病院の薬、サプリメント、漢方薬、ハーブはそれぞれ具体的にはどう違うのか?
先日、患者さんの方から根本的な素朴な疑問をいただきました。
それは、『病院の薬や漢方薬、サプリメントとハーブはどう違うのですか?』
基本的な質問ですが、実は明確に答えられる人ってかなり少ないのではないでしょうか。
みんな、それぞれのものに対して、なんとなーくな理解ではないかと思います。
実はこれらのものは、目的も役割も全然、違います。
つまり、本来はどれがいいとか悪いではなく自分の目的と役割に応じて使い分けるものなのですね。
もしくは、飲んだり使ったりする必要もないか。
今回は、それぞれの目的や役割を解説して、その時の自分に適したものが選べるようになってもらえたらと思います。
病院の薬の役割と使い方
何か病気になったら病院に行くというのが一般的な常識です。
しかし、その目的は曖昧で、みんな「なんとなーく病院に行ったら治る」と思って行ったりして、その内、何人かは病院に行っても何も治らず、何も変わらなかった人もいると思います。
実はこの病院の治療はとんでもなく誤解されています。
病院の治療はわかりやすく平たく言えば、『応急処置』みたいなものです。
『病気や症状が始まった初期』だったり、『一時的にでも症状を止めたい時』に利用するものです。
病院の大半の治療薬は、対症療法と呼ばれるもので、これは体を治すのではなく症状を一時的に止めるだけのものです。
そもそも頭痛やめまいなどの症状は、その症状自体が原因ではなく、原因は他にあって、その原因を知らせるためのものが「症状」です。
例えば、歯が痛むので歯医者さんに行くと虫歯の部分を取り除いてくれます。
これは虫歯が原因で炎症を起こしているので、炎症の原因を取り除けば歯の痛みが治るからです。
この虫歯を取り除く行為は治療になります。
その時に歯医者さんに行かずに病院で痛み止めだけもらったとします。
この痛み止めは薬に設定されている一定時間だけ痛みを止めてくれます。
これは厳密には治療ではなく『応急処置』ですね。なぜなら、虫歯を取り除かないと痛みは永遠になくならないからです。
病気が違えど、アトピーのステロイド剤や睡眠薬など、病院の薬はどれも応急処置をしているだけで、原因自体の治療には触れていません。
ですので、厳密には「慢性病を治すために病院の薬を飲み続ける」というのは、『原因と治療がズレている』ので、これまた永遠に治らないわけです。
ただ、病院の応急処置にも利点があり、本来の役割があります。
それは、花粉症などがわかりやすいですが、鼻水と涙がダーダーでどうしようもない時に薬を飲めば、体質など関係なく高い確率で症状を止めてくれます。
ただし2、3時間。
でもその時間は症状の一時停止をかけられるので仕事がスムーズに運ぶわけです。
治療や薬の性質を考えたら、本来の使い方は、こういった使い方になるはずですが、なぜか病院は、患者さんを通わせて、『症状を一時停止しかできない薬』を飲ませ続けるわけです。
ですので、本来は、病気の初期か、どうしても症状が我慢できないので一時停止させたい人が通うところで、「治したいっ!」と思っている人が通い続けるのは本当はおかしいのです。
漢方薬の役割と使い方
漢方薬もこれまた、かなり誤解されています。
ぶっちゃけのところは、「実はよくわからない…」が本音かもしれないですが、皆さん、なんとなく「病院の薬よりも副作用がなく穏やかな自然の薬」といったイメージでしょうか。
漢方薬はもちろん、病気を治したり、症状を治したりはできますが、病院の薬と決定的に違うところは、『症状を直接、止めるわけではない』というところです。
病院の薬は「症状自体」を薬の成分で強引にでも止めますが、漢方薬では(西洋医学でも同じ理屈ですが)、症状は体内に何かの原因があって、それを知らせるための警告サインでしかないという認識です。
さっきの話でいくと、歯の痛みは虫歯という原因があるから痛みが発せられているので、痛みは虫歯を知らせる警告サインでしかありません。
痛みは病気の原因でも何でもないのですね。
例えば頭痛があるとします。
漢方的に考えると頭痛には、血の巡りの原因や水の巡りの原因、月経との関係や精神や筋肉の緊張などの原因、他にも色々あって、頭痛だけでも『人によって、ざっと40種類位の原因』が考えられます。
この原因を知ろうと思ったら、漢方では頭痛を治すにしても全身の状態を調べて、真の原因を調べる必要があるのですね。
さっきのでいえば虫歯ですね。
真の原因は人それぞれで、同じ人でもその時の頭痛によって原因が変わったりもします。
そんな感じなので、絶対に誰の頭痛にでも効く漢方薬なんてものは存在しません。
ですので、病院の薬のように、誰が飲んでもすぐに頭痛を止めるというのは難しいのです。(ただし、体質分析と選んだ漢方薬があっていればすぐにでも頭痛は治ってくる)
そのかわり、原因と漢方薬の調整する役割が一致すれば、飲み続けていけば、やがて根本的に治っていくのです。
根本的な原因を取り除いておきたければ、漢方薬の治療が向いていますが、反面、とりあえず、今すぐに絶対に頭痛を止めたいという場合は、病院の薬を飲んだ方が早かったりします。
→1つ注意していただきたい点は、この漢方薬の使い方は、あくまで『体質を東洋医学的に分析できて、その体質に合わせて漢方薬を選べる先生』に限りますが、業界の裏話的には、9割はできないと思っていただいて差し支えないです。
大半の先生は「頭痛に五苓散」や「めまいに苓桂朮甘湯」など、症状や病気に対してマニュアル的に漢方薬を選んでいるだけで、この場合、五苓散は水の巡りが原因の頭痛に合わせるので、血の巡りの悪さが原因の場合は、全く効きませんし、めまいも苓桂朮甘湯は初期の水の巡りが原因のめまいに合わせるので、慢性的で気の巡りが原因の場合は全く効かないわけです。
