漢方薬相談ブログ

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複数の種類の漢方薬を飲む場合の注意点。複数の種類の漢方薬を飲む場合の注意点。それって効果がなくなるかも!?

  1. 医者が勘違いしている漢方薬の効果
  2. 本来の漢方薬の選び方
  3. もっと深い本来の漢方薬の選び方
  4. 漢方薬の効果が確認できない
  5. 複数の漢方薬の組み合わせで飲んでいるとどうなるのか?

病院の保険適用の漢方薬を処方する医者には大まかに2種類います。

1つは大半の医者がそうなのですが、ツムラやクラシエなどの漢方薬メーカーが提供しているマニュアルを見るだけで処方する医者。

この場合、漢方の医学理論的なことは全然、わかってなくて素直にマニュアルに書いてある通りに処方します。

もう一つのタイプは、ちょっと漢方を勉強して知ってるつもりの医者。

これ、病院の世界に限って言えば、漢方に詳しい先生って感じになるのですが、漢方1本でやっている漢方専門の医者や専門的に勉強している一部の漢方薬局からすると大体、こっちの医者の出す漢方薬のほうが有害だと思ったりします。

なぜなら、こういった医者は大体、『複数の漢方薬を一度に出すから』です。

1日に4種類の漢方薬を分けて飲んだりと、一見、それって漢方らしい!と誤解している患者さんもいるかもしれないので、なぜ1日に複数の漢方薬を飲むと効果がなくなったり、とんでもない副作用になる可能性があるのか、その理由を漢方理論から説明したいと思います。

医者が勘違いしている漢方薬の効果

保険適用の漢方薬を処方する医者は、高確率で漢方薬の効果を根本的に勘違いしていることが多いです。

よく『めまいに苓桂朮甘湯』とか『ニキビに十味敗毒湯』などをマニュアルだけみて処方していますが、それが勘違いしている証拠で、そもそも漢方薬は病院の薬のように症状自体を抑えることが目的ではないのです。

めまいを止めてくれるのが苓桂朮甘湯ではなく、人それぞれ、めまいを起こす原因が違います

ある人は「上焦の水滞証(漢方の診断名)」という「肩から上の部分の水の巡りが悪いことが」原因だったり。

ある人は「胸脇熱の気滞の証」といって「胸周辺の熱と気の巡りが悪いこと」が原因だったりと大体、めまいの原因は漢方的には人それぞれ40種類くらいはあるので、めまいに苓桂朮甘湯とは限らないわけです。

むしろ、『逆でめまいに使う漢方薬の1つ(1/40)として苓桂朮甘湯も使うこともある』というのが正しい考え方です。

ところが医師が普段、処方している薬は一定時間だけ症状を無理やり抑える効果のもの

めまいが発生する原因を放ったらかして症状の発生する回路を遮断する感じなのですが、それが治療だと思っているので、多分、漢方薬もこれと同じような感じで考えているのではないかと思います。

もしくは、まだ、考えていたらいい方で、単にマニュアルの「めまいの欄に苓桂朮甘湯って書いてあった♪」という程度かもしれません。

本来の漢方薬の選び方

僕は患者さんから以前に医者から実際に処方されていた漢方薬を聞くことが多いです。

その組み合わせをみると漢方理論的にはまるでデタラメ。

なぜ、デタラメだと思うのか?

先ほど、漢方薬は症状を抑えることが目的ではないことをお話ししましたが、その漢方薬の組み合わせをみると明らかに症状ごとに漢方薬を対応させている感じ。

疲れているから人参湯。

便秘だから桃核承気湯。

頭痛に五苓散。

と3種類を出したりしているのですが、そもそも漢方薬は症状ごとに対応させません

漢方薬は本来、『体全体の症状や状態』を分析して、『証』というものを診断し、その『証』に合わせて選びます。

その時も選ぶのは原則的には1種類です。

漢方薬は、症状を抑えようとは考えず、「症状は体内の要素がバランスよく働いていないから発生している」と考えます。

そして『体全体の症状と状態』を分析して原因(証)を探ります。

症状は単なる原因を探るためのヒントでしかないので、これを抑えても意味がありません。

漢方の場合は、原因を治療すれば、結果的に症状は消えるのです。

もっと深い本来の漢方薬の選び方

体質を診断する場合、いろいろな角度から見ていきますが、その中にどれくらい体力や抵抗力があるのかをみる方法があります。

そして、漢方薬もこの体力などに対応していて、「体力がある人は強い漢方薬」、「体力がない人は、穏やかな漢方薬」を合わせるのですが、先程の例の漢方薬。

なぜ、デタラメなのかというと、そもそもこの漢方薬の相性も無茶苦茶ですが、人参湯は穏やかな漢方薬、五苓散と桃核承気湯はかなり強い漢方薬で、体質全体をちゃんとみていたら、これらを組み合わせて飲むことなんてあり得ません

