漢方薬相談ブログ

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漢方には実はいろいろな治療方法があります(中医学、日本漢方、古方)

西洋医学の生理学や薬理学は、ほぼ世界共通です。

人間の体の機能の考え方や薬の効果は、どの病院も、どの医者も同じ考え方でもって治療します。

「そんなの当たり前じゃん!」と思われるかもしれないですが、漢方では違うのです。

漢方では『体質の診断の方法』『漢方薬の効果の考え方の違い』によって、派閥があり、どれも全く違う医学と言ってもいいくらい考え方が違います。

この治療の派閥のことを知っておくと、漢方相談する前に、その先生が本当に漢方の腕のある先生なのかどうかがわかるので、ぜひ、お読みいただけたらと思います。

日本の漢方はほとんどが中医学

漢方薬局のほとんどは、『中医学』という考え方の漢方をしています。

パンダマークの看板、あれも中医学をやっている一つのサインですね。

ちなみに医者が使うツムラの漢方薬マニュアルは、基本が『日本漢方』の漢方薬で構成されていますが、医者自身は「自分は中医学をやっている」と言いつつ、派閥の意味もわかっていない素人状態だと思います。

要は、現在の日本の漢方は、中医学派か、何もわかってない状態の無所属派閥で構成されています。

今度、自分が相談している漢方の先生に聞いてみてください。

「中医学!」って答えるか、「派閥って何?」て顔でゴニョゴニョと誤魔化すと思いますよ。

中医学とは

漢方の歴史って、遡ると医療的な形として始まったのは2千年前位になります。

その時のいっちばん古い治療の考え方を『古方』といい、古方の考え方で治療する人を『古方派』といいます。

古方派は絶滅危惧種で、ほぼいないか、いても、実は大してわかっていないニセモノです。

漢方は中国が発祥地で、古方派から、派生して、いろいろな派閥が生まれています。

東洋医学の基礎の考え方は同じですが、体質の判断の方法や、病気の原因に対する考え方、使用する生薬や組み合わせなどが、それぞれの漢方医で違っていました。

そういった漢方の先生によって治療方法も違うというところが、また漢方らしかったのですね。

そういった状態は、約60年前の文化大革命の時、旧文化破壊のスローガンの影響もあり、伝統的な漢方ではなく新たな漢方が作られます。

毛沢東が紅軍長征の際に自分自身を漢方薬で治療する機会があり、それに触発されて、国家事業として漢方を統一された学問としてつくるべく、教科書をつくり、中西一体の思想の元に中医学院ができました。

中西一体というのは、中国医学と西洋医学を融合させるという考え方です。

ちなみに漢方とは、実は、日本からみた中国医学のことを漢方と呼んでいます。

中医学は、それまでバラバラの派閥だった漢方を1つの学問とするため、いろいろなルールを統一したのですね。

ですので、中医学は『学校漢方』とも言われています。

「漢方の歴史」より引用:
現在、中医学理論と称されているものは、あくまで学生対象の教科書レベルのことであり、伝統医学といえども常に試行錯誤の状態にある。

中西合体といえば素晴らしく聞こえるが…

漢方と西洋医学を合わせて、学問にしてしまうって一見、いいとこ取りで、めっちゃいぃ感じみたいに聞こえますが、僕は、これがそもそもの間違いだと思っています。

ちなみに僕は、中医医師という中医学の先生として中国政府から認められていますが、僕は経験上、『中医学では病気は治せない!』と思っているので、勉強したにも関わらず、中医学は捨てて、『日本漢方の考え方』で治療しています。

中医学は、それまで、観念的で理解が難しかった部分が多かった漢方を西洋医学的に翻訳する感じに変えていきました。

漢方薬の有効成分を調べたり、病気の原因を西洋医学のように臓器ごとバラバラに考えようとしたり…

中西合体といっても、その正体は、理解が難しい漢方を西洋医学風にしただけ。

これでは西洋医学ヨリに偏っているので融合ではないですね。

ここに中医学の決定的な問題があります。

その問題とは、そもそも西洋医学と東洋医学(漢方)は根本の考えが違うので融合できないのです。

漢方と西洋医学の別物の医学

西洋医学の治療の基本は、『個人差を考えず、薬は誰でも同じ効果が出て、その効果は、症状を一時的に強制的に抑えること』です。

西洋医学には『人それぞれ』という考え方が一切ありません。

『生活を正していく』という考え方もありません。

あくまで薬が一方的に強制的に症状をごまかすだけです。

一方、漢方は『人それぞれの原因や体質』を考えて治療します。

実際に、漢方薬が何百種類もあるのは、人それぞれの体質や原因に合わせるためです。

そして漢方では内因といって、病気の原因は、生活の中にあると考えるケースが多いので、当然、生活養生も治療の1つとなります。

もちろん、生活養生も人それぞれ違います。

テレビで説明されているような『一般的な体に良いこと』は、漢方の世界では、体質によって、『やってはいけないこと』になったりします。

こんな正反対な目的、思考、方法の医学が、うまく混ざるわけありません。

実際、僕は中医学を勉強しましたが、西洋医学としても漢方としても、よくわからないどっちつかずな感じで、実践で全然、治せないし、なんだったらサプリっぽいので、治療に採用するのをやめ、中医学は捨てました。

