
自分で体質に合った漢方薬を選ぶ方法と現実
たまに『自分で自分の体質を診断して、自分に合った漢方薬を選ぶことは可能ですか?』と質問されることがあります。
答えはイエスです。
ただし、当たり前ですが、何も勉強せずに『症状や病名だけを当てはめて、自分の体を治してくれる漢方薬をすんなり選べるか?』というと、それは無理です。
例えば、医者もやっているような、めまいに苓桂朮甘湯や更年期障害に加味逍遙散と選んでもまず、効果がありません。
現在、あたかも特定の病気や症状に効く漢方薬があるかのように説明されていますが、漢方薬は、病名や症状は関係なく、あくまで原因や体質に合わせて選びます。
想像してみてもらいたいのですが、車のメカニックの知識が全くない人が、自分の車の故障を直すことができるのか?というと不可能ではありません。
実際、車が好きな人は、整備士さんでなくとも直せる人が、まれにいますよね。
ただし、実際には、車のメカニックの素人の状態の人が、修理できるようになることは、ほとんどないと思います。
なぜなら、一から、車のメカニックのことを勉強して、経験も積まなければいけないからです。
ほとんどの人は途中か、もしかしたら最初の勉強でつまづいて、やめてしまうでしょう。
『漢方薬を自分で選べそう』と思っていた人も「車の故障を自分で修理する」とイメージした場合、「確かにできるわけない!」と思いませんか。
でも、車よりもはるかに構造が複雑な人体に対して、なぜか自分で、治すことのできる漢方薬を選べると思ってしまう人がいます。
実は漢方よりも西洋医学のほうが簡単かも!?
漢方治療の医学理論となっている東洋医学はとても難しいです。
僕からすると西洋医学の生理学や薬理学の方がよほど簡単です。
なぜなら、ちゃんとした教科書があり、教科書に書いてあることを覚えればいいだけだからです。
手術や救急はまた違いますが、内科などの治療なら大体、教科書を踏襲することによって診察や治療が成り立ちます。
病院の現場の医者を思い出してください。
たいして、問診もせずに決まりきったマニュアルで薬を処方しています。
医者になるまでの『暗記の能力や治療と関係ない偏差値の高さ』が役に立っているのかどうか知りませんが、少なくとも『治療の能力』に関しては、素人でもマニュアルを参照すればできそうな方法でしかやっていません。
僕は、今のところ、そんな診察しか経験したことがないです。
アトピー治療なんて、実際の現場では『治ろうが、治るまいが、延々とステロイド剤を処方しているだけ』です。
誰にでもできます。
また、医者の個人の能力に関係なく、西洋医学の薬は対症療法といって、一時的に症状を抑えるだけの効果なので、西洋医学では薬を飲んで一時的に症状が抑えられていたら治療としては大成功!なのです。
実は根本的な原因を考える必要がないのです。
治療自体が『症状を一時的に抑えるだけ』なので、特に勉強しなくても、『症状=それを抑える薬』を参考にして選べばいいだけで、今の時代、ネットで調べれば、数秒で必要な薬がわかります。
漢方の医学理論の勉強は超難解
漢方が難解なのは、西洋医学のような「医療と関係ない偏差値の高さが必要」とか、そういったものではありません。
『漢方薬で治療できるレベルになりたい!』と思っても、まず、まともに教科書を選ぶことすらできません。
もちろん、漢方の本は、山のようにたくさんあるし、ネットでも漢方のことは調べることができます。
しかし、十数年間、漢方を勉強してきた僕からみると偽物ばっかり。
そもそも漢方には、「治療の方法の違い」で「3種類の方法」がありますのでどの治療方法を学ぶかで選ぶ教科書も違ってきます。
しかも治療方法の違いごとに教科書を選ぼうと思っても、漢方薬を処方している当の医者すら、現実は治療方法の違いすらもわかっていないくらいですから、最早、「どの教科書から勉強を始めればいいのか...」と、とっかかりすら、つかめないと思います。
実際、僕も最初の頃は、中医学から始めましたが、すぐに古方、日本漢方と他の治療方法の教科書とゴチャゴチャになっていって、ゴチャゴチャになっていることすら、気づかずにツギハギだらけで漢方をおぼえ、結局、師匠につくまで何が何だかわからないまま、役立たずな勉強を1年ほどやっていました。
学ぼうとする前から超難関!
なにせ本来の治療の勉強となると何も用意されていないに等しいのですから。
漢方薬はなぜ、自分でも選べそうと思ってしまうのか?