体力がない方だと判断したなら、五苓散と桃核承気湯は使っても人参湯は使わないし、人参湯が合う虚弱な体質だと判断したなら、五苓散と桃核承気湯は使いません。

つまり、「カレーと天津飯とおでんの定食の組み合わせは最高に合いますよ」と味覚がぶっ壊れたこと言ってるようなものです。

これも症状だけに注目して合わせているからこんなコントみたいな組み合わせになるのだと思います。

他にも良く似た3種類の漢方薬(例えればラーメンと蕎麦とうどんの定食)を組み合わせていたりと、僕が漢方を勉強したての初心者の時でもやらないような、明らかに漢方理論を知らない組み合わせを平気でしていたりします。

だからデタラメだってわかるのですね。

漢方薬の効果が確認できない

1種類の漢方薬の中には8種類ほどの生薬が含まれています。

生薬は1つ1つ効果が違います。

病院の薬で例えれば、1つの漢方薬を処方されたら、8種類の病院の薬を処方されたようなものです。

そして、それが3種類となると、実に24種類の薬を飲む感じですね。

漢方薬を飲む種類が増えると難儀なのは、どれがどんな風に効いているのかわからなくなることです。

良くなった症状、悪くなった症状、どれがどう作用したのか?

神のみぞ知る、運次第!

『漢方薬は直接、症状を抑えることが目的ではありません』

めまいの原因が水の巡りだと自分が考えれば、水の巡りを良くする漢方薬を選びます。

その時に「温めて水を巡らせる」とか「自律神経に関わる気を整えながら水を巡らせる」とか、水を巡らせるだけでも、何パターンもあり、めまいの原因が水の巡りの悪さだと判断しても、本当は違う原因だということもあります。

それがわかるのは選んだ漢方薬を飲んだ後。

つまり、最初に自分が予測した原因(証)があり、それに合わせて漢方薬を選び、それが正解であれば、めまいなどの症状がなくなります。

逆に体質の予測が外れていたり、選ぶ漢方薬が外れていると効きません。

1種類の漢方薬を選ぶだけでも全身の症状から体質の分析をするのが大変なのに、複数の漢方薬なんて、体全体をみて選ぶ場合はかなり無理があります。

また、体全体を分析してやっと1種類の漢方薬を選ばないといけないのに、他の2種類はどうやって選んだんだ?って話ですよ。

全身の状態や症状から原因を予測して1つの漢方薬を選んだら、次の漢方薬なんて選べませんよね。

だって、また体全身の状態や症状の分析から考えないといけないのだから。

だから、多分、7、8種類の生薬(別々の効果)が含まれている1種類の漢方薬が1つの症状を抑える効果だと勝手に勘違いして3種類とか4種類の漢方薬を組み合わせているのじゃないかと思うのです。

複数の漢方薬の組み合わせで飲んでいるとどうなるのか?

漢方薬の効果は、飲んだ後の全身の状態を確認することによって初めてわかります。

でも、何種類も飲んでいたら、そもそもどの漢方薬が効いているのか、効いていないのかがわかりません。

効果もわからない上にお金も無駄。

医者のなんとなく漢方を専門っぽくやっているママゴトに付き合わさせられているようなものです。

また、漢方薬は特定の症状を抑えることが目的ではなく、体に変化を与えて調整してきます。

ですので、もしかしたら、めまいはマシになっても、胃もたれしやすくなったり、足が冷えやすくなったりとする場合があります。

これは体質と漢方薬が合っていなくて全体としてはバランスを崩しています。

この場合、病院だと処方した当の医者が、それが漢方薬の副作用だと気づかないし、ひどいのになると西洋医学の胃腸薬を被せて出したりします。

漢方薬は体全体の症状や状態を分析して、原因である証を診断し、その証に合わせて、なるべく1種類の漢方薬に絞り込んで選びます。

症状を治さないといけないのはもちろんですが、全体のバランスを崩さずに症状を治してくのが漢方薬の目的ですので、1つずつの症状だけに注目して『原因(証)』も調べずに漢方薬を選ぶのは、『ただの当てずっぽう』なので、理論的に治療を行う人間のやることではありません。

漢方は理論的に症状の駆逐を行うのです。

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◯ 漢方方意ノート:創元社
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◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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