漢方薬相談ブログ

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桂枝茯苓丸(けいしぶりょうがん)の副作用(合わない体質タイプ)とは

  1. 漢方薬は体質に合わせるとはどういうことなのでしょう?
  2. 桂枝茯苓丸の副作用の調べ方
  3. 桂枝茯苓丸の副作用のまとめ

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の効果を調べると、『漢方薬は体質に合わせないといけない』と書いておきながら、なんだかんだと結局、血の巡りの悪さによる下腹部のしこり、不正出血、生理痛、無月経、子宮内膜炎、子宮筋腫、難産、産後の悪露、頭痛、肩こり、冷えのぼせ、便秘、足腰の冷え、シミ、ニキビなどに、まるで効果がるかのように書かれていることが多いです。

始末の悪いことに国際中医師の専門家っぽい人の記事でも、こんないい加減なことを平気で書かれていたりします。

もし、これらの症状が桂枝茯苓丸で治るなら、そもそも、『漢方薬は体質に合わせる』って何なの?という話です。

だって、桂枝茯苓丸が、上記の症状を無条件で治すのならば、そもそも、『漢方薬は体質に合わせないといけない』意味がわかりません。

自分の気になる症状体質のことを表しているのではないのです。

『生理痛』が、あなた独自の体質ではありません。

生理痛が、あなたの体質を示しているなら、世の女性はみんな同じ体質になってしまいます。

例えば、上記に書いたような症状は、当帰芍薬散でも、温経湯でも、桃核承気湯でも同じような効果として書いてあります。

そうなると、『どの漢方薬を飲んでも良いのか?』という話になってきます。

だったら、『なぜ漢方薬はあんなに種類があるのか…』と、どんどん辻褄が合わなくなっていきます。

当然、それぞれの漢方薬は効果が違います。

それぞれの漢方薬の条件に合った体質でないと、漢方薬は効果を発揮しません。

こういった、『手軽で程度の低い分析』で漢方薬を選んでも、漢方薬は効果を発揮しません。

こういった間違った漢方の説明が多すぎて『漢方薬はあまり効かない』という誤解が拡がっていくように思います。

今回のお話では、具体的にどんな体質の人は桂枝茯苓丸が合わないのか?

副作用が発生する場合は、どんな副作用があるのかを詳しく説明しています。

漢方薬は体質に合わせるとはどういうことなのでしょう?

漢方は、症状だけで体質を判断しません。

体質とは、全身の症状体格体力今までの病気の経過生活環境や生活リズムを全部を総合的に分析して、判断します。

そして、漢方薬は、体質と合っていなければ、副作用となります。

本当に簡単に言えば、冷えている人には、温める漢方薬を合わせますが、冷えている人に体を冷やす役割の漢方薬(黄連解毒湯など)を合わせると副作用が起こります。

漢方薬は、病院の薬のように、決まった副作用があるわけではなく、体質と漢方薬が合っていなければ、副作用となるのです。

そして、体質とは、症状のことではなく、全身の状態を分析した総合的な体の状態のことです。

ツムラの桂枝茯苓丸(25番)の説明書の中で副作用の欄におもしろい記述があります。

ツムラ桂枝茯苓丸(25番)添付文書より引用:
3.副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度は不明である。

解説すると、『桂枝茯苓丸を使った副作用の調査をしてないので、副作用がどれくらいの頻度で起こるのか、わからない』と言ってます。

当たり前ですね。

通常の薬であれば、薬の飲む人の体質など関係なく、効果と副作用が決まっていますが、漢方薬は体質と合わなければ副作用になるため、何人かの人に桂枝茯苓丸を飲んでもらって副作用を調べようと思っても、たまたま、桂枝茯苓丸と体質が合っている人は、副作用が出ないし、桂枝茯苓丸と体質が合ってない人は、副作用が出るわけです。

ところが、医者は漢方的な体質を『分析』『判断』もできないので、体質がわかっていない状態で桂枝茯苓丸を飲んで、何か症状が出てきても、そもそもそれが、副作用なのかどうかすら判断できないのです。

