漢方薬相談ブログ

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ツムラの漢方薬は本当に効果が弱いのか?

保険適用の漢方薬といえば、ほぼツムラの漢方薬です。

以前に週刊新潮からこんな記事が出て、それについて記事を書きました。

ツムラが国民を欺いた!!漢方の「大嘘」について

ツムラの保険適用の漢方薬は実は、『医者が漢方薬の使い方を全く知らずに、メーカーの提供するマニュアルだけで処方している』という事実が明るみに出ました。

体質を診断せずに漢方薬を処方しているので、体質と合っていない漢方薬を長い期間、飲み続けて、重大な副作用になっている患者さんが多いことなどが暴露されていました。

僕たちの業界では、昔から医者が体質を診断せずに、西洋医学の病名だけで漢方薬を処方していたことは知っていたので医者が患者さんを騙して、何やってるのだろうなとは思っていました。

体質を診断しないでマニュアルで漢方薬を選んでも治らないのは当然ですが、それよりも僕らの業界ではツムラの漢方薬は効果が弱いで有名でした。

(あくまで漢方業界の噂レベルですが、関西以外の他の地区の先生に聞いても漢方医の先生は同じことを言ってました。本当のところはわかりませんが)

漢方を専門にやっている先生の間では、ツムラの漢方薬をで効かせたい場合は『3倍量は飲め!』というのは半ば、常識だったのです。

実際にツムラの漢方薬は効果が弱いのか試してみた

実際に患者さんの同意の上で実験をやったことがあります。

副鼻腔炎の方、お二人です。

女性と男性。

近くの耳鼻咽喉科で副鼻腔炎に対して、ツムラの漢方薬を1年間、飲み続けていましたが「良いのか?どうなのかよくわからない…」みたいな感じで、なんとなく続けておられました。

そこで「ツムラの漢方薬は3倍量が必要と業界では言われている」とお話すると、どちらの方も3倍量を試されたようです。

飲まれた後の感想をお聞きすると、確かに前よりは効いた感じがあったとのこと。

でも、1回辺りの飲む量が多すぎるので、先生の漢方薬を出してほしいとお願いされました。

それで、全く同じ種類の漢方薬をお出ししました。

もちろん、通常量です。

飲んで30分位したら、鼻が通ることがわかってきたとのこと。

ツムラの漢方薬の3倍量よりも効いた感じがあったとおっしゃられていました。

また違う患者さんでは、便秘で半年間、ツムラの漢方薬を飲まれていた方がいらっしゃいました。

漢方薬だけでは便が出ないので、過酸化マグネシウムも併用してやっと出せるといった状況。

便秘の調整が関係する漢方薬って、結構、強い効果のものが多く、その患者さんが飲んでいた漢方薬は、例えば普通便の僕が同じ種類のものをうちの漢方薬で飲んだ場合、3日は下痢が止まらなくなる要注意の漢方薬です。

ツムラの漢方薬といえども「本当に効いてないのかな?」なんて少し疑ってしまいました。

そして体質を診断するとツムラの漢方薬と同じ種類の漢方薬に行き着いたので、同じ種類でうちが扱っている漢方薬をお出ししたら、なんと1週間で便が毎日、出るようになりました。

真実はわかりませんが、患者さん達の実体験から『ツムラの漢方薬は効果が弱い』ことがわかりました。

こんなエピソードもあります。

実はうちの嫁さんがツムラの勉強会に行った時のことです。

その時になんと、医者ばかりが集まるツムラの勉強会で講師をしている医者自身が「ツムラの漢方薬は効きが悪い場合があるのでちゃんと効かせる場合は3倍量、飲ませてください」と講演していたとのこと。

(その医師の名前も知っています)

ツムラの社員の前でです。

噂どころか、医者の中でもツムラの社内でも当たり前だったのかもしれません。

ツムラの漢方薬はなぜ効果が弱いのか?

なぜ、ツムラの漢方薬の場合は、効果が弱い、または効かないのでしょうか?

