漢方薬相談ブログ

漢方薬相談ブログ

漢方治療で最も難しいのは悪くなっていることが実は良い兆候の時

  1. 瞑眩反応とはまた違う話
  2. 漢方薬の治療効果は病院の薬の効果とは全く違う。
  3. 漢方薬はなぜ、治っているのに悪い症状が出てくるのか?
  4. 治るはずの漢方薬を飲まないと言う選択
  5. 悪い症状が良い兆候の時もあれば、単に副作用の時もある

「漢方薬を飲み始めたら、余計に悪くなった」

「飲む前とは違う新たな症状が出てきたような気がする」

なんてことになっている人って結構、いるのかもしれません。

漢方薬という「薬」を飲んだら、症状が余計に強くなったりしたわけですから、「これは自分に合っていない!」と普通は考えますよね。

でも、漢方の世界ではそうとは限らないのです。

漢方薬は、一般的にものすごく誤解されていますが、そもそも漢方薬は病院の薬と違い、症状を抑える効果があるわけではないし、漢方薬の治り方というのは実は東洋医学独特の治り方で治っていきます。

漢方薬、独特の治り方がわかっていないと、漢方薬で治すこと自体が難しい場合もあります。

なぜなら、『一度、体の状態が悪い感じになってから治っていく』という体質の人やそんな治療パターンもあるからです。

今回は、『なぜ、漢方薬を飲み始めてから、効いているからこそ体の状態が悪くなることがあるのか』そんな不思議な状態の理由を解説していきたいと思います。

瞑眩反応とはまた違う話

瞑眩反応って聞いたことありますか?

漢方の話でよく出てくるのですが、「漢方薬を飲み始めると悪い症状が出てきても、それは逆に体質に合っているからこそで悪い症状が出てきた後に治る」というものです。

確かに瞑眩反応というのはあるのですが、実は、瞑眩反応が出るのは基本的には急性病に漢方薬を合わせた場合です。

例えば、「2日前から頭痛がある」とか、「今日、ひどい下痢になった」とか。

「3年前からのアトピーで悩んでいる」とか、「5年前からの月経困難症で悩んでいる」なんて人に合わせた漢方薬で瞑眩反応が出ることなんて、ほぼありません

また、瞑眩反応自体も、かなりレアなケースで僕の16年の漢方人生から見ると多分、7、8回しか経験したことがありません。

これって毎日、相談している僕が2年に1回あるかないかです。

漢方薬局の先生や漢方薬を処方している先生で、漢方薬を飲んでから状態が悪くなると「それ、瞑眩反応ですよ。頑張って続けたら治りますよ」って説明したりしますが、大体は瞑眩反応じゃなく、体質と漢方薬が合ってなくて『単に副作用を起こしているだけ』だったりするんですよね。

漢方薬の治療効果は病院の薬の効果とは全く違う。

よく漢方薬の効果を病院の薬の効果のように誤解している方がいらっしゃいます。

病院の薬というのは『症状を一時的に抑えること』が目的なので、漢方薬も同じように『症状を抑えてくれる』と思いがちですが、漢方薬の治療の目的は『体質改善』『根本治療』です。

つまり、根本的な原因を治すことが目的です。

頭痛や下痢、胃もたれ、月経痛、不眠など、体が不調になると色々な症状が出てきますが、そもそもこれらの『症状』というのは、『体内の何らかの不調を示す単なる警告サイン』なのです。

車や機械でいったら故障ランプです。

病院の治療は、この故障ランプ自体(症状)を見えなくする(抑える)ことが目的です。

ちょっとややこしい話ですが、故障ランプは単に「どこかに不具合がありますよ」って言ってるだけなので、例えば、車の故障ランプが見えないように何かテープで隠したところで、肝心の原因が治されてなければ、『故障したまま』です。

だから、病院の薬って飲み続けても症状は再発しちゃうでしょ。

でも、病院がやっているのはこういったある種のごまかし治療

一方、漢方薬は、体内の原因自体を突き止めて治すことが目的です。

体の中に何か不調があるから必死で『症状』『おかしな体の状態』を発生させて、『治してくれ!』って叫んでるのですね。

当然、原因が治れば、それを知らせるための症状は無くなりますので、漢方薬でも症状は治ります。

『病院の治療は症状を抑えること』『漢方薬の治療は原因を治すこと』
似ているようですが、症状を治していく考えが根本的に違うことを理解いただけたらと思います。

漢方薬はなぜ、治っているのに悪い症状が出てくるのか?

『症状はあくまで、本当の原因を知らしめるための警告サイン』これを念頭に置いて読み進めてください。

病院の薬は症状を薬の成分で無理やり抑えますが、漢方薬は、症状に直接、働きかける成分などは含まれていません。

漢方薬は血や水、気の巡りを巡らせたり、胃腸の機能を高めたり、自律神経のバランスを整えたりします。

例えば、副鼻腔炎の人を漢方薬で治す場合、体質にもよりますが、スタンダードな体質なら実証といって、気や熱などを体に溜め込み体質があり、それが鼻水を出さないで溜め込むということに繋がっている原因の場合があります。

ちなみに冷えているから「鼻水を溜め込む」というタイプもいたりします。

こういった実証が原因だと考えた場合は、発表作用といって筋肉や血管を開いて気、血、水などを解放する漢方薬を選びます。

これを飲むと塞がっている鼻が、解放されるので、ドバドバーと膿を含む鼻水が出てきます。

飲んだその時だけだったら、「誰でも治っている途中なんだな」と考えますが、塞がっている度合いによっては3日経っても水鼻が出っ放し!なんてこともあるのです。

いくら塞がっている鼻が通じても水鼻がひどくなったら、「果たして本当に治ってるのか?」って考えてしまいますよね。

こんな感じで、漢方薬は、抗菌するわけじゃなく、鼻を通しにいくので、「鼻が通じたけど、水鼻が止まらない」ということになったりします。

難儀なのは、このまま飲み続ければ、やがて水鼻が引いていく時もあれば、体質によっては、漢方薬を切り替えて、鼻を通す力を少し弱めて顔の水の巡りを調整する漢方薬に変えていかなければいけないケースも結構あることです。

