漢方薬相談ブログ

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漢方薬は夏や冬など季節によって使いわけますよ(熱中症やしもやけ)

前回、漢方薬には女性用の薬がありますよとお話ししましたが、今回は季節(夏、冬)などによっても使う漢方薬は変わる。というお話しです

漢方薬には、大きく分けたら夏の薬、冬の薬というものがあります。

もちろん、これらの漢方薬も女性用の漢方薬の時と同じで漢方薬は基本的に、その人の体質に合わせて選ぶので「夏には絶対にこの薬を使わないといけない」なんてことはありません。

当然、その人の状態によっては、夏によく使われる漢方薬を冬に使うことだってあります。

要は最後は『その人の体質がどうなのか?』という話に行き着きます。

でも、なぜ夏に飲む漢方薬や冬に飲む漢方薬というものがあるのでしょう?

その理由を説明します。

病院の薬が効くかどうかの根拠(証拠)って何?

医者は漢方薬を病名マニュアルをみて選ぶだけなので、漢方薬はまるで「〇〇病」を何の根拠(証拠)もなく勝手に治してくれるもの。とメルヘンに考えているかのようです。

実際に何かの病気や症状を治す場合、当たり前ですが、何がしかの根拠や理由、証拠が必要です。

「この漢方薬がおすすめですよ!なんとなく治りますよ!」なんて説明してきた先生のすすめる漢方薬なんて嫌ですよね。

でも、実際は説明もされないので、気付きませんが同じようなことをやっています。

病院の薬が効く根拠は、「ある化学成分が、ある症状を無理やり抑える」ということが研究でわかっているからです。

例えば、鎮痛剤は体内で痛みを発生させる酵素を薬の成分がその酵素を働けなくすることによって痛みの発生を防ぎます。

つまり、痛みがなくなるのです。

病院の薬は、こうやって直接、体内の酵素やらホルモンを薬の化学成分で操作します。

病院の薬の効果と漢方薬の効果はその世界からして違う

一方、漢方薬には、症状を直接、抑える成分も効果もありません。

多分、みなさん、なんとなく病院の薬と同じように『何かの成分が何かの効果で症状を治してくれる。しかも自然のものなので副作用が少ない』なんて考えているかもしれないですが、残念ながら漢方薬にはそんな成分も効果もないのです。

では、どうやって治すのでしょうか?

漢方薬の治し方の前に西洋医学と漢方は、病気や症状に対する考えが全く違うことを知る必要があります。

西洋医学では、症状を一時的に抑えることを治療と呼んでいますが、漢方では症状は体に何か問題があって、それを教えるためのただの警告サインだと考えます。

「漢方では」と書きましたが、そもそも西洋医学の生理学的にも症状は、体内の何らかの問題を伝えるためのただの警告サインです。

病院の治療というのは、簡単にいえば、車のエンジンがオーバーヒートしそうで、そのことを知らせる警告ランプが点灯した時に、警告ランプ自体の線を切って点灯しなくする感じですね。

一方、漢方の治療は、エンジンのオーバーヒートの原因を分析して、オーバーヒート自体が起こらないように修理することです。

修理したら、警告ランプ(症状)は勝手に消えますよね。

ちょっと横道にそれましたが、要は漢方は、病院の薬よりは自然でやさしそうな成分が、よくわからないメルヘンな効果で治すわけではないのです。

本来の漢方薬の効果

漢方薬の効果は単純に説明すると、体が冷えていたら温めて治し、体に余計な熱がこもっていれば冷やすか、追い出して治します。

逆からみたら、体が冷えると体の冷えを察知した体が警告サインを出すわけです。

『手足が冷えて辛い…』と。

熱の場合も同じです。

例えば、熱中症は、体に不要な熱がこもってひどい場合は、死んでしまいますが、この熱中症になった時、『のぼせる、吐き気がする、動悸がする』などの警告サインを出すわけです。

当然、吐き気があるからって、病院の吐き気止めなんて何の意味もないですね。

なぜなら、症状(警告サイン)の発生原因は、『熱がこもっていること』だからです。

他にも気(自律神経やストレス、ホルモンも含む)や血、水の巡り、乾燥、湿気、体力のあるなし、五臓六腑などいろいろな体内の要素が病気の原因となりますが、今回は季節で使い分ける漢方薬の話なので、これら、漢方が考える病気の原因の話は、違う記事でも読んでもらえたらと思います。

なぜ、夏や冬で漢方薬を使い分けないといけないのか?

