処方箋に書いてある漢方薬の効果のように効かないのはなぜ?
『黄連解毒湯って口内炎に効くのですね!』と、うちの患者さん。
これ、ものすごい誤解なのですが、黄連解毒湯が、口内炎に効く漢方薬というわけではありません。
処方箋などでもらう漢方薬の説明書きや漢方薬の添付文書(薬の説明書)に「頭痛を改善するお薬です」なんて書いてありますが、あんなのは、実は嘘っぱちです。
国をあげて、歪んだ漢方薬の効果を広めていますが、一般的に説明されている漢方薬の説明は、本来の効果や治療とは、一切、関係がありません。
なぜ、あんな風な説明になるかというと、『漢方薬は西洋医学上の医薬品に分類』されているので、医薬品として販売する場合に『西洋医学的な医薬品』と同じような説明にせざるえないため、漢方薬の効果の説明がおかしくなっています。
要するに実質の漢方薬の治療の効果とは無関係!なんです。
漢方薬を医薬品として販売する法律上としては、しょうがいないのですが、何がだダメかって、それを鵜呑みにしてか、わかっててやっているのか知りませんが、本当は体質に合わせて選ばないといけないのに、嘘で簡単な方にのっかって処方している医者や漢方薬局の先生です。
今回のお話では、病院や一般的な漢方薬の効果の説明は、本来の理論と比べてどう間違っているのか?
なぜ、今まで漢方薬を飲んでもいまいち効いている感じがなかったのかがわかります。
本当の効果からはズレている漢方薬の効果の説明
例えば、下記の実際のツムラの漢方薬の処方箋の説明。
処方箋の苓桂朮甘湯の説明から引用:
この漢方薬は気分を落ち着かせ、体内の余分な水分を取り除く効果があり、動悸、めまいなどを改善します。
★めまい、動悸、息切れ、神経質、ノイローゼ、頭痛を改善する漢方薬です。
効能効果の説明書きは、すばらしいですね!!
気分が落ち着かない。動悸、めまい、息切れ、ノイローゼ、頭痛を改善すると言い切っています。
化学薬品で、作用がキツイはずの西洋薬のシュランダーですら、「めまいを抑える」と控えめに表現していますが、苓桂朮甘湯の方が、はるかに効きそうな感じですね。
だったら、なぜ、他の薬なんか全部やめて、苓桂朮甘湯1本にしないのでしょうか?
本当に効くなら苓桂朮甘湯だけで、めまいは解決!ですよね。
実際、苓桂朮甘湯でさっき書いてあった症状が全部、治った人ってどれくらいいます?
こんな体質も分析しないで、マニュアル的に処方されたもので実際、治った人なんて、現実には、ほぼいないと思います。
結局、「漢方薬を飲んでいるけど効果がよくわからない…」「説明に書いてある効能効果と全然違う…」なんて感じになっているでしょう。
なぜなら、漢方薬は、『効能効果のところに書いてある症状を改善するものではないから』です。
漢方薬に直接、症状を治す効果も成分もない
漢方薬は、西洋医学とは薬の効果も治療方法も全く考え方や効き方も違うものです。
先ほどの口内炎の方の話に戻りますが、黄連解毒湯を飲んで口内炎が治ると、黄連解毒湯は口内炎に効果のある薬と思いますよね。
西洋医学の薬の考え方からすると間違っていないのですが、漢方はそうではありません。
黄連解毒湯は、口内炎に効果があるのではなく、肩から上の上焦とよばれる場所のこもった熱を下げてくれる効果なのです。
ですので、顔にこもった不要な熱が原因で口内炎が発生している場合は、黄連解毒湯で治りますが、口内炎の原因が不要な熱のこもりでなく、「胃が弱っている」「ビタミンが不足している」など、原因自体が別の場合は、10年飲んだって治りません。
それどころか、原因が違うのに黄連解毒湯を飲み続けていたら、黄連解毒湯の熱を下げる効果で、胃が冷やされて胃痛になったりします。
ちなみに口内炎は、
【上焦の熱で口内炎になるタイプ】
【上焦の熱と便秘で口内炎になるタイプ】
【上焦熱と上焦の気の滞りと下痢で口内炎になるタイプ】
【肝の臓に熱がこもって口内炎になるタイプ】
【胃に不用な熱がこもって口内炎になるタイプ】
【胃もたれなど胃が弱って口内炎になるタイプ】
【血が不足して口内炎になるタイプ】