また、最もややこしいのは月経不順を治す時かもしれません。

漢方薬は何かの成分が効くわけではなく、体全体を整えていく自然的な治り方をします。

いわば、アナログな感じで治っていくのですが、月経不順の方の月経周期を調整するときに、いきなり28日周期にピタッと合うわけではありません。

漢方薬を飲んだ次の月経が23周期で来たと思ったら、次の周期が33日位になって、その次の周期で28日周期になる。というように、いったん、早めに振って、次にその振り戻しで遅めに振られて、真ん中のベストな周期に合わせるという非常に自然らしい治しかたをします。

でも病院の治療に慣れている人は自然的な治療がわからないので、最初に23日周期に早まったり、次に33日に遅れたりすると、『この漢方薬は体にあってない!』と考えてしまうのです。

それでその漢方薬をやめちゃう。

そしてこの時点でやめちゃうと『もしかしたら漢方薬では一生治せなくなること』が起こったりします。

治るはずの漢方薬を飲まないと言う選択

例えば月経不順やPMSなどを治療するにしても、体質は人それぞれなので、人それぞれの体質に合わせることを考えると、月経不順に対して治せる漢方薬は40種類にもなります。

この中の1つに『あなたに合った漢方薬』があるのですが、月経周期がおかしなことになったので、今、飲んでいる漢方薬はやーめたとすると、まず、再度、その漢方薬を飲むことはないですよね。

ところが、実は一見、合ってなさそうな悪い症状が出ても、それは『治している効果による体内変化によって出ている症状』かもしれません。

そうなると、不快な症状が出たからといって、やめちゃうと、せっかく治している仕事の途中なのに投げ出すことになり、違う種類の漢方薬を飲んでいたとしても、治してくれるはずのその漢方薬を飲まないということは、もう治療をやめたのと同じことになるのです。

こうなると漢方ジプシーの出来上がりです。(次々に新しい漢方薬を飲み変えていくが、どれも効かない、効いているのがわからない)

悪い症状が良い兆候の時もあれば、単に副作用の時もある

では、『悪い症状が発生しても治している途中なんだから、我慢して飲めばいいのか?』というと、それも違います。

なんかイライラー!と来ますが、悪い症状が出ても『治している途中の体の変化』の場合もあれば、単純に『体質と漢方薬が合っていない副作用』の2パターンがあるのです。

じゃあ、どうすればいいのか?

それは、漢方薬を選ぶ時に病院がやっているような『病名や症状を当てはめて漢方薬』を選ぶことをやめることです。

最初から漢方薬は症状を抑えることが目的ではないので、『症状がなくなるかどうか』を治っている判断基準にしてもしょうがないのです。

漢方薬の治療効果は、体質をしっかりと分析した上で、『病的体質が治っている方向に進んでいるか?』でみていかなくてはいけません。

そういう風に東洋医学的に治療をみていくと、時には『一見、悪い症状が出てきたけれどそれは治っている証拠』とみることができる時もあるし、『体質と漢方薬が合っていない副作用』だから即座に漢方薬を変えないといけないという判断になる時もあるのです。

『不快な症状』という状態は同じでも『治っているからこその症状と単なる副作用』に分かれるのですね。

一般の医学の知識がない人も医者(漢方においては素人と同等)、も漢方薬がまるで症状を直接、抑えるように勘違いしている人が多いですが、体質を診ずに病名や症状に合わせて漢方薬を選んでいたらいつまで経っても、漢方薬で根本治療はできないと思います。

●月経不順や月桂困難症などで、お悩みの方は、こちらの「漢方無料相談」から送信してください。

●お問い合わせは、こちらから送信してください。

●店頭相談のご予約は、こちらから、ご予約ください。(店頭も初回の相談は無料です)

日本全国オンライン相談受付中!

※全国(北海道、青森、千葉、東京都、埼玉、神奈川、長野、静岡、岐阜、名古屋、京都、奈良、大阪、兵庫、広島、岡山、徳島、福岡、熊本、大分、鹿児島など)からネット、メール、電話、LINEやメッセンジャーなどのテレビ電話などのオンライン相談を受付中です!

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方処方応用の実際:南山堂
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠⅡⅢ:薬局新聞社刊
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

著者の詳細情報はこちら

FacebookTwitterInstagram

関連した記事

漢方薬の副作用が病院の薬より怖い理由
漢方薬の副作用は、体質と合っていない漢方薬を飲むと発生する可能性があります。つまり、東洋医学的な体質や効果も考えずに漢方薬を処方されている場合は、余計に病気がこじれていく可能性があるということです。
自分の症状を当てはめて漢方薬を選んでも治らない(症状漢方)
病名漢方と同じで「証」という体質を診断せずに、症状だけをあてはめて漢方薬を選ぶ人がいますが、こんな選び方では漢方薬は効きません。
病院の漢方薬はなぜ効果がないのか!? (病名漢方とは)
病名漢方とは漢方の医学理論を理解できない、もしくは、勉強したてか勉強すらしてない素人の方が西洋医学の病名だけで漢方薬を選ぶ、本来の漢方治療には存在しない方法のことです。
漢方薬で治したい人は「証」(体質)を知らなければ治らない
日本で漢方薬を処方しているほとんどの先生が、実は体質なんて診断していません。これでは漢方薬は効果を発揮しません。