漢方薬相談ブログ

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病院の漢方薬を飲んでも大丈夫?「ツムラが国民を欺いた!!漢方の「大嘘」について」

週刊新潮の記事である、ツムラが国民を欺いた!!漢方の「大嘘」を参考にしました。

記事はこちらにありました。
週刊新潮 2017年09月14日号 40P〜

この記事、漢方の専門家からみてゴシップでも大げさでもなく、一般の人にはわかりにくい漢方業界のことをよく調べてあり、真実が淡々と書かれています。

記事の内容を要約すると、病院で保険適用のツムラの漢方薬を処方されることがよくありますが、実は処方している医者自身が漢方の医学理論、診断方法、生薬の効果のことなど何もわかっておらず、ツムラが作ったマニュアル的に選べる病名漢方の本に基づいて処方しているだけ。というもの。

『病院のマニュアル漢方』に関してはこちらの「病院の漢方薬は効かないのか!?(病名漢方とは)」を読んでみてください。

本来の漢方では『証』という病的体質やその人独自の原因を分析、診断して、その証に合わせて漢方薬を選びます。

記事によるとこのツムラのつくったマニュアル漢方は『日本の漢方全体を歪めた元凶』になっていて、北里大学のパンフレットにまで、この歪んだマニュアル漢方の考えが行き届いているとのこと。

週刊新潮側は一方的に批判するつもりではなく、深刻な副作用も起こしているツムラのマニュアル漢方の様々な問題点について取材依頼を送ったものの「弊社は自然と健康を科学するという経営理念のもと、高品質な漢方製剤を…」とパンフレットの宣伝文句の建前の回答書が返ってきたらしいです。

これだけドぎついこと書かれているのだから、逆にちゃんと取材を受けて『新潮さん、誤解がありますよ!』と返せば、ツムラにとっても逆に良い宣伝になるはずなのに。

ツムラさん、言い訳もできないほど事実すぎて、逃げるしかなかったのでしょうか…

ツムラがつくった病名漢方マニュアル

ツムラが作り上げた病名マニュアル漢方ですが僕も持ってます。

マニュアルには西洋医学の病名に対応した漢方薬が書いてあって、各漢方薬のページには4つほどの症状と病名が書かれています。

医者は『病名と2、3の症状があてはまったら→この漢方薬』という感じで処方します。

ぶっちゃけ、日本語さえ読めればド素人でもできる方法。

こんなデタラメな方法でも、保険適用のツムラの漢方薬を処方してもらったら治ると勘違いしている人がいますが、誰でも選べるマニュアル処方の漢方薬なんか処方してもらったって、治るか、治らないかは『ただの運次第』ですから。

こんな当たり前のこと書くのも恥ずかしいですが、『西洋医学と東洋医学』は、活用されてきた場所も歴史も治療に対する考えや診断方法、薬の効果も何もかも違います。

接点がありません。

皆無なんです。

漢方薬は病名で選ぶのではなく病的体質を表す『証』で選びます。

実はツムラのマニュアルにも書いてある『証』です。

ちなみに『証』とは症状のことではありません。

たまにその人の症状を証だと勘違いしてる先生がいますが、証は症状やその他、症状が発生したきっかけや併発している病気、生活環境など、症状にいろいろな要素を加味し総合的に考えた、その人の独自の体質の診断結果のことです。

『漢方は病名を当てはめるだけ』とか『いくつか症状を当てはめるだけ』で選んでも意味がありません。

『証を分析診断』しないといけないのです。

証に関してはこちらの漢方薬で治したい人は「証」を知らなければ治らないを読んでみてください。

なぜツムラは病名マニュアル漢方処方にしたのか?

なぜ、ツムラは証のことを知っているのにマニュアル処方にしたのか?

僕の勝手な考察ですが、それは効率よく売り上げを上げるためではないかと。

一人一人違う証を分析しようと思ったら、それなりに時間がかかります。

でも病院で「自分の前の番の人が40分位、相談している」のを待てますか?