ここまで前置きしてやっと『夏や冬で漢方薬を使い分けるのか?』という話になります。

今までの知識で大体、この後の話の予想がつくかと思いますが、夏は当然、『体内に熱がこもる』ことが原因で、いろいろな症状が出てくるわけですね。

逆に冬は『体が冷える』ことが原因で、いろいろな症状が出てきます。

35℃越えの熱い夏に「手足の冷えがつらい」とか「冷えて膝や腰が痛い」なんてことは起こりません。

逆に2、3℃しかない寒い時に「熱中症」になる人はいません。

とはいえ、漢方の優れたところは、絶対に「夏や冬で漢方薬を使い分ける」わけではないことです。

そこはケースバイケースです。

例えば、夏でも仕事場が北極くらい冷房をきかせていれば、季節は夏でも自分の取り巻く環境はなわけですから、夏でも冬の漢方薬を使います。

また、冬でものぼせるくらい暖房をきかせていれば、季節は冬でも自分の取り巻く環境はなわけですから、冬でも夏の漢方薬を使います。

ただ基本的には「夏は熱がこもりやすいし、冬は冷えやすい」です。

漢方薬の効果と季節

漢方薬には症状を抑える成分も効果も存在しません。

『体内の要素(冷え、熱、乾燥、湿気、気、血、水、五臓六腑など)の問題が症状とどうつながっているのか?』を分析し、その要素を調整できる漢方薬を選んだ治します。

こういった漢方薬の治し方はどんな病気や症状でも同じです。

だから、「ニキビに十味敗毒湯」なんてマニュアル漢方はちゃんちゃらおかしいわけです。

熱中症などの『熱が原因』の場合は、体を冷やす漢方薬を選んで治します。

しもやけなど『冷えが原因』の場合は、体を温める漢方薬を選んで治します。

だから、夏は主に冷やす漢方薬を中心に考えて選んだりするのです。

冬はその逆の温める漢方薬ですね。

ちなみに同一の人の治療でも夏や冬によって漢方薬を使い分けます。

なぜなら、今までの理由から、別に熱中症までいかなくても、夏の暑さや冬の寒さの影響を受けるからです。

例えば、アトピーの人は夏はジュクジュクの汁が出やすかったり、汗が原因でかゆみが増したりしますが、冬は皮膚が乾燥してかゆくなり、出血もしやすくなったりと夏と冬で皮膚の状態や原因が変わったりします。

まさか、雪の降っている真冬に汗が原因で湿疹がひどくなったりしません。

こんな時は当然、夏と冬の漢方薬は変わります。

ですので、夏や冬で体の状態が変わっているのに同じ漢方薬を飲み続けるのは、『夏なのに温める』なんて的外れな治療になっていることもあります。

特にアトピーに消風散みたいな根拠のないメルヘン効果でしか考えてないような選び方では。

かといって、かならずしも夏と冬で漢方薬を変えないといけないわけではありません。

夏と冬で漢方薬を変えるのは、あくまで夏の暑さや冬の寒さが、『あなたの病気に実際に響いているかどうか?』

漢方薬は『暑いとか冷える』だけでなく、他にも『乾燥、湿気、気、血、水、五臓六腑』などいろいろな要素があるので、あくまで全部の要素を総合的に分析して、今、どんな漢方薬を選ぶべきなのか?が重要です。

ポイントは漢方薬は、何かの有効成分や効果で治すではなく、自然界や自分の生活の影響を受けて病気になっているので、自然界の一部である季節も治療の際に考えないといけないということですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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