漢方薬相談ブログ

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自分の症状をあてはめていけば効果のある漢方薬を選べるのか?

漢方薬は、人それぞれの体質に合わせるものなので、何百種類とあります。

その中から自分に合った漢方薬を選ぶ必要があるのですが、よく勘違いされているのが、漢方薬を選ぶ際に漢方薬の条件に設定されている症状を1つ、1つ、あてはめていって、『あてはまる症状が多いから、この漢方薬っぽい!』みたいに症状をあてはめる方法。

これは間違い!

あと、ニアですが、『瘀血タイプ』とか、『血虚タイプ』とか、自分の症状を血液型占いみたいに、あてはめていって◯◯タイプというもので漢方薬を選ぶ方法。

これも間違い!

確かに、それぞれの漢方薬には、いろいろな症状が書かれていますが、あれは、その症状が『あるか? ないか?』を聞いているのではありません。

そもそも、2千年前から皇帝などを治療してきた医学が『症状を当てはめるだけ』の医学なわけがありません。

僕が、皇帝に対して、今の医者みたいに病名や症状だけ当てはめて漢方薬を処方したら、ソッコーで首を刎ねられてると思います。(そもそも、その時代に病名はないですが。。。)

本来は、症状をあてはめて漢方薬を選ぶわけではないのです。

自分に合った漢方薬を選ぶために必要な証

日本の漢方では日本漢方と中医学という大きく2つの派閥があります。

この派閥は治療方法や診断方法などが全然、違ってきます。

使用する漢方薬も派閥によって微妙に変わってきたりします。

どちらにも言えるのは、『症状をあてはめて漢方薬を選ぶのではない!』ということです。

日本漢方では漢方薬を選ぶ際に体質を分析しますが、病的な体質のことを『証』といいます。

中医学では『弁証論治』といいます。

僕は中医学では治療しませんので、中医学の弁証論治の説明はまた今度にしたいと思いますが、ちょこっとだけ。

ネットでよくある『あなたは瘀血タイプ』とか『あなたは陰虚タイプ』などがありますが、あれは、弁証論治を勝手に簡単にしたもので、血液型占いでいったら、詳細にあなたの性格や心理状態を調べないといけないのに、「A型、だったら几帳面だね!」で終了させた感じ。

遊びならいいですが、本気で治療するならアウトッー!!な感じです。

体質を知るために自分の症状をどう見ればよいのか?

日本漢方では、あなたの病的体質である『証』を分析します。

証自体が、その漢方薬の効果ともいえます。

つまり、証を分析していないと、あなたにあった漢方薬は選べないわけです。

当たり前ですね。どこの世界に一切、問診もとらず、検査もしないで薬を処方する先生がいるでしょうか?

確かに証を分析する際には、あなたの全身の症状をデータとして扱います。

そこで、勘違いされるのが、症状をあてはめていくこと。

このよくある勘違いの間違いは、『症状があるか?ないか?』だけで、みちゃっていることです。

本やネット上の漢方薬を参考にした場合、文字を見ながら、『症状があるか? ないか?』しかチェックできません。

しかし、例えば、葛根湯だと該当の症状に「悪寒、発熱、頭痛、首筋や肩がこわばる」があります。

葛根湯のみが合っているかどうかを見るだけなら、1つずつ、症状があてはまるかどうかみていけばいいですが、他に似たような漢方薬で桂枝湯や麻黄湯、越婢加朮湯などがあり、これらには全部、「悪寒、発熱、頭痛」があります。

それぞれ、その他に違う症状も書いてあります。

この時に問題になるのは、「悪寒、発熱、頭痛」があてはまるけど、他の症状があてはまらない場合は、どれを飲んでもいいのでしょうか?

実際、みなさん、ネットで調べたりし始めると、調べれば、調べるほど、『あの漢方薬は合いそうだ』『この漢方薬も合いそうだ』混乱に陥っていると思います。

また、葛根湯は副鼻腔炎や気管支喘息、アトピーや蕁麻疹、大腸炎でも使うことがありますが、その場合も「悪寒、発熱、頭痛」がないとダメなのでしょうか?

いや、アトピーで毎日、「悪寒、発熱、頭痛」とか、アトピーの治療よりも精密検査したほうがいいよって話です。

つまり、漢方薬で書いてある症状はあくまで、参考なのです。

症状はあるか? ないか? ではない

症状には強さと、それまでの流れがあります。

例えば、「足の冷え」

年中、冷える人もいるし、夏は全然、気にならない人もいます。

寝る時に足が冷たくて寝付けない人もいるし、靴下を履いている時は気にならない人もいます。

また、今の病気になってから同時に足が冷え始めた人や足の冷えは今の病気の前からずっと気になっていた人。

『足の冷え』1つとっても、いろいろな状態や流れがあります。

この状態の人、全部をひっくるめて『足の冷えがありますか? → ありますorないです』と単純に決めてしまっていいのでしょうか?

言いわけがありません。

それだと、一人一人の体質をみていることにならないからです。

症状は体内の状態を示す警告サイン

本来の漢方では『症状があるか? ないか?』で調べません。

症状をあてはめるのではなく、症状『体内の悪くなった要素を表に出しているもの』としてみますので、

『症状が始まったきっかけ』

『症状がどんな時にひどくなり、どんな時は弱くなるか』

『その症状は何か他の症状と関わっているか?』

などをみて、『体内がどんな状態に陥っているから、その症状が出ているのか?』をみます。

『症状や体の状態=体内の悪くなった要素を表したもの』ということです。

だから、症状をあてはめることなんて、何の意味もありません。

症状から、『体内の肩から上だけに熱と気が余分に溜まっている』とか、『消化器の機能が落ちて血が十分につくれなくなっている』などを推測していくのです。

証の分析は検査であり、診察であり、診断である

あなたの病的状態である『証』を判断するには、まず、全身の症状を調べる必要があります。

一般的な漢方薬の設定症状に書いてある症状だけみて、あてはめていくのではなく、全身の症状をと体の状態を調べます。

この時に症状はあるか? ないか? ではないですね。

『症状の強さ』『症状がいつからあるか?』『症状と症状の組み合わせ』などなどを考え、それをデータにして、『今、体の中や状態ってこうなってるな』と推測します。

それが『証』です。

そして、その『証』が決定したら、その『証』に合わせて最適な漢方薬を選ぶのです。

証と漢方薬が合っていれば、あなたの病気は治ります。

逆に証と漢方薬が合っていなければ副作用になります。

【参考図書】
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯漢方方意辞典:緑書房
◯中医処方解説:神戸中医学研究会
◯図説東洋医学:学研
◯漢方概論:創元社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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