巷に溢れてるニセモノ漢方にひっかからないためのチェックリスト
治療や医学と言えば、「西洋医学のみしかない」ように思いがちですが、WHOに漢方医学が加わることになりそうです。
しかし、記事の内容を読んでみると、漢方って本当に誤解だらけなんだなと悲しくなってきて、正しい知識を広めたいと思い書いてみました。
実は、日本の漢方が加わるといっても、ほとんどの先生が、基本中の基本処方である体質すらまともに診断できないなど、日本の漢方の内情はボロボロです。
そこで『それは漢方じゃない!チェックリスト』を作ってみました。
ある記事は完全に間違った情報を堂々と書いていました。
産経ニュース 漢方薬や鍼灸など「伝統医療」WHOが認定へ 日本の漢方、地位向上へより引用:
日本の漢方は古代中国に起源があるものの、西洋医学と融合し、中国とは運用方法や処方の作り方も異なるなど独自の発展を遂げた。
中国の漢方と違って、独自の発展を遂げた日本漢方は西洋医学と融合したものではありません。
それは現在の中国の中医学というものです。
実はこれ、大きな違いで、これがわかっていないと漢方治療にも差し障ります。
日本漢方だけでない3種類の漢方
日本漢方は江戸時代後期の蘭学(西洋医学)が日本に入ってくるまで発展してきた漢方で、西洋医学と融合どころか、西洋医学が入ってくることによって、その後は衰退していきます。
漢方の世界では、治療や体質の診断方法の違いなどで大まかに3種類の派閥があります。
みなさんが「中国4千年の〜」と知っている大元の漢方は正式には中国の伝統中国医学というジャンルになり、これを日本では古方と呼んでいます。
記事で書かれている「西洋医学と融合して〜」という医学は中医学のことだと思います。
日本の漢方じゃないっ!
(現在の中国の漢方医学です。ややこしいですが、古来の中国漢方医学と現在の中国の漢方医学は別物です)
日本漢方で体質を診断した結果のことを『証』と言い、中国の中医学で体質を診断、治療することを『弁証論治』と言い、どちらも診断や治療の方法が異なります。
日本独自で発展を遂げた日本漢方は、古方をベースに日本で独自発展したもので、江戸時代がピークでその後は衰退の一途を辿っています。
日本全国で漢方薬局と称して漢方相談している店のほとんどは中医学です。
保険適応の医者がやっている漢方は…よくわかりません。
日本漢方と中医学がぐちゃぐちゃに混ざっています。
そもそも、『西洋医学の病名のマニュアルで漢方薬を処方する』という意味不明なキテレツな漢方です。
保険適応の漢方薬をやっている医者は、「自分が古方なのか?」「日本漢方なのか?」「中医学なのか?」すら知らない漢方の素人です。
(日本漢方は難しいので、まず医者でやっている人はいないでしょう)
※ちなみに西洋医学と融合した中医学は『西洋医学の病態生理や薬理などと漢方の考えを融合するという意味』であって、日本の医者がやっている病名マニュアルはメーカーが販売するために編み出した意味不明な方法で中医学のことではありません。
内情はボロボロの漢方業界
以前に週刊新潮 2017年09月14日号 40P〜 でもツムラの保険適応の漢方薬を医者がいい加減でおかしな方法で処方していることを糾弾する記事がありました。
ゴシップみたいに捉えている人もいるかもしれないですが、業界からみると寸分狂わず、事実です。
その関連の記事はこちらです。
漢方が医学としての地位が上がることは嬉しいのですが、記事の最後の文を読むと、
産経ニュース 漢方薬や鍼灸など「伝統医療」WHOが認定へ 日本の漢方、地位向上へより引用:
日本では昭和51年に147種の漢方エキス製剤が医療保険に適用。漢方医学は平成13年から医学教育に、14年からは薬学教育にも導入された。
と書かれていますが、医療保険漢方薬大手のツムラの漢方薬を扱ってきた医者は『国民を騙してきた!』なんて書かれているし、医学教育に漢方医学が導入されたといっても、知人の医学生の話だと、6年間で、たった6時間ほどらしいです。(大学にもよるかもしれないですが)
また、薬学教育に導入されたといっても、昔、うちに弟子入りしたいと言ってきた薬学生は、漢方医学の先生に「もっとちゃんと勉強したい!」とお願いしたら、「学校ではちょっとの時間しか勉強しないから、真剣にやりたかったら自分で勝手に勉強してください」とサラッと言われてます。
実情はこんなショボい状態で、壮大な誤解の日本漢方が世界で登録されるのか…と思うとなんともやりきれないです。
医学の建前と本音って本当、怖いです。
