小柴胡湯(漢方薬)の副作用である間質性肺炎は処方した先生が原因
先日、うちで長い事、漢方薬を飲んでもらっている患者さんから、質問がありました。
『漢方薬とっていっても薬なので、長く飲んでいても大丈夫でしょうか?』という質問です。
どうも、ネットで『小柴胡湯の副作用で間質性肺炎になる』というものを見て、不安に思ったようです。
『小柴胡湯という漢方薬が副作用として間質性肺炎を起こす』という漢方薬の副作用の話があります。
小柴胡湯が危ない漢方薬なのかどうか以前に、この副作用の話が「病院の漢方薬がなぜ効かないのか」を最もよく表しているのではないかと思います。
最近は、漢方薬にもシャレにならない副作用があることが知られてきましたが、未だに漢方薬は自然のお薬だから、長く飲んでも大丈夫だと思っている方もいらっしゃいます。
タチの悪いことに漢方薬を処方している医者でも、そう思っている人が多いので、本当にシャレになりません。
そこまで漢方薬の副作用に対して無知でなくとも、漢方薬の副作用というものが、どんなものかわかっていない自称、「漢方の先生」が一杯います。
その象徴的なのが、『小柴胡湯という漢方薬が副作用として間質性肺炎を起こす』という話です。
果たして小柴胡湯は、怖い漢方薬なのでしょうか?
漢方薬は長く飲み続けると危ないのでしょうか?
今回は小柴胡湯の副作用の正体や漢方薬の副作用が起こる条件をお話ししたいと思います。
漢方薬は長く飲み続けても大丈夫?
小柴胡湯の副作用の話、うちのように病的体質である「証」をちゃんと分析、判断して、漢方薬を選んでいる人間からするとエライ迷惑な誤解です。
『小柴胡湯という漢方薬が副作用として間質性肺炎を起こす』という文を見ると、まるで、小柴胡湯が危ない薬に見えますね。
でも、これ全く間違い。
小柴胡湯は何も悪くありません。
悪いのは『小柴胡湯が合う体質かどうかを判断しないで飲ませ続けた医者』です。
簡単に例えれば、ピアノがヘタッピの人が、うまく弾けないことをピアノのせいにしているのが、『小柴胡湯という漢方薬が副作用として間質性肺炎を起こす』という結果になっているのです。
小柴胡湯という道具は何も悪くありません。
使い方がヘタッピの医者が使うから小柴胡湯が毒になったのです。
漢方薬は病名(西洋医学のルール)で選ぶものではありません
当たり前ですが、漢方薬は、何もかも西洋医学の薬と違います。
西洋医学の薬は、あらかじめ、有効成分が決まっていて、副作用も決まっています。
ところが、漢方薬は有効成分がわかっていません。
どんな作用になるかも確定していません。
当然、副作用も決まっていません。
なぜなら、当たり前の話ですが、漢方薬は、『西洋医学のルールで使うものではない』からです。
漢方薬を使って治療する際には、当然、東洋医学の治療理論を使って治します。
どこの世界にボールの大きさが一緒くらいだからと、野球のルールでテニスをしようとする人がいるでしょうか?
