咳や肺炎、気管支炎に良い食べもの!?(薬膳・漢方)
今回は咳や気管支炎などに良い食べ物の紹介をします。
例えば、コロナウィルスは漢方的にはウィルスを直接やっつけるわけではなく、体全体の状態をみて治療していくので、咳や気管支炎、喘息がある体質として見ていきますので、その辺りの参考にもなればと思います。
体に良い食べ物のよくある勘違い
世間一般の薬膳とか体に良い食べ物というのは、ちょっと誤解されていて、『その何かの良い成分が入っているから体に良い』みたいなサプリメントと同じようなものにされていることがありますが、薬膳、漢方の世界での体に良い食べ物というのは誰にとっても良い食べ物ではありません。
漢方、薬膳では、その食べ物の持っている性質を利用して体を治していきます。
例えば、「たけのこ」なんかは、性質が『寒、降』といって、冷やして、気や水を体の下に降ろしていくと言う性質があるので、熱がこもっていて、水や気が喉から上などで滞っている体質の方には薬になりますが、冷えていて、乾燥している体質の方には毒になります。
逆に「くるみ」なんかは、性質が『熱、潤』で肺を温めて失った水分を補給してくれますので、冷えて乾燥している体質だと薬になりますが、熱がこもって、痰が多いなんて人は毒になります。
漢方も薬膳も有効成分では考えない
漢方も薬膳も東洋医学理論に基づいていますが、東洋医学理論では陰陽という考え方に基づいて治療などを考えますので、基本的には、どんな人の咳や肺炎にも良いという食べ物はありません。
あくまでも、最初に『あなたの状態はどんな状態なのか?』というものがあって、『その状態に合うもの』があなたにとってよい食べ物となります。
とはいえ、食べ物は生薬ほど強烈な作用ではないので、温めるでも冷やすでもない間のものがあります。
これを『平』といって、この場合は、自分の咳や肺炎、喘息の質が熱のなのか?冷えなのか?をあまり気にしなくてもよいです。
ただ、平の性質にプラスして、潤す作用とか、気を昇らせる作用などがあるので、平の性質であっても、誰にとっても良いとは言いきれないですね。
咳、肺炎、喘息も人それぞれ状態が違う
一人一人の体質を分析していくとはいえ、基本的には咳や肺炎に多い状態は、『熱がこもっている状態』、『水の巡りが悪くなって痰が滞っている状態』が多いです。
ただ、体質によっては、正反対の体質で冷えてしまっている状態や、体質だけでなく病気を患っている期間によって、状態が少しずつ変わってきたり、季節によって、熱がこもったり、乾燥したり、逆に水が多くなって痰が増えたりと同じ人でも状態が変わることもあります。
東洋医学の理論をわかっていない、なんちゃって薬膳の先生やなんちゃって漢方の先生は、咳や肺炎、喘息に良い食べ物としてズラズラと紹介したりしますが、東洋医学はそんな単純なものではないのですね。
ちなみにコロナウィルス などの肺炎や喘息発作が激しい場合は、急性で病も強いので、大体、熱がこもりやすい状態に陥ることが多いです。
ですので、この場合は、性質が寒などで冷やす食べ物などが適していることが多いです。
咳、肺炎、喘息に良い食べ物
それでは、まずはタイプ的多いであろう、熱がこもるタイプに良い食べ物。
次に平という真ん中の体を冷やしたり、温めたりの効果のクセが少ないもの。
そして、冷えてしまって、温めないといけないタイプに良い食べ物を紹介します。
東洋医学は陰陽で誰にとっても良いものはありませんので、【効果】だけに目を向けずに【向いてない人】も合わせて考えるようにすることが重要です。
向いていない人というのは、言わば『合ってなければ、副作用になる』といったようなものなので。
冷やして治すタイプの食べ物
喘息の人は急性と慢性の人、どちらも多く、慢性になっていると冷え体質の人も現れてくるのでこれらの食べ物は要注意です。
◉ごぼう
【性質】寒、降、散。
【効果】解毒して、主に喉にこもった炎症を取り去り咳を鎮めます。
【向いていない人】冷えの強い人や胃腸の弱い人には向いていません。
◉グレープフルーツ