そんなことしてたら、1日目で診察してもらえません。

保険診療はパパッとベルトコンベア上の商品のように患者さんをこなしていかないと経営が成り立ちません。

ある意味、一人の体質をじっくり相談なんてやってたら潰れます。

その点、西洋医学の薬は性質上、体質関係なく誰にでも同じ効果が発揮するようになっています。

だから、薬をパパッと処方できます。

それこそ『医療ガイドラインというマニュアル』で。

ツムラも医者も『漢方薬も西洋医学のその形と同じことをすればいい』と考えたのでしょう。

昔からツムラは、マニュアル病名漢方でしたが、特に、このひどい状態になったことがわかるのが、ツムラの金銭的危機を救った社長が出ているガイアの夜明けという番組で社長、自らが語っています。

これは医療番組でなく、経済のサクセスストーリー番組で、ストーリー的には当時、年商1000億、借り入れ1450億の大赤字の脱出をさせた社長の話なのです。

いろいろとキレイごとを言ってますが、治療のためではなく要は『どうやって儲ければ借金だらけのツムラを救えるのか』を考え、見事、儲けて赤字企業から復活させた!という話。

カンブリア宮殿 漢方薬で医療に革命を起こせ!

(動画 16:38) この辺りの時間の動画を見ると「西洋薬のように使える漢方薬〜」と当時の社長が借金だらけのツムラを金銭的に救う為に今の副作用を出しまくっている病名マニュアル漢方の元になった3つの薬(六君子湯、大建中湯、抑肝散)を会社が勝手に選んだことがわかります。

(番組ではキレイ事っぽく説明されていますが)

漢方薬は、売りたい側の医者が選ぶのではなく、患者さんの体質に合わせるので、あらかじめ処方したい漢方薬を選ぶこと自体、間違っています。

この番組、キレイごとで飾られツッコミどころ満載なのですが、そのツッコミは今度の機会に。

集中と選択。

企業を大赤字から救う場合、これはセオリーです。

余計な在庫を持たずに、売れる商品を勝手に絞って(六君子湯、大建中湯、抑肝散)、利益を上げるのです。

この場合の問題は、その選んだ商品は、会社の利益のためだけに勝手に選んでいいものじゃなかったこと。

漢方薬は利益に合わせるのではなく証に合わせる。

漢方薬は体質(証)に合わせるのです。

だから、ツムラが利益のために選ぶのではなく患者さんの病気を治すために相談しながら選ぶのです。

病名じゃなく証で選ぶということは、選ぶ漢方薬は人それぞれになるので『何の漢方薬を処方すべきかは事前にこちらから決めることはできません』

いつも診察に来るアトピーの人だからって、体質を分析する前から「消風散」と決めるのは漢方では絶対にやっちゃいけないことなのです。

同じアトピーという診断の人でも、体質が違ってくるので選ぶ漢方薬は変わります。

3種類どころか、数百種類ある中から、その都度、体質に合わせて選ばないといけません。

しかし病名マニュアルで選ぶということは、『勝手に医者側で誘導して売っている』ということともいえます。

でも、当時の赤字だらけのツムラが生き残るには、この集中と選択しかなかったと思います。

上場会社で、なおかつ赤字ですから、患者さんの病気が治ることよりも、何にも増して株主様の利益が優先です。

ツムラはある種、生き残るために売り上げる必要があったので、治療という立場から見ると、やり口は良くないと思いますが一部上場の株式会社という立場から見れば、しょうがない部分もあります。

根本的治療のための綿密で手間のかかる治療と大きな会社の利益は絶対に矛盾するのです。

かわいそうなのは、安いからって、こんないい加減な方法で選んだ保険適用漢方薬で治ると思っている患者さんです。

医者はなぜ病名マニュアルをおかしいと思わなかったのか?