でも、実際の現場では東洋医学的な体質分析ができないので、マニュアルで漢方薬を選んでいるだけ。
結果、原因と漢方薬の役割がズレているので治ることがないのに飲み続けているということが起きます。
サプリメントの役割と使い方
ここからは、正直、ほぼ必要ないものです。
サプリメントは大体が、「ある地域の人が長生きなのは、ある食べ物を食べていたから、その食べ物エキスは体に良い」というのがその理屈です。
でも、そもそもその食べ物の成分だけで健康だったのかは今の科学では証明できません。
所詮、ただの宣伝文句です。
また、体は何かの成分だけで動いている訳ではないし、食べ物だけの問題でもありません。
地域の環境、運動や精神的な状態、色々なものが合わさっています。
そもそも、その成分が自分にとっては本当にどれくらい足りていないのか?は絶対にわかりません。
病院の薬は、何年も研究されて、ある成分が体のどこに、どう働くのかの理論があります。
サプリメントでも病院の薬を真似たような研究がありますが、薬に比べたら、おとぎ話レベル。
ぶっちゃけ、サプリメントの研究成果って暇な医者にお金を払ったら買えるのです。
漢方薬の場合は成分がどうのこうのではなく、漢方薬を選ぶにあたって、体質を分析する理論やそれに合わせて選ぶ漢方薬の理論がありますが、サプリメントの場合は、そんな医学理論もありません。
体質を分析したりする理論がないので、自分の体質にとって、どの成分がどのくらい必要なのか、全くわかりません。
また、体質に合っていないものを飲み続ければ副作用でおかしな体質になることだってあります。
ですので、僕的にはサプリメントは飲む意味がないです。
ただ、成分や役割が単純な筋トレの時に飲むプロテインや便秘に効きそうなサプリはアリかなと思いますが、いずれにしろ、サプリメントで病気や症状を治すなんて『おとぎ話』ですね。
ハーブの役割と使い方
漢方薬は、生薬というものが何種類か合わさって処方となります。
例えれば、生薬が玉ねぎやじゃがいもだとすれば、漢方薬はその食材を使って作ったカレーです。
そして、生薬は和名で、これがヨーロッパなどになると読み方が変わってハーブになったりします。
つまり、漢方薬の中身と同じものだったりするのです。
ただし、ハーブは漢方薬の生薬と比べて、種類もそれほどないし、効果のバリエーションも偏っていて少ないです。
そして何よりも違うのは、漢方薬でもそうですが、まず生薬だけで使うことなんてありません。
なぜなら生薬だけだと、効果に非常に偏りがあって使えたものではないからです。
ハーブも同じですね。
効果のバリエーションはないし、その効果にも偏りがあるので、とてもじゃないですが、病気や症状を治すまでの使い方はできません。
ハーブと漢方薬は似ていますが、何よりも違うのは、ハーブには『漢方のような専門的な医学理論がないこと』です。
漢方は「体質を分析する理論」や「漢方薬を選ぶ医学的な理論」がありますが、ハーブもまたサプリメント同じで、「〇〇成分が寝やすくしてくれます」とか成分的な根拠があるだけなのです。
たまに「東洋医学でハーブを使う」なんて意味不明な説明をしている人がいますが、東洋医学でもハーブ(生薬)を使っていますが、いわゆる西洋ハーブは使わないし、東洋医学でハーブ(生薬)を使うなら、東洋医学の体質分析の理論や漢方薬を選ぶ理論を駆使して、生薬を使えばいいので、多分、東洋医学の理論を理解できない人が、キラキラな感じでやりたいのだろうなと思います。
ハーブも病気や症状の治療には使えませんが、癒しレベルでは良いのではないかと思います。
病院の薬、漢方薬、サプリ、ハーブの使い方まとめ
まとめると症状が発生した初期や再発しても良いからとにかく一定時間だけ症状を止めたい場合は、病院を利用するのが良いです。
症状も止めたいけど、再発は困る、根本的に治したい!というなら断然、漢方薬ですね。
ただし、医者みたいに病名や症状に当てはめて、マニュアル的に漢方薬を選んでいるなら、飲まないほうがマシです。
漢方薬の場合は、『証』という体質が分析できて、体質別、その人の生活環境別にアドバイスもできる専門の先生オンリーになります。
サプリメントはトレーニングの時のプロテインや便秘薬で使うなら良いと思いますが、病気や症状を治すのに使うには遠すぎる。
ハーブも同様で気分などの癒し効果で使うのは良いかと思いますが、本気で病気や症状で使うのはどうかと思います。
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◯ 漢方方意ノート:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ 金匱要略ハンドブック:医道の日本社
◯ 傷寒論ハンドブック:医道の日本社
◯ 素問:たにぐち書店
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 図説東洋医学:学研
◯ 中国医学の秘密:講談社
◯ 陰陽五行説:薬業時報社
◯ 今日の治療指針:医学書院
◯ 治療薬マニュアル:医学書院
◯ 今日の治療指針:医学書院
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◯ 各種薬の添付文書
◯ 医心方:出版科学総合研究所
◯ 東方栄養新書:メディカルユーコン
◯ 中医薬膳学:東洋学術出版社
◯ 薬膳素材辞典:源草社
◯ 食養生の知恵 薬膳食典食物性味表:日本中医学院
◯ 薬膳と漢方の食材小事典:日本文芸社
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