などなど、まだまだ、人それぞれタイプ別の原因があり、口内炎で効果があると考えられる漢方薬は、上記の原因別に黄連解毒湯以外に22種類位あります。
黄連解毒湯に口内炎を治す成分があるわけではなく、『上焦熱が原因の口内炎だったら黄連解毒湯>が効く可能性が高い』というだけです。
ビタミン不足が原因で、チョコラBBで治る口内炎だと黄連解毒湯なんて何の関係もありません。
病名や症状に合わせて、漢方薬を選んでも漢方薬が効かない理由は、このためです。
医者などは漢方薬に対して、あまりに無知すぎるのです。
口内炎に効く効果の漢方薬を探すのではなく、『あなたの口内炎がどんなタイプの原因なのか?』
これがわかれば、その体質タイプを治す漢方薬がありますので、それを選びます。
ちなみにこの『東洋医学的な体質(原因)に合わせて漢方薬を選ぶ』という方法は、漢方薬を処方している99%の医者ができません。(体質診断できる医者に会ったことがない)
時々、「医者にしっかりと診てもらって漢方薬を出してもらう」って言う人がいますが、漢方に関しては医者に相談したって、そこらの小学生に相談しているのとあまり変わりがないのです。
医者の漢方薬の選び方はマニュアルを見て、あてはめているだけなので、日本語が読めればアホでも選べます。
体質と合っていなければ結局、治らない
さっきの保険適応の漢方薬の苓桂朮甘湯の効果の説明では、めまいから動悸から、なんでも治せそうな感じで書いてありますね。
ところが、実際は、3ヶ月、4ヶ月と飲んでも体質(原因)と漢方薬が合っていない人は、いつまでたってもよくなりません。
これも黄連解毒湯と同じで、苓桂朮甘湯に、めまいやら動悸やら気分を治しくれる成分があるわけではなく、『苓桂朮甘湯が合うタイプの体質であれば、効果がある』というだけで、苓桂朮甘湯が合わない体質や原因だった場合は、まったく効かないか、より症状はひどくなります。
なので、この説明は、僕ら専門家からすると、厳密には詐欺レベルです。
だって、治らない人は、どれだけ続けて飲んだって治りませんから。
ちなみにめまいが起こる原因(体質のタイプ)は30種類ほどあり、苓桂朮甘湯は、そのうちの『頭に水と気が上がって滞り、消化器系の水の巡りが悪く、血が不足気味なことが原因で、めまいが、起こるタイプ』でなおかつ『発生してそれほど時間が経っていない』という条件を満たすなら効果を発揮しますが、この条件でなかったら、他にもめまいに使う漢方薬は、29種類あるので、他の原因の漢方薬を選んだほうがよいでしょう。
合ってないければ、3ヶ月飲もうが、10年飲もうが、合ってない漢方薬は、何年飲もうが効いてきません。
それどころか、副作用で徐々におかしな体質になっていきますので、体質に合ってないのであれば、飲まないのほうがマシです。
医者は体質を分析できないので、体質に合わせて出していませんから、病院で漢方薬をもらったなら、2週間ほど飲んで治らなければ、もうやめたほうがいいです。
相談しても意味がないです。
漢方薬の効果は西洋薬の効果とは別物
西洋医学の医学理論では、例えばビタミンB2不足の口内炎なら、ビタミンB2を飲めば治ります。
ですが、口内炎だからといって、黄連解毒湯を飲んでも、熱のこもりが原因で口内炎が起こっているのでなければ、黄連解毒湯の効果は1mmもありません。
漢方薬の効果は、◯◯の症状を抑えたり、治したりするものではなく、体全体の体質を整えることによって、結果的に口内炎なども治ったりします。
だから、逆に何か一つの症状だけをピンポイントで治すなんてことはできません。
漢方薬を選ぶ場合は、病気の名前や症状に合わせるのではなく、その症状が『どんな原因』で『その症状がなぜ起こり』、『体内のバランスがどう崩れているのか』を考えて選ばないと、まったく意味がないのです。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
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