【性質】寒、潤、降。
【効果】炎症を取り去り、乾燥した喉や肺を潤し咳を鎮めます。
気や水を体の下方に降ろします。
【向いていない人】冷えの強い人や下痢などで気や水の巡りが降りてしまっている人には向いていません。
◉たけのこ
【性質】寒、降。
【効果】痰を取り除き、のぼせなどを冷まし咳を鎮めます。
【向いていない人】冷えの強い人や下痢などで腸の弱い人、妊婦さんは向いていません。
◉とうがん
【性質】寒、降。
【効果】肺の炎症を取り除き咳を鎮め、膿みなどを排出してくれます。
【向いていない人】冷えの強い人や胃腸の弱い人は向いていません。
平のタイプの食べ物(性質が中間)
◉梅
【性質】平、収斂、降。
【効果】肝臓の余分な熱を冷まし余分な熱を作り出すのを抑えます。
喉や肺の熱を冷まして咳を鎮めます。
【向いていない】のぼせや炎症性の熱がない人には向いていません。
◉アスパラガス
【性質】平、潤。
【効果】肺を潤し咳を止めます。
【向いていない人】水っぽい痰が多かったり、鼻水が多いなどの人には向いていません。
◉カリン
【性質】平、潤、収。
【効果】痰を取り除き咳を止めます。
胃腸の働きを上げてくれます。
【向いていない人】水っぽい痰が多すぎたり鼻水が多いなどの人には向いていません。
◉レモン
【性質】平、収斂。
【証と効果】痰を取り除き咳を止めます。
【向いていない人】食欲が強すぎたり、胃酸過多の人には向いていません。
◉しゅんぎく
【性質】平、昇。
【効果】肺を潤し痰を取り除き咳を止めます。
【向いていない人】のぼせや頭痛、寝つけないなどの気の昂りが強い人には向いていません。
◉とうふ
【性質】平、収、渋。
【効果】熱を冷まして潤し咳を止めます。
【向いていない人】下痢がある人には向いていません。
温める食べ物
コロナウィルスのような強い肺炎や喘息の発作期は、温める性質ものは、危ないです。
慢性気管支炎や喘息などが長引いている方は寒証という冷えてから咳が多いので、良いと思います。
◉みかん
【性質】微温、潤、昇。
【効果】喉の渇きを止め喉や肺を潤し咳を止めます。
【向いていない人】水っぽい痰が多すぎる人には向いていません。
◉くるみ
【性質】熱、潤。
【効果】温めて肺の気を補い肺の機能を高め咳を止めます。
【向いていない】炎症の強い時期や炎症の強い人、のぼせや水っぽい痰が多すぎる人には向いていません。
◉にんにく
【効果】温、昇、散。
【効果】かなり強く温めて咳を止めてくれます。
【向いていない人】体力のない人は少量にする必要があります。
胃もたれを起こしやすい人や炎症の強い時期、炎症の強い人も要注意です。
◉杏仁
【性質】温、潤。
【効果】痰を除き、気を巡らせて咳を止めます。
【向いていない】体力のない人や。水っぽい痰が多すぎる人などは向いていません。
ちょっと変わった性質の食べ物
性質がちょっと変わっているものです。
※生や加熱によって性質が変わりますが、どの食べ物でもそうというわけではありません。
◉だいこん
【性質】涼、生で昇、加熱で降。
【効果】基本は温めて痰を取り除き咳を止めます。
消化も良くしてくれるので、胃腸が弱い人はよりいいです。
生で食べると気や血、水を体上部に引きあげ、煮たりすると逆に下げます。
【向いていない】生の場合、のぼせのある人は向いていません。
加熱の場合は下痢がある人は向いていません。
といった感じで、漢方、薬膳的にみた場合、有効成分などは関係なく、また、良い効果ばかりでもありませんので、しっかりと自分がどんな状態なのかを見極めて合わせていくと食べ物も薬にもなり、また副作用にもなります。
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 医心方食養編:出版科学総合研究所
◯ 図説東洋医学:小学館
◯ 東方栄養新書:メディカルユーコン
◯ 中医薬膳学:東洋学術出版社
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