漢方薬が効果を発揮するのは漢方薬と体質が合っているかどうかです。

そして漢方薬と体質が合っているかどうかは、ある漢方薬を飲んだ後の目標の症状の結果でわかります。

つまり、体質を診断し、何日か漢方薬を飲み、その後に、目標の症状が、最初の目的通りに良くなった時に初めて、選んだ漢方薬が合っていたということになります。

さっきの例では症状は良くなっているので、漢方薬は体質と合っていてツムラの漢方薬でも弱いながら効果自体は発揮しています。

では、何が違うのかというと、あくまで僕なりの個人的な見解ですが、それは『生薬の質』です。

簡単に言えば、『使っている生薬が安物』だからだと思います。

漢方薬を構成する生薬は食べ物と同じ

漢方薬は病院の薬のような化学物質を使って大量生産できるものではありません。

食べ物と同じで生薬は野菜みたいなものです。

野菜はそのものの良し悪しで値段が変わります。

これは生薬でも同じなのです。

いくら高級料理のレシピを知っていても、食べ物の原料がクズだったら、どうしようもないマズいものが出来上がります。

また保険適用ゆえの弱点も考えられます。

ツムラの漢方薬のような保険適用ができる漢方薬は、薬価といってお薬の定価の値段が国から、あらかじめ決められています。

漢方薬の生薬は自然のものなので、同じ生薬がタイミングによって値段が高くなったりしますが、原料が高くなっても勝手に値上げができないのです。

値上げどころか薬価(漢方薬の定価)は年々、下がっています。

つまり生薬の値段は上がって、コストを圧迫するけど、定価は上げられないから利益は下がるわけです。

これでは、漢方薬をつくればつくるほど損してしまいます。

実際、昔は保険適用の漢方薬メーカーさんはツムラだけでなく何社もありましたが、薬価が下がり続け、生薬の値段は上がり続けるので、儲けがなくなり、ほとんどの漢方薬メーカーが撤退し、今はツムラと何社かしか残ってません。

なぜツムラだけが生き残れたのか?

ほとんどの漢方薬メーカーが撤退し、儲からなくなっているのに、なぜその中で生き残れるのか?

ツムラは上場企業です。

株式上場企業の第一の目的は患者さんの病気が治ることではなく業績を上げることができるかどうか。

このような状態で儲けを得ようと思ったら、コストダウンしかありません。

保険適用でなければ、単に漢方薬の定価を引き上げればいいですが、薬価(決められた定価)があるので、勝手に引き上げられません。

定価があげられない状態で、儲けを出そうと思ったら原料費を削るしかありません。

安い生薬で漢方薬をつくればコストが抑えられ、利益がでます。

もちろん、効果は落ちるかもしれないですが、そもそも漢方薬は体質と合っていなければ効果を発揮しないし、当の医者は体質を診断しないで漢方薬を処方しています。

医者の漢方なら「効いたか、効かないかよくわからない」ことが当たり前になっていて、なおかつ保険適応で患者さん負担も安いので、患者さんも効かなくても、のんびりと、なんとなく飲み続けてくれるのです。

儲けるのに、こんな良いことはありませんよね。

ツムラの第一の目標は儲けであって治療ではない

ツムラは一度、潰れかけていますが、その時に復活させたのは第一製薬というバリバリの病院の薬メーカーの出身者

それまでのツムラがやっていた患者さんの健康を願って、漢方薬を東洋医学の理論とともに小難しくやっていたのでは赤字脱出はできません。

そこで西洋医学バリバリの社長が考えたのが、『漢方のことを一切勉強せずとも、誰でもマニュアル的に漢方薬を処方する方法』です。

3つの主力商品を選定して手術後に大建中湯。

認知症に抑肝散。

胃腸障害に六君子湯など、医者が何も考えずに簡単にマニュアルで漢方薬を選べるようにしました。

ツムラの漢方薬を医者に扱わせる営業の際にも「医者に専門的に難しく説明するな、とにかく飲ませて、ちょっとでも効いたら扱わせろ!」みたいな感じの方針だったようです。

(カンブリア宮殿というテレビ番組でご自身がそれで、経営を復活させたと言ってました。すごい経営者をクローズアップするテレビ番組だったので、遠慮なく言ってたのだと思います)

なので、コストカットは会社の赤字脱出のために必然だったと思います。

他にも株式情報の記事で日経新聞に漢方薬原料に混ぜる賦形剤(漢方エキス以外に必要な添加物)のコスト減に成功し、売り上げを上げたと発表されていました。

漢方で体質を診断するのは非常に難しいので、昔から病名だけでマニュアル的に漢方薬を処方する、こズルイ人はいましたが、ツムラの赤字脱出劇の際に病名マニュアル漢方は加速したのでしょうね。

経営の立て直しのためにされたことなので、経営者としては当たり前の仕事ですが、残念なのは、漢方薬は買ったら楽しい商品ではなく、治療するためのものなんですね。

漢方薬は先生と患者さんが一緒になって治療していくもの。

儲けのためにやるものではありません

そもそも、株主に対して儲け続けないといけない上場企業であるツムラが、値段が上げることができない保険適応の漢方薬を販売していることが、なんとも言えない歪みですね。

あくまで僕の推察で実際のところはツムラの会社のみぞ知るところですが、どちらにしろ漢方薬は体質を診断して選ぶことが原則で、体質と漢方薬が合っていなければ効果を表しません。

医者がやっているような『病名や症状マニュアルで漢方薬を選ぶ方法自体』が間違っていますので、仮に漢方薬の効果が高くても、治らないでしょう。

むしろ、「体質に合ってない、効果は弱い」で二重のマイナスですね。

病院の漢方で治っている人は、本当にラッキーだと思います。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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