漢方薬相談ブログ

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ダイエットに防風通聖散の本来の効果(勘違い漢方薬の定番!)

  1. 漢方薬は症状を直接、治すものではない
  2. 防風通聖散で効果が発揮される体質
  3. マニュアル漢方に汚染されている漢方業界

漢方薬は本来、人それぞれの体質に合わせて選びます。

が、しかし漢方的に体質を判断するのは、実は非常に難しいので、にわかに信じられないかもしれないですが、漢方薬を処方している、ほとんどの医者や薬剤師は、東洋医学の体質である『証』分析判断もできません。

本当なら、体質が分析できなかったら、当然、漢方薬を選ぶこともできません。

そこで考え出したセコい技が病名のマニュアルに当てはめて、漢方薬を選ぶことや、漢方薬を選ぶ際の一部の条件に設定されている症状が、あたかも、その症状を直接、治してくれるかのように思わせるダマし技です。

(漢方薬の効能効果のおかしな説明に関しては、こちらの「漢方薬の「効能効果」の説明を参考にしても意味がない!?」をお読みください。)

東洋医学を理解できなかった先生の苦肉の索というか、漢方家を目指して挫折した人の悲しい末路ですね。

その代表的なのが、『インフルエンザに麻黄湯』

『耳鳴り、めまいに苓桂朮甘湯』

『ダイエットに防風通聖散』です。

他にも『にきびに十味敗毒散』など、要するに「病名=〇〇漢方薬」や「症状=〇〇漢方薬」は全部、嘘っぱちです。

どれも『愚かで無知な選び方の代表』みたいな漢方薬です。

全身の状態や症状を調べもしないで、これらを処方してくる先生は、『僕、漢方って、難しくて理解できなかったんですよね。でも漢方薬ってイメージいいから、テキトーに処方しときますね』と言ってるのと同じことになります。

当然、防風通聖散がダイエットの薬なわけがありません。

漢方薬は症状を直接、治すものではない

確かに防風通聖散は皮下脂肪が厚くなりやすい人に合わせることがある漢方薬です。

しかし、ここが肝心なのですが、皮下脂肪を分解する効果が防風通聖散にあるわけではないのです。

漢方薬は、『頭痛を治したいから五苓散を使う』とか、『アトピーやニキビを治したいから十味敗毒湯を使う』といったものではありません。

『頭痛の原因が水滞証』だったら五苓散で治せます。

えっ一緒じゃないの?と思いました?

違うのです。

頭痛も体全体を分析した時に、「気が頭に充満していることが原因」だったら、桂枝湯。

「胃の冷えが原因」だったら、呉茱萸湯を使います。

「血の巡りが原因」だったら桂枝茯苓丸。

「頭痛だから五苓散」なんて、単純な脊髄反射的なマニュアル脳ではなく、『体の中の何が原因で頭痛になっているのか?』を考え、その原因に合わせて、漢方薬はいろいろと変わるわけです。

漢方薬はアホには扱えない『深い医療』なのです。

だから、頭痛だけでなく、全身の状態や症状、生活環境を調べて、何が頭痛を起している原因なのか?を調べ、その原因に対して漢方薬を選びます。

防風通聖散で効果が発揮される体質

ほとんどの医者や薬剤師は、この頭痛の東洋医学的な原因を見つけることができないので、「頭痛に五苓散」とか「アトピーに十味敗毒湯」など、一部の症状や病名だけに当てはめて漢方薬を処方します。

防風通聖散の条件になっている肥満症は、漢方的には「臓毒」といいます。

便秘傾向が強く、腹実満といって、お腹が太鼓腹のようになっていている状態です。

それに「熱証」といって、同時に余分な熱が、体にこもっている状態がみられます。

熱は上焦熱といって、体の上の方でたまる傾向のあるもので、目が充血したり、赤ら顔になったり、喉の渇きが現れやすくなります。

また余分な熱の発散のために湿疹が出ます。

そもそも、この時点の条件で、女性であてはまる人は少なくなってくると思います。

さらに、余分な熱の症状は形を変えて現れます。

「のぼせ」とか「暑い」などに限りません。

不眠、肩こり、頭痛、動悸なども漢方では『熱』と捉えることもあります。

ちなみにこれは反対の原因である『冷え』でも起こりうるので、その判断には、やはり全身の症状の組み合わせや生活環境の分析が必要になります。

防風通聖散でダイエットしようと思っている人は、今の条件の大体が当てはまっていますか?

防風通聖散の合う条件には、水滞の証もあります。

むくみ、咳、関節の痛みです。

熱の証と水滞の証が結びつくと、「湿熱の証」というものになりますが、湿疹ができると白く膿みやすいのが、防風通聖散の特徴です。

これらの状態が組み合わさっている人が、防風通聖散が合う人です。

そして、漢方の世界では、どれかの症状が当てはまればいいのではなく、これらの状態から防風通聖散に合う体質でないと効果がありません。

手足が冷えている人なんて、熱体質と正反対なわけですから、防風通聖散が合うわけがありません。

マニュアル漢方に汚染されている漢方業界

漢方業界では、ほとんどの医者や薬剤師が漢方薬の効果を勘違いしています。

もう一度、言っちゃいますが防風通聖散に痩せさせる効果があるのではなく、あなたが「上焦の熱証」と「水滞の証」という原因(証)であれば、「防風通聖散で治ることもある」というのが漢方薬の効果です。

あなたは防風通聖散の合いそうな条件でした?

なぜ、防風通聖散が、ダイエット専用の薬みたいに言われるようになったのでしょうか?

本当の理由はわかりませんが、防風通聖散には大黄という便秘を刺激で押し出す生薬が入っています。

「防風通聖散の条件に太鼓腹」があり「便秘が解消すればダイエットになる」みたいな、安易なノリでダイエット効果の漢方薬に選ばれたのでしょう。

でも、便秘解消だけでダイエットって言うのなら、単に下剤でもいいような気もします。

ということで、長年、体質分析もしないで防風通聖散を飲んでいる人は、自分が「実証の太鼓腹」で「上焦の熱証」という体に不要な熱があって、水の巡りが悪い「水滞証」なのかどうかを確認してみてください。

手足の冷えを感じるようになったり、動悸が強くなったり、便がいつも軟便や下痢気味だったら、ただ単に副作用にやられているだけなので、何十年飲もうが、健康的に痩せませんよ。

ちゃんと自分の体質に合わせた漢方薬を選んだほうが良いかと思います。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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