漢方は、そんな難解な医学ですが、なぜ『自分でもできそう』と考えてしまう人がいるのでしょうか。
その理由は2つ考えられます。
1つは業界の問題です。
漢方薬は、本来は、例え頭痛という1つの症状であっても、「頭痛なら五苓散」とならずに全身の体の状態や生活環境、生活リズムなど、総合的に原因を分析し、その原因に対して有効な漢方薬を選ぶ必要があります。
ところが、漢方薬専門と謳っている医者ですら、実際の現場では、体質(証)を診断せずに漢方薬メーカーから貰ったマニュアルの病名欄だけをみて処方しています。
病院で、東洋医学的な体質を分析するための問診を書かされたり、体の状態のことで医者と話し合ったことなんてないと思います。
これは忙しいから手を抜いているのではなく、「まさか、医者が!」と信じられないかもしれないですが、漢方の医学理論を全くわかっていない状態で漢方薬を処方しているからです。
また、漢方専門とよばれている薬局でも、医者ほどひどくはないですが、体質を1個の簡単なタイプに分けて、クイックな方法で漢方薬を選んでいます。
例えば、『あなたは瘀血タイプ』とか『あなたは腎虚タイプ』とか。
何か1つのタイプだけが、あたかも、その人の体質の全てであるかのように見立てて処方します。
でも、これって、『あなたはA型だから几帳面。それがあなたの全ての性格です』と言ってるようなもので、これだったら、日本人のほとんどの人は性格が一緒ということになりってしまいます。
つまり、「あなたは瘀血タイプ」というのは、せっかく漢方で、自分だけの体質に対して治療してもらおうと思っているのに、結局、自分に合っているものではなく、他の人と同じ漢方薬を飲まされているのです。
もっとも大きな問題は、漢方の専門家と言ってる人が実は『漢方をわかっていないのに処方している』ことです。
そして、患者さんが病院などの現場に行けば、そんな感じで適当に処方しているだけな状態をみているので、一般の人も『自分でもできそう』と思ってしまうのではないかと思います。
確かに、この間違った方法であれば、ネットがあれば、子供でも漢方薬を選ぶことができますよね。
漢方薬は自然のものだから安心
もう一つの要因は、漢方薬は化学薬品ではなく、自然のものなので、病院の薬よりも安全だと勘違いされていること。
漢方薬は全然、安全ではありません
確かに漢方薬は自然のもので、西洋医学の薬は、化学薬品でできているので、質という意味では西洋医学の薬の方がはるかに体に悪いですが、西洋医学の薬の方が、添付文書の見方を詳しく勉強すれば、効果から副作用までバッチリ!わかるので安全です。
何せ、効果も副作用も書いてあるまんまだからです。
しかし、漢方薬は『効果も副作用も体質と漢方薬の相性』で決まってきます。
どれだけ教科書でおぼえようが、その時の自分独自の診断で選ぶ必要がありますし、選ぶ漢方薬が間違えれば、効果もないし副作用に見舞われます。
それこそ、漢方薬の場合、一般の添付文書に書いてある効果も副作用も、全然、アテになりません。
あれは日本で漢方薬を医薬品として販売する上での法規上の効果や副作用が書いてあるだけで、治療とは無関係になります。
あれを真に受けて、治療するなんて本来の漢方からは狂気の沙汰になります。
結局、漢方薬で治療する場合は、本来は、しっかりと体質を診断しないといけないし、しっかりと体質に沿って漢方薬を選ばないと、副作用が出てきても、果たして、それが漢方薬の副作用なのかどうかすらわかりません。
なによりも漢方薬で治療しようと思ったら、最も重要なのは、経験です。
数々の治療経験をしないと、漢方薬の使い方をつかめないのです。
西洋医学の方は、教科書に書いてある通りにやればいいのですが、漢方薬の場合は、実践的な専門書になると、「この病気にはこの漢方薬が良い」なんてマニュアルは存在しません。
自分に合った漢方薬の選び方
自分の体質に合った漢方薬を選ぶことは可能です。
しかし、現実は勉強なしでは、ほぼ無理です。
しかもその勉強が、単に本や資料を揃えて、順番に勉強していけば、わかるようになるわけではありません。
漢方薬局を20年以上、されている先生でも、間違った方向の漢方の勉強をしていて、難しい東洋医学用語を知っているだけで、実は体質の分析はできない人がゴロゴロいます。
一般の人の中でなんとなく自分でも漢方薬が選べそうだと思ってしまうのは、医者や漢方専門薬局の先生、ネット情報の大半が漢方薬は東洋医学理論なんか知らなくても、『症状だけ当てはめれば選べるし治る』というデマが正しいと思ってしまっているからです。
そもそも、その昔、皇帝を治療していた国家レベルの医学が、病名や症状を当てはめて選ぶだけで治るわけないじゃないですか。
専門書をみてもらったら、いかに複雑で難解な理論で成り立っているのかがわかります。
やっぱり、自分に合った漢方薬を選ぶなら、一から東洋医学理論を勉強するしかありませんし、そして、座学だけでなく、実際に漢方薬をいろいろな体質の人に使って、治療経験を積む必要もあります。
ただし、現実は医者ですらできていない事実があります。
どうしても自分で漢方薬を選びたかったら、どこかの名だたる師匠の元で何年か漢方治療の実践経験をしながら勉強するかしかないのではないかと思います。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

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