漢方薬相談ブログ

飲んでいる漢方薬を変更したら新たな症状が出てきた時どうする?

飲んでいる漢方薬を変更したら新たな症状が出てきた時どうする?

  1. 飲み続けるべきか…やめるべきか…
  2. 漢方薬の副作用
  3. 不快な症状が漢方薬と合っていないとは限らない
  4. 不快な症状が漢方薬のせいとは限らない
  5. 副作用か副作用でないかを見極める方法(体質と漢方薬)
  6. 副作用か副作用でないかを見極める方法(生活状況)
  7. 副作用か副作用でないかを見極める方法(まとめ)

『今まで飲んでいる漢方薬を新しい漢方薬に変更して飲み始めたら新たな症状が出てきて困っている』という質問が、うちによくあります。

単純に『初めて漢方薬を飲み始めたら、いろいろな症状が出てきて、それが漢方薬のせいなのかどうなのかがわからない』という似たような質問もよくありますが、これらの質問の答えは結論からいうと僕に答えようがないです。

うちで飲んでないから意地悪を言ってるのではなく、漢方治療の原則上、いきなりこんな質問をされても答えようがないのです。

もちろん、その理由を漢方の治療理論も交えて説明しますね。

飲み続けるべきか…やめるべきか…

この質問をされる方は大体、病院で漢方薬を選んでもらったか、自分でネットかなんかで調べて漢方薬を選んだ人が多くて、医者(もしくは自分)に選んでもらった時から、『なんだか頼りなくて大丈夫かな?』なんて印象があったから質問を送ってこられていると思います。
さて、悩ましいのはこういった場面に出会った時に『今飲んでいる漢方薬をやめるべきなのか?やめて前のものに戻すのが良いのか』

または『このまま飲み続けるべきなのか?』

漢方薬を変更しているということは、多分、最初の漢方薬を何日間か飲み続けているけれど、何も変化がなかったから変えることになったのではないかと思います。

ですので、新しい漢方薬をやめて、前のものに戻すのもどうなのか?って感じですよね。

かといって、何か怪しい症状が出てきたのにこのまま続けて、どんどんひどくなったらどうしようとも思いますよね。

初めて漢方薬を飲まれる方も一緒です。

せっかく飲み始めたのにいきなり、今の症状が強くなったり、新たな症状が出てきたり…

そこでうちに質問があるのだと思うのですが、なぜ僕がこれらの質問に答えようがないかというと、それは『漢方薬の副作用の性質』と関係しているからです。

漢方薬の副作用

病院の薬は、飲む前からある程度、その薬にどんな副作用が出るのかが決まっています。

添付文書というものを読めばそれがわかるのですが、大体、どの薬も「頭痛、吐き気、便秘」が多いですね。

一方、漢方薬の場合は、決まった副作用の症状というものはありません。

例えば、Aさんが桂枝茯苓丸を飲んだら、頭痛が出始めたとします。

この時点で「えっ桂枝茯苓丸って頭痛の副作用があるの?」って思うじゃないですか。

ところが、その同じ桂枝茯苓丸をBさんが飲んだら、今度は長年、悩んでいた頭痛が逆にスッキリとれました。

Aさんのケースから桂枝茯苓丸の副作用には頭痛があるんだと考えがちですが、それだと逆にその頭痛が治ったBさんはおかしいですね。

でも、漢方薬ではこんなのは当たり前で、桂枝茯苓丸の副作用が頭痛なのではなく、Aさん、Bさんのそれぞれの体質と漢方薬の相性によって副作用が決まります。

また、例は頭痛としましたが、どんな症状が出てくるのかは、その人の体質によるので頭痛とは限りません。

漢方治療では、それに加えてもっと難儀な問題もあります。

不快な症状が漢方薬と合っていないとは限らない

病院の薬は症状を抑えることが目的ですが、漢方薬は症状を抑えることが目的ではありません。

『体の機能を調整すること』が目的で、症状がなくなるのはあくまで『体の機能がバランスよく調整された結果』なくなります。

ここで難儀になってくるのが不快な症状が現れた場合、『体質と漢方薬が合っているから治療過程の変化として症状が現れている』のか、『単に体質と漢方薬が合ってない副作用なのか』の見分けがつかないのです。

治療の過程で不快な症状が現れるっておかしいですよね。

これは、しもやけや冷えのひどい人はわかりやすいと思うのですが、例えば凍傷手前くらい冷えたとします。

この冷えた手をいきなり熱いお湯につけると痛くなり、かゆくなります。

この時に温めるのをやめて、また冷やせば、痛みもかゆみもなくなりますが、温めて治そうとすると痛みやかゆみという不快な症状が発生します。

でもこれって治療のために必要なこと。

拘縮など曲がらなくなった膝をリハビリで治そうと曲げると痛みが走ります。

でも、これも『治るために必要な不快な症状』なのです。

本来の漢方の根本治療は症状を抑えることが目的ではないので『体質と漢方薬が合っていても症状が出る』場合もあるし、単に『体質と合っていない場合』も同じような症状が出ます。