中医学を勘違いしている先生

たまに勘違いしている先生がいますが、伝統的な漢方である古方や日本漢方が古臭いから、『西洋医学の考えも取り入れている新しい中医学の方が良い』なんて説明する人がいます。

でもこれはどうなのだろう?

漢方の場合は、新しいから良い!とか古いからダメ!なんてことはないのですよ。

漢方薬を飲もうとする人ってどんな人でしょうか?

例えば、アトピーの人なら、ステロイドを使ってみたけど、ステロイドの効果が切れると、またかゆくなります。

またステロイドを塗れば、かゆみはなくなりますが、効果が切れると、またかゆくなります。

これを何ヶ月か繰り返していると、誰でも『こんなのいつまで経っても治らないじゃん!』と気づくわけです。

そうしたら、根本的に治したいから、漢方薬に挑戦してみよう!ってなります。

なってほしいです。なってください。

つまり、西洋医学って科学の最先端っぽいですが、いまだに小さな湿疹1つ、根本的に治せないわけです。

実際にやってることは、ステロイドでかゆみをごまかしているだけ。

科学が進んでも、なぜ治せないの?

それは、『アトピーは1つの原因で起こっているわけではないから』です。

科学的に進んでいようと結局、治せない。

でも古臭い漢方の方が実は治せたりします。

それはなぜ?

なぜ漢方薬は根本的に治せるのか?

病院の薬で治せるのは、結局、『菌やウィルス、怪我が原因だった場合だけ』です。

それ以外は1つの原因で病気になっているわけではないので、いくら科学的に薬のメカニズムがわかっていても治せないのです。

原因が菌やウィルス以外のほとんどの病気は、原因が1つではなく、体内の調節がうまくいってないから、病気や症状が出てくるのです。

また、その調節ができていない部分は、大概、複数あり、しかも人それぞれ

人それぞれの全身のバランスを整えないと治りません。

例えば、アトピーに使うステロイドは皮膚の炎症にしか対応しませんが、漢方では、かゆみにつながる体内の炎症の原因は、人によって、「熱のこもりや血の巡りの悪さ」だったり、臓器も「肝臓の熱と胃腸が弱っていたり」と複数が関連して悪かったりと複雑なのです。

ざっくりと言ってしまえば、『日本漢方』は、全身に出ている症状や状態を分析して、過去の似たような体質のタイプを探し出し、その体質をすでに治したことのある漢方薬を選びます。

(実際は何百パターンの体質から選ぶから大変!)

膨大な過去データから似たような例を探すのですね。

遠い将来、科学が考えられないくらいに発達し、人間に必要なホルモンや成分が全て解明され、なおかつ、その個人差(10億人分)が解明され、秒単位で、変わる体内の変化を解明し、更に、その人にとって必要な成分と種類、組み合わせ、量の薬が何分かで作れるなら、科学的に病気を治せると思います。

まーそれを科学ではなく2千年の治った結果のデータを元に治療しているのが中医学以外の漢方なのですが。

ちなみに、この治療はあくまで体質を分析できて初めて可能な治療方法です。

医者がやっている病名マニュアルで選ぶ漢方薬は、悪い意味で中西合体ですね。

残念ながら、今のところ、個人差は全く解明されていませんし、薬も1つのものをつくるのに何十年、何十億円とかかります。

『すでに結果として治った人の漢方薬とその時の体質』膨大なデータから探し出すほうが、今の科学よりも効率がいいのですね。

なので、中西合体させた中医学は、どっちつかずの漢方だし、漢方は科学的な発展とは関係がないので、古臭いからといって、治らないわけじゃないのです。

文化や使用する道具が変わっても、人間の体は大昔から何一つ変わっていないのですから。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ まんが医学の歴史:医学書院
◯ 医学の歴史:丸善出版
◯ 人類と感染症の歴史:丸善出版
◯ 医療の歴史:創元社
◯ 医学の近代史 苦闘の道のりをたどる (NHKブックス) :NHK
◯ 漢方の歴史:大修館書店
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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