漢方薬相談ブログ

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新型コロナ肺炎に効く漢方薬などありません(漢方薬に対するひどい誤解について)

前にも同じようなことを書いたのですが、僕もあれから何人か新型コロナ肺炎らしき方を治療し治すことによって新たにわかってきたこともあります。

「コロナらしき方の治療」と書いたのは、現実はなかなか検査してもらえないからコロナかどうだったかわからないからです。

でも、さすがに4月の中旬以降で、発熱が続く状態が「コロナじゃない」というのもおかいしですよね。

でも、そうなるとタイトルの『コロナに効く漢方薬などない』というのは、何の話なのか。

漢方薬には直接、ウィルスをやっつけたり、免疫を高める有効成分なんてものは含まれていません。

漢方薬は使い方次第(選び方など)で『薬』にも『毒』にもなるものです。

ですので、無条件にどんな体質の人の新型コロナ肺炎に効く漢方薬というものは存在しないのです。

漢方薬は、本当に誤解されていて(特に医者の勘違いっぷりがヒドい)

そういう知ってるつもりの人達が、まるで間違っていないかのように漢方薬を使っているので、世間的にも誤解されているのです。

ということで新型コロナ肺炎を例にして漢方薬というのは「一体、どういうもの」で、「本当はどうやって選ぶものなのか」、「新型コロナ肺炎を治す場合の漢方薬の正しい使い方や考え方」をかなーり詳しく説明してみたいと思います。

漢方薬は独特の効果

最近、新型コロナ肺炎に効く漢方薬みたいな情報が出回ってます。

僕の動画にもご丁寧に「ちゃんとコロナに効く漢方薬って〇〇というものでありますよ」なんてものを送りつけてくる人がいるのですが、そもそも『コロナに効く』という考え方自体が漢方の考え方からズレているのです。

西洋医学の新型コロナ肺炎の治し方

病院はコロナに対応する時に薬で直接、コロナウィルスをなんとか増えないようにするわけです。

アビガンやレムデシビルなどの薬はこの手の効果のものです。

ちなみにウィルスを殺す薬というのはありません。(殺すといってもそもそもウィルスは厳密には生き物でなはない)

西洋医学では、基本は『ウィルスを直接、増えないようにする』という方法で治療しようとします。

(とはいえ、本当にコロナウィルスを増えないようにできているのかは今のところ不明)

一方、漢方薬はコロナウィルスを直接、増えないようにしたり、ウィルスを殺す効果のものなんてありません!

そんな臨床実験も行われていません。

行われている臨床実験は、「ある漢方薬を新型コロナ肺炎に使ってみたら、何人かがよくなったかも」とう程度で、厳密に『どんな成分』『体内のどんな酵素やホルモンに作用して治したのか?』なんてエビデンスは一切ないし、効果の理屈も確認されていません。

そして、一番、需要なのは漢方薬を使う場合、西洋医学のデータというのは何の関係もないということ。

なぜなら、治療の根本の考えが漢方と西洋医学では全く違うからです。

漢方薬の治療の目的は体を手助けすること

西洋医学の治療の考え方はウィルスを直接、叩くことです。

一方、東洋医学である漢方はウィルスをやっつけること人体の機能を高めることを手伝うことです。

免疫を活性化させたり、不要な水を追い出したり、炎症が強すぎたら鎮めたり。

こういう説明をすると免疫を活性化させる成分が入っていたり、炎症を抑える成分があるように誤解されそうですが、漢方薬はそもそも『何かの有効成分が効いている』なんて西洋医学特有の考え方が存在しません

東洋医学なので。

同じコロナでもひとそれぞれの状態

漢方薬はウィルスを直接、叩く成分はなく、その人自身の体がコロナウィルスをやっつけられるように『体を健康で強い状態』に調整することです。

その人自身のコロナウィルスと闘う力(体の調子)というのは人それぞれ。

その体内の状態は、人によって全く違うわけです。

また、コロナといっても、人によってスタートの状態が違います。

病院では、「何も症状がなく自分がコロナになっていることすら気付いていない人」も「肺炎で人工呼吸器が必要な人」や「全身に血栓ができている人」、「腎臓機能が悪くなっている人」もみーんなまるっと同じ『新型コロナ肺炎』という「病気」になります。

ところが、漢方はウィルスをやっつけるわけじゃないので、人それぞれの現在の体調をみていきます。

例えば、「何も症状がなく自分がコロナになっていることすら気付いていない人」と「肺炎で人工呼吸器が必要で死にかけている人」って体の状態って全く同じだと思います?