桂枝茯苓丸の副作用の調べ方

桂枝茯苓丸の副作用を知るためには、桂枝茯苓丸が合う体質の条件とは何かを知る必要があります。

桂枝茯苓丸の特徴は、少陽病という、慢性病初期から慢性病に入った時期の人に使います。

これは、この何週間かで病気になった人ではなく、何ヶ月、何年と患っている人のことです。

つまり、この何日かで発生した急性の頭痛や便秘などには効果を発揮しません。

漢方薬は、病気の進み具合(経過した時間)によって、使える漢方薬の種類が変わってくるのですね。

次に、体格が華奢な人には合いません。

桂枝茯苓丸が合う体質には、虚実間というものがあり、虚実間とは、華奢でもなく筋骨隆々でもない、中間的な体格や体力の持ち主という条件があります。

自分自身ではわかりにくいかもしれないですが、運動が苦手で痩せていて、華奢で体力のない人は、桂枝茯苓丸では副作用を起こす可能性があるということですね。

桂枝茯苓丸の効果は、なんとなく月経痛を止めるとか、頭痛を止めるといったものではありません。

桂枝茯苓丸に女性ホルモンや痛みを止める成分は、含まれていません。

そこは、ちゃんと東洋医学的な効果があります。

桂枝茯苓丸は、血の巡りを整える薬という紹介がよくありますが、漢方では血の巡りを整える効果は、大きく2種類にわかれます。

一つは、血熱といって、血に余分な熱をもっていて血が滞るタイプです。

熱証タイプの瘀血の証ともいいます。

もう一つは、冷えて血の巡りが滞るタイプ。

寒証、血虚の瘀血証タイプです。

桂枝茯苓丸は、血熱のタイプで、逆に冷えて血の巡りが滞るタイプは、当帰芍薬散や当帰四逆加呉茱萸生姜湯などが、合う漢方薬となります。

だから、当帰芍薬散や当帰四逆加呉茱萸生姜湯と桂枝茯苓丸は正反対のタイプの体質ともいえます。

たまに漢方専門とかいいながら『瘀血のタイプは1つしかない』ように説明する先生がいますが、その中に正反対の体質がありますので要注意です。

桂枝茯苓丸は血熱タイプなので、足は冷えますが、手は冷えません。

したがって、手も足も冷えるというタイプは桂枝茯苓丸は合いません。

また、不正出血を止めるのに使うこともありますが、桂枝茯苓丸は止血するのではなく、滞りによって、血の流れがたまるところと、出血してしまうところのアンバランスを調整して、出血を止めるものなので、当帰芍薬散タイプの体質の人のように血が少ないところに血の巡りをよくすると、余計に出血が止まらなくなることもあります。

生理痛や無月経、子宮筋腫でも、あくまで血に熱をもったために血の巡りが悪くなった人に合うものであって、無月経の原因が、寒証などの冷えや気の調整ができない『血の巡りとは別の問題の場合』は、桂枝茯苓丸は合いませんので、効果がないか、副作用となります。

桂枝茯苓丸はその他の効果として、気の上衝を体の下の方へ巡らせて、体全体の気を調整する効果があります。

桂枝茯苓丸の頭痛は、気の上衝から起こっているものを治しますが、頭痛の原因が血や気以外の水の場合は、桂枝茯苓丸の気を下げる効果は、水の巡りを整えることにはつながりませんので、効果はありません。

あくまで、血の滞りが原因で起こっている頭痛に桂枝茯苓丸が効くのであって、特に頭に気が滞っていないのに気が下げられると、それこそ、やる気がなくなったり、めまいや立ちくらみのような副作用が出てきます。

桂枝茯苓丸の副作用のまとめ

桂枝茯苓丸を飲んだら副作用になるタイプは、とにかく手も足も冷えて、血が不足し、オシッコや便に問題があるような当帰芍薬散タイプです。

当帰芍薬散に限らず、冷えが強く、体力がない人は、桂枝茯苓丸を飲むと副作用になりやすい体質です。

漢方薬の効果は、書いてある症状を治してくれるような都合のよいものではなく、その症状が、『どんな体質が影響して起こっているかの根本的な原因』を考えなくてはいけません。

桂枝茯苓丸を飲んでも、全然、効果がわからなかったり、何か新しい気になる症状が出てきたりする人は、一度、ちゃんと全身の体質を分析してから、桂枝茯苓丸が合う体質なのかどうかを考えて、飲まれたほうが良いかと思います。

基本、病院の漢方薬は保険適応で安価ですが、ほとんどの医者は体質を分析も判断もできない人達で、西洋医学の病名、症状をマニュアルを見て、あてはめて選んでいるだけなので、当然、体質に合わない可能性は非常に高くなるので(運まかせ)、一応、東洋医学的な体質をわかっていて処方しているのか確認した方がいいですよ。

いくら安くても時間もお金も無駄になりますので。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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