そのニセモノの簡単な方法にのっかった医者自身も、どうなのかと思います。

医者の不思議な点は、当人が漢方薬を扱おうと思って勉強し始めたら、陰陽や気血水、三陰三陽、六病位…と西洋医学では見たこともない診断方法や言葉がでズラズラと出てきたはずです。

ちゃんと勉強していれば

漢方独自の理屈は、どうやったって化学的な臨床データや西洋医学の病名理論と理論自体が噛み合わないのです。

普通であれば、ここで気づきます。

「あれ、西洋医学の病名と漢方の診断方法って全然、違うじゃん!」って。

それに気づかないような残念な頭なのか、儲けのためにわざとスルーしたのか、どう脳内で処理したのかわかりませんが、今でも西洋医学の病名だけで漢方薬をマニュアル処方できるのは不思議な頭の構造?を持っているからでしょうね。

保険適用の病名マニュアル漢方処方では有害になることも

さて、残念ながら、保険適用で安く漢方薬が処方されるサービスはお金の面では素晴らしいですが、その実態は『医者がド素人でもできるマニュアルで漢方薬を処方している』ことになり、安かろう、悪かろう(治らない)のサービスだと思います。

そして『漢方薬には副作用』があります。

漢方薬の副作用は箱に表記されているような「吐き気、頭痛…」などのお決まりのものではありません。

人それぞに合わせて選び、どんな体質の人かが事前にわからないのに副作用も効果もあらかじめ決まっているっておかしいでしょ。

漢方薬の副作用は『体質と漢方薬が合っていなければ』起こります。

どんな副作用が出現するかは、『その時のその人の体質と選んだ漢方薬の影響』の掛け合わせで決まります。

漢方の理論の中に誤治、壊病という考えがあって『体質分析』『選ぶ漢方薬』を間違うことを『誤治』といい、その誤治によって間違った漢方薬を飲んだことによって余計に病がこじれることを『壊病』といいます。

更に漢方の理論には壊病になった場合に元に戻す漢方薬の指示まであります。

漢方薬の副作用に関しては漢方薬の副作用が病院の薬より怖い理由を読んでみてください。

病名や症状だけをマニュアルをみて当てはめて処方している先生は知りもしないでしょうが。

病名マニュアルや症状だけを当てはめて漢方薬を処方するということは、元から合っているかどうかも考えていませんので実際は『ラッキーで治るかどうか』でやっているわけです。

もちろん、ラッキーで治ることもありますが、副作用が起きて壊病になることも同時にあるわけです。

その時に何が怖いかって漢方理論と関係ない病名マニュアル漢方で処方していると当の医者が良いのか悪いのかすら判断できないこと

漢方はラッキーで治るかどうかを見るようなレベルの低い医学ではありません。

体質診断し、その人だけのための治療方針を立てて、患者さんが漢方薬を飲んだ後に検証できるようになっている。

とても素晴らしい高度な医学です。

時代も場所も根元の理論も何もかもが西洋医学の病名や臨床と違います。

「現在は科学の時代なんだから漢方理論なんか全部無視して病名マニュアル漢方処方でいいよ」と考える人は、今まで通り特別、問診も書かないで突然、何の理論も根拠もなく処方された漢方薬を飲めばいいと思います。

漢方薬の副作用はジワジワと悪くなっていくことが多いので全身の問診をとっていなければ、逆に気づかずにスルーできるといえばできます。

水面下で体質は悪くなっていきますが…

でも、ちゃんと漢方治療したいとお考えであれば→

●漢方薬を選ぶための全身の問診を特別にとらない。(例え頭痛1つの症状でも)

●東洋医学的な体質を説明できない(よくできて瘀血タイプ、水毒タイプ、気滞タイプなどの占いレベルでしか分析できない)。

または漢方薬の効果や調整を西洋医学的、化学的にしか説明できない。

●漢方薬の副作用や質問は薬局の薬剤師に効いてくれと丸投げ。

●そもそも、どれもできなくて症状を2、3聞いただけで漢方薬を処方している。

という医者の出す漢方薬は飲まない方が健康だと思います。

ちなみにこの病名マニュアル漢方処方の問題ってツムラのメーカーに限らず、クラシエなど保険適用の漢方を処方している病院はどこも大体、同じような感じです。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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