実際は免疫や血の巡り、持病などもあって体の状態は何もかも違います。

「体内にコロナが侵入している」という状態は同じでも、コロナに対しての抵抗力などが違うわけです。

そして、漢方薬はこの体の状態の違いに対していろいろな種類のものを使い分けます。

漢方の世界では、コロナという病名が一緒でも体の状態が違えば、違う病気と考えるのです。

「何も症状がなく自分がコロナになっていることすら気付いていない人」と「肺炎で人工呼吸器が必要で死にかけている人」は違う病気みたいなものなので、どっちも治せる共通した漢方薬なんて存在するわけがないのです。

漢方薬にはその人に合わせて飲めるランクがある

インフルエンザや風邪をひいた時も人によって反応が違いますよね。

全然、しんどくない人、ものすごい熱が出る人など、漢方薬は、こういった病気に対する反応力の差や体質で漢方薬の飲めるランクが決まります。

例えば、普段は肉ばっかり食べてパワフルな人もインフルエンザで40℃の熱が出たら、おかゆの方が吸収がよく、こういった状況の時は体にいいわけです。

同じように漢方薬にもランクがあります。

ステーキみたいに栄養満点だけど、消化に負担をかけるものは、効果は高いけれど、体に負担をかける漢方薬になり、栄養素から考えると少なくても消化良く弱っていても栄養を届けることができるおかゆみたいな効果は穏やかだけど、体に負担をかけない漢方薬というような『強さランク』があって、こういったタイプ別に漢方薬を使い分けなければいけません。

漢方薬にはそのタイミング別で飲む種類が変わる

コロナウィルスに侵入されても「何も症状がなく自分がコロナになっていることすら気付いていない人」と「肺炎で人工呼吸器が必要で死にかけている人」

もっと、細かくみれば「微熱が出ている人や高熱が出ている人」「味覚障害がある人ない人」など、人によっていろいろな状態の人がいます。

コロナウィルスが原因だったとしても、タイミングによってこちらも違う病気かのように体の状態は異なってきます。

微熱の人は、体を温めてもっと熱が出るようにしないといけないし、高熱が出ている場合は清熱といって、逆に冷やして熱を下げなければいけません。

となるとタイミングによっては、正反対の効果の漢方薬を使う場合もあるということです。

これを新型コロナ肺炎だったら誰にでも効く漢方薬が仮にあった場合、『熱を上げるし、下げる効果もあります』という「どっちなんだよ」という矛盾したものになります。

ですので、タイミングによって選ぶ漢方薬は変わるということです。

症状の原因は人それぞれ

漢方薬は症状を起こしている根本的原因に合わせて、漢方薬を使い分けます。

例えば、普段からむくみがちな人は、コロナウィルスなどの病気になると、水の巡りがより悪くなり、『水滞の証』(証というのが原因)というものになります。

同じコロナウィルスにかかっても普段からむくみがなく体力がない人で、いきなり高熱が出る人もいます。

この証を漢方では『上焦熱の証』といいます。

つまり、生まれつきの体質や持病などによってコロナウィルスにかかった時に人それぞれ違う体質になるので、その体質に合わせて漢方薬を選ぶわけです。

「普段から何も病気がなく、現在も何も症状がなく自分がコロナになっていることすら気付いていない人」と「糖尿病で高血圧、慢性蕁麻疹や喘息をもっている人がコロナになって肺炎に進んで人工呼吸器が必要で死にかけている人」が一緒の体の状態だと思います?

漢方薬は直接、コロナウィルスを叩くわけじゃなく、その人の体の状態に合わせて選ぶので、当然、前者と後者はコロナウィルスに侵入されているという共通点はあっても、全然違う病気みたいなものです。

違う病気だったら、当然、選ぶ薬だって変わるわけです。

その他にも漢方薬は、『先生が選んだ漢方薬が合っているとは限らない。治って初めて飲んだ漢方薬が合っていたとわかる』とか『最初に選んだ漢方薬で治ってきたとしもて最後まで治るかどうかはわからない』という2つの条件もあります。

この辺りまで話すと非常にややこしいので、またの機会にします。

新型コロナ肺炎を治療する場合も体質別となる

体の状態は普段の状態や新型コロナ肺炎のタイミング、その人によって異なる原因が組み合わさって作れます。

その複雑な状態を読み解いて、最適な漢方薬を選びます。

よって、その人の体の状態など関係なく、まるっと「コロナウィルスに効く」というようなボヤーっとした抽象的な効果の漢方薬など存在しないし、誰にでも効く漢方薬という考え自体が、漢方の治療原則から反しているので、厳密にはコロナに効く漢方薬なんてものは存在しません。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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