それが多すぎたりする人も、いくらでもいるわけです。

いくら、検査で女性ホルモンを測っても、そもそもその検査の基準が自分に当てはまるのかわかりmせん。

先ほど、お話ししたようにホルモンというのはデリケートでこれくらいだったら標準なんてないわけです。

要するに人それぞれのホルモンの値があって、絶対的に必要なホルモン値なんてわかりっこないのです。

だから、中には更年期障害の治療で婦人科系癌(がん)になってしまうのです。

要は、個人差も考えずに、一律、同じ量の女性ホルモンの治療をしようとしたって、土台、無理な話なのです。

病院の更年期障害の漢方治療

漢方薬は東洋医学的な体質である証という病気の東洋医学的原因を分析して、それに対して、漢方薬を選びますが、医者は体質を分析することができませんので、ツムラなどの漢方薬メーカーからもらったマニュアルで漢方薬を選びます。

マニュアルには、ネズミのホルモンを活性化したなどのデータものっているのですが、当たり前ですが、人間の体質のデータを二千年間とり続け、人間の体質に合わせるためのノウハウしかない漢方理論の中で、ネズミのホルモンを活性化したデータなんて、何の役にも立ちません。

しかし、医者は科学的データが大好きなので、平気でネズミのデータを参考にして、人間を見ずに漢方薬を処方します。

漢方薬は、どれも、いろいろな症状を抑えるものでもないし、ホルモンを補充するものでもありませんので、マニュアルから選んでも、治るかどうかは『運』次第です。

医者は医大でも漢方治療のことは学びませんので、マニュアルから選んでいるだけの病院だったら、素人の人でも更年期障害によく使う漢方薬から、適当に飲んでいけば、いつか当たるかもしれないですね。

もちろん、延々と当たらないこともあると思いますが…

本当の更年期障害の漢方治療の方法

前フリが長かったですが、本来の漢方治療の方法を紹介します。

ここからは、医者と違って、本当の漢方治療の方法です。

漢方治療では病院の薬のように、ホットフラッシュや不眠などのそれぞれの症状を抑えることが目的ではありませんし、それぞれの症状を抑える効果なんてありません。

月経周期や女性ホルモンのリズムを中心にして、それを踏まえて体全体をみて、いろいろな症状の体内の原因を分析します。

月経周期や女性ホルモンのリズムを分析するというのは、閉経直前の月経周期や、月経前や月経時の状態、閉経前でない通常の月経時の月経周期や月経前や月経時の状態、不妊症の治療の有無、不妊治療でどんなホルモン剤を使ったか、出産、流産経験など過去、現在も踏まえて総合的に分析します。

これらは、あなたの今のホルモンリズムに影響を与えているからです。

また、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫などの既往歴もお聞きします。

病院では、更年期障害で受診したら、更年期障害のことしか診ないでしょうが、過去のことであっても、これらは女性ホルモンリズムに影響を与えています。

そして、漢方は、常に一旦、全身を見渡してから、原因を考えていきますので、全身の状態も分析します。

病院は、病気の原因を無理やり1つに絞ろうとしますが、そもそも、菌やウィルス、気質的(物理的)な損傷以外は、原因は無数に絡みあっています。

冒頭でお話ししたように、更年期障害といっても、この年齢あたりから、体調はいろいろと悪くなってくるので、女性ホルモンと関係なく起こっている症状もあるし、女性ホルモンと関係はあっても女性ホルモンが大きな原因ではない場合もあります。

どちらにしても漢方の場合は、1つ1つの症状に1種類ずつ、漢方薬を選ぶわけではありませんので、全身をみて、東洋医学的な病気の原因である『証』を導きだします。

その人独自の病気の原因である『証』が分析できたら、それに女性ホルモン的な原因を加えて考えて、その証(原因)を治せる漢方薬を選びます。

漢方的な更年期障害の原因(証)

漢方では以下のような証(原因)が、複数重なって更年期障害が起こっていると考えますので、その人の証を診断します。

以下が、全てではないですが、よくある更年期障害の原因となる証(体質)です。

【上焦の熱証】 肩から上の体上部に熱がこもって、ホットフラッシュや耳鳴り、めまい、不眠、突然、血圧があがる、イライラやうつ的な精神症状を起こしています。

後で出てくる「胸脇の熱証」などが併発していることが多いです。

【胸脇の熱証】 胸あたりの熱と気の巡りが悪くなり、その熱が顔にあがっていて、気が滞ることによって、食欲不振やこの証が原因でホットフラッシュや不眠、イライラが起こしています。

【瘀血の証】 血の巡りが悪くなり、女性ホルモンリズムに悪影響をおよぼします。

足の冷えや冷えのぼせ、耳鳴り、めまい、吹き出物などの原因になっています。

【気証、気の上衝の証】 ホットフラッシュや耳鳴り、めまい、不眠、突然、血圧があがる、イライラやうつ的な精神症状をなど自律神経やホルモンバランス、ストレスに関わっています。

更年期障害は、『気証』『瘀血の証』『胸脇熱の証』が重なって、起こっていることが多いです。

【血虚の証】 異常な疲れ、貧血、めまい、耳鳴り、手足のしびれなど、血が不足して虚血が原因です。

【寒証】 冷えて、筋肉や気の緊張が起こり、血の巡りが悪くなることによって、子宮や卵巣への血の巡りが悪くなり、よりホルモンの乱れが起こります。

足冷えや体全体で寒がるなどがあります。

【水滞の証】 水の巡りが悪くなって、むくみが起こります。

大まかなタイプにはわけましたが、気をつけていただきたいのは、このうちのどれか1つが原因というわけではありません。

実際の治療では、『気の上衝の証』『瘀血の証』『胸脇熱の証』とか、【水滞の証】+【血虚の証】+【寒証】など、これらの証が、何個か重なって合わさって更年期障害の原因になっています。

この複数の原因ごとに漢方薬を選ぶのではなく、複数の証の関連も考えて、全ての証が調整される1つの漢方薬を選びます。

気になる漢方薬の効果は?

漢方薬の効果は、つまりは、その「証(原因)」を治すということです。

ややこしいですが、例えば、水滞の証なら、水が滞っているので、水の巡りを促し、瘀血の証なら、血の巡りを促します。

なので、更年期障害の漢方治療で重要なのは、「ホルモン補充がどうたらとか」、「効果がなんたら」ではなく、『体質をどれだけ正確に診断できるか』

これにかかっています。

体質を正確に診断できれば、使える漢方薬は自ずと決まってくるのですね。

ということで『更年期障害だったら柴胡桂枝乾姜湯や加味逍遙散』というのはあまりに低レベルで浅いマニュアルの選び方なので、そんな方法では都合よく治らないことがわかっていただけると幸いです。

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閉経 メルクマニュアル(家庭版)
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日本産婦人科学会
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
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◯ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯漢方方意辞典:緑書房
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◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯中医処方解説::神戸中医学研究会
◯平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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