やろうと思ったってできません。
でも、病院で処方している漢方は、ヘタすると当の医者がおかしいとも思わずに、これに近いようなことを平気でやっています。
『漢方薬の副作用は漢方薬のルール』で考えるのです。
漢方薬と、あなたの体質がズレると副作用が起こす
漢方薬の副作用は、あなたの体質と漢方薬が合っていなければ副作用となります。
ごく簡単に例えれば、温める性質の漢方薬を余分な熱がこもっている人に処方すると、余計な熱がより増えて、副作用を起こします。
暑い部屋(熱証という体質)に更に、おせっかいでストーブ(温める漢方薬)を持ってくるようなものです。
つまり、どの漢方薬であっても、『あなたの体質と漢方薬が合っていない』ことが副作用になります。
はい、もうわかりましたね。
小柴胡湯自体は、何も間質性肺炎を起こす作用を持っているわけではありません。
問題は、体質をみることができない無知な先生が処方するから毒になったのです。
小柴胡湯が合う体質がどうかもわかっていないのに処方するからです。
ちなみに医者が漢方薬を処方するときに、西洋医学の病名や症状からマニュアルを見て漢方薬を選びますが、これは漢方に対して無知に当たります。
小柴胡湯は、僕らからしたら、非常に使いやすい頼れる漢方薬です。
ただしクセは強い。
医者の漢方薬の選び方は、幼児(医者)が拳銃(漢方薬)を振り回しているようなものですね。
それを、拳銃(小柴胡湯)だけのせいにするところが、また、どうなの?って話です。
西洋医学の病名や症状は、漢方で言うところの『体質』を表していません。
体質というのは、全身の状態、症状、生活状況などを全部、総合的に分析して判断される『証』として導き出されます。
うちでは、証を分析するために55項目、250箇所の症状や状態にチェックいただき、更に生活環境、精神状態をお聞きして、あなただけの体質を判断しています。
例えば、アトピーという状態は、数ある、全身の状態や症状のごく、ごく、一部でしかないのです。
ですので、アトピーという病名に対して、何かの漢方薬を選ぶことは不可能です。
漢方薬で副作用になる3つの条件
漢方薬で副作用になる条件は、以下の3つです。
1 体質の分析、判断が間違っている。(病院はそもそも東洋医学的体質の判断すらしていない)
2 体質判断は、合っているが、選ぶ漢方薬が間違っている。
漢方薬は微妙な差の体質にも対応していますので、ちょっとした違いの漢方薬が何種類もあります。
合っている漢方薬は選ぶのは大変な作業なのです。
3 「1」の体質の分析や判断も「2」の選ぶ漢方薬も、どちらも間違えている。
医者は、病名マニュアルだけで処方しているので、「3』に当てはまると思います。
体質はみれない(ただのマニュアル思考)
↓
体質がみれないから、当然、選ぶ漢方薬も間違う。
↓
それを、特にしっかりした医学的根拠なく(そもそも体質を分析してないので)、フワッとなんとなく飲ませ続ける。
↓
小柴胡湯で間質性肺炎を起こす。
副作用が起こって当たり前ですね。
小柴胡湯が合うかどうか、漢方的なルールを無視して飲ませ続けて、むしろ副作用にならないほうがおかしいです。
なので、『自分のへたっぴな漢方能力を棚に上げて、小柴胡湯のせいにしないで、小柴胡湯、エライ濡れ衣だから』ってことです。
漢方薬は小柴胡湯に限らず、この流れで処方されたら、誰でも何らかの副作用を起こす可能性が高くなります。
麻黄が含まれる麻黄湯、大黄が含まれる防風通聖散や桃核承気湯などの効果が強いものは、副作用もキツイです。
例えば、東洋医学的な体質の問診もせずに『インフルエンザには麻黄湯が効きます』なんて処方してきたら、『あっこの人、漢方がヘタッピなんだ!』と思ってもらっても差し支えないです。
漢方薬は、長く飲み続ければ、病気を治すだけでなく、『病気にならない強い体づくり』や『若返り』にも使えます。
でも、それは『生きているとどんどんと変わっていく体質』に対応して、選んだ漢方薬だけです。
『漢方薬は自然のものだから大丈夫!』的なテキトーな感じだったら、続けないか、飲まない方が、逆に安心です。
うちでは、季節や仕事のストレスなどで、どんどん変わっていく体質を1ヶ月ごとに常に判断し直して、その都度、体質を分析し、ベストな漢方薬を提案していますので、間質性肺炎になることはないと思います。
病院の漢方薬を飲むなら、治るのも悪くなるのも単なる『運』ということを覚えておきましょう。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 日本呼吸器学会雑誌第37巻第12号
東洋医学のルールに則って使用するはずの小柴胡湯なのに、東洋医学の体質のことなどは、一切、無視して、副作用を検証している資料です。参考まで。
◯ 特発性間質性肺炎の診断・治療ガイドライン
◯ メルクマニュアル(家庭版)間質性肺炎の概要
◯ メルクマニュアル(プロフェッショナル版)間質性肺炎の概要
◯今日の治療指針:医学書院
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- 病院や薬局、ネットでの小柴胡湯の説明は簡単にしすぎて間違っているともいえます。本来の小柴胡湯の効果は東洋医学に則った効果となりますので、その本来の小柴胡湯の効能効果を説明したいと思います。
- 漢方薬で治したい人は「証」(体質)を知らなければ治らない
- 日本で漢方薬を処方しているほとんどの先生が、実は体質なんて診断していません。これでは漢方薬は効果を発揮しません。