では、これは運任せにするのか?かというと、もちろん、解決方法はありますのでその方法は後述しますね。

不快な症状が漢方薬のせいとは限らない

漢方薬を新しく変えた後や漢方薬を飲み始めた後に何かの症状が出てくると『これは漢方薬の副作用か?』と考えしまいがちですが、漢方薬の影響とも限りません。

漢方薬を飲むということは、何か悩んでいる病気や症状があるのだと思いますが、そういった症状は季節の変わり目や寒暖の差、ストレスや食べ物、睡眠の状態などにあなたが思っているよりも環境に左右されます。

うちの相談経験でも、偶然ですが漢方薬の飲み始めたタイミングと他の要因が重なって、症状が発生して、結果的に本当の原因は漢方薬以外のことだったのだけど、漢方薬と結び付けてしまったということがよくあります。

これは漢方薬を飲み始めると、それまでに比べて症状自体に対して敏感になることが多いので、余計に誤解しやすくなります。

もちろん、漢方薬の影響の場合もあるのですが、うちでは結構、「たまたま漢方薬を変えたり、漢方薬の飲み始めのタイミングと合っただけで漢方薬とは関係なかった」ということが結構あります。

副作用か副作用でないかを見極める方法(体質と漢方薬)

病院ではツムラやクラシエなどの漢方薬メーカーのマニュアルを見て、病名などから選ぶだけですが、本来は西洋医学の病名ではなく『体質(証)』を分析し、その体質に対してどんな効果で治すかの治療方針を決めて、漢方薬を飲んでもらいます。

例えば、月経困難証やPMS、子宮筋腫などのマニュアル的な漢方薬になっている桂枝茯苓丸と当帰芍薬散というものがありますが、この処方は、互いに効果は正反対です。

桂枝茯苓丸は血熱といって、血が不要な熱を持って血の巡りが悪くなり、当帰芍薬散は冷えて血の巡りが悪くなっている人に使います。

同じPMSの人でも桂枝茯苓丸の場合は冷やして血の巡りを良くするので、当然、副作用として考えられるのは血熱を取られた時の症状が予測されます。

体質によって異なりますが、例えば、足の冷えがより強くなったり、冷えが足首から太腿に広がったり。

逆に当帰芍薬散は温めて血の巡りを良くするので、副作用として考えられるのは、熱がこもってのぼせたり、吐き気や便秘です。

こんな感じで『その人の体質と合わせる漢方薬の効果の方向性』である程度、副作用が予測できます。

つまり、副作用を見極める方法として、子宮筋腫とかPMSといった西洋医学の病名ではなく、東洋医学的な体質をしっかり分析しておかないと、副作用なのか治るのに必要な症状なのかの判別がつきません。

残念ながら、大半の医者は西洋医学の病名や症状だけで漢方薬を選び体質の診断をしていませんので、漢方薬を飲み始めて不快な症状が出てきても理論的にはそれが副作用なのかどうか判断すらできません。

単なる運任せとなります。

ネットをみて自分で選んだ人も一緒です。

ネットの情報を見た程度では、単に病名や症状に当てはめてしか漢方薬を選べませんので、これも治るも副作用も運任せですね。

副作用か副作用でないかを見極める方法(生活状況)

次に漢方薬以外の生活環境が原因の場合、これも体質がちゃんと分析できていると、その人の弱点がわかりますので生活要因からの症状の発生も予測できます。

例えば、水の巡りが悪い人は、お酒を飲んだ翌日に頭痛が現れたり、季節の変わり目に急に寝つきが悪くなったり、月経前だけイライラが増えたりと。

ある程度、体質から予測がつくので漢方薬を飲み始めて症状が出てきたら、漢方薬の副作用かもしれないと考えつつ、同時に『症状が発生した前後に何かあったかどうか?』を調べます。

そして体質から考えて、その症状に結びつくかどうかを検証するのですね。

この要因は、本人にとっては全く症状につながるとは思わないようなことも含まれます。

漢方の体質的には重要なので。

副作用か副作用でないかを見極める方法(まとめ)

ということで、まとめてみます。

1 病名や症状をあてはめないで、体質(証)を分析して漢方薬を選ぶ。

2 体質と漢方薬の相性から考えられる副作用を予測しておく。

3 副作用が発生した場合、体質と漢方薬の相性だけでなく、体質の弱点から生活環境などの影響でないかどうか、症状との関連性を調べる。

4 症状が発生してから5日〜7日間、その漢方薬を飲んでもらい、症状がどんな変化を起こすかを観察して、続けるべきか、中止すべきかを検討する。

ぶっちゃけ身も蓋もないですが、医者に処方してもらったり、自分で選んだ場合、これだけの検証をする知識も経験もないので、その漢方薬を飲むのをやめるか、一か八か運にまかせてみるかしかないです。

ちなみに漢方薬の副作用って地味ですが、こじれた病的体質になるので、副作用を放っておいて飲み続けるとシャレにならない場合もあります。

病院では、訳知り顔してマニュアル見ながら、「じゃあ、この漢方薬に変えてみようか?」なんて言うかもしれないですが、多分、何でその症状が発生しているのか全くわかってないと思います。

だって全身の問診をとって体質分析してないんだから。

なんとなく次々に漢方薬を変えていって漢方薬の迷路にハマるのがオチですね。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 漢方治療の方証吟味:創元社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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