それは漢方じゃない!チェックリスト
そこでせめて、日々、日本漢方を実践している僕が『世間で漢方と思われてるけど、それは漢方じゃねーよ』というものをリスト化したいと思います。
【それは漢方じゃない!チェックリスト】
□ 保険適応の漢方薬で行われている病院に多い、西洋医学の病名でマニュアル的に漢方薬を処方しているのは漢方ではありません。漢方のままごとです。
※少なくとも漢方の理論や歴史の中で、そんな方法は存在しません。
□ 漢方薬はいくつかの症状をあ当てはめて選びません。症状全部から「証」を分析、診断し、その「証」に合わせて漢方薬を選びます。
□「証」とは西洋医学の病名や症状のことではありません。全身の症状や生活全般の状態からを総合的に判断する東洋医学的な「病気の原因」や「病的体質」のことです。
□ ハーブは漢方ではありません。漢方薬の中でもハーブに属するものはありますが、ハーブと漢方は関係ありません。
※漢方で重要なのは自然の生薬を使っていることではなく、それらを使いこなすための診断方法や治療理論があることです。
□ 生薬を使ってる漢方系サプリメントは漢方薬ではありません。
ハーブも漢方系サプリメントも漢方ではありません。
漢方とは生薬を使うことそのものではなく、『証』を分析、診断し、それに合わせて漢方薬を選び、根本治療のための養生をアドバイスすること全部がセットになって漢方治療となります。
で、ちゃんとした漢方治療でなかったらどうなるのか?
医学として機能していないので治るか治らないかはただの運まかせになります。
体質と漢方薬が合っていない場合は、『誤治壊病』といって今の病気が漢方薬を飲むことによって更に病気がこじれることもあります。
なぜ、みんな漢方じゃないのに漢方治療のフリしてやっているのでしょう?
真相は知りませんが、おそらく、漢方を勉強してみたけど、難解すぎてついていけず、当然、「証」なんかも診断できないので、自分に都合の良さそうなところだけとって漢方風漢方をやっているのだと思います。
WHOに登録されるんだから、いい加減、『なんちゃって漢方』はやめて、素晴らしい医学として本物の日本漢方を残していきましょうよ。
●卵巣脳腫や月経困難証で、お悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。
●お問い合わせは、こちらから送信してください。
●店頭相談のご予約は、こちらから、ご予約ください。(店頭も初回の相談は無料です)
日本全国オンライン相談受付中!
※全国(札幌、仙台、郡山、千葉、東京都、横浜、さいたま、長野、浜松、名古屋、津、京都、奈良、大阪、姫路、広島、福岡、熊本、鹿児島など)からネット、メール、電話、LINEやメッセンジャーなどのテレビ電話などのオンライン相談を受付中です!
【引用先及び参考図書、Webサイト】
◯漢方薬や鍼灸など「伝統医療」WHOが認定へ 日本の漢方、地位向上へ(1/2ページ) - 産経ニュース
◯陰陽五行説―その発生と展開 薬業時報社
◯中医診断学ノート 東洋学術出版社
◯図説 東洋医学 学研
◯漢方概論 創元社
◯漢方の歴史 大修館書店
◯中国医学の秘密 講談社
関連した記事
- 病院の漢方薬はなぜ効果がないのか!? (病名漢方とは)
- 病名漢方とは漢方の医学理論を理解できない、もしくは、勉強したてか勉強すらしてない素人の方が西洋医学の病名だけで漢方薬を選ぶ、本来の漢方治療には存在しない方法のことです。
- 自分の症状を当てはめて漢方薬を選んでも治らない(症状漢方)
- 病名漢方と同じで「証」という体質を診断せずに、症状だけをあてはめて漢方薬を選ぶ人がいますが、こんな選び方では漢方薬は効きません。
- 病院の漢方薬を飲んでも大丈夫?「ツムラが国民を欺いた!!漢方の「大嘘」について」
- ツムラが国民を欺いた!!漢方の「大嘘」週刊新潮の記事です。ゴシップでも大げさでもない真実。人知れず保険適用の病名マニュアルで処方された漢方薬の強い副作用で病気が余計にこじれている人がいます。
- ツムラの漢方薬は本当に効果が弱いのか?
- 「ツムラの漢方薬は3倍量飲まないと効かない」処方している病院の先生自身も裏では言ってたりしますが、本当のところはどうなのでしょう?漢方専門家として考察してみました。
- 病院の建前(理論)と本音(現実の診察)の差がひどすぎる
- 西洋医学は机上論的なテキスト上の理論と現場の医者の治療の差が激しすぎます。本当に根本的に治るために必要な情報とは何でしょうか。