漢方薬相談ブログ

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体質を分析しないで選んだ漢方薬が効かない理由

  1. 漢方薬には有効成分や効果はない
  2. 漢方では体の検査と漢方薬の効果がセットになっている
  3. 漢方は人ぞれぞれの体質を分析しないと治療すら始まらない

このブログでは、漢方薬は東洋医学的な体質である『証』を分析しないで漢方薬を処方する方法では漢方薬が効くかどうかは、ただの『運まかせ』になります。
と書いています。

今回は、なぜ医者がよくやっているようなマニュアルから病名や症状だけを当てはめて選ぶ漢方薬では治療ではなく、単なる『運頼み』になってしまうのか、その根拠を説明したいと思います。

漢方には治療の考え方の違いによって流派があります。

「漢方は漢方でしょ?」と思うかもしれないですが、その漢方医学の中に「古方派」、「中医学派」、「日本漢方派」というものがあって、漢方薬局のほとんどは中医学という近代の中国の医学の方法で漢方薬を処方しています。

中医学は2千年前から続く、医学ではなく70年くらい前に学問用に再編された『学校漢方』とよばれているものです。

ちなみに僕は、この中医学の先生である国際中医師という認定を受けていますが、中医学は学校漢方らしく、お勉強には向いていますが、現場で実際に治すのは難しかったので中医学の医学理論で治すことはやめました。

僕は日本漢方という、500年前に中国から伝わり日本独自で発展した日本人のための漢方というものを実践しています。

ちなみに医者の漢方は…治療派閥があることすら知らないかもしれません。単に病名に対応したマニュアルを見てるだけなので。

その日本漢方では、『方証相対』という考え方があります。

『方証相対』とは、漢方では本来、その人独自の体質を分析しますが、『全身の病的な状態を分析した状態に合うものが、すなわち、その漢方薬の効果となる』という考え方です。

なので、よく『私の漢方薬の効果はどんな効果ですか?』と聞かれますが、日本漢方では、『あなたの今の全身の状態を整えるもの』というのが、その漢方薬の効果になるのですね。

漢方薬には有効成分や効果はない

西洋医学では、薬に決まった効果があります。

西洋医学の薬には1つの症状を抑える1つの効果があります。

痛み止めは体内で発生させる痛みを止める効果があるので、痛み止めを飲めば、痛みが止まります。

漢方薬は、何かの症状を止めるための決まった効果はありませんし、そんな成分も含まれていません。

医者は漢方の医学理論を知りませんので、例えば五苓散をマニュアル的に頭痛の人に処方したりしますが、五苓散に頭痛を止める成分効果もありません。

五苓散は「水の巡りが悪く、その水が肩から上の上部でたまり、同時に気も体の上部で溜まってしまっている体内の不調」を頭痛という形で知らせてくれている体質を治すものです。

なので、漢方の場合は、頭痛自体を何かの成分で止めるのではなく、水の巡りを整え、体上部に上がりすぎている気を体の下の方へ降ろすことによって、体を問題のない状態にもどし、問題のない状態になると体は不調状態を知らせる必要がなくなるので、頭痛は自然になくなります。

頭痛の原因は人それぞれなので、体質によっては熱がこもって頭痛が起こっている場合もありますが、この場合、五苓散を何年飲もうが、永遠に治ることはありません。

病院の薬で例えれば、頭痛に対して痛み止めを出さないで胃酸を止める薬を処方するほどマヌケなことをやっています。

漢方では体の検査と漢方薬の効果がセットになっている

あまりに西洋医学と違いすぎて理解するのが難しいですが、ある患者さんの頭痛の原因を体全体を分析して際に『余分な水が体上部に溜まっている』ことと『体の上部に余分な気が溜まっている』状態であると診断した場合、この体質診断が、そのまま『五苓散が合う人』でもあるし『五苓散の効果』でもあるのです。

だから、『方』という治療の方向性と『証』というあなたの体質は、『相対』という互いに関連している『方証相対』となります。

西洋医学と漢方の体の治し方はこんなに違うのですね。

頭痛は、他にも『血の巡りの悪さ』が原因だったり、『冷え』が原因だったり、『胃の冷え』が原因だったりと人によって、体質が変わりますが、体質が変われば、その体質に応じた漢方薬を選ぶことが、すなわち治療となります。

でないと頭痛は治りません。

血の巡りの悪い体質の人に水の巡りを整えて頭痛を治す五苓散を飲んでもらっても、頭痛は治らないわけです。

漢方は『全身の体質を分析した時点で自動的に飲むべき漢方薬が決まっている』ということなのですね。

ただし何百種類の漢方薬の体質設定を理解し記憶していればの話ですが。

漢方は人ぞれぞれの体質を分析しないと治療すら始まらない

医者が東医学的な体質である『証』を分析しないで、頭痛なら五苓散とマニュアル的に漢方薬を処方してしまうと、本当は『血の巡りの悪いこと』が原因で頭痛になっているかもしれない人にとっては、あてずっぽうで適当に漢方薬を処方されたことになります。

こんな適当な方法では治るわけがありません。

実は漢方薬は、頭痛に効く成分があるわけではなく、バランスの崩れた体質を分析し、そのバランスを整えるのに最適な漢方薬を選べば治りますが、体質を分析した時点では、『その分析』が合っているのかどうかがわかりません。

西洋医学の薬の場合は、痛みを止める成分が薬が入っていますので、理論上は誰の頭の痛みでも止めてくれます。

なぜなら、体質ごとに治し方が変わるわけではないからです。

でも、漢方薬は自分が分析した体質とそれに合わせた漢方薬は絶対の答えかどうかがわかりません。

答えが分かるのは、五苓散を飲んだ後に頭痛が治った時に初めて、『あなたの頭痛は五苓散証だった』(五苓散が合う体質)となります。

場合によっては、五苓散の体質と分析したとしても、それで一向に治らないか、もしくはひどくなれば、五苓散証である水と気が体の上部に溜まっているという先生の分析が間違っていたかもしれないし、体質は合っているけれど、『水と気が体の上部に溜まっている体質』に対して、他に五苓散と似たような漢方薬はいくらでもありますので、他の漢方薬にしなければいけなかったのかもしれません。

『分析した体質と合わせた漢方薬の2つがどちらも正解だった』場合に漢方薬は効果を発揮するのですね。

ですので、東洋医学的に体質を分析しないで、マニュアルだけみて漢方薬を処方するという病院の方法は『診断も効果もない漢方薬をテキトーに選んでいる』ということになりますので、治るかどうかは、『運』に頼るしかないのですね。

マニュアルだけで漢方薬を処方する方法は一般の方がネットを調べてギャンブル的に漢方治療するのはしょうがないですが、少なくとも治療の専門